こんな比企谷君はどうだろうか」   作:スティッチ

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1話です。
お気に入りありがとうございます。
原作とはいろいろと違う比企谷君をよろしくお願いします。


1話~比企谷君は結構丈夫~

早朝の朝刊配達のバイトが終わり、コンビニで朝食を買い家に帰る。

 

今日はチラシが多い日だったのでいつもよりは時間がかかったが、それでも5時半にはすべて配達し終えることができた。

 

自販機でマックスコーヒーを買い、公園で朝食用のパンをもさもさと食べながらぼーっと雲を見る。

 

雲の形からして今日は天気が崩れるようなことはなく、風も強いわけではない、穏やかな天気になりそうだ。

 

今日から高校に通う身であるならば、絶好の入学式日和だとでも思うのだろうが、別にそうは感じない。むしろ億劫だと思ってしまう。

 

別に将来何かやりたいことがあるわけでもなく、職業にしようというほど興味が出るものもない、ただ流れのままに生きている。

 

そんな自分が千葉県の中でも公立にしては偏差値も高く、県内有数の新学校である総武港以降に進んだ理由だが、単なるゲーム感覚と一緒だった。もっともゲームをやったことはないが。

 

自分は中学の時はたいして頭もよくなく、小学校のとある事件から周囲におびえられる日々を送っていた。

 

教師からはもっと有効を広げろとか、協調性を持てとか、周りに合わせることも覚えないと将来大変な思いをするなど、様々なことを言われた。

 

それらのアドバイスを実践してみようと行動をしてみたが、結局のところうまくいかず、余計に壁を作るだけだった。

 

それを教師に相談してみたこともあったが、結局のところ、協調性が持てないのも、友人ができないのも俺が周囲に合わせる努力をしていないからだと言われた。

 

そして、それは何もまちがっていない。

 

今回のことだってもともと友達を作りたくてやったわけではなく、友達を作った方がよい、協調性を持った方がよい、という言葉に従ってやっていただけに過ぎない。

 

別に友人がほしいと思ったからというわけでもないし、元々ずれている自分が周りに合わせることなどできるわけがないとも思っている。

 

高校受験の際も、進学だろうと就職だろうとどちらでもよかった。

 

しかし、自分の学力ではどこも受かる見込みがないらしく、普通に就職をする予定ではあった。

 

しかし、親が中学で就職など恥ずかしいということを言ってきたので、とりあえず進学をする意志を見せる必要があった。

 

万が一受かった場合、私立は金がかかるので、公立を選択してみたが、自転車県内で行けそうな高校は3つほどあった。

 

その中で最も偏差値が高い層部を選んだ理由としては、単純に倍率が少なかったからだった。

 

そもそも偏差値という言葉を知らなかったので、単純に倍率で一番少なそうな所を選んで、そこに受かれば進学、落ちたら就職という考えを教師に行ったところ、勉強をしろよ、という力ない言葉をいただいた。

 

自分でもいろいろ総武高校について調べてみたところ、どうやら県内屈指の新学校であること、俺の中学では自分しか行かないらしいことを知った。

 

そのどちらもどうでもいいことだったので、適当に就職先(今自分が働いている新聞がそうなる予定だった。)を自分で探して、まったく勉強という勉強をしないまま受験を迎えたところ、何かの手違いか、補欠合格をしてしまった。

 

これには教師も驚いていた。

 

あとで知った話だが、実は第2志望でここを選んでいた受験生がすべて第1志望の高校に受かるという奇跡が起きたため、第1志望が定員割れを起こしたかららしい。

 

そんなことがあったため、自分としてはこれまた流れに従って高校に進学をするという結果になった。

 

そんなことを思い出していると、もう6時を過ぎる時間になっていた。

 

そろそろ家に帰らないといけないなと思い公園を出る。

 

「ちょっと、サブレーそんなに引っ張らないでよ~~~」

 

すると、向かいの歩道から犬に引っ張られている黒髪の少女を見かけた。パジャマ姿で犬に引っ張られているのを見ると、なんというか大丈夫かと心配してしまう。

 

現に首輪がちぎれ、犬は飼い主から離れ、一人でダダッと走ってしまった。

 

幸運にも自分の方角に向かってきているので捕まえてやろうと思ったその時。

 

黒色の車が犬の後ろから走ってきた。

 

甲高いブレーキ音と飼い主の悲鳴が朝の静けさの中で響く中、俺は犬を助けるために車道に躍り出た。

 

犬を確保したのちに目の前に車が迫ってきたのを目で確認したのちに、頭に浮かんでいる選択肢を整理する。

 

その1、車を避ける。

それができれば一番無難だが、いくら俺でもここまで近いのでは避けられない。 無理。

 

その2、車を破壊する。

右手で犬を抱えているから左手でやることになるが、その際は左でが犠牲になるが無事車を止めることができるだろう。

だが、そうなれば、治療費と、車の損害賠償ということでとてつもない金額の金がかかるだろう、自分で払える金額になればいいが、まずそうはならないだろう。 却下。

 

その3、車にひかれて衝撃をうまく逃がす。

仮に失敗しても犬は無事だし自分はがけがをするだけで済む、そうなれば労働災害保険が下りてくれるはずだから、入院費はどうにでもなるな。 採用。

 

コンマ0何秒かの思考の末に出された結論は俺が車にひかれるということだった。

 

そうと決まれば後は簡単だ、犬に衝撃がいかないように懐に抱きしめ、頭をぶてばさすがに生命の危機になるのでしっかり丸まり、衝撃の瞬間に全力で飛ばされる方向にダッシュする。

 

自分の目論見通り、痛いよりもだいぶ上の衝撃はきたが、そこまで大した衝撃でもなく、落下の際にはしっかり受け身もできたので捻挫や骨折も心配はない。

 

多分サブレと呼ばれていた犬の飼い主の罷免が聞こえると同時にすくっと立ち上がり、心配させないように少女のもとへ駆け足で向かう。

 

「え?」

「お前の犬は無事だ、しっかり首輪の状態は確認をしておけ、それは飼い主の義務だ」

「あ、はい」

 

黒色の車から降りてきた、これまた黒のスーツを着た男性は、俺の方を唖然とした表情で見ていた。

 

「とりあえず、お騒がせしてすいませんでした、俺はこの通り無事なので、それでは失礼します」

「え、あ、いや、ちょっと」

 

明確に自分を引き留める言葉が出されないうちに現場を去る、下手に病院に精密検査などと言われたら親も呼ばれることになるので面倒なことこの上ない。

 

実際に頭などどこも打ってないし、内臓にも損傷をしたというような痛みはない、せいぜいが擦り傷程度だ。

 

追跡がされていないことを確認したのちに全力で走ることはやめ、いつも通りのペースで歩く。

 

家に着くと、自分の部屋と言われた元物置小屋に行き、擦り傷に消毒液を付け、体をどこも痛めていないかを確認する。

 

ここで、実は骨折や捻挫をしていましたとしても、自分で治療はできるし、何も問題はないが。バイト先に迷惑をかけることになるため、無事であることを確認し終えると、安どのため息が出る。

 

それにしても、今日は自分にしては柄にもないことをしてしまったと思う。

 

普段ならばあの状況であれば………いや、どちらにしても助けていただろうな。

 

部屋につけられている古時計を見ると、7時を過ぎる程度の時間となっている、そろそろ学校に行く準備をするか。

 

 

 

 

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