ポケモン(仮) 作:ネコ
ピッピたちの踊りに華々しさは無かったが、皆楽しそうに踊っている。
ただ、規則性はあるようで、中心にある石を囲むようにして一定以上離れないようにしているのは分かった。
その踊りは明け方頃まで続いていたのだが、夜が明けようとした頃、ピッピたちに変化が生じ始める。
カメールの時と同じようにピッピたちは光に包まれたのだ。
そして、光が晴れたそこには、ピッピからピクシーへ姿を変えたポケモンたちがいた。
メタモンはそんなピクシーたちへ拍手を送り、警戒させないように、背中に生えた翼をピクシーたちと同じような羽根へ変える。
「ピギー(進化おめでとう)」
『ピッピ!(ありがとう!)』
ピクシーたちは喜びながらメタモンの周囲を踊るように囲む。
「ピッピ?(進化できなかったの?)」
「ピギー(そうみたい)」
「ピッピー(次の満月には出来るようになるよ)」
メタモンは励ましの言葉をピクシーたちから貰うと、肝心なことを訊ねる。
「ピギピギ?(ハナダシティがどっちか分かる?)」
「ピッピー(あっちー)」
「ピギー(ありがとう)」
方向を教えてもらうのには確認の意味もあった。
太陽が出てきているため、大体の方向は分かるが、それでも確信が欲しかったのである。
それは、さっきまでの行き当たりばったりの行動から反省した結果でもあった。
メタモンは、背中の羽根を元の翼へ戻すと、ピクシーたちに教えてもらった方向に向けて飛び立っていった。
ハナダシティは山の麓から少し離れた場所にあり、周囲には他に障害物などもないことから、遠くからでも簡単に見つけることが出来た。
メタモンは、少し離れた場所で翼を消すと、徒歩でハナダシティへ向かう。
そして、ポケモンセンターへ辿り着くと、長めの椅子にブルーを寝かせて、メタモンは受け付けに向かう。
「ピギー(後は頼む)」
「ラッキー?(どうしたの?)」
ブルーから離れたメタモンは、ジョーイと一緒にいたラッキーへ話すと、そのまま丸くなって寝てしまう。
流石のメタモンも、体力的には大丈夫でも、精神的に疲れていた。
ジョーイたちは、寝てしまっているブルーたちを困ったように見ると、タオルを掛けてそのまま休ませたのだった。
ゆっくりと目を開け、周囲が見たことのある建物であると分かったブルーは、背筋を伸ばして椅子から起き上がる。
「うーん。よく寝たけど身体が痛い……。それにしても、ここはどこかしら?」
「あら。起きたのね」
ブルーが起きたことに気付いたジョーイは、スープをトレーに載せてブルーの元へ来た。
ブルーはジョーイからスープを受け取り礼を述べるとスープを一気に飲み干す。
「お礼はそこのメタモンくんに言ってあげて。その子があなたをここへ連れてきてくれたのよ」
「ありがとう。メタちゃん」
ブルーは寝ているメタモンを撫でながら、スープの入っていたカップを返すと、身体を綺麗にするため、シャワー室へ向かった。
ハナダシティについて、早々にジム戦に行くと思われたブルーは、大人しく部屋を借りてメタモンの世話や、カメールのケアをしていた。
『───最近になり、ロケット団と名乗る集団が、各地で破壊活動を行っており……』
「危ない人たちもいたものね……」
「カメー(そうだねー)」
今日をゆっくり過ごすと決めたブルーは、メタモンとカメールの世話の合間に、テレビを見ていた。
テレビでは、ジムリーダーの動向やチャンピオンリーグの時期など色々なことが放送されている。
その中でブルーの印象に残ったのは、ロケット団と名乗る集団だ。
昨日に、お月見山で破壊活動を行い、調査員の数名が怪我をしたという。
ブルーは運が良かったのか会うことはなかったが、ニビシティからハナダシティへ向かう通路に居たというロケット団は、通路の一部を破壊したため、一時的に通行不能になったというのだから、もし、迷子にならなかったら、自分達が被害に遭っていたと、ブルーは身を震わせたのである。
十分な休息を取ったため、メタモンは次の日には元気な姿をブルーに見せた。
ブルーはメタモンを抱き締めると、小さく礼を述べて部屋を出る。
「ジョーイさん。お部屋ありがとうございました」
「いえいえ、私たちはトレーナーの方のサポート係ですから当然ですよ」
「それではいってきます」
「お気をつけて」
ポケモンセンターを出たブルーは、メタモンに予定を告げる。
「ハナダシティのジムリーダーに勝てたら食事をして買い物に行きましょ。そこで、メタちゃんの好きなものを買ってあげるわ」
「ピギー……(また買い物……)」
「メタちゃんが今回はジムリーダーに挑むんだからね。頑張ってよ!」
「ピギー(分かった)」
メタモンの性格も現金なもので、買い物で落としたテンションだったが、久し振りのバトルと聞いて再びやる気を取り戻していた。