ポケモン(仮) 作:ネコ
ハナダジムを探しながら、ブルーは町の中を散策していく。
迷子になりやすいブルーではあったが、町の中で迷子になるほどてはない。目印となる物が多々あるため、人に訊ねながらジムへ向かっていった。
そうして訪れた建物の中へ入っていく。
屋内にはプールが設置してあり、何人もの人がポケモンと共に泳いでいた。
「いらっしゃい。今日はどのようなご用件ですか?」
「はい。初めてなんですけど、ジムに挑戦したくって来ました」
「どのコースに挑戦されますか?」
「コース?」
「これですよ」
受付の女性が見せたコース表には、スペシャルコースからビギナーコースまで幅広くあり、コース名の下に詳細な内容が記載されていた。
「えーっと……」
「初めてでしたら、ビギナーコースからいかがでしょう?」
「ビギナーコース……?」
「まずは、水に慣れていただくことから始まります。その後は顔を水につけて息を止める練習です。慣れてきたら、水の中を移動する練習ですね。ここまで来れば、次のコースに移ることができます」
「挑戦っていうのはこの事ではなくて……、ジムリーダーに挑戦しに来たんですけど……」
「あら? それはここではありませんよ。同じハナダジムで間違えやすいですが、ポケモンバトルのハナダジムでしたら、ここから更に北になります」
「ありがとうございます。行ってみます」
「またの機会がありましたら、当ジムへお越しください」
受け付けの人に見送られ、ブルーはジムを出ていく。
メタモンもまさかのジム違いに驚いていた。
「まさか、ジム違いだったなんて……。メタちゃん知ってたでしょ……」
「ピギー!(知らないよ!)」
あまりの冤罪にメタモンは抗議の声をあげる。
ブルーはそれでも疑わしげにメタモンを見ていたが、人だかりが見えたことで、そちらへ視線を移した。
人だかりが出来ていたのは、町の北へ向かって延びた橋の前で、橋の上には数人のトレーナーと、その橋の手前に看板が立て掛けてある。
ブルーは興味津々に、その橋の所へ行き看板に書かれた文字を読む。
「ゴールデンブリッジ……? 5連続で勝ち抜けば、豪華商品!」
ブルーは、橋へ視線を向けて意気揚々と進み始める。
それまでざわついていた人たちも、その成り行きを見守っている。
「ここを勝ち抜けば豪華商品!」
「僕が相手だ!」
ブルーの瞳には、豪華商品しか映っていないのか、ポケモンバトルを仕掛けてきた相手のことなど、ほとんど眼中になくカメールで無双し始める。
そもそも、バトル相手が未進化ポケモンばかりな上に、トレーナーも若いということもあって、勝負はすぐについてしまっていた。
そうして、五人目まで倒し終え、橋を渡ったところで、黒服の男が声を掛けてくる。
「五人抜きおめでとう」
「豪華商品は!?」
「商品はサントワーヌ号の乗船券だ」
「要らないんだけど……」
「えっ!? 乗船券だぞ!? プレミアなんだぞ!?」
「船の何が面白いのか分からないし」
「あの巨大船の魅力が分からないのか!?」
船の魅力を伝えようとする男の想いがブルーには伝わることはなかった。
「早く豪華商品!」
「いや……あの……乗船券が豪華商品なんですが……」
逆に、ブルーの気迫に負けて押され気味になる。
「こんな物に何の価値があるっていうのよ! 興味ない人には要らないでしょ! 豪華商品っていうのは、誰もが価値があるもののことを言うのよ!」
「───すいません……。これしか用意してません……」
「今回はこれで我慢してあげるけど、次からは気を付けるのよ」
「はい……」
ブルーは無造作に乗船券をポケットに突っ込むと、道沿いに北へ向かって歩き始めた。
歩き始めてしばらくすると、建物が無くなっていき、明らかに町から外れている事にブルーは気付く。
「んー……。ここは戻るべきかしら……メタちゃんとカメちゃんはどう思う?」
「カメー(分からない)」
「ピギー?(あれは?)」
メタモンの指す方向には看板があり、そこにはマサキの研究所と書かれていた。
ブルーはそれを読み、少し考えると再び意見を求める。
「一旦ここに行って、ジムの場所を聞きましょ。もしかしたら、町外れにジムがあるかもしれないし」
「カメー(はーい)」
「ピギー(それがいい)」
「賛成多数ということでしゅっぱーつ!」
ブルーたちは元気よく、マサキの研究所へ向けて歩いていった。