ソードアート・オンライン Players: Reito 作:drakg
12月になったら、3話くらい投稿できればいいなって思っています。
お気に入り登録してくださった、ハヤヲ様、かんまいざー様、ありがとうございます。
励みになります( ; ; )
レイトとメグミがトールバーナの街に着いた頃、一人の少年が噴水に手を伸ばそうとしていた少女に問いかけた。
「なぁ…ハル…。俺たち、いつになったらあの国の、現実の世界に戻れるんだよ…」
ハル、と呼ばれた少女は水に手を入れ、冷たさでビクッと震えながら答えた。
「なぁーに、兄さん。まだそんなこと気にしてるの?今はもう、この世界の中なんだから、この世界で生きる努力をしないと」
そう言いながらも、少女の目はどこか遠くを望んでいた…。
そんな時だった。どこからか夢にまで見ていたことが実現になる、そんな噂話を耳にしたのは。
「ふぅ、ようやくトールバーナの街だな」
わざとらしくつぶやいたレイトを横目に、メグミは
「そうね」
と、冷たくつぶやいた。ああ、やっぱりあの笑顔はあの時だけだったのか、と少し泣きたくなったレイトだった。その時、
「おい、俺たちも行ってみようぜ、ハル!」
そんな話し声が聞こえてきたものだから、レイトはすかさず3コルしかもらえない、索敵スキルを上げるためだけのつまらないクエストを周回した成果を発動した。
そうすると、かえってメインの話し声より、周囲の噂話が聞こえてきた。
「なぁ、あいつら本当に行くらしいぜ」
「馬鹿だなぁ…今のこのゲームにそんな脱出法なんてあるはずないのに」
「後で生命の碑であいつらの名前、確認してみようぜw」
…笑えない冗談だ。そんなことを考えていると、索敵スキルを使ってもいなかったメグミがいきなり俺の手を引いて、話をしていた奴らの元へ向かった。
「おい、ちょっと、メグミ!?」
「いいからついて来て」
彼女は彼らの前に立つなり、いきなりお辞儀をした。
「お話中すいません。私、メグミという者です。先ほど話していた、脱出法、ということについて詳しくお話をお伺いしたかったため、お話しさせていただきました。」
彼女の声のトーン、敬語、すべてが豹変し、レイトは一瞬、彼女はNPCだったのか?いや、彼女にNPCのAIが乗り移ったのか??と耳と自分の頭を疑った
「なんだ?嬢ちゃんも“ログアウトの洞窟”の話、知りたいのか?」
その男は小銭をチャラチャラと鳴らし、いかにも“俺は情報を売る”といった様子だった。
そんな男を見もせず、メグミはすかさずに
「そうです!それが聞きたいんです!!」
その勢いに男は少し気圧されたが、向かいで飲んでいた男が、
「オイオイオイオイお嬢ちゃん。金も無しにこんなにいい情報を渡せるわけないだろ?何を考えてんだアンタは」
「あ、す、すいません、ただ、私一銭も持っていなくて…」
急にメグミの声が弱々しくなった。
「ほう?この街にまで来て一銭も持ってないとはなぁ…どうする?おじさんが稼げる仕事、紹介してあげるけど」
レイトはその瞬間、男たちの前に現れ、とっさに3コルクエとトールバーナまでの道のりを行く際に手に入れたコルを集め、満たされたコル袋をドサッと机の上に置いて言い放った。
「あんたら、これで話してやってくれないか。ざっと見積もっても4000コルはある。そんだけあれば1層攻略組に参加できるくらいの剣の強化はできるはずだぜ」
男たちは顔を見合わせて、「チッ、ヒモ持ちかよ…」と残念そうにしながら、
「よーし、分かった。この情報はお前らに売ってやろう。なんせ普通の40倍も稼がしてもらったしな」
「ああ、恩にきるよ」
そんな乾いた感謝をするレイトの隣で、メグミは焦ったような顔をしてレイトを見ていた。なぜ、彼はそんなに出してしまったのか。
「じゃあ、話すぞ。迷宮区に向かうには、トールバーナの先の森を北東に進むのは知っているな。実はその途中に橋があって、下に下れる場所がその端から左側に少し進んだところにあるんだ。その先にある洞窟の中の転移石を使うと、気がついたらログアウトできた、って噂だぜ」
「なるほどな。んで、この情報を売ったのは俺たち以外に何人いるんだ?」
「さっき二人の兄妹に売ったぜ。なんせ俺もさっき森で死にかけて、そん時に助けてもらった奴から聞いた話だからな」
「…そうか、提供感謝するよ。ついでにお願いなんだが、この情報、これ以上売らないで欲しいんだ」
真剣に聞いていたメグミも、驚いてレイトの方を向いた。
「何言ってんだ!!俺たちの商売道具にケチをつけるっていうのか!!」
あちゃー、怒らせちゃったじゃないやっぱり…といったメグミの呆れ顔を他所に、
「情報屋っていうのはな、伝えられた情報を確認してから開くもんだぜ、さっき売った兄妹に、情報の信ぴょう性を確かめるために、事後報告をしろ、くらい言わなかったのか?」
う…と何も言い返せなくなった男を相手に、レイトの目は厳しくなっていった。
「その情報が偽だった場合、彼らはどうなる?死ぬのか?君が打った情報で。そうなると、たとえオレンジカーソルにならなくたって、その噂が出回れば君はこの死が近い世界で、表にはいられなくなる。それでいいのか?」
「…」
男は何も言えなかった。そして、しばらく沈黙が流れた後、重い口を開いた。
「俺は…何をすればいい…」
「まずは俺たちが真偽を確認してくる。その後に売ることだな。」
そう言いながらレイトは彼にポップアップウィンドウを見せた。
レイト さんからフレンド申請を受けています。
Y:承認 N:否認
メグミは、ああ、この人はいい人なんだ、と改めて実感した。
男は震える手を差し出し、承認ボタンに触れた。
「…ん、よろしくな、トーリア」
「ああ、こちらこそ、いろいろとよろしくな」
そんなやり取りをして、彼らは一度別れを告げた。
…その一連の流れを彼らの知らない場所から見ていた奴がいるとも知らずに。
12月中に、○.5話なるものを書こうと思っています。
Twitter→@Ryo18dr
リクエストも、お待ちしております。