Mission 7
小雪を鉄心に押し付けてから10年余り。
あれから小雪は鉄心により助けられた。とは言っても警察に情報を流しただけなので、警察に保護された後治療で通っていた葵紋病院で葵冬馬や井上準と仲良くなり榊原家に養子になったりと、史実通りに小雪の物語は進んでいる。
小雪も今では楽しそうだしよかったよかった。
それからこの世界はマジ恋でも「真剣で私に恋しなさい!S」の世界のようだ。
『世界観測者(ワールド・オブザーバ)』でまだ幼いクローンの4人を見つけたからだ。
しかしマジ恋Sか……もう会うことは無いと思っていたが、弁慶との約束は果たせそうだな。しかしどのタイミングで会いに行くべきか……
確か川神学園に入って第二茶道室に行くんだったな。そん時でいいか、余計なのもいるけど。
基本的に関わる気はないが見物ぐらいはさせてもらうか。永遠を生きる俺にとって、これからの出来事はテレビでバラエティ番組を見るようなもんだからな。収録を観客席で見ているといったほうがいいか?
そして現在俺たちは原作イベントである『東西交流戦』を、行われている工場地帯から少し離れたところから見ている。
「このイベントを生で見れるとは思わなかったわ」
「あん?お前このゲームやってたっけ?」
「ええ。Z指定R18指定なんかも普通にやってるわよ」
「なんか最近箱型のやつがあると思ったらそういうことか」
「そ。ただパソコンの処理が遅いのよね。いじったらスペックが違いすぎてプレイできなくなっちゃったし」
「しょうがないだろ。そのゲームの規格ってのもあるんだし」
「わかってるわよ、言ってみただけ。それにしても川神百代は圧倒的ね」
「同い年で勝てるのは原作通りなら松永燕だけだろ。まあ勝てるのは一回だけだけど」
「でしょうね。その後は描かれてなかったけど、あの様子を見るにちゃんと修行するでしょうし、慢心もなくなるだろうしね」
「だろうな。あ、マジ恋のキャラで誰が好きよ?」
「そうね~弁慶とかいいんじゃないかしら?あのだらけた性格は私と通じるものがあるし」
「あ~確かにお前と合いそうだな。そういや弁慶と飲んだ話はしたか?」
「ええ聞いたわよ。それが?」
「去り際にまた飲もうってな。クローンとはいえ弁慶に変わりはないからな、第二茶道室通称【だらけ部】に行ったときでも乱入しようかと思ってな。お前も来るか?」
「やめておくわ。男同士の約束だもの、邪魔は野暮ってものよ」
「けど部屋には直江大和や宇佐美巨人もいると思うし気にしなくてもいいと思うんだがな」
「気持ちの問題よ。それにまた別に会う機会もあるでしょ」
「まあそれでいいならいいさ」
「そろそろ二年の部が始まるわよ」
「お~そろそろか。……で?こんなとこに居ていいのか鉄心」
さっきから後ろにいる鉄心に声をかける。
今の会話は聞かれても問題ない。なにを言ってるのかわからんだろうしな。
「ふぉふぉ。勝敗が決まったときにおればいいんじゃよ」
「そうかい。それで?なんか用か?」
「いやの、交流戦見ておったじゃろ?じゃから話を聞きたくてのう」
「ふ~ん、どうする?」
「私はいいわよ」
「だとよ。んでなにが聞きたい」
「まずはおんしらの名前かのう。わしの名前は知っとるようじゃし省かせてもらうぞい」
「あ~釣り人としか名乗ってなかったしな。俺は神上紫苑」
「私は神上マリアよ」
「ぬしらは夫婦なのか?」
「そうよ。ここにはいないけどもう一人妻がいるわ」
「むう、こんな綺麗な嫁さんがもう一人じゃと?羨ましいのう」
「一夫多妻は認められていないが、まあ俺だから」
「どういう理屈じゃい。まあよいわ。次じゃ、おぬしら何者じゃ?」
「悪いがその質問に答える気はない」
「なぜじゃ」
「こっちの都合」
「…………」
「そんな訝しげに見てもだめだ。話す気はない」
「仕方ないのう」
「んで他には?」
「ぬしらに聞きたいことはこの二つじゃったからのもうないぞい」
「そうかい」
そういうと俺は現在交流戦二年の部が行われているだろう方向に目を向けた。
現在はマルギッテが大友を倒し、忍足が鉢屋を、椎名が毛利を倒している。
中央では川神の生徒と天神館の生徒がぶつかっている。
あ、井上が尼子を倒した。あの場面井上が超おもしろいんだよな~。
お~今度は小雪が火ダルマの長蘇我部を海に叩き落した。うむうむ小雪も立派に成長したなあ。あの足技もなかなかだ。
「あの子も成長したわね」
「ああ、元気そうでなによりだ」
「逃した魚は大きいかもね」
「なにいってんだ。隣に最高の嫁がいるだろ」
「…………///」
「話ふっといて赤くなんなよ」
「バカップルじゃのう」
「あ?お前まだいたの?」
「失礼じゃの。終わるまでは暇なんじゃよ」
「だったらルーと話してりゃいいだろ。今頃探してんじゃね」
「なあにこれも修行じゃ」
「(どんな修行だ)」
そのあと残りの十勇士も倒され、大将の石田は乱入した義経に倒された。
義経の乱入は反則ギリギリくさいが鉄心が言うならいいんだろう。
っていうか規律ゆるすぎじゃね?と思わなくもないが、俺には関係ないので放置だ放置。
さて、次はあいつらのお披露目の日に見物に行きますか。
◇
今朝九鬼財閥が『武士道プラン』の発表をした。
過去の英雄のクローンを生み出し、現代の学生たちと切磋琢磨させ、競争率と自己鍛錬向上を促そうというもの。しかしそれは表側の理由。この計画にはもう一つ理由がある。が、それはおいおい話そう。
現在俺とマリア、アルトリアは川神学園の屋上でクローン勢の編入の挨拶を見ている。おお、生の葉桜清楚だ。こうしてみるとマジで項羽とは思えんな。
「どうよ生で見た感想は?」
「画面から出てきてリアルな感じにするとこんな感じなのかしら?って顔ね」
「おいおいそんな感想かよ」
「しょうがないじゃない。それしか思わなかったんだから」
「ま、多少違和感があるのは仕方ないさ。アルトリアはどうだ?」
「いえ、私は何も。ただあの葉桜という女性、只者ではありませんね。見た感じは清楚といった感じですが内包する氣は強大で荒々しいものです」
「さすがにアルトリアなら気づくか。本人は清少納言だったらいいといっているがまったく違う。あいつの正体は――――なんだよ」
「なるほど、納得できますね」
「だろう。そうそう……さっきからこっちの様子を伺ってるドアの人。いい加減出てきたら?」
まさか気づかれているとは思わなかっただろう。渋々といった感じで出てきたのはクローンの一人『那須与一』。
「そんなとこでこそこそしてどうしたんだい?那須与一君」
「ッ!!……見たところ学校関係者じゃねえな。それに九鬼の人間でもない。あんたらなにもんだ?」
「それを話したところで意味はない。ここで起こったことは全部忘れてる」
「……どういうことだ?」
「こういうことだ(パチン)」
ドサッと与一が倒れる。
俺は指を鳴らし、与一の記憶を改ざんしたついでに眠らせた。これでここで起きたことは忘れている。校庭を見れば与一が来ないことでざわついている。
ここはお節介をやいてやるか。
「アルトリア、そこの倒れてる奴を校庭に投げろ」
「え?いいんですか?」
「大丈夫。死にはしない」
「わかりました」
倒れている与一を掴み、屋上からヒョイッと放り投げた。
与一は重力にしたがい………弁慶のところに落ちた。
二人はもみくちゃになっている。
「よ~い~ち~」
「うう……いてえ。なんだ?」
「人様に上から落ちてきやがって」
「え?なに?なんで姉御そんなに怒ってんの!!」
「お前が私の上に落ちてきたからだろうが!!」
「え?落ちて?悪いけど全然記憶が………っていだだだだだ!!ギブ!姉御ギブ!」
「問答無用!」
「あわわ、弁慶、与一」
「もう二人とも」
義経はあわあわし、清楚はニコニコ笑っている。
与一を放り投げただけでとんでもなくカオスな状況になってしまった。
あわれ与一、明日はいいことあるさ。
あとは放課後にでも会いに行くか。約束を果たしに。
批判とかしないでお願い!!作者のハートはガラスどころか紙ペラなの!!