ポケモン(仮)   作:ネコ

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第16話

 トンネルと言う名の洞窟から解放されたブルーは、背を伸ばし全身で太陽の光を浴びる。

 

「やーっと出られた……。それにしても、このナビは役に立つわね」

 

 ブルーは坂の下に見えるシオンタウンへ向かいながら、ナビの電源を切り、再びシオンタウンへ目を向ける。

 トンネルを降りたところには、大きな塔が建っており、シオンタウンへの道も幅が広いとはいえ一本道であるため迷いようはない。

 そんな大きな建物を横手に眺めながら、ブルーはポケモンセンターに入っていった。

 

「では、モンスターボールをお預かりしますね」

「はい。お願いします」

 

 ポケモンセンターを管理しているジョーイへモンスターボールを手渡しながら、ブルーはジョーイへ訊ねた。

 

「この町のポケモンジムがどこにあるか教えてくれませんか?」

「え?」

 

 ジョーイはブルーからの問い合わせの意味を少し考えて、ゆっくりと話し出す。

 

「あなたの言っているポケモンジムは、この町には無いわ。残念だけどね」

「えっ!?」

「私としても、この町にジムがあった方が嬉しいんだけどね」

 

 ブルーはジョーイの言葉に唖然とするが、すぐにこの話を聞いていたであろうポケモンを呼び出す。

 

「メタちゃん出てきなさい」

 

 大きな声ではなかったが、その声には怒気が含まれていた。

 ブルーの目の前に姿を現したメタモンに対して、両手を腰をにやると無言で睨み付けた。

 メタモンはその視線を受けても、無表情で変わらずにじっとブルーを見つめる。

 

「お仕置きが必要なようね」

「ピギ!?(そんな!?)」

「じゃあ、ここに来た目的を言いなさい!」

「ピギピギ(ここに行きたい)」

 

 メタモンは用意していたマップを広げ、ブルーに見えるように行きたい場所を指す。

 

「発電所?」

「この辺で発電所と言ったら無人発電所かしら?」

 

 ブルーの疑問に答えたのは、近くで話を聞いていたジョーイだった。

 ブルーはジョーイに向き直り、詳しい話を聞く。

 

「私も詳しいことは知らないんだけど、各町に送るための電気を発電してるみたいよ。その発電された時の電気に引かれて電気系のポケモンが住み処にしてるみたい」

「電気系かぁ……。メタちゃんに言っておくけど、あんまりポケモンを増やそうとは考えてないわよ?」

「ピギ!(行くべき!)」

 

 それでも意見を変えようとしないメタモンに、ブルーは大きく溜め息を吐く。

 

「全く。誰に似たのかしら」

「トレーナーの事を考えてくれるポケモンは珍しいですよ。行くことで、ポケモンとのコミニケーションにもなるし、余裕があれば行った方がいいと思います」

「んー……そうね。メタちゃんも強くなるし、行ってみましょう」

「気を付けてね」

「ありがとうございます」

 

 回復の終わったカメールの入ったモンスターボールを受け取り、ブルーはメタモンを引き連れてポケモンセンターを出た。

 

「メタちゃん」

「?」

「確かに行くことは認めたけど、すぐに行って戻ってくるわよ。いいわね?」

 

 メタモンはブルーに対して敬礼する。

 ブルーはナビに行き先を設定すると、メタモンに合図をした。

 

「いいわよ」

 

 ブルーの合図に、メタモンはピジョンに変身すると、ブルーを背に乗せシオンタウンを後にした。

 

 

 

 無人発電所は、シオンタウンから東の山を越えて海から近い位置にひっそりと建てられていた。

 一応、壁のようなものはあるが、高さも三メートルほどしかなく、空を飛ぶことのできるブルーたちは難なく越えていく。

 

「ここが無人発電所ね。確かに電気系のポケモンがいるみたい」

 

 ブルーは空の上から敷地を見渡す。

 無人発電所の敷地には、コイルやビリリダマなどの電気ポケモンが多数存在していた。

 メタモンはそれらの上空を越えて、無人発電所を一周すると、その入り口に降りる。

 

「無人発電所っていうくらいだから無人なのよね? 中に入れるの?」

 

 メタモンは元の状態に戻ると扉を調べ始める。

 メタモンが調べ初めて数分後。扉は何かが外れるような音と共に開いた。

 

「扉の鍵が掛かってないなんて不用心ね」

 

 ブルーの感想に、メタモンは素知らぬ顔でブルーに取り付くと、中へゆっくりと入っていく。

 無人発電所の中には、誰もいないと思われていたが、敷地内と同様に、野良ポケモンがうろうろしていた。

 

「この子たち何処から入ってきたのかしら?」

 

 ブルーの呟きを余所に、メタモンは無人発電所の奥へと進んでいく。

 途中で絡んできた野良ポケモンにはねむりごなを撒き、多数で襲ってきた場合にはしびれごなとねむりごなのミックスを周辺に散布した。

 その影響だろう。

 ブルーは野良ポケモンたちと同じように眠ってしまう。

 そうしてたどり着いた無人発電所の最奥。

 そこには、本来いるはずのないポケモン。メタモンの記憶通りのポケモンが発電機の上で目を瞑りじっとしていた。

 

「ピギー(こんにちは)」

 

 メタモンの言葉に、鳥ポケモンは目を開けて、メタモンを睨み付ける。

 しかし、メタモンは気にした様子もなく、ポケモン図鑑を取り出すと、鳥ポケモンに照準を合わせた。

 

「ピギピギー(サンダー撮影完了ー)」

 

 サンダーがじっとしているのをいいことに、メタモンはやりたい放題だった。

 一通り行動し終わったメタモンは、サンダーへと声を再度掛ける。

 

「ピギー?(一緒に来ない?)」

「…………」

 

 サンダーは、一向にメタモンには反応せず、ただずっと睨み付けている。

 

「ピギー(それ)」

「!?」

 

 メタモンの気合いの入らない掛け声で、サンダーの周囲からは突然粉塵が舞い上がった。

 その粉塵はサンダーを包む。

 サンダーは、一気にその粉塵をつばさで吹き飛ばすが、僅かに触れていたのかその動きは鈍く、目も半分ほど下がっている。

 メタモンは慌てることなく、準備していたスーパーボールをサンダーに投げ付けた。

 モンスターボールはサンダーを取り込み閉じ込めようとするが、何度か投げたものの無駄に終わる。

 

(んー……。伝説ポケモンなだけあって、相手の了承なしでは無理か……)

 

 メタモンはスーパーボールを投げるのを諦め、残りのスーパーボールをリュックに収める。

 リュックへの収納中に、サンダーは目を醒ました。

 

「ピギ?(起きた?)」

「……」

「ピギ!(じゃ!)」

 

 サンダーは何も言わずに放電をし始める。

 メタモンは、そんなサンダーから危険を感じると、素早く挨拶をして舞われ右して走り出す。

 サンダーが自分に何かをしたメタモンを許すはずもなく、力を溜めたかみなりをメタモンに放つ。

 メタモンは予期していたのか、ブルーの身体を岩の鎧で覆うと、電光石火の早さでその場を脱出した。

 残されたサンダーは、その後を追ってその場を飛び立つ。

 その日、各町で何度も停電が起こったのは言うまでもない。

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