シン・インフィニットストラトス/GrAE   作:天津毬

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えーと、そんなわけでプロローグです。
インパクト持たせようとしたら結果的にこんな始まり方に…。
多分最初は「訳分んねぇ。」だと思いますが次回から本編ですので…。
生暖かい目で見て頂けるとありがたいです。





プロローグ

2016年・東京都

関東大水害発生。

 

––––––その存在を、私は今でも鮮明に覚えている。

何もかも、一切合切全てが溢れ出た濁流によって流されてしまったあの日の事を。

 

––––––例年を遥かに上回る降水量の、肌を打ち付けると痛いくらいに激しい大雨が頭から降り注ぐ。

 

「はっ、はっ、はっ––––––」

 

道は一方に向けて走り抜けようとする人々の群れ––––––私はそれと共に無我夢中で駆けて行く。

 

「はっ、はっ、はっ、あ…」

 

振り向けば背後にあるは高さ2メートルほどの泥で濁った濁流による水の壁。

それは人を呑み込み、車を呑み込み、木々を呑み込み、家を呑み込んで行く。

––––––1人躓いて転倒する。濁流に呑まれる。

––––––3人息を切らして走るペースが落ちる。濁流に呑まれる。

––––––5人走るが濁流が勢いを増す。濁流に呑まれる。

––––––2人放置車両にぶつかる。濁流に呑まれる。

––––––4人電柱に登って回避しようとする。しかし濁流に呑まれる。

 

彼らは濁流に呑まれて消えた––––––それで箒の後ろは誰も居なくなる。

私は濁流とあと2メートル程度しか離れていなかった。

迫り来る水の壁は勢いを増す。

––––––逃げられない。

そう悟った私は無我夢中で走りながらも二酸化炭素をいっぱいいっぱいにまで吐き出し、精一杯酸素を吸い込み、手で鼻を抑えた––––––直後、私は濁流に飲み込まれた。

激しい水流は私を無茶苦茶に振り回す。

その所為で吸い込んだ酸素を吐き出してしまいそうになる。

だから必死で口を、鼻を抑える。

だが、このままではいずれ肺の酸素が全て消費されてしまう。

だから、水面目掛けて水流に抗いながら行こうとする。

––––––もう少し。

しかしそこで背中に鈍く、そして大きな衝撃が走った。

濁流で流されてきた車が箒にぶつかったのだ。

その所為で、思わず口を開けてしまう。

瞬間、二酸化炭素混じりの酸素は水泡となって口から水中に放出されてしまい、代わりに水が体内に入り込んで来る。

––––––苦しい。

水が肺を満たしていく。

脳に酸素が供給されなくなり、判断力と体の各部に送る刺激が途絶えて行く。

––––––まだ、死にたく、ない。

狂いそうになるくらいもがき、必死で手を伸ばす。

そして指が冷たい外気に触れる。

だがしかし、今度はゴミ箱が背中を打ち付けさらに水を飲んでしまい––––––意識が途絶えかける–––––––。

瞬間、暖かい、そして力強い手が箒の伸ばした手を掴んで––––––。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

––––––現在・2021年。

IS学園

 

そして、その手の持ち主は今、あそこに居る。

箒はIS・【紅椿】を纏いながら、其処を見る。

あたりを煌々と燃え上がらせる炎で染めたその中に、全身を覆う漆黒の装甲のその隙間から覗く鮮血色の蛍光色の装甲––––––【G型装甲】を纏う、黒い獣を連想させられるIS––––––【紫龍(しりゅう)】の中に、自分を救ってくれた手の持ち主はいた。

その紫龍は、随分奇妙な姿になってしまっていた。

左腕はまるで獣のように爪型の形状に変形。

近接兵装は右腕と同化。

脚部は自らの自重を支えるべく骨太で強固で堅牢なものに。

腰にあたる部位からは先端にG型装甲の結晶を持つ尻尾らしき機構が生えている。

背部には幾多もの剣山のような背ビレにも砲塔にも見える突起群が覗く。

さらにG型装甲が臨界突破状態にある頭部は何処となく蜥蜴(トカゲ)らしいがキノコ雲の様に見えなくもない形状を持つ。

 

そう、その姿はまるで––––––。

 

「––––––怪獣…。」

 

箒がポツリと呟く。

そして、自責の念に駆られる。

ああなってしまったのは、自分の所為だから。

 

(私がしっかりしていれば…彼奴は…。)

 

俯いて、内心呟く。

––––––だが、嘆いても仕方ない。

自らがしでかしてしまった事は、自分が解決しなくてはならない。

 

「な、なんなのよ…アレ…?」

 

ふと、前方から中国代表候補生の凰鈴音がIS【甲龍】を纏った状態で、震える声音を発しながら言う。

 

「く…【黒坂千尋】という以外…どういうというのだ…!」

 

それにドイツ国家代表候補生のラウラ・ボーデビッヒがIS【シュヴァルツァレーゲン】を纏いながら、焦燥を孕んだ声音で言う。

 

「ッ…化け物め…‼︎」

 

そして世界最強とされる織斑千冬の弟である織斑一夏がIS【白式】を纏った状態で、忌々しげに言う。

 

そのように若干混乱している彼らを余所目に荒魏は振り返り、箒を見る。

そこに在った瞳は虚ろで焦点の合わない、虚無を孕んだモノ––––––だがしかし、箒には確かにそこに「意志」を感じた。

箒がそれに応えるように頷くと、再びソレは織斑達に視線を移す。

 

––––––直後。

 

「箒から離れろ化け物–––––––––ッ‼︎」

 

一夏が白式の左腕にあるユニット、雪羅から荷電粒子砲を穿つ––––––。

箒は躱そうとする––––––だが、ソレは動こうとしない。

そして荷電粒子砲は次々とソレに着弾し、連鎖的に爆発が生じ、空気を焼く––––––。

 

「ッ⁉︎ば、バカ!一夏!そんなに撃ったらすぐエネルギー切れに…」

 

鈴が怒鳴る。

だがしかし、一夏は辞めない。

次々と荷電粒子砲の雨をソレに叩きつける。

爆煙がソレを覆い尽くす––––––。

 

「ッ…はぁ…はぁ…ど、どう、だ––––––?」

 

しかし一瞬後、爆煙が晴れる。

––––––そこには、ほぼ無傷のソレがいた。

ソレは不動のまま。

ソレは無言のまま。

ただ織斑たちを威圧するように見上げているだけ。

 

「馬鹿な…あれだけの荷電粒子砲を食らっていながら…」

 

ラウラが絶句する。

 

「だったら、何発でも––––––」

 

織斑がそう言って荷電粒子砲を穿つ––––––だが、直後。

鮮血色のG型装甲に紫電が走ったかと思うと、G型装甲が鮮血色から江戸紫色に変色して行く––––––。

特に、右腕と同化した兵装・【叢雲(むらくも)】と背部の突起群、そして尻尾型機構がより一層、眩い、妖しくも美しい光を纏う。

それはまるでこの世のモノでは無いような––––––そんな美しさを感じさせてしまう程に。

 

「…千尋、私もいるんだが。」

 

ふと、声をかけられ、ソレは振り返る。

其処には特殊近接兵装【天羽々斬(あめのはばきり)】を手にし、背部に有線型自立稼働システム【柳星張(りゅうせいちょう)】を搭載し、単一能力の影響で瞳を琥珀色に変色させながら紅椿を纏い、ソレを心配そうに見やる箒がいた。

 

「私の所為でお前をそうさせちゃったんだ。…地獄まで付き合うよ。」

 

箒は微笑みながらソレに告げる。

そして、ソレも応えるように口角を吊り上げ、ニヤリと笑う。

 

「なん…で、だよ…?」

 

織斑がそれを見て信じかねるように箒に向けて言い放つ。

 

「なんでお前は俺よりもそんな化け物なんかを選ぶんだよ⁈そんな化け物は殺さなきゃいけないだろ⁉︎」

 

必死に、それでいてまるで子供のように、喚く。

それに対して箒は、醒めた、それでいて冷静で余裕のある雰囲気を纏い、言い放つ。

 

「逆に問おう、何故、友を殺さねばならない?」

 

「決まってるだろ!化け物だからだ‼︎」

 

「…素直に言え。お前はこいつを認めたく無い。自分にとって思い通りにならない邪魔な障害でしか無いから消してしまおう––––––と、そういう事だろう?」

 

「……ッ⁉︎」

 

図星を突かれたのか、織斑は動揺を隠せない顔をする。

それは、鈴とラウラの両名も同じだった。

 

「友すら化け物と分かれば殺そうとする…例えその化け物を誰かが想っていたとしても……そんな貴様を、何故私が選ばなくてはならない?」

 

無情さを孕んだ声音で、箒は織斑に突き放すように告げる。

その瞳には、織斑への嫌悪だけではなく、もうひとつの感情も孕んでいた。

 

「お前…な、何で……?」

 

「貴様に願望があるなら聴いてやっても良かった…だが、何故貴様は他人の意志に耳を傾けない?……まさかとは思うが、世界が貴様の思惑通りに動くとでも思っているのか?」

 

威圧を込めた声音で箒は織斑に言い放つ。

 

「––––––うるさい!お前だって、その化け物を世界中が––––––束さんの軍門に下った奴らが殺そうとしているのは知ってるだろ⁉︎それに巻き込まれて死にたいのかよ⁉︎」

 

織斑が言い放つ。

 

「俺の方に来い!そしたらお前の命は保証してやる‼︎」

 

「––––––そうだな、命は惜しい。だからそれも悪く無い。」

 

「だったら––––––…」

 

織斑は箒を取り込もうと声をかけようとする。

だがしかし、それを遮って。

 

「だが、千尋は殺させない。」

 

その言葉に織斑は目を見開く。

それは、鈴とラウラも同じで––––––。

信じかねるように織斑は箒を見る。

 

「確かにお前の軍門に下り命を保証してもらうのも、悪くは無い––––––だが、お断りだ。」

 

「な、なん、で––––––…」

 

箒は天羽々斬の刀身の切っ先を織斑たちに向ける。

そして、自信と決意に満ちた顔をして。

 

「判らぬか、下郎。そんな物より、私は千尋が欲しいと言ったのだ。」

 

箒は、言い放つ––––––。

それと同時に、紫龍の背部にあった突起群のうちのひとつが変異する。

先の荷電粒子砲の攻撃を立て続けに受けた所為で機体が急激な対応を行おうとしているのだ。

そしてかなり隆起した突起の2つが、まるで骨肉と機械を混ぜたような、異形の翼に変異する––––––。

 

「つ…翼が…生えた?」

 

鈴が漏らすように呟く。

ラウラも信じ難いように驚愕していた。

しかし、織斑は箒を見たまま、言う。

 

「お前も…お前も、俺を否定するのか…⁈」

 

そう言うなり、単一能力である零落白夜を展開する。

狙いは明白。千尋––––––否、【呉爾羅(ゴジラ)】だ。

箒は天羽々斬を構える。

しかし相手は織斑ではない。

先程、呉爾羅が寄越した瞳は織斑と戦う意志を示していた。

なら、箒がやるべきことはただひとつ。

織斑に追随しながら、こちらに接近する2人––––––鈴とラウラ両名の相手––––––。

 

「貴様らの相手は、私がさせてもらう‼︎」

 

天羽々斬を両手で構え、柳星張を展開した箒は、2人に斬りかかる–––––––。

 

「お前さえ居なければ…!否定されるべきはお前の方なのに…‼︎この、バケモノぉぉぉぉぉぉおぉおおッ‼︎」

 

織斑は雄叫びを上げながら零落白夜を展開した雪片弍型を振り下ろす––––––。

 

「グオォオォォォオォオオォオ‼︎」

 

そして呉爾羅は地獄の底から響いて来るような咆哮を上げながら、右腕と同化し、臨界突破状態のG型装甲で発光する叢雲を振り上げ––––––。

両者の刃がぶつかり、凄まじい衝撃波とエネルギーの奔流を生む––––––。

 

 

––––––何故こうなったのか、それは少しばかり(数ヶ月程)遡る。

 

これは虚構《ゴジラ》から産み落とされた少年と、史実とは違う分岐を辿りながらも、かの世界の因果が流れ込んだIS世界の物語––––––。

 

 

 

 




…今回はここまでです。
いやぁ、薄っぺらい。凄く薄っぺらい…。
こんな駄文ですが、コメの数によってはゴジラISと平行して書いていこうと思います。



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