やはり俺がラブライブの世界に異世界転移するのはまちがっている。   作:ちい太

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二ヶ月ぶりですね、どうも、ちやほやされたがりのちい太です。

……本当に申し訳ないです。理由も特になく時がすぎていました。

スランプで文が変とは思いますが読んでくれると嬉しいです。


一変した日常の中でも、彼の目だけは不変である。2!

部屋の中にぽつんと置いてあるピアノが四月の太陽に照らされ、輝きを放っていた。

 

しかし、その綺麗な情景に置いてけぼりにされて三人を取り囲む空気は混ざり混ざってしまっていた。

個性のぶつかり合いとは正にこのことだ。

目の前には涙目でこちらを睨む真姫、隣には先程から表情をコロコロと変える希とカオスな場が広がっている。希は酒でも飲んだのだろうか。

 

「比企谷くん!はよ謝らんと裁判沙汰になってまうよ」

 

ニヤけている酔っ払い、もとい希が真姫の状態を見かねて笑みを浮かべながら冗談めいた注意をしてくる。

 

「それで裁判とか起こってたら、もういけ好かないイケメンたちは刑務所に入ってますよ」

 

まぁ壁ドンとか本当に申し訳ない事をしてしまった。多分相手が真姫でなければ、明日にでも俺はあのピアノのようにぽつんと佇んでいることだろう。あ、それはいつもそうでしたね。

 

「でも比企谷くんイケメンやないやん?」

 

……ちょっと?正直で辛辣な言葉が一番心にくるからやめてくんない?

 

「ぐっ……。でも俺は自分の顔を平均以上だと自負しているんですが」

 

「ふふっ。わかっとるよ。比企谷くんはうちの王子様やもんね。」

 

希は口に手をあてて少し笑いながら摩訶不思議な事を言った。

俺が王子様?どういうことだ、この世界の俺は希に何をしでかしたの?

 

あまりに突拍子な言葉に惚けてしまっていると希に肩を叩かれた。

 

「ほら、はよ謝らんとあの子拗ねて帰ってまうよ。頼まれごとあるんやろ?」

 

そういえば、当初の目的である真姫に作曲を頼む事を忘れていた。

いや待て、ここは拗ねて帰ってもらうのも一つの手かもしれない。

ここで嫌われてしまえば、彼女らと距離を置くという点では成功といえば成功だ。

……やはりやめておこう。彼女らが簡単に人を嫌うとも思えない。それどころかむしろ何があっても人を嫌わなさそうだ。そこまでいくと逆に怖いな。

 

はぁ、と息を吐いて心を落ち着かせる。

未だ慣れることのない美少女に囲まれた生活は多分、これからも慣れることはない。

真姫を見据えると絶対領域がつい目に入った、つい。

心は落ち着かなかった。

 

「えーと、用があって来た。この前、やたらテンションの高い奴に作曲を頼まれなかったか?」

 

意を決していきなり本題をぶつけた。気の利くやつは得てして最初に場を和ませたりするが、そういうの八幡はできない……。

 

「頼まれましたけど、それがどうかしたんですか?」

 

俺の質問に対して、真姫は途端目を細めた。

あっちの世界と違って、言葉尻を強めた真姫の感情が少し読み取れるような気がした。

 

「俺も作曲を頼みに来たんだ」

 

「何回来ても私、やるつもりないですよ」

 

だろうな。穂乃果が言ってダメなのに、俺が言って成功するはずがない。

ここは、早々に撤退して後は穂乃果たちに任せよう。

 

「そうか、なら今のところは諦める。だが、歌詞が出来たらしい。それだけでも見てやってくれないか?」

 

「見たってやらないと思いますよ」

 

真姫は相変わらず目を細めたままだ。堅い意志を感じて、そこから穂乃果の凄さに気づいた。

 

「それならそれでいい、ってあいつは言うだろうからそれでもいい」

 

会うのはもう最後(のはず)なので出来る限り格好をつけて後ろを振り向く。決まった……!振り向くときに笑いを堪える希が見えた。

 

あ……。

全く関係のない希の笑みで真姫の名前を聞いていない事を思い出した。名前を聞いておかないと辻褄が変な風に合って、最悪ストーカー扱いを受けることになってしまう。

 

「そういえば、名前聞いてなかったな。俺は比企谷八幡だ」

 

振り向いた後に振り向いて、体育の隊列練習みたいになってしまった。気をつけの後に休めしてまた気をつけするのってなんでなんだろうな。

 

「……真姫、西木野真姫よ」

 

俺の360度回転に思うところでもあったのか若干遅れて真姫は言葉を返した。

 

「あいつのしつこさにはお互い苦労するだろうが、よろしくな。あとついでに作曲もよろしく」

 

「しないって言ってるでしょ!」

 

さっきまで細かった目を大きく開けて、真姫は怒鳴った。

よろしくしてももう会わないので、実質よろしくしたのは作曲だけだ。

踵を返して歩き出す。540度回転していた。

 

「比企谷くん」

 

歩き出したところで希に引き止められ、振り返る。危ない危ない、その場で立ち止まっていたら二回転するところだった。何が危ないんだよ。

 

「なんですか?」

 

振り返った先には、首を少し傾けた思案顔の希がいた。何そのポーズ、なんかグッとくるからやめてほしいんですけど。

 

「比企谷くんってあんなにはっきりものゆう子やったかなぁって思って」

 

相変わらず首を傾けたまま希は疑問を口にした。

さすが希、痛いところを突くな。だが例え希でも異世界から人がやってきた、なんて考えは浮かぶなんてことはありえない。そんな奴がいたら、そいつは痛いやつか超能力者だ。

 

「心境の変化ってやつですよ。ほら、高校生は多感な時期っていうじゃないですか」

 

「うーん、そんな感じには見えへんけどなぁ」

 

希は納得がいかないようで、腕を組んで口をすぼめながら歩いている。

確かに俺自身も全然全くもって納得がいっていない、例えばこの希の胸とか。

 

最低な事を考えながら歩いていると、廊下の曲がり角から金色の髪でイメージカラーが水色で生徒会長でKKEな彼女が出てきた。

これでアニメキャラ合計何人目だよ。スタンド同士は引かれあっちゃうの?

 

「あっ、えりち。何してるん?こんなとこで」

 

希も彼女、絢瀬絵里に気づいたようで小走りで駆け寄りながら尋ねた。おさげが少しばかり靡く。

 

「……希を探しに来たのよ。もう生徒会の仕事は始まってるわ」

 

駆け寄っていった希も絵里の顔を見てピタリと止まる。絵里の顔は先程の真姫の顔となんら変わりないように思えた。

 

その顔を横目で見ながら通り過ぎる。

どうやら彼女らは今から仕事らしい。若い頃から仕事なんて大変なこって。俺なんて一生する気がないのに。

 

「待ちなさい」

 

通り過ぎて二、三歩歩いたところで呼び止められた。

その声にはなにか固さがある。

 

振り返ると絵里はなぜか指をさしてきた。

示している位置は顔の下か?何かついてるんだろうか。

 

俺が何もしないでいると絵里は少しばかり大きなため息を一つついて、こちらへ歩いてくる。

え、近づきすぎてない?え?

 

ここで問題だ。

目と鼻の先にに美人が来たらどうなると思う?

答えは固まってしまう、だ。

 

「ネクタイのこと、集会で言っておいたはずだけど」

 

いつの間にか緩んでしまっていたネクタイがゆっくりと締まっていく。その時間はとても長い時間のように思えた。

 

「は、ハラショー……」

 

困惑して、思わず言葉がこぼれた。思わず出る言葉がこれって日本人としてどうなんだろうか。

 

「全然素晴らしくない。むしろ逆、使い方が間違ってるわ」

 

「あぁ、そうですね……」

 

誰とは言わないが、俺と同じで使い方を間違っている人がいたな、誰とは言わないが。

 

「じゃ、じゃあ、これで失礼します。ネクタイ、ありがとうございました」

 

お礼を言って早々に立ち去る。振り返る時に、またしてもニヤニヤしている希が見えた。

 

長い長い廊下を人の間を縫って歩く。

焦って早くなっていた足も段々と心臓の鼓動と一緒に遅くなってくる。

すると、ポケットに入っていた携帯がブルブルと震えた。

アマゾンのメールか?と思って見てみると、それは希からのメールだった。

歩きスマホはいけないので立ち止まって内容を確認する。

 

『えりちに鼻の下を伸ばしていた比企谷くんへ。

 

実はうち、三人のアイドル活動応援してたんだけど比企谷くんも関わってるみたいで良かった。相談したいことがあるんだけど、いいかな?日時は後で連絡するから、またね』

 

P.S.

さっき君に変わったって言ったよね。だけど目は全然変わって……。いや、やっぱりこの話はやめておくよ!

 

俺は読み終わるとすぐさま返信をした。別に追伸にムカついたとかそういうわけじゃない。

 

『先輩ってメールの時は関西弁使わないんですね。

相談は役に立てるかわかりませんが。』

 

俺は何故か勝ったような気がして、内心喜びながら歩き出した。

 

外には暖かい空気が流れている。

桜の花が舞っている。

もうすぐ季節がゆっくりと変わり始める。

その変化に合わせて、変わる何かがあるような気がしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうものんたんがヒロインみたいになってしまう。そんなつもりはないのに…

〈れんらくじこう〉
辻褄がどうも合わない(凛と花陽の所)ので4話分くらいを消すか書き直すかしようと思っています。

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