ポケモン(仮) 作:ネコ
サンダーからの追撃を、メタモンはこれまでの能力を駆使して回避すると、影分身や身代りを囮にして岩影に身を潜めていた。
(なんてしつこい奴だ! ちょっと勧誘しただけじゃないか!)
未だに空からメタモンたちを探すサンダーに、メタモンは心の中で愚痴を溢す。
メタモンは現在その身体を周辺の岩と同様の色に同化させており、上から見た程度ではメタモンが何処にいるかなど全く分からない状態だ。
サンダーは気が高ぶっているのか、メタモンたちを探すのをやめる気配はない。
(早く向こうにいけってーの……。あっ!)
サンダーから逃げることばかり考えていたメタモンだったが、ある技の存在を思い出し実行に移す。
サンダーはその違和感を敏感に捉えると、メタモンたちの方へ飛んできた。
「ピギ!(それじゃ!)」
サンダーはハッキリと姿を表したメタモンに向けて更にスピードを上げて迫る。
そのサンダーの速度は、くちばしを尖端にしてドリルのようにメタモンへ迫る。
サンダーが迫っても、メタモンの余裕は消えない。
鳥ポケモンの技であるドリルくちばしが当たる直前、メタモンたちの姿は、サンダーの目の前で蜃気楼のように消え去ってしまった。
サンダーの目の前で消えたメタモンが何処にいるかと言うと、シオンタウンへ戻ってきていた。
戻るために使用した技の名前は『テレポート』。
この技があるからこそ、ブルーはメタモンに早く戻る条件で無人発電所に行くことを了承したのである。
ただしこのテレポートは、一度行ったことのある場所しか行けないため、最初に自分で訪れないといけないというのが面倒だった。
メタモンは暗くなってきた空を見て、いつものポケモンセンターに入っていく。
「あっ!」
「ピギッ!(げっ!)」
ポケモンセンターで待ち構えていたのは、いつも見慣れたジョーイと、ポケモンポリスのジュンサーだった。
「あなたたちが、無人発電所に向かったっていうトレーナーね。詳しい話を聞かせてもらいます」
「ピギー(イヤだー)」
ジュンサーはメタモンの言葉など意に返さず、ジョーイに話して奥の個室へとメタモンたちを連れていく。
そして奥の部屋にはいると、鍵を掛けてポケモン───ガーディを呼び出した。
「まず言っておくけど、逃げようとしても無駄よ。それから嘘はあなたのためにならないわ」
前置きをおいて、ジュンサーは今日の出来事を訊ね始めた。
しかしながら、ブルーはぐっすり寝ており答えられる状況にない。
メタモンは諦めて、部屋にあるベッドにブルーを寝かせると、ジュンサーの対応をするため、部屋に備え付けの紙に記入していく。
「主人の代わりに答えると言うのね」
「ピギ(そう)」
「では、この町に来た目的から聞きましょうか」
メタモンは器用にジュンサーの問いに筆談で答えていく。
その答えに嘘はないが、本心は隠したままだ。
最後に、サンダーに追い掛けられたと確認したところで、ジュンサーからは同情のような目で見られる。
「まさか、伝説の鳥ポケモンがそんなところにいるなんてね……。運が良いのか悪いのか……。あなたたちが無事で良かったわ。───しばらくは事実確認のために、この町に数日留まってもらうからそのつもりで。ゆっくり休んでいいわよ」
「ピギー(終わった……)」
長く続いた質疑に、メタモンは疲れたのか、何時にも増してぐったりとしている。
ジュンサーはそんなメタモンに気を使って、ガーディを伴うと静かに部屋を出ていった。
メタモンが疲れて寝ている最中。起きたブルーにより、かなり強引にカメールを使って起こされ、事情を説明したところで、長々と説教を受けていた。
「暫くバトルはさせてあげないからね! カメちゃんだけで当分は進みます!」
「ピギー(えー……)」
「駄々をこねてもダメよ! ここに滞在している間に、グリーンたちが追い抜いてるかもしれないでしょ! 先にバッジをゲットして見せびらかそうとしてたのに! 反省してなさい!」
「ピギー、ピギー。ピギピギー……(状態異常しまくりなら、余裕だと思ったんだけどなぁ……。今度は徹底的に瀕死寸前まで追い込むか……)」
メタモンはブルーに怒られたものの、ブルーが求めた方向とは違う方向に反省し始める。
ブルーはひとしきり怒り終えると、ポケモン図鑑を見た。
そこに映っているのは、無人発電所にいたサンダー。
眼光は鋭く、近寄り難い雰囲気を醸し出している。
(こんなポケモン連れてこられても困るわ……)
明らかに扱いきれないポケモンを眺めながら、ブルーはこれまでに撮したポケモンを見て時間を潰した。