ポケモン(仮)   作:ネコ

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第13話

 マサキの研究所に続く道をポケモントレーナーとバトルを交えながら進む。

 

「カメちゃん、お疲れさま」

「俺のマダツボミがカメールに負けるなんて……」

「実力差よね」

 

 先日はメタモンにかなりの無理なことをさせたために、しばらくはゆっくりしてもらおうとカメールでバトルを受けていたため、カメールの力が上がり一般的なトレーナーでは、相性の差など関係なく、歯が立たなくなっていたのだった。

 

「ちくしょう! 覚えてろよ!」

「あっ! ちょっと!」

 

 圧倒的な差を見せつけてしまったためか、相手は置き台詞を残し立ち去ってしまい、聞きたいことが聞けずにいた。

 

「もう! バトルを強要してくるくせに、すぐに立ち去るなんて失礼な人たちね!」

「ピギー(そうだねー)」

 

 メタモンは気のない相槌を打つと、進行方向を見る。

 視線の先には、岬の方に研究所が見えてきていた。

 

「ピギー(あそこ)」

「ん?」

 

 ブルーはメタモンの指示する方向へ顔を向ける。そして、建物を確認すると、先程までの怒りを忘れて笑顔になると走り始めた。

 

「もうトレーナーなんて無視よ!」

 

 ブルーは数人いたトレーナーが声を掛ける前に走り去る。

 

 そうして辿り着いたマサキの研究所。

 ブルーは呼吸を落ち着けると呼び出し用のボタンを押す。

 

「すいません。いませんかー?」

「───おるでー。ちょっとまってんかー?」

 

 声が途切れて数秒で、扉から若い男が顔を出す。

 

「どちらさん?」

「えーっと。教えて欲しいことがあるんですけど」

「わいにか? ───べっぴんさんのいうことな───」

 

 男の視線が、ブルーを厭らしく見ながら話している最中に、ブルーから急にみずでっぽうが飛び出したことにより、男は吹き飛んだ。

 

「駄目じゃないメタちゃん!」

「ピギー!(あいつが悪い!)」

 

 メタモンはブルーの前に姿を表すと、男に対してぐにゃぐにゃと激しく動き、怒りを表す。

 

「後でちゃんとお話ね! 大丈夫ですか?」

「いつつ……」

 

 ブルーは倒れた男を起き上がらせて声を掛ける。

 男は頭を押さえながら、僅かに目を回しながら身体を起こす。

 

「まったくなんやねん……」

「すいません。私のメタちゃんが勝手に動いちゃって……」

「おたくもポケモントレーナーやったら、自分のポケモンくらい───ところで、おたくは何しに来たんや?」

 

 男はブルーの背後を見て口を閉ざすと、話題を素早く変える。

 ブルーは背後を確認するが、メタモンがゆらゆらと揺れている以外は特に何もない。不思議に思いながらも、ブルーは質問に答える。

 

「ハナダシティのジムリーダーの場所が知りたくて」

「へ? えーっと。お嬢ちゃんはここがどこか知っとるんやな?」

「当たり前でしょ。マサキの研究所って書いてあったわ」

「わいがそのマサキや!」

「そうなの? 私はブルーよ。自己紹介も終わったところでジムの場所を知りたいんだけど」

「かーー!! まさかわいのこと知らんと訪ねてくるやなんて思ってもみいひんかったわ。自意識過剰っちゅうやつやな……」

「もしかして、あなたがジムリーダーとか?」

「ちゃう! こうなったら、わいのやってることを覚えてもらうまで帰さへんで!」

 

 ブルーの的外れな答えに何も知らないことを悟ると、マサキは自分の研究成果を教えるためにブルーの手を取って、部屋の中にある機械をひとつずつ説明し始める。

 そうして説明を終えたブルーの感想は───

 

「あれって便利よね」

 

 それだけだった。

 まだ良かったのは、マサキの作った物質の転送システムを活用していることだろう。

 これで、使用してないとでも言えば、マサキは暫く再起不能になる可能性はあった。

 

「そうなや。便利やろ……。凄いとか思わへん?」

「何が凄いの?」

「いや……ええねん。───そや! これならいいやろ!」

 

 マサキは機械の前に行くと、説明を始める。

 

「この機械は、生物同士を入れ換える機能があるんや! これまでは、モンスターボールに入れてへんといかんかったけど、これは人も移動が可能なんやで! 見本を見せたるさかい。わいが入ったら、そこのボタンを押してや!」

「なんかよく分からないけど、このボタンを押せばいいのね」

「そや!」

 

 マサキはカプセルのような中に入ると、中から両手で丸印をしてみせる。

 ブルーはそれに頷くと、ボタンを押した。

 機械はボタンを押したことで動き出し、カプセルの中は光に包まれて中が見えなくなっている。

 そして数秒後。

 機械の光が収まり、マサキが入っていたカプセルからマサキが出てくる。

 

「全然移動してないじゃない」

「いや。成功してる」

「??」

 

 ブルーはマサキの言っていることが理解できずに首を傾げる。

 マサキは口の端を吊り上げると、自分の身体を触り始めた。

 

「やっぱりしっかりした身体はいいな」

「何を言ってるか分からないんだけど?」

「ピギー! ピギー!(元に戻せや!)」

 

 ブルーは、マサキの反対側のカプセルから出てきたメタモンを見て、更に謎が深まった顔をした。

 その謎を解いたのはマサキだ。

 

「初めまして……かな? ブルーにとってはメタちゃんと言った方が分かりやすいか」

「えーっと。メタちゃん?」

「そうそう。いつもブルーを守ってるメタちゃんさ」

「そんな言葉信用できないんですけど……」

 

 ジト目で見てくるブルーに、慌てることなくマサキは答える。

 

「じゃあこれならどうだ? 胸が成長しないことを気にして、俺に「あー! あー! 聞こえなーい!」───わかっただろ?」

「そうね……認めたくないけど……」

 

 ブルーは納得したくない現実に頭を抱えながら、メタモンを見る。

 

「じぁあこっちが……」

「マサキだな」

 

 ブルーはメタモンをつつき、マサキに向き直る。

 

「よくも知らない相手がメタちゃんなんて嫌よ! すぐに戻りなさい!」

「えー……。もうちょっと……ダメ?」

「それなら、私はこっちのメタちゃんを連れていくわよ?」

「───戻るよ……」

「分かればいいの。ほら、あんたも戻りなさい」

 

 激しく自己主張していたメタモンも、ブルーの言葉に救いの神とでも言うように、器用に身体の前で手を組むような動作をすると、大人しくカプセルの中へ入っていく。

 

「入ったわね? じゃあ押すわよ」

 

 最初と同じように光に包まれ、光が収まるとカプセルからそれぞれマサキとマサキに似た人物が出てくる。

 

「いやー。ポケモンになるいうのは初めての体験やな」

「ほんとにな」

「……おたくだれや?」

「さっきのメタモンだ」

「メタモンが人に変身するやと!?」

「この機械のお陰だ」

「変身したわりには、わいに似てへんな……」

 

 マサキは興味深そうにメタモンを見る。

 メタモンはブルーへ向き直ると、再び挨拶を行う。

 

「これからもよろしくな。ブルー」

「ぷっくっく……」

 

 肝心のブルーはメタモンを見て笑いを堪えているようだったが、メタモンにはバレバレだった。

 

「何かおかしいか?」

「いえ……ぷ……おかしくないわよ……ぷ……」

 

 メタモンは首を傾げてみせるが、何故ブルーに笑われているか理解できなかった。

 

「おたくは鏡見た方がええで」

「?」

 

 メタモンはマサキの指差す先にある鏡に近付く。

 そこには、平坦な顔に見たことのある目がついていた。

 

「何故こんなことに……」

「いや。大したもんやで? メタモンはポケモンにしか変身できんはずやからな」

 

 鏡には、マサキに似た輪郭に、メタモンの表情が映っていた。

 

「メタちゃんは頑張ったわね。努力は認めてあげるから、元に戻りなさい」

「…………」

 

 メタモンはブルーに肩に手を置かれて慰められると、何も言わずにブルーの服の中へ消えていく。

 

「珍しいポケモンやな」

「メタちゃんは特別なの」

 

 ブルーは自慢気に答えると、本題に入った。

 

「最初に戻るけど、ハナダシティのジムはどこ?」

「ハナダシティの地図をやるさかい、それでいき」

 

 マサキは机の中から地図を取り出すと、ブルーに手渡した。

 

「ありがと」

「まあ、いい経験させてもろたし、おたくのポケナビも新バージョンにしといたるわ。その時計かしてんか」

「んー。あんまり使わないけどね」

「使ってくれんとなくで、ほんまに……」

 

 マサキは肩を落としながらも、ポケナビをバージョンアップすると、ブルーへ返す。

 

「一応地図はあるさかい、間違うことはあらへんと思うけど、保険はあったほうがいいやろ?」

「何が増えたの?」

「行きたい建物へ案内してくれるナビゲーターや。これでこんな全く違うとこに来ることもあらへん」

「それはいいわね!」

「喜んでもろて嬉しいわ」

 

 初めて笑顔を浮かべたマサキは、笑顔のブルーを見送る。

 

「もう迷子になるんやないでー」

「迷子じゃないわ! 迷ってただけよ!」

 

 ブルーは手を振り遠退きながらマサキに言い返す。

 

「それを迷子いうんや……」

 

 マサキの呟きはブルーに届くことはなかった。

 

 ブルーは、マサキから貰った物を使用する。

 すると腕時計からは羅針盤のような物が飛び出し、目標の方向を示す。

 ブルーはマップと羅針盤を頼りに、ハナダジムへ向けて進んでいった。

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