シン・インフィニットストラトス/GrAE   作:天津毬

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今回はいきなり並行世界の方から始まります。






EP-06 壊レタ世界ノ彼女/傷の在処

???・2026年3月2日午後3時04分

国連日本方面軍館山基地・PX(食堂)

 

長テーブルにパイプ椅子が多数並べられた、簡易的な食堂。

しかしそれでいて部屋の広さは異常なまでに広く、何より壁や天井も清潔感と暖かみに満ちた明るい白を基調としており、床も灰色ではあるが白寄りで、天井のLED照明が白とオレンジの照明であるために床にも暖かさを感じる色となっていた。

 

「––––––なぁ、書類を渡したら私は帰って報告書を書かなくてはならないんだが。」

 

「いいじゃない。最近、缶詰状態だって聞いたから、たまには息抜きしたら?」

 

酷く生真面目な顔の箒に対してシャルは無邪気に微笑みかけながら言う。

 

「––––––はぁ…」

 

少し頭を抱えながらも、少しそれに甘えることにした。

––––––確かに最近は諸事情で戦場に赴けない代わりに報告書や書類整理などの雑務、そして東京都内の復興作業現場の警備担当……など、様々な仕事を抱えることになっている為に箒の顔には見て取れるほど疲労の色が浮かんでいた。

注文した紅茶に砂糖を入れて、それをスプーンで混ぜて口に運び一口、含む。

 

「…暖かい……」

 

少し、頰を赤らめながら呟く。

それもそうだ。

ついさっきまで春先とはいえ、気温9度––––––5年前の基準なら真冬並みの寒さの中に居たのだから。

 

「東京の方はどう?」

 

「…相変わらずだな。瓦礫の山と化した千代田区や中央区などの復興は5割ほど進んでいるが……」

 

シャルの質問に対し、箒は少し曇った顔で言う。

 

「––––––立川防災予備施設から東京都庁…いや、今は臨時国会議事堂か。かつて副都心と言われていた場所に政府機関が置かれて、それが定着しつつある今、永田町に政府機関を戻す意味があるかどうか……という議論になっているらしいから、千代田区が復興しても再び国の中心地になるか否かと言われれば……な。」

 

東京防衛戦に於いて、首相官邸をはじめとする政府機関が省庁を放棄して立川防災予備施設に移転せざるを得ない状況に追い込まれ、一時は立川市が日本の暫定首都となった。

そして東京23区が落ち着き始めてから再度政府機関を都心部に移転。

しかし永田町付近は壊滅状態にあり、即座に政府機関を機能させる事は難しいために都心部で被害が皆無と言うに相応しかった新宿区に国会と官邸の機能を移転し、新たな政治の中心地は東京都の経済の中心地でもあった新宿区・西新宿となり––––––現在に至る。

将来的には永田町に政府機関を戻す予定だが、ただでさえ各地の巨大不明生物災害による被害に対する復興予算、ユーラシア大陸から受け入れた難民への補助金制度の制定、未だに避難生活を余儀なくされている都心避難民への支援、巨大不明生物対策法の強化に巨大不明生物対策装備の開発と早期警戒システム確立の為の防衛予算に国連軍への維持予算の負担など、政治的・国防的にやることは山積みで、今となっては永田町に政府機関を戻す戻さないどころでは無くなっていた。

それだけでなく、壊滅状態に陥った千代田区の機能を新宿区が代替しており、企業の本社や東京防衛戦時に関西に避難していた各国大使館も新宿区や隣接する渋谷区に集中移転している中、永田町に再度政府機関を移転すれば政治的にも経済的にも混乱を招くことは明らかだった。

 

「…じゃあ、千代田区の復興は…」

 

「復興はやり遂げるだろう。あそこには皇居もある。……忘れられがちだがこの国の首都は天皇陛下の居られる場所で決まるからな。それに新幹線を再度開通することで遠距離交通機関が回復し、各地への移動がより円滑になり、同時に東京の財政も安定する……だがそれだけだ。多分千代田区に政府機関が戻ることは無い。」

 

シャルに対し、やはり箒はそう告げる。

 

「まぁ…そうだよね。新宿副都心から、新宿新都心になった今から移転しても…」

 

「…ああ……何より現政権は国民に負担や不安を与えることを嫌っているから、移転する可能性は限りなくゼロだろうな。」

 

紅茶をぐい、と飲み干して箒は言う。

そして、ふと思いついたように話題を変える。

 

「……そういえば、お前の部隊にはフランス人がいたな。」

 

「あ、そうそう。デュノア社から派遣された技術士官の人はいるよ。」

 

フランスにおいてIS関連では国内3位のシェアを誇っていたがイグニッションプランから外され、経営不振となった為に白式のデータを奪おうとしてシャルを派遣し、シャルを日本に亡命させるまで追い詰めた、元凶––––––それがデュノア社だった。

 

「…その人は社長––––––つまり僕の父さんに信用されて、関係が深かった人でね…色々聞いたよ––––––どうして、僕を派遣したのか…とか。」

 

シャルが少し重いトーンの声音で口を開く。

 

「父さんはね、自分の欲の為に僕を派遣した訳では無かったんだ。会社を守る為というのもまぁ、正解と言えば正解だった。でも本当の理由は––––––『社員と僕を守る』為だったんだって。」

 

それに少し箒は驚きながらも、黙って聞いてやる。

 

「父さんは、社員の人達が食うのに困らないよう、家財を売り払って会社の足しにしたりしてたみたい––––––『人を率いる以上、その立場にある者は自分の身を削ってでも率いている者を生かす責務を果たさなくてはならない』––––––そう言って、色々やってたみたい。」

 

シャルは少し泣きそうになっている。

しかし、シャルは続けて言おうとする。

 

「それで––––––僕にスパイをやらせたのも、父さんが知り合いの駐日フランス大使に頭を下げてお願いして、そのフランス大使経由で楯無さんに合法的に亡命をさせて貰うためだったんだって––––––そして全部の責任は、父さんが受けるつもりだったみたい。」

 

「…………」

 

「本当…バカみたい……僕は愛人の子だから放っといてくれたら良かったのに…。なのに、会社も社員も僕も守ろうとして自己犠牲に走るなんて………本当…バカ、だよ…」

 

ついに目頭から涙が流れ落ちる。

––––––シャルが亡命した後にデュノア社の社長は逮捕され極刑に処され、持病によって獄死したらしい。

だが彼が犠牲になった事でシャルは日本人に帰化する形で今この瞬間を迎えることが出来て、デュノア社もフランス政府によって国営化される形となったが社員らは働くことが出来て尚且つ欧州連合における重要な兵器開発・生産の役割を担っている。

––––––彼のやったことを犯罪だ、裏切りだ、偽善だ、という輩は居るだろう。それは事実だ。

––––––だが、箒は純粋に、

 

「そうか…お前は……親に恵まれたな。」

 

少し、憧憬を抱いた。

 

 

 

 

 

 

 

◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎

 

2021年4月22日午後5時02分

IS学園・保健医務室

 

「––––––ッ⁉︎」

 

箒は、がばり、と身を起こした。

それと同時に痛みが全身を駆け巡る。

一瞬顔をしかめたが、手を額に当てて、先程まで脳裏に浮かんでいた景色を思い返す。

––––––金髪の少女と話していた景色を。

 

「…私、は………今のは、夢…?」

 

けれども、それは夢などよりも酷く鮮明で現実じみた景色と感覚で、まるで【自分ではない自分と感覚を共有していた】ような––––––そんな、奇妙な感じだった。

 

「…あ、起きた。」

 

ふと、左耳の鼓膜を刺激する、ほんの1日しか経っていないのに、よく聞き慣れた声。

––––––見ると、相変わらず何処か笑っているような顔をしていて、けれども今は心配そうな瞳をしている千尋がいた。

 

「ごめんね。ちょっと訓練試合でやり過ぎた。」

 

「…あ、ああ。そっか…私は気絶したのか……」

 

頭を抱えて、少し溜息を吐く。

千尋は耳を垂らした仔犬のように落ち込んだ雰囲気を醸し出している。

そんな千尋を見て、箒は微笑む。

 

「そんなに落ち込まなくて良い。何より、私は改めて自分を知れたからな。」

 

ふふ、と笑いながら箒は口にする。

 

「––––––そう、色恋沙汰に溺れる資格すらない半端な未熟者だと、改めて認識した。」

 

「––––––はい?」

 

千尋は思わず虚を突かれたような顔をする。

色恋沙汰がどうのこうの〜というのは千尋からしたらまだ遠い出来事のような気がするから別にいい。

ただ、何故技量が半端な未熟者だからといって色恋沙汰をする資格が無い––––––に結びつくのかが、よく分からなかったのだ。

だからつい、疑問符を浮かべてしまう。

 

「あのさ…そこはちょっとズレてない?」

 

「何を言うか!己を守る事すらままならぬ私が色恋沙汰に溺れてさらに怠けてしまってはならんだろう‼︎」

 

少しワガママな感情を少し含んだ声音。

けれども、何故か真剣さを孕んでいた。

 

「––––––今のご時世、ISパイロットというだけで【亡国機業】のようなテロ組織に狙われるのだ。…特に、『【天災】篠ノ之束の妹』というレッテルを貼られている私には、いつ何が降りかかって来るか分からない。––––––我が身に降りかかって来る火の粉を払い除けることすら出来ない人間は、色恋沙汰をするよりも己を精錬すべき––––––そう思ったから、この結論に至ったのだ。」

 

––––––それが箒の答え。

確かに、篠ノ之束を相手に交渉したりするなら箒は格好の材料になる。

そしてIS学園が安全地帯ということを差し引いても、それを実行しない輩がいないはずが無い。

いくら対空迎撃能力の優れた装備を学園が有していても、その元となるレーダーサイトや発電機を潰されればただの鉄屑同然––––––。

さらに如何に優れた技量の教師がいようとも必ずヘマをしないわけでない。

––––––最悪の場合は、自らの手で自分を守らなくてはならない立場に自分はいると、自身の置かれた位置を理解した上でそう判断したから箒はそう言ったのだ。

––––––だが、また、疑問が千尋の脳裏に芽生えた。

 

「箒…聞いてもいいかな。」

 

「なんだ?」

 

「––––––あのさ、強くなるって…具体的にはどうするつもりなの?」

 

「決まっているだろう。日々鍛錬を積み、日々欠かさず自らの手で己を鍛えて、日々の暮らしから成る円環を崩さぬよう––––––」

 

自分は自分で鍛えるものだ––––––

箒は、それがさも当たり前のように言う。

箒の言葉はまだ終わっていない。

普通なら最後まで人の話とは聴くものだ。––––––だが千尋は反射的に聴いてしまった。

 

「––––––そこに、他人……例えば、大人を頼るという選択肢は、ないの?」

 

箒の考えの中で欠落していた箇所を、千尋はつつく。

––––––箒の考えは確かに素晴らしい。

自分から自分を進んで鍛えようとするのは確かに素晴らしい。

だが、少なくともIS学園(ここ)の教師––––––すなわち大人は自分達より腕は上のハズだ。

本当に強くなりたいなら、大人を頼るのが、当たり前なのに––––––箒はそれを口にしなかった。

––––––単なる、些細な疑問。

––––––本当に気になったから口にした言葉。

 

「––––––っ……」

 

しかし、その言葉は、箒の持つ意志に或る綻びを刺し貫いた。

––––––箒の顔色が打って変わる。

先程まで歌うように口にしていた言葉が、詰まる。

––––––保健室に流れる沈黙。

その有様を見た千尋は、思わず声を出す–––––––しかし、それよりも一瞬速く、箒が声を放った。

 

「––––––大人は、嫌いなんだ…‼︎」

 

––––––努めて冷静に、しかし瞳には明らかな憎悪と軽蔑の色を浮かべ、怒気を孕んだ声を静かに口から放つ。

付き合いは昨日と今日だけ。––––––しかし今数瞬前まで浮かべていた箒の表情とはまるで別人のような表情。

––––––地雷を踏んでしまった。と、千尋は理解する。

 

「大人はすぐ嘘を吐くし、すぐに自分たちの都合で子供を振り回して、自分達が満足したら子供なんてどうでもいい––––––そう考えてる連中なんだ…‼︎」

 

––––––千尋を無視して、箒は苛立ちを収めるためか、呪詛を吐きますように言葉を続ける。

 

「…––––––姉さんを壊して、私を都合のいい玩具にして、満足したらゴミのよう放ったらかして––––––それでも足りなかったら今度はそれ以上のことを強要して、挙句勝手に肉の塊になって––––––‼︎」

 

千尋の付け入る隙を作らせない、怨嗟に満ちた言葉の数々。それは山脈のように連なっていく。

同時に、箒の目頭から悔し涙とでも言うべきか、塩味の雫が、ひとつ、ふたつ、と零れ落ちていく。

 

「大っ嫌い……大っ嫌いだ。大人なんて、親なんて、大っ嫌い……少なくとも、私はあんな奴らの子供になんて、産まれたくはなかった……‼︎」

 

––––––論点は、あまりにズレていた。

何故、大人がダメなのか––––––という話だったのに、いつの間にか、箒の両親の話になっている。

––––––ふと、箒がISスーツから保健室の教師に着替えさせられた浴衣型の寝間着が箒が激しく動いた所為ではだけて––––––隙間から素肌が覗く。

 

「––––––。」

 

千尋は口にしない。

––––––いや、口に出来ない。

千尋は顔を動かさない。

––––––いや、顔を動かせない。

––––––そこには、《篠ノ之箒》という【肉体(からだ)】の見え難い箇所に刻まれた無数の傷が有ったから。

傷は大小様々な大きさで、確認できるだけでも小さい傷は1ミリ程度だが、大きい傷は5センチ以上にも及ぶ跡が残されていた。

そんな傷が10以上––––––いやもしかしたら前面のみならず背中にも同じ数だけあるかも知れないし、服に隠れている箇所にさらに刻まれているかも知れない。

––––––そうなれば、下手をすれば20以上もの傷が刻まれている事になる。

––––––異常だ。

千尋は無知なりに頭を働かせて結論を産む。異常だ、という結論を。

牧から与えられた基礎知識だが、ヒトは全体的に見れば殺し合いをする可哀想な生き物だが、部分的には殺し合い以外の方法で接しているから傷はそんなに体には刻み付けられない––––––それが千尋にとっての当たり前だった。

––––––では、今眼前にいる少女の【傷跡(さんじょう)】は一体なんなのか。

––––––わからない。

今の千尋には、理解出来ない。箒の傷跡が何故出来たのか、理解に達しない。

それは、千尋にとって未知の領域だったから。

 

「––––––なんだよ、これ––––––…」

 

無意識の内に千尋は今の心情を声にしてしまう。

 

「––––––あまり、思い出したくないから、追求はしないで欲しい…でも、人間は––––––特に、純粋から卒業してしまった大人の中には、こんなことをする奴もいるんだ…。」

 

–––––––沈んだ声。

その一声で、千尋は全体を理解する事は出来なかったが、部分的に、察した。

箒が幼い頃に、親とトラブルがあって、それによって【肉体(からだ)】に傷を刻み込まれ、【精神(こころ)】には【心傷(トラウマ)】を刻み込まれた。

––––––そしてそれが、今の【人格(ほうき)】を産み出してしまったのだ。

親––––––すなわち大人に憎悪感情を抱く、箒を。

外れているかも知れないが、今の話からするとそう思えた。それが、無知なりに頭を働かせた結果出た千尋の【仮定(こたえ)】だった。

 

「––––––ごめん…嫌なこと、思い出させた……」

 

千尋は謝罪する。

それに箒は少し、穏やかに戻り始めた顔をしながら応じた。

 

「…いや、別に構わない。…私も少し暴走してしまった……八つ当たり染みた事をしてしまい、すまない……」

 

箒まで謝罪する。

––––––再び、沈黙が保健室を支配する。

しばらくの間、2人はその場にいた。

––––––静けさが支配するその空間に、穢れを知らない虚構と穢され尽くされた少女だけが、残された––––––。

 

 

 

 

◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎

 

東京都新宿区西新宿

アンノ技研新宿シティセンタービル

 

––––––薄暗い、しかしそれでいて翡翠色の蛍光灯が照らす部屋。

ステンレス製で、外から伸びてきているケーブルと繋がっている無機質な椅子に腰掛けて虚ろな瞳を浮かべている《天才》篠ノ之束がいた。

 

「––––––ああ、分かっている。」

 

ふと、虚ろな瞳の束は1人でに口を開く。

 

「これ以上白式を放っておけば、最悪の結末になりかねない。……織斑一夏の生命与奪も検討しなくてはならない。」

 

普段の束のような、陽気で天真爛漫な子供らしい口調とは程遠い、冷たく理知的で機械的な、大人びた声音。

 

「––––––あんたバカァ?」

 

ふと、今度は違う声音。

今少し前の大人びた声音とは打って変わり、強気な子供––––––という印象の声音へと変わる。

しかし、これも束の本来の声ではない。

 

「織斑一夏なんて、所詮は【天災】が利用しているモルモットに過ぎないじゃない。そんなのを殺したってどうにもならない––––––殺るなら、大元の天災をやるべきでしょうが。」

 

「––––––ですが、あの天災がボロを出さない限り、手出しは出来ません。下手をすれば日本国の国際的立場を悪化させる恐れも––––––」

 

また、違う声。

今度は丁寧口調で生真面目な感じの声。

 

「でも、かといって後回しには出来ない––––––」

 

そして、また違う声。

––––––しかし、それは篠ノ之束本人の、本当の声だった。

 

「だから、今は出来る限りの事をするしかない––––––違う?」

 

答えは、帰ってこない。

代わりに沈黙––––––すなわち肯定。

今まで束と違う声の主たちは納得したらしい。

 

「––––––じゃあ、これで会議はお終い。集まってくれてありがとう。…◼︎◼︎たち––––––」

 

そういうと、弾かれたように束は顔を上げる。

瞳には光が宿り、生気を孕んでいる。

しかし、部屋には束以外に誰もいない。

––––––先程まで、肉体のない似て非なる自分たちと言葉を交わしていたのだから。

––––––ガチャリ。

ふと、部屋の扉が開く。

入って来たのは––––––橙子だ。

 

「どうだ?久々に◼︎◼︎たちと言葉を交わした感想は。」

 

「––––––最悪。頭がガンガンしてる…もうちょっと、補助バイパスを増設して欲しいかなぁ……」

 

橙子の質問に、束は苦笑いを浮かべながら言葉を返す。

そして、ふと自嘲するように皮肉めいた声を口にした。

 

「……なんだかさ…私ってガリバー旅行記に出て来た王様みたい。お医者さんに手術して貰ったヤツ。」

 

「バルニバービの医者だな––––––空飛ぶ島ラピュータに2人の王がいて、どちらも自分が支配する方が相応しいと主張していた。そこでバルニバービの医者は2人の王の脳を半分ずつに分けて、ふたつの脳をひとつに再接合した。こうする事で、思考は人の倍以上可能…具体的には、より円滑で柔軟な思考が可能となる––––––『自分が世界を支配する為に生まれて来たと自惚れている者には、相応しい末路だろう』––––––そう、ガリバー旅行記の作者であるスウィフトは書いていたな。」

 

「そうそう…束さんの作ったISコアもそれに似てるんだ。だから私もその王様みたいだなぁ……って思って。」

 

「––––––ふむ、確かに似ているな。支配者は別だが。」

 

そう言いながら、橙子はゼリー状食糧の詰まったパックをグイ、と飲み干す。

 

「さて––––––明日は、クラス代表別トーナメントか…」

 

部屋に掛けられたカレンダーを見ながら、橙子は独り言ちた。

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

並行世界の首都東京の状態、そしてゴジラISでシャルにスパイをやらせた社長の真意……あの世界では、色々な形で大勢の人々が犠牲になることでより大勢の人々が生かされている––––––という形になっています。

さて、シンIS世界は…千尋のみならず箒まで感覚が共鳴してしまいました。
……実はこれが感想でも指摘されていた【千尋も箒も練度高過ぎない?】という点に関連して来ますし、後々重大なフラグになります。


––––––箒が設定で両親の事が嫌いな理由…まぁ、察した方もいらっしゃると思いますが、虐待です。
そしてこの時に、束は一度壊れました。
––––––この時の文章ですが、【Fate】や【空の境界】などを手掛けた《那須きのこ先生》の言い回しを真似てみました。……だってアレカッコイイねんもん…。

束のシーンは…もうちょっとお待ち下さい。
コレバラしたらISコアの設定が早々に露呈しちゃう……。
さて、次回はクラス代表別トーナメントです‼︎
まぁ、原作通り、ゴーレムがちゃぁぁんと来ます(一夏と千尋の噛ませ犬として)。

次回も不定期ですがよろしくお願い致します。


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