時は1946年7月15日。
大日本帝国が敗戦し、人員の復員輸送が行われるなか、航空母艦、「葛城」の最期の復員輸送の復路が始まろうとしていた。
この日の輸送は、それまでの南方輸送と違い、中国と本土とをつなぐ輸送経路を担当し、中国から兵士達をのせ、本土へと帰還するところなのであった。
本来、「葛城」は南方復員輸送を担当していたのだが、中国方面の復員が予想外に多く、急途葛城がこちらの方へと向かうこととなったのである。
そんな中、たくさんの軍人を乗せた葛城の艦上で、次々と葛城に乗っていく人々を見守る男が一人・・・・・・
「はぁ・・・・・・やっと葛城による復員輸送もラストか・・・。」
この元空母、現復員輸送艦「葛城」の最期の艦長にして、正規航空母艦、「鳳翔」初代艦長、蒼井 創作 (あおい そうさく)である。
「あらよっと・・・」(ガンッ)
「うわわわっ!?、艦長脅かさないでくださいよ・・・」
「すまんな~、どうしても艦上から艦内経由してワザワザ降りるの面倒なんだよ~」
彼は平然と葛城の艦板上から飛び降りて港に降り立つと、驚いた部下から当然のごとく注意を受ける。
「おう、久しいな創作!元気にやってたか?」
「・・・覇天!?、たしかお前、満州でアカの軍団と殴りあって行方不明だったはず・・・」
「俺がアカの攻撃ごときの障害で死ぬ野郎だと思ってたか?」
そして創作の目の前に表れた男こそ、陸軍大佐の天ヶ瀬 覇天 (あまがせ はてん)であった。
「いや・・・前の待避兵がソ連軍に新型の重戦車があったって言ってたから・・・」
「IS-2とKV-2の事か?あんな柔な戦闘車輛は正面装甲を拳でブチ抜いてやったわ!」
「・・・相変わらず怖ぇなオイ、重戦車の正面装甲を拳でブチ抜くとかどうやるんだよwww」
「まぁ、怒りに任せて戦車の主砲塔へし折ったり地雷を手裏剣の如く回転させて投げたりしたからな。」
「ワーオ・・・」
有り体に言えば人外との会話のように思える話だが、普通に応対できる創作の方も、なんだかんだ言って超人である。
実のところを言えば、葛城の最後の輸送経路として中国ルートが取られたのは、だいたいこの覇天のせいだといっても差し支えない。
終戦一歩手前の頃、史実通りにソビエトが日本に宣戦、満州侵攻が始まったわけなのだが、この時満ソ国境に防衛用の大隊にて指揮官を努めていた彼が居たのが運の尽き、前線に凸ってきた彼にフルボッコにされたのである。
この時、彼は部下含めて他の部隊人員などを中国方面に逃がしたのだが、その後の所業が恐ろしいものであった。
・・・その所業については要約すれば「政治将校血祭り」「督戦隊皆殺し」「ソビエト満州侵攻断念」で簡単に言えるのだが、バッサリ言って覇天は人外である。
「っと、故郷に帰還か?」
「だな、戦争は終わったんだ、しばらくは平和へ向け前進することになるだろうさ。」
「あ~あ、それにしたって敗戦かぁ、創作、海さんの方は大丈夫なのか?」
「いやいや、長門、酒匂とかは接収、他は賠償艦、損壊艦は殆どスクラップだ。」
「大丈夫かソレ!?、最悪海軍はブラウンウォーター・ネイビーにならないかソレ?」
「・・・・・・事態はもっと悪い、いかんせんこのままだと日本から名実ともに軍隊が消えかねんからな。」
「はぁ!?どう言うことだ!!?」
「・・・なんでも、アメ野郎は日本を平和主義国家にすり替えるつもりらしい、その第一段階にて、ウチらから軍隊をなくして平和主義アピールさせるんだとよ。」
「バカか星条旗集団は!?回りから攻めたい放題じゃねえか!!日本を植民地にする気か奴等は!?」
「大方そんな感じだろ、まぁ、アメリカの考えは失敗に終わるだろうがな。」
「……まぁ、だろうな、英国の例を見ても植民地経営は余程の事が無い限り、もう時代遅れだ、そして何より・・・・・・一時期とはいえ、俺らはアメリカから勝利を手にすることが出来た。」
「ビルマやベトナムの戦士達は、よくも悪くもウチの軍に鍛えられたんだ、ついでにアメリカはこの戦いで絶対的な強者であると言うイメージが崩れ、名誉的に最大級のダメージが入った・・・・・・後は革命の嵐が吹くだけだ。」
「だな・・・後20年もしたらアメリカの強さは意味を成さなくなってるかもな。」
「そうだと良いがな・・・・・・、オーイ!そろそろ出航するぞ~~!」
長話に花を咲かせてしまったが、そろそろ出港の時間だ。
葛城による最期の復員輸送が始まる・・・。
・・・とそんなことをしみじみ思っていた創作は最後に乗り込んだ4人組が急に目についた。
「ん?、華人と・・・子供が二人に・・・西洋人・・・・・・?」
最後に入った四人組、フードを被っていて詳しくはわからないが、一人は華人、二人は背の低い子供、そして一人は紫髪の少女のようにみえたのであった。
「・・・見えたか?今の。」
「見えた、気になるしちょっと見に行くか。」
男二人は、先ほど中に入っていった四人組の事を確認するため、艦内へと向かっていく。
「……いたいた、彼処だ」
「艦長室手前の隅っこ、見辛い所に陣取ってるか・・・益々怪しいな」
覇天と創作、この二人が四人組を見つけた所は、他の人が居ない艦長室手前の通路隅っこの方であった。
また、四人組が身を寄せあって一ヶ所に固まり、見つかり辛くしているのが余計に気になった、と言うのもあった。
「失礼する、本艦艦長のものですが、そちらのお嬢ちゃんは髪の色からして西洋のお方と見受けますが、どちらへ向かう予定で本艦を利用なされたのですか?」
創作は気になったことをそのまま華人と思われる人に聞いてみることとした。
創作は葛城の艦長であるが故に、この航海の目的地が一番近い佐世保でなく、横須賀であることを知っているための質問であるが・・・
「目的地である
・・・コレで創作は確信することとなる、
「そうでしたか・・・・・・失礼するッ!!」
フードの人物達が只者でないと直感した創作は、四人を覆うフードを咄嗟の手早さで剥ぐことにし、成功したのである。
「めーりーん……」
「お姉さま……(フルフル)」
・・・が、フードがなくなり見えてきたのは、赤髪で中国の武闘家と思われる服装の女性、ボロボロの服を着た紫ロングヘアーの少女、青がかかっているのであろう銀色の少し長めの髪(恐らくセミロングでは無かろうか?と創作は見ている)そして何より分かりやすい
「・・・どうするの?美鈴、気付かれちゃったわよ?」
「お嬢様、パチュリー様、私の後ろにいてください。」(コレは覚悟を決めますか……)
「あばばばばばbbbb」
「・・・・・・・・・覇天!困惑してないで彼女たちを艦長室へ!大急ぎだ!」
「はっ!(゜ロ゜)、お嬢ちゃん達!、急いで此方へ来い!!」
「……美鈴、どうする?」
「一応逃走を考えた方がよろしいかと。」
「逃走できる状況じゃねーから!!ああもうめんどくせえ!さっさと此方へ来い!!」
「え?わーっ!わーっ!」
姿を視認した覇天は二人の少女が恐らくどのような存在なのかを即座に察し創作は二人の異様な姿に動じることさえなく彼女たちを艦長室へと連れていこうとする。
覇天が気を取り直して連れていこうとするが、四人はオロオロするだけで何もしようとしない。
業を煮やした覇天は、四人を平然と持ち上げると、創作と共に艦長室へと連れて行かれるのであった。
だが、この時はまだ誰も知る由が無かった。
この時の出会いは、後々彼らを待っている
そして創作達が人知れず戦い続けてきた存在との戦いに、
キャラクター紹介。
蒼井 創作(あおい そうさく)
透き通った水色の瞳をし、膝まで届くんじゃないのかというレベルの長髪で、帝国海軍の軍装をした外見年齢30代後半の男。
男性だが女性と思われそうな位華奢な体格であり、変装すれば外見のみほぼ完全に女性になることが出来る。
最後の第五十一航空戦隊司令官であり、復員輸送を除けば鳳翔の最後の艦長であり、復員輸送にて葛城最後の艦長となっている人物。
天ヶ瀬 覇天(あまがせ はてん)
1900年生まれ、生まれは女性だが男性の姿になれる外見年齢20代の、探検家のような服装をした男。
「ソ連政治将校血祭り」「ソ連の遭遇督戦隊皆殺し」「ソビエト軍満州侵攻断念」でだいたい説明できるレベルのチート軍人。
アカ嫌いで有名であり、「実現性の薄いモンを政治に持ち込むんじゃねえ!」と彼の談で話している。
戦場に単凸して赤軍数万に囲まれたのに、赤軍に大打撃を与えて余裕で退却した程である。