ベン・トーの世界に転生者がいたら   作:アキゾノ

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今回は戦争の導入部分を。
短くて申し訳ない。
ここから本格的に戦いが始まりますのでどうかご容赦を。



4食目

「なんで勝てねぇ!!」

 

僕の目の前でそう叫ぶのは、以前東区から来た金髪の兄ちゃん、【ヘカトンケイル】さんだった。

キン肉バスターをかけたのだがそれ以降、何度もアブラ神の店に来ては僕に戦いを挑んでくる。

来るのだが、今のところ僕の全勝だ。

しまいには茶髪にも負け越している。

最初のころは雰囲気の悪いヤンキーというイメージだったのだが、大学生の気のいいお兄さん的なイメージが強くなってきている。

というのも、勝負のあと根に持つようなことはせず何度でも挑戦してくるし、好きな弁当の話とか東区の話とかもよく教えてくれる。

最近では一緒に弁当を食べる仲にまでなった。

 

「まぁ、相性というのもあるし」

 

「相性なんか関係あるか!全敗だぞ、全敗!っていうかお前は戦いの度にどうしてそんなに新技を引っ提げてくるんだ!」

 

「ふ、僕の技は108式まであるぞ?」

 

嘘である。

実際は世界中のキャラクターの数だけある。

 

「ぐ…次は勝つからな!」

 

【ヘカトンケイル】こと五所瓦 風明のことを、新道は好ましく思っていた。

新道と戦ったもの、戦うものは諦めに似た眼差しを向けてきた。

どうせ勝てない、自分なんかと。

強者と戦い、勝ち、喰らってこそ弁当はうまいと思う新道はそういう狼どもが何よりも許せなかった。

だからこそ何度叩き潰しても向ってくる【ヘカトンケイル】が好きだった。

 

そこからはいつも通りの流れとなり、公園にて弁当を喰らう。

【ヘカトンケイル】と一緒にだ。

 

「あー、そういやお前に伝えとく。近々東区の狼どもが西区に攻めてくる。詳しい目的は知らんし興味もないが、先導するのは【帝王】だ」

 

「【帝王】?」

 

「東区最強の狼で、化物だ。その強さも、生き様も」

 

「…?」

 

「あぁ、お前は争奪戦に参加して日が浅いんだっけか。昔、東区には一匹の雌狼がいた。

彼女は最強だったと聞く。それこそ西区の【魔導士】と同じくらいに。

【オオカバマダラ】、その【二つ名】を持つ狼はある時【魔導士】に戦いを申し込んだ。

凄まじい戦いだったと聞く。お互いが満身創痍、なんとか勝ったのは【魔導士】で倒れ伏しながらも弁当を喰らった。歴史の一ページだ。」

 

「あぁ、なんか聞いたことある。その【オオカバマダラ】が攻めてくるわけ?」

 

「いや…今の東区を仕切ってるのはその【オオカバマダラ】から【帝王】という最強の称号を奪い取った【パッドフット】と呼ばれた狼だ。」

 

「へぇ…強いんだ?」

 

「確かに強い…けど俺は嫌いだ。あの野郎は【魔導士】との戦いでボロボロになった【オオカバマダラ】に勝負を挑み奪い取った卑怯な奴だ。それに奴の頭にあるのは最強という称号だけ。今回の作戦も【魔導士】から最強の称号を得るためのもの。どんだけ犠牲を払おうとも自分の目的を果たすためだけのもの。俺たちは捨て駒だ」

 

「ほむぅ…僕はそういう考え、嫌いじゃないけどね。勝つためならどんな手も使う。戦ってかつ、争奪戦の場において誠実な生き方だと思うよ…ルールは破っちゃいけないけどね」

 

「ま、そうなんだがよ。とにかくそ

の【帝王】主導による東区の全【二つ名】持ちの西区侵攻作戦、これが全貌だ。話だけなら面白そうだろ?」

 

「確かに。お祭りみたいだ」

 

「おう!俺もそう思って参加したクチなんだがよ、はっきり言って作戦の成功を本気で考えてるやつなんざ【帝王】と【ガブリエルラチェット】くらいのもんだ。後の【二つ名】持ちどもは俺たちみたいにお祭り感覚ってところだな」

 

「なるほど…楽しみだ」

 

「ついでにこれも渡しておく」

 

そう言って手渡されたのは一枚の紙。

見れば西区のスーパーの名前にランキング形式で弁当の名前が書かれてある。

 

「…なるほど。東区の狼たちが優先的に狙う弁当、一位を取られたら負けってことか」

 

「おう、お前の縄張りのアブラ神の一位は豚の角煮弁当になってるな」

 

「別にそれが一番ってことじゃないと思うんだけど…あと僕の縄張りじゃないよ」

 

「あぁ、【氷結の魔女】の縄張りだったんだっけか?」

 

「らしいね」

 

「お前と魔女の確執は知らんが、今はお前の縄張りという認識が東区では強い。この店の一位はお前がとらんとな」

 

「おいおい、結構付き合いが長いっていうのに僕っていう存在をまだ認識してないのか?

一位だけじゃない、全部僕が獲る」

 

ニィ、と笑う。

それに【ヘカトンケイル】も同じように笑う。

 

「おう、それでこそだ。作戦当日、俺はこの店に来るぜ。その時こそ、お前に勝って見せる」

 

楽しみにしてるよ、そうお互いにかわし来るべき日を待ち望んだ。

 

 

 

 

 

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ところ変わって東区のとある店。

 

著莪は佐藤を誘い、この店にいた。

 

「ここら一帯は【帝王】の縄張りなんだ」

 

「…前から思ってたけど東区の【二つ名】って仰々しくないか?西区なんて【ゴキブリ】とかいるんだぞ?」

 

「あー、聞いた。なんでも多種多様な技を使い、弁当を残らずかっさらっていく災害みたいな狼だって」

 

「あー…まぁ、そうね」

 

「そいつとも戦ってみたいんだけど、魔女と戦うために時間が合わないんだよね」

 

「ま、いつか戦えるさ」

 

「楽しみだ。話は戻るけど、【帝王】ははっきり言って別枠。東区最強の狼。あの【魔導士】とも互角だって。」

 

その言葉を聞いて佐藤は、不味いところに来てしまったんじゃないかと思った。

下手すれば先輩である槍水よりも…。

 

「…来る」

 

著莪がそう言い、店内の雰囲気が変わった。

 

「逃げるなよ佐藤、一緒に【帝王】を倒して最強を名乗ろうぜ」

 

「…面白い、やってやるさ」

 

そして息を呑む。

これほどのプレッシャー、感じたこともない。

肌を刺す空気。

重くなる場。

そこに現れたのは…先輩である【氷結の魔女】だった。

 

「…先輩?」

 

「佐藤…なんだその恰好は?」

 

余談ではあるが今の佐藤の格好は女子制服に身を包んだ状態。

しかもスカートの下からはトランクスが見えており何とも中途半端で最高にハイな状態だ。

著莪に呼び出され、著莪の高校に赴き、その際に警備員につかまり身体チェックをされトランクス一丁になり、危うくケツに単一電池を捩じりこまれそうになり、命からがら逃げだしたものの、着る服は没収されたままであり、仕方なく著莪の友人である井上あせびから制服の替えを借りたという、冗談にもほどがある経緯を経てこの場にいた。

詳しくは原作を読もう!(ステマ)

 

槍水の後ろからは親指を立てた白粉が、それはそれは良い笑顔を浮かべていたそうだ。

 

 

☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆

 

 

 

 

―――魔女が現れた?

―――はい、現在著莪及びその従弟と接触中。魔女のもう一匹のペットもおります

―――ついてるな。向こうから乗り込んでくるとは。よし、俺が出よう。まだ間に合う。おそらく今夜を境に状況は大きく動く。【ガブリエルラチェット】全員に伝えろ。忙しくなるぞ

―――了解しております

―――お前は今、店内か?

―――はい、現在監視のため店内に

―――そのまま監視を続けろ。仮に【半値印証時刻】を迎えようとも手は出すな。俺がやる

―――は、魔女のペットもですか?

―――そうだ、なんとか間に合わせる

 

 

通話は途切れ、【ガブリエルラチェット】の頭目、二階戸は自身の首を、自分の手で絞めつけた。

まるで、罪を罰するように。

 

戦いのときは近い。

 

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