シン・インフィニットストラトス/GrAE   作:天津毬

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やっちまった…今回エヴァ成分が強過ぎる…(なんでこうなった)。

とりあえず第15話ドウゾ…。







EP-15 貴公子、転入/異形迎撃

同日・午後6時30分・生徒寮2016号室

 

千尋と箒の暮らす部屋––––––そこは今、混沌と化していた。

女子五人と男子一人がテーブルを囲み、テーブルの上には、プリントや教科書が散乱していた。

…つまり何をしているかというと。

––––––中間テスト対策の試験勉強大会である。

いざISの訓練に追われる日々を過ごしていたのだが––––––学生の敵たる定期試験がやって来た為に、赤点を回避しようと1ヶ月前から足掻いているのだ。

…早過ぎるだと?

こうでもしなければ余裕をもって頭に入れられんのだ馬鹿者!

…思わず箒は、頭に叩き込むべき内容を前に頭痛を覚え––––––幻聴を聞いたのか、内心独言る。

 

「箒、箒––––––。」

 

––––––ふと、隣から千尋の声がして。

 

「なんだ⁈」

 

––––––分からない場所でもあるのか!?と振り向いて。

…折り紙が視界に映る。

 

「千羽鶴〜〜〜。」

 

丁度千匹目の鶴を繋ぎ終えたんだ〜と、のほほんとした雰囲気を纏いながら。

何処と無く笑っているような顔で、少し自慢気に言ってくる。

だがそれに箒は––––––

 

「––––––は?」

 

思わず思考が凍結する。

そして一瞬後、感情が沸点に到達し。

凍結された思考は融解するどころか、もはや蒸発する。

…こんなにも死に物狂いで暗記をしている最中だと言うのに。

…隣に座る千尋は勉強用に持って来たメモ紙で折り鶴を作る始末。

いや、見事だ。

千羽鶴の出来は見事なのだが––––––直後、箒の怒りは臨界を超過して。

 

「千尋––––––––––––…!」

 

低い。

震える声が大気に揺れる。

––––––直後、

 

「真面目に––––––」

 

右手に力が篭る。

それは指による刃を形成し––––––

 

「勉強を––––––」

 

右腕が振り上げられる。

それは、釘を打ち付ける金槌のように––––––

 

「せんかァ––––––––––––ッ!!」

 

––––––流星の如く振り下ろされた手刀が、千尋の脳天を直撃した…‼︎

…そして、一瞬後のそこには。

プシューという煙を脳天の直撃箇所より上げる千尋と––––––

 

「––––––!…ッ、〜〜〜〜〜〜!!」

 

想定以上の硬度だった千尋の石頭に叩き下ろした手刀への反動。

痛み(それ)に対して悶え転がる箒だけが、そこにあった––––––。

 

「箒、大丈夫?」

 

「う、ぐぐ––––––これが…大丈夫に、見えるか…?」

 

「ううん、全然。」

 

––––––凄く痛そう。と付け加えながら千尋は相変わらず、何処と無く笑っているような顔で即答する。

 

「だろうな!気がおかしくなるくらい痛かったから!!」

 

未だに痛む手を摩りながら、箒は怒鳴る。

その手を––––––

 

「––––––ん。」

 

千尋は両手で包み込む。

––––––それは、少し適当感に満ちていて。

––––––しかし、優しさを溢れさせていて。

そして––––––泣き噦る赤児を宥める母親のような声で、

 

「痛いの痛いの––––––飛んでけっ…‼︎」

 

––––––幼い子供を泣き止まさせる儀式を行う。

 

「––––––え、は…?」

 

––––––だが流石に齢16にもなる箒は絶句する。

そも、同い年の男子にそんなことをされるなんて全く想定外でというか今時の思春期を過ぎて穢れを知った筈の年頃の子がこんな純粋めいた幼児らしい無垢な対応をするなんてこれまた完全に想定外でというかこんな事を相手にして恥ずかしくならないのかという疑問まで沸々と湧いて来ていや私も恥ずかしいよお前は何をやって––––––ああ、もう…‼︎

 

思わず顔を赤らめながら、顔を隠すように手を出して、

 

「お前、なんて…恥ずかしい事、してるんだ…高校生にも、なって……。」

 

羞恥心に揺れる声音の中。

せめてもの抵抗に––––––声を放つ。

 

「えへへ…でも、痛いのは和らいだでしょ?」

 

千尋はそれで––––––心の底から笑っているような表情を浮かべて、応える。

…確かに。

羞恥心が遥かに増幅されたおかげで、痛みに対する意識はだいぶ削がれたし、削がれていた間に痛みも引いたらしい。

…計算して、あの行動をとったのだろうか。

だとしたら、それはそれで大物だ。

だけど多分––––––

 

" ––––––いや、それだけは絶対に無い。コイツは純粋無垢に考え無しなままやっただけだ。"

 

––––––そう、本能が訴える。

そして–––––– " ああ、コイツはこんな奴だったな。" と思わされる。

…その、あまりにも馬鹿馬鹿しいソイツを久しぶりに見たような錯覚を覚えて。

 

「––––––うるさい、ばか…。」

 

絶対照れてなんか見せてやるものか、とそっぽをむいてあしらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––直後。

ふと、校内放送が入る。

 

『緊急連絡、緊急連絡。現在日本政府より非常事態宣言が発令されました、各生徒は速やかに自室へ待機して下さい––––––繰り返します。』

 

「…また無機物擬似生命体(イマージュ・オシリス)か?」

 

放送に対して、箒が口を開く。

 

––––––無機物擬似生命体。

 

絶対天敵(イマージュ・オリシス)、なんて大層な名前を持ち、通常兵器を無力化する虚空結界を展開する。

そしてそれに有効な打撃を与えられる手段はISしかないとされる––––––地球外生命体…らしい。

らしい––––––というのは、これもまた橙子の意見であるが、つまりは疑念だ。

国連––––––特にIS委員会は『世界災厄と定義すべき事態』と言っているが妙に興奮気味に言っている。

これは当初戦後処理によって全世界を掌握する勢いになるハズだったISが妙に落ち目になってしまったことを挽回する機会だと捉えているということ。

 

『まぁあんな器の知れた連中なんかどうでもいい。』

 

なんて、橙子は言っていたけど本当にそうなんだろう。

だってその在り方は、死体に群がる雑魚そのものだ。

––––––またIS無しに撃破に成功した無機物擬似生命体も存在すること。

––––––天敵である筈のISがある場所を、さながら自殺でもするかのように、何故か目指している事。

––––––そして無機物擬似生命体の遺伝子構造が地球上に生息する各種生物と完全に一致したこと。

…まぁ、地球生命のご先祖様––––––と考えればロマンのある話だ。

だが、橙子曰く遺伝子の繋ぎ目が粗雑過ぎるのだとか。

––––––故に、『地球外生命体として見るのは疑え』と言っていた。

…まぁ正直そんなのどうでも良いのだけど。

でも––––––最近は、その無機物擬似生命体が変質しているような気がして。

 

「ふーん…でも、多分––––––」

 

何処と無く笑うように、けれども醒めた目をして、

 

「狙いはIS学園でも東京でもなくて、箱根じゃないかなぁ……」

 

" ––––––あそこには、(身体)があるから。" と内心付け足し、千尋は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––同時刻。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

神奈川県旧箱根町

日本政府直轄第3首都・新東京箱根市

 

深緑の山々に囲まれた台地。

そこに聳え立つ人造の大地と白灰色の高層ビル群。

箱根山外輪山(カルデラ)一帯と御殿場・小田原・南足柄・熱海市一帯を収める巨大都市。

ここには今––––––国家非常事態宣言が発令されていた。

––––––鳴り響くサイレン。

––––––特に慌てる様子も無く指定の避難施設へと急ぐ一般市民達。

––––––訓練通りに避難誘導に当たる警察官や自衛隊隊員。

概ね順調。予定通り無事、と評するに相応しい結果を残し、地表より人が消える。

残るは静寂と。

それを破るかのように、遠方より轟く爆発音。

そして––––––人影のない街に、再びサイレンが鳴り響く。

同時に、市内放送のアナウンスが流れ出し、

 

『新東京箱根市よりお知らせします––––––都市防備条例に基づく、甲種可動式建造物群の収容を開始します繰り返します。都市防備条例に基づく……』

 

 

『仙石原中央区、収容開始。続いて各区、順次収容開始––––––新東京箱根市、戦時形態に移行します。』

 

 

解除される閂式施錠型第2安全装置。

開錠されるストラクチャー基礎梁固定用熱間圧延異形棒鋼式大型ロックボルト。

同時に、各区画懸垂式高層建築物群が稼働を開始––––––。

––––––立ち並ぶ摩天楼(高層ビル群)が、地底めがけて沈降を開始した……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同・直下

箱根大深度地下空間(ジオフロント)

戦略自衛隊箱根駐屯地

日本政府・国連共同庁舎、第1作戦発令所

 

 

情報の群れが次々と主モニターに投影されていく。

 

 

【第1-第8ミサイル垂直発射装置ビル群(Mk.41垂直発射システム及びOPS-24艦載用アクティブ・フェーズドアレイレーダー流用型)】

––––––起動完了(ACTIVE)

【第1-第17四連装大口径自動砲塔プラットフォーム構造物群】

––––––起動完了(ACTIVE)

【第1-第10三十二連装高射砲塔C型(OTOメラーラ127ミリ速射砲流用)】

––––––起動完了(ACTIVE)

【第1-第9射撃支援用垂直回転式駐車場構造物(PAC-3ミサイル流用)】

––––––起動完了(ACTIVE)

【第1-第3大型共同住宅擬装型砲撃システム構造物(46センチ艦載砲転用)】

––––––起動完了(ACTIVE)

––––––全種兵装システムビル稼働確認。

––––––要塞システム稼働率7.02%。

––––––別命あるまで待機。

 

 

無数に流れ来る情報を睨みつけながら––––––束が口を開く。

 

「––––––避難の具合はどう?」

 

「新東京箱根市は平時形態から戦時形態に移行完了、市民の方も––––––全員避難先で点呼完了・安否確認済みとの報告が上がっています。」

 

「了解––––––オラティオとアラトラムの動向次第で状況変わるかもだから、現場各スタッフにはそう伝えといて。」

 

––––––監視対象オラティオ。

––––––監視対象アラトラム。

衛星軌道上に展開している1.5km〜3kmクラスの物体だ。

原理不明の推進機構で標的上空へ移動し、質量投下の容量で無機物擬似生命体を地表に降下させる、リンゴの芯を中間で真っ二つにしたような形状をしているモノ。

無機物擬似生命体の母船であるという説が有力だが、詳細は不明。

調べようにも全面核戦争の戦後処理によって今後30年以上は人類は宇宙に進出するだけの力が無い上に既存の衛星は対地観測に全て使っている為に、調査に回す予備が無い。

故に調査は出来ていない。

…閑話休題。

それらが後続を出すか否かで、今後場合によっては箱根山一帯を無期限全面封鎖をする事になる。

––––––もちろん、後続が出たとしてもそれほど長期間戦闘が続くわけではない。

…今出撃している国連軍IS部隊と戦自IS部隊による迎撃戦が予定通り降下直後を殲滅し、仙石原区が戦場にならず、更なる後続が確認出来ないのであれば––––––非常事態宣言はすぐにでも解除。

その後12時間の警戒勧告を経ても何も無いならば戦時形態を解除––––––平時形態へ戻すことになる。

…だがそれは仙石原が戦場にならなかった場合の話。

仙石原が戦場にとなれば、高確率で無機物擬似生命体の残骸が残留する。

無機物擬似生命体の残骸が残留している以上、残骸から有毒物質が発生する可能性がある。

残骸回収と有毒物質の有無確認、場合によってはその除染––––––それを考慮した上で非常事態宣言発令継続による箱根山一帯の無期限全面封鎖を想定しているのだ。

 

「了解––––––」

 

ふと、遅れて発令所に入って来る人影が一人。

 

「…遅いですよ。」

 

「すまん。言い訳はしない––––––状況は?」

 

元陸自統合幕僚運用第1課・現戦略自衛隊国際共同師団作戦戦術第1課課長こと袖原泰司1佐が問う。

––––––それに相川が応える。

 

「軌道上、監視対象オラティオからのL.L.M.(無機物擬似生命体)軌道投下です。

第1波は駿河湾に着水––––––現在国道1号線沿いに新東京箱根市へ侵攻中…!」

 

「IS部隊の展開は?」

 

「国連厚木基地所属の第11空中機械化歩兵中隊と在日米軍キャンプ座間から第31空中機械化歩兵中隊が函南町に展開。

他にも陸上・戦略自衛隊滝ヶ原駐屯地および富士駐屯地から第14空中機械化歩兵と第5統合騎兵小隊が裾野市に展開しました。」

 

「…《あかしま》も出てるのか。」

 

––––––4式統合機兵「あかしま」。

現在IS学園で試験中のAIS同様対ISを想定した、EOSを基礎とする機体。

陸戦と空戦を熟す汎用機でもあり、陸上では二足歩行戦車形態による主力戦車としての機能。

空中では空中砲艦形態による攻撃機としての機能を持つなど、既存兵器の中でISに追いついた一例と言える。

耐G関連の問題から空戦がそう得意ではない事を除けば、火力・出力・防御力・継戦能力など汎用性の面はISを凌駕している。

だが––––––空戦が得意ではないという弱点の克服こそが求められる要素である為、100機程度の配備と同時に本機の代替機が求められた。

…その運用データを基にAISや要塞戦機が開発されたのだが、それはまた別の話。

––––––空戦こそISに劣るが、火力の低いISの支援機としてならば、《あかしま》程ベストな機体はない。

 

「はい––––––引き続き、陸上自衛隊立川駐屯地や戦略自衛隊上砂駐屯地、航空自衛隊入間基地、在日米軍横田基地、相模原補給基地、国連・海上自衛隊横須賀基地にも増援を要請する方針です。

それと––––––【閃龍】の出撃する可能性があります。」

 

束が言うなり––––––思わず袖原は渋い顔を浮かべる。

 

「––––––この間の高機動試験で夜竹を殺しかけたのにか?」

 

「…アパッチ並みには、使えるようにしてあります。」

 

…その反応は最もだ。と、ある程度予測していた束は口を開く。

 

「––––––だといいが。

…どちらにせよ、要塞戦機出撃が必要となる事態となると箱根山外輪山(カルデラ)内に侵入を許した場合だから被害が甚大化した後だ。––––––出撃しない方が良いに越したことは無い。」

 

「––––––違いないです。アキラ君を危険に晒すのもですけれど…被害が拡大すると財務省が口煩いですし。」

 

––––––ふと。

その会話をぶつ切りにするように、オペレーターの報告が入る。

 

「––––––無機物擬似生命体、箱根峠防衛ライン突破!カルデラ内に侵入します‼︎」

「––––––元箱根児童公園・第3大型共同住宅擬装型砲撃システム構造物、火綱第16四連装大口径自動砲塔プラットフォーム構造物群、迎撃開始。」

 

思わずその事態に袖原は舌打ちし、口を開く。

それにオペレーターが応える。

 

「噂をすれば影––––––か。展開していたIS部隊は?」

 

「第11空中機械化歩兵中隊、第31空中機械化歩兵中隊共に全機撃墜––––––第14空中機械化歩兵および第5統合騎兵小隊は防衛拠点であった裾野駐屯地より追撃開始。

…ですが間に合うか––––––。」

 

「––––––都市防衛設備の稼働率は7%程度…足止めすらできない現状、これは出すしかないな…。」

 

––––––苦渋を舐めたように渋りながらも、袖原は呟く。

 

「直接戦闘はさせません––––––予定通りにアレを使うだけです。」

 

––––––ふと、立体型投影モニターに映した物体に顎をしゃくりながら束は告げる。

 

「––––––正規16式形象崩壊槍(ロンギヌス・ランス)か…だがその槍はアレ(・・)の背ビレだろう、人間に使えるのか?」

 

「使えなくはありません––––––多少のリスクは伴いますが。」

 

––––––ですが迅速に事態を収束させるには、これしか有りません。

…そう口にして。

 

「––––––了解だ。」

 

ジオフロントや都市の地下鉄などには避難民が多くいる。

なんにせよ、ここに来るならば––––––

 

「都市到達前に迎え討つ––––––閃龍起動!湖尻水門への配備いそげ‼︎」

 

––––––袖原が発破をかける。

それを合図に、機械仕掛けの巨獣(・・・・・・・・)を支える全ての部署が開く。

最後のワンコマンドで待ち受けていたアキラが閃龍を即座に立ち上げた。

––––––その右手には、赤い紅い朱い。

––––––螺旋の槍を人造の手で握りしめながら。

 

 

 

 

警報が発令所に鳴り響く中、情報局二課の霧嶋二尉が外線を切り、振り返りながら報告する。

 

「横浜の在日国連軍司令部が協力を打診して来ました!既に入間・厚木基地から戦略爆撃機が発進準備中とのことです‼︎」

 

「––––––それ、逆さに読むと " ざまぁみろ " なんだろ。」

 

その報告に、袖原が明らかな嫌悪感を孕んだ声音で言い放つ。

続くように束が口を開く。

 

「連中はその気になれば、NN兵器やS11兵器で第3分散首都ごとL.L.M.(無機物擬似生命体)を吹き飛ばすつもりよ。

【連合国仲良しクラブ】に介入される(茶々を入れられる)前にサッサと片付けましょう。」

 

––––––辛辣かつ過激に尽きる言葉。

だがそれは、的を得ていると言える。

未だに日本が敵国条項に登録されている以上、日本国は国連から見れば仮想敵国も同然。

ヘマをするようであれば本格的に介入。

そして手を抜く必要もなく、同時に本格的駐留という名目での事実上の侵攻と独立主権の剥奪も最悪有り得るだろう。

日米安全保障条約によって同盟関係にあるアメリカと。

第2次日英同盟によって同盟関係に至った大イギリス連邦はともかく。

国家基盤の崩壊によって力を失ったフランス。

未だ日本を仮想敵国と睨み続ける中国・ロシア。

––––––多種多様な思惑を抱いた、第2次世界大戦の勝者が支配する組織。

それが国際連合の実態でもある。

そして曲がりなりにも国連直属でありながら指揮権を仮想敵国であるはずの日本が握っているヴァルゲ機関は、彼らからすれば忌むべき存在なのだろう。

––––––主に東側は。

だからこそ今回の殲滅戦が失敗すれば、本格的にロシア・中国あたりが国連の名の下に乗り込んでくる可能性がある。

今は外務省同士による外交が行われるが、肝心の外務省があまり効果的に機能したと言える事例は少なく、ロシア・中国の介入を許す可能性が非常に高い。

 

「––––––まだマシです。今はまだ、在日米軍がどうにか足止めしてくれてますから。」

 

ですがそれも10分程度が限界です––––––霧嶋がそう付け加えながら告げる。

 

「––––––だそうだ。聞こえたな、夜竹。」

 

主モニターに映る––––––銀䋝の巨獣を睨みながら、袖原が口を開いた。

 

 

 

 

 

 

––––––芦ノ湖北岸・湖尻水門

 

平川と芦ノ湖を繋ぐ水門が開かれる。

…同時に、水門の先に見えた地下坑道(トンネル)の果てより、12000枚の耐熱耐弾耐核装甲体によって身を包んだ巨獣がリニアカタパルトごと打ち出され––––––

 

「ッ……‼︎」

 

––––––(ごう)ッ、と何十メートルにも及ぶ水柱を巻き上げる。

衝撃のあまりにアキラは声を漏らす。

それはまるで、遊園地の急流すべりがコースの果てに、水面へ叩き付けられたように。

ジオフロントより地上へと––––––閃龍は顕現した。

…機体を起こし––––––事態を直視する。

眼前にて侵攻中の無機物擬似生命体が1体。

それを囲むように迎撃を展開している戦自のIS部隊と統合機兵部隊。

そして、

––––––その右手には、赤い紅い朱い。

––––––螺旋の槍を人造の手で握りしめながら。

…それだけならば良い。

無機物擬似生命体を前にして、思わず操縦桿を握るアキラの手に力が篭る。

 

" ––––––、––––––––––––! "

 

頭に響く。

咆哮めいた声。

言語化なんて出来ない音。

音の主は言うまでもなく、このロンギヌス・ランスである。

 

「––––––気持ち悪…ッ!!」

 

思わず、アキラは愚痴る。

この槍––––––便宜上、誰もがロンギヌス・ランスと読んでいる槍状の物体は。

…その実、武器ではない。

––––––否、武器として機能はするがそれは二の次三の次。

所詮は副産物に過ぎない。

これは––––––無数の極限環境微生物が集合して形成された、槍状のコロニー。

言ってしまえばバクテリアの塊である。

 

…はっきり言って、異常だ。

閃龍を形成する技術も、ISを形成する技術も、恐らくは科学によって構成・累積されてきた文明の結晶。

––––––だがこれはどうか。

まるっきりヒトの理解を度外視した存在だ。

…そもそも作った奴が理解しているかさえ怪しい程に。

 

『ですがそれも10分程度が限界です––––––』

 

ふと、発令所と繋がっていた無線の先。

霧嶋がそう告げる。

 

『––––––だそうだ。聞こえたな、夜竹。』

 

無線越しに袖原が口を開く。

 

「––––––はい。」

 

––––––応答。

同時に視界に映る、空飛ぶオウムガイめいた形状の無機物擬似生命体。

それが今回の敵。

ふと––––––ソレが口を開いたかと思うと、そこより蛇のように蠢き畝る、触手を放つ。

触手の群れは各々が槍のように、針のように芦ノ湖の湖面を突き破り湖底の泥を巻き上げる。

––––––巻き荒れる湖面の荒波。

幾多にも捲き上る水壁。

それを貫くように乱舞する触手。

高速で放たれた凶器は閃龍の装甲表層部を攫っていく。

それをアキラは閃龍の脚部スラスターを吹かしながら躱しながら––––––攻撃態勢に移行する。

 

機体の動力ラインが変質する。

NNリアクターという科学の象徴が別のモノと連結する。

秒速10メートルで機体巡るエネルギーが架空の元素と混じり合う。

装甲は補強され、1万ダースの未知の粒子が秒速1500kmで表面に巡らせる原理不明のシールドが形成される。

リアクターは機体を稼働させるだけのシステムから全く別の異物を機体に馴染ませる矯正器具に変わり果て、無尽蔵に湧き出す未現元素を燃やす機械として身体に組み込まれる。

不可視の領域で起こる変質と点火。

ヒトが到達し得るのに数千数万年と掛かるだけの火––––––蒼崎博士は、ソレを「G元素」と呼んだ。

 

「––––––接続(セット)

 

機体をくねらせるように触手を躱し––––––視界に収めた敵目掛けて、右手に保持した槍を振りかぶる。

槍は自らの意思の代行。

即ち必殺の意思の表れ。

 

機体に行わせるイメージを脳内で形成する。

ただちょっと、不確定要素があるとしたらそれは––––––正規16式形象崩壊槍(ロンギヌス・ランス)は、どのような効果をもたらすか全くもって不明というコト。

…どんな風に敵を倒すのかが分からないのではない。

…空間にどのような影響を与えるかが分からないのだ。

下手をすれば無機物擬似生命体より厄介な事を引き起こすかも知れない。

何しろこれが初めて槍を使う事態なのだ。

だが、これ以上進行を許せば市街地に被害が出る。

おまけに閃竜はまだ高機動戦に耐えられる改修が施されていない。

だからこの手しかない。

…これは博打(バクチ)だ。

だがそれでも––––––

 

" やるかやらないかなら––––––やる以外無いだろ…! "

 

自らの内に発破をかける。

迫り来る触手を、鉈のごとく振るわれた赤い二重螺旋の刃が潰して。

そして––––––槍に込められたラインに、閃龍を接続し。

 

「––––––––––––行くぞ。」

 

アキラが吠える。

両者の距離は200メートル。

機竜の体躯が沈む。

赤い槍を突き放つと思われたそれは、あろうことか––––––そのまま大きく跳躍した。

 

宙に舞う体躯。

大きく振りかぶるように機体を拗らせた腕には、二重螺旋の異形。

 

––––––ぎしん、と空間が軋みを上げた。

 

そして、螺旋が収束する。

双頭の槍は混じり合い、ひとつの刃へと変形する。

…刃の先に、ラインを介してG元素が集結する。

つまり、これは。

 

「––––––––––––行、」

 

漏れる声。

それに呼応するように、槍は一瞬にして臨界に到達した。

機械の体躯はそのまま引き金を引く拳銃のように上体を反らし、

 

「けぇ––––––––––––!!!」

 

怒号と共に、その一撃を振り下ろす––––––。

移動エネルギー、質量エネルギー、投擲の加速で加えられたそれら要因を取り込み。

––––––赤い螺旋が空を駆ける…!!

 

『 " ・・・!!!" 』

 

ようやく事態を察したのか、無機物擬似生命体が吠える。

それを黙らせんと赤い螺旋が食らい付き––––––それを、防いで見せた。

 

––––––虚空結界。

無機物擬似生命体が持つ防御能力。

通常兵器では貫けない絶対の壁。

がぉん、と鈍い音を立て、赤い螺旋はそれに阻まれる。

––––––だが、

 

" ––––––––––––!!!!"

 

槍が吠える。

自らを捉えるその結界を睨むかのように奇声を轟かせ––––––柄が、せり上がる。

まるで魚のエラを連想させるような形状のソレは。

 

––––––息をするように、G元素を噴射した…!

正にジェット噴射。

ただでさえ人ではあり得ぬ力で投擲された槍に、さらなる加速がかかる。

それは眼前に在る障害を食い破ろうと言うのか。

螺旋が膨れて光る。

仮初めの命を与えられたモノを終わらせんと奔る。

槍は文字通り世界を震わせながら、今一度奇声を轟かせ––––––

 

" ––––––––––––!!! "

 

 

 

––––––赤い螺旋が虚空結界ごと、無機物擬似生命体を穿ち、粉砕した…!!!

 

 

 

「…よし……!」

 

アキラが呟く。

––––––僅か3秒間で繰り広げられた一撃は、無機物擬似生命体を死に至らせていた。

 

『 " ・・・!!!" 』

 

無機物生命体が断末魔を上げ、黒い血を撒き散らす。

––––––直後。

螺旋が弾け飛ぶ。

 

「な––––––⁈」

 

思わずアキラは驚愕する。

内側より爆ぜた槍は一瞬にして数1000億ものパーツに分裂し、空中を舞うイナゴの大群のように。

無機物擬似生命体を取り込むかのように群れで回転し––––––球体(スフィア)を形成する。

…無機物擬似生命体は吹き出した黒い血もろとも、球体(スフィア)の中で分解されていく。

 

––––––アキラにはまるでそれが、獲物に喰らいく獣の食事に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––この光景に驚愕していたのは、発令所のメンバーも同様であった。

…主モニターに映る球体(スフィア)

見るだけならば、ただ単に圧倒されるだけの光景。

だが一人––––––この事態を正確に把握し、真に驚愕していた者が。

 

「…何、コレ––––––?」

 

湖尻観測ビルから送られて来るデータを見て、束が思わず絶句する。

それは今発生している球体(スフィア)の座標で発生しているエネルギー反応に、吸い寄せられるように大気が流れ込んでいることを示す内容であった。

 

「…つまり何?あのスフィアは強力な重力場を持つ––––––ミクロサイズのブラックホールか何かなワケ?」

 

思わず呟く。

だが––––––そう言って、すぐに否定する。

芦ノ湖湖上と同様のエネルギーがこの施設の中––––––ターミナル・アルターと呼ばれる区画に発生しているのだ。

 

「…まさか、アレってただの食事だっていうの……?」

 

流れる冷や汗。

…そう呟いている内にも、スフィアは暴力的なエネルギーを吸い込みながら、収束を開始して––––––真空となって、スフィアは爆ぜた。

…残ったものは、赤い二又の螺旋槍。

そして、滞空していたそれは。

––––––複雑怪奇な軌道を描きながら閃竜の元へ帰還する。

 

…それを発令所の主モニターが写し。

 

「––––––目標、沈黙…。」

 

相川が告げる。

それに袖原が頷きながら、

 

「了解––––––状況終了。国家非常事態宣言の解除を発令、ただし汚染等を警戒し外出禁止令を仙石原区全域に発令。閃竜の回収、急がせろ。」

 

そう告げる。

それを相川は復唱し、各部署が各々の対応に動き出す。

…その中で固まっていた束を見て、袖原は声をかける。

 

「…篠ノ之博士。」

 

「…ええ、これは流石に……もう、無闇には使えないですね…」

 

次々と警報が解除されていく発令所の中で頭を抱えて––––––束は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

翌日・午前8時32分

IS学園1年1組教室

 

「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」

「え?そうかなぁ?デザインだけって感じがして機能性がなくて不安なんだけど」

「そのデザインがいいんじゃない!」

「私は機能性重視のミューレイのがいいなぁ。特にスムーズモデル」

「あれ高いじゃない。高校生の私には手が届かないわ」

 

翌日の朝。

授業が始まる前なのでワイワイと机に雑誌を広げガールズトークをしている女生徒がクラス中にいる。

––––––昨日、非常事態宣言出たのに平和だなぁ…。

 

「––––––ISスーツは肌表面からの微妙な動き、電位差を検知することによって、操縦者の動きをダイレクトに各部位へと伝達、ISはそこで必要な動きを行います。また、耐久性にも優れ、一般的な小口径拳銃の銃弾程度なら完全に受け止めることができます。ただし衝撃はきえないのでご注意ください」

 

自分の後ろで解説を行う山田先生。

誰も頼んでいないような気がするけれど。

 

あともう一つ説明するとISは個人を理解しその個人に合わせた変化を促す。十人十色で速いうちから自分のスタイルを確立させるということもあるらしい。

ただし全員が全員専用機を持てるわけがない。

まぁ、普段着として使っている女性もいるらしくそういったメーカーが花柄のISスーツや水玉模様のISスーツを作り売りに出している。

そっちのほうは機能的に劣ってしまうがそれでも人気は人気だ。

 

「山ちゃん詳しい!」

「先生ですからね。知ってて当然です……って、山ちゃんですか?」

「山ピー見直した!」

「山ピー……?」

 

山田先生にはもう8つ以上の愛称がついている。

しかし、山田先生は背中かゆいらしく頬を少し赤らしめ恥ずかしがっている。

 

「あの、先生なんですからあだ名で呼ぶのはちょっと……」

 

「いいじゃないですか。山田やま先生。慕われている証拠で」

 

「黒坂君、山田真耶です」

 

「すいません。山田まやま先生」

 

「今度は多いです。あとそれはやめてください」

 

「山田やっあま先生! 失礼噛みました」

 

少し噛んだ。なんか難しいぞこの人のフルネーム。

 

「とっ、とにかくですね。先生の名前はちゃんと言ってください。わかりましたか?」

 

「はーい」

 

––––––その返事には承諾したというよりは相槌を打ったように適当であった。

––––––きっと授業中も言われることだろう。

 

そうした間に予鈴がなり、生徒が次々と席についていく。俺も自分の席に戻った時に織斑先生が教室に入ってくる。

 

「諸君、おはよう」

 

「おはようございます」

 

––––––それまでの教室の空気が紐を張ったように真直ぐ正される。

 

「今日からは本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用するため各人、気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使う。まぁ、個人のを使っても構わんが授業中はできるだけ統一するため学校指定のものを使うようにしてくれ。忘れた者は代わりに学校指定の水着で代用してもらう。」

 

なぜか、このIS学園絶滅危惧種のスクール水着である。

––––––そのあたりだけ、時間が昭和で止まっているみたい。

 

「では、山田先生。ホームルームを」

 

「はい」

 

もう何も告げることはないという風に切り上げる。

––––––最後の方に「それもない奴は下着でやってもらう」と言っていたような気がする。

…なんなら全裸でも良いんだけどなぁ…この身体不便だし。

 

「今日はなんと転校生を紹介します!さぁ、入ってきてください!」

 

そして、教室の扉があき二人のクラスメイトが入ってくる。

今日からクラスメイトになる人物なのだが。

––––––第1印象はヘンテコであった。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

 

笑顔を浮かべてしこ紹介をする転校生(デュノア)

視線が集まっている中、緊張もせず言えるのはすごいことだと思う。

視線いっぱいだと威嚇してしまうし。

––––––金髪の長い髪を丁寧に後ろでくくってある髪型。

中性的な顔で黄金比の様に整っている美形だがどこか場違いな印象を受ける。

––––––おそらくそれが、自分や織斑と同じ男子制服だからなのだろう。

IS学園は基本女子だけなので3人目の男性IS操縦者となるが、背は自分より少し低いくらいか同じくらいで男性としては小柄な方。

可愛らしく、生まれたての稚魚を思い浮かべさせるが何か背景が何時もと違うのか、金髪のせいなのかは知らないが後光でもあるか。

…なんだろう、いつか見た、《蛾とも蝶とも言えない大きな生き物》のように輝いている。

笑顔が輝かしいとか歯が光るという領域を超えているみたいで––––––歯ってそんなに珊瑚みたいなものなの?

 

「お、男?」

 

––––––疑問が誰からの口からかぽつりと呟かられる。

 

「はい、こちらに僕と同じ境遇の方がいらっしゃると聞いて本国より転入を––––––」

 

「––––––き、」

 

「はい––––––?」

 

デュノアが説明している途中で誰かが遮り、

 

「きゃぁあああああ––––––!」

「きたぁあああああ––––––!」

 

巻き起こる女子の歓声。

 

「新しい男子!」

「しかも美形! かわいい系で守ってあげたくなるような!」

「織斑君との妄想で飯3杯はいけるわ!」

「織斑×モブ男子よりも売れそうな予感!今すぐネーム書かなきゃ!」

 

女子の妄想、歓喜に歯止めが効かなくなってきている。

––––––ふと、ある疑問が浮かび。

 

「––––––ねぇ箒。」

 

「なんだ?」

 

「織斑×モブ男子ってなに?」

 

「ぶっ––––––––––––⁈」

 

思わず箒が吹き出す。

箒は–––––– " お前、今それを聴くか? " という顔。

千尋は–––––– " ん?なんかヘンな事言った? " という顔。

…それに箒は頭を痛める。

人前で言うにはあまりに恥ずかし過ぎる。

だが千尋が無知なままでも良くない。

…今は女子の歓喜があるからある程度隠せる。

––––––故に箒は、羞恥に赤面しつつも意を決して口を開く。

 

「あの…その…男同士で…その……交配を…。」

 

––––––たどたどしく口を開く箒。

…それと対になるように。

 

「コーハイ?––––––ああ、交尾のこと?」

 

––––––バッサリとストレートに口を開く千尋。

 

「こ、交尾って…いや、まぁ、良いか、うん。」

 

千尋の言った言葉がどうも引っかかるが、まぁよしとしようと箒は思う。

" ––––––ストレートにセ◯クスとか言われたらどうしようかと思った… "

…ふと、箒は内心独言る。

だが、何だかんだ言って安堵して––––––

 

「でも、オス同士で交尾なんてヘンなの…クマノミじゃあるまいし。ひょっとして男同士でも子供って生まれるの?」

 

––––––お前は何を言ってるんだ。

 

…信じがたいモノを見たような、箒は振り返りながら千尋を見る。

千尋は相変わらず、何処と無く笑っているような表情のまま––––––コテン、と首を傾げて。

 

––––––いや、たしかにクマノミはオスのメス化現象があるってこの間テレビ特集でやってたけどなんで人間も同じ事が出来ると思った!?というかお前中学の保健体育で何を習って来たんだ!?それともアレか、習ったりはしたけど形を習っただけで子供を作るにはオスの精子とメスの卵子が必須だとちゃんと理解してないのか!?高校に上がるまでセッ◯スしないと子供が生まれてこないと理解しておらずキスしたら子供が出来ると思ってた私みたいに!!!

 

…思わず、絶句したまま内心発叫する。

 

––––––とりあえず、早くこの話題を切り上げないといけない。

そして千尋にちゃんと保健体育を教えなくては…!

 

「ち、千尋!この話はまた後でしてやるから––––––」

 

話題を切り切ろうと––––––思わず声が大きくなってしまう。

––––––そこに、

 

「ホームルーム中に喋るとは良い度胸だな、篠ノ之––––––。」

 

「––––––え?」

 

––––––スパーーーーーンッ!!と。脳天に大地を裂くかの如き一撃が落ちる。

 

「いっ––––––!?」

 

反射的に、痛ぁ⁉︎と叫ぼうとして、

 

「ぐ、むぉおぉあぁぁ………ッ!!」

 

––––––箒は悶える声を放ちながら、机に轟沈する。

––––––一方で千冬はホームルームを続ける為にそそくさと立ち去る。

––––––千尋は悶え沈む箒を見おろしながら。

 

「––––––箒、大丈夫?」

 

「––––––うるさい…お前のせいだ……。」

 

––––––この天然無知純粋者!とでも言うかの目で恨めしく見つめる箒に語りかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでとなります。

…エヴァっぽくてすみません…薄めにしたハズなんですが…次からは自粛します…。

次回も不定期ですがよろしくお願い致します。




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