「あ~チクショウ。なんでアパートからコンビニまで一キロも離れてんだよ。クソダリィ。」
黒崎はコンビニで晩飯を調達してアパートへ帰宅している途中だった。
黒崎の両親は黒崎が小学生の頃交通事故で死亡している。そのためアパートで一人暮らししているのだ。
現在黒崎は17歳だが高校には通っておらず職にも就いていない。暴力団の事務所を襲撃して金を強奪したり喧嘩で倒した敵の財布から金を抜きとったりして生計を立てている。
「ん?アイツは....」
黒崎が目を細めて数メートル先を見つめる。そこには昨日、公園で黒崎を襲撃してきた不良グループのリーダーである花岡の姿があった。しかし何か様子がおかしい。足下はふらついているし何か独り言をボソボソと呟きながら歩いている。
「何やってやがるんだアイツ... ゾンビの真似事か?」
花岡はしばらくフラフラ歩き続けると橋の上でピタリと動きを止めた。橋には落下防止用のフェンスが付いてる。花岡はそのフェンスをよじ登り初めた。フェンスの下は道路で落ちたら死は避けられないない高さだ。
「オイ!何やってやがるんだテメエ!死ぬ気か!」
黒崎が花岡の足を掴み、フェンスから無理矢理引きずり下ろした。
引きずり下ろした衝撃で花岡は頭を軽く地面に打ち、そのまま気絶した。
「ん?なんだこりゃ?タトゥーではないようだが... 」
花岡の首筋には不気味な烙印のようなものが付いていた。
「ていうか何でコイツ自殺なんかしようとしたんだ?俺に喧嘩で負けたのがよっぽど悔しかったとか?だとしたら相当のアホだなコイツ... 」
黒崎が勝手に自殺理由を妄想していたその時だった。一瞬にして周りの空間が変化した。さっきまで橋の上にいたハズなのに黒崎は不気味な空間に取り込まれていた。
「なんだこりゃ?ふざけんじゃねェぞ!一体何なんだよ、このメルヘンチックな空間はよォ!」
まるで夢を見ているかのような感覚だった。少し先の方に扉を発見した黒崎は扉に向かって進んだ。あの扉を開ければ元の世界に戻れるかもしれない。そう黒崎は思っていた。
しかし扉の先に元の世界は無かった。扉を開けた先にいたのは、下半身は四本足で上半身はワニのような顔をした異様な生命体だった。4メートルくらいはデカさがある。人間よりかなりデカイ。
その異様な生命体は黒崎に気づくと体を虹色に発光させた。
その瞬間、黒崎に向かって猛スピードで突撃してきた。
黒崎がギリギリの所で突進を避ける。
「テメエ... 誰に向かって喧嘩売ってんのか分かってんのかァ?」
黒崎が怪物の体に正拳突きを叩き込んだ。そしてさらに後ろ回し蹴りも放つ。突きも蹴りもモロに決まった。しかしこの生命体には全くダメージを受けた様子がない。
怪物が再び体を虹色に発光させる。そして猛スピードで突進してきた。近距離の為さっきのように避けれず突進を食らってしまった。
黒崎の体がノーバウンドで数メートル吹き飛ばされ壁に背中から激突した。
「ぐあああああああああ!!」
黒崎の口から血が吐き出された。激痛で意識が吹き飛びそうになるが早くも次の攻撃が来たため、急いで立ち上がる。何とか突進攻撃を避け正拳突きで反撃するが、やはり全くダメージを受けていない。
「チッ... そうだよなァ... まともじゃねェ奴とまともに喧嘩しても勝てるワケねェよなァ... 悪いけどよォ、とっておきの技使わしてもらうぜ... !」
怪物の体が再び虹色に発光する。しかし怪物が攻撃を行う前に黒崎が怪物の体に正拳突きを放った。
ただし普通の正拳突きではない。
インパクトの瞬間、体を極限まで硬直させ正拳突きの際に使用する全ての関節を固定する事で自分の体重をそのまま拳に乗せる事ができる剛体術と言われる技だ。
剛体術をまともに食らった怪物はそのまま地面に崩れ落ちて体が消滅していった。
それと同時に奇妙な世界は崩壊し、黒崎が気付いた時には橋の上に戻っていた。
「世界が……戻った?」
「魔女を倒したみたいね」
背後から女の声が聞こえた。振り向くとそこには金髪縦ロールの少女が立っていた。
「あ?誰だテメエは」
「そうね、自己紹介がまだだったわね─巴(ともえ)マミよ」
見滝原最強のヤンキー──黒崎蓮
ただ者ではなさそうなオーラを放つ謎の少女──巴マミ。
この2人が交差した今──物語は動き始めた