ポケモン(仮)   作:ネコ

19 / 45
第19話

 ジュンサーからの質問攻めは次の日に再開された。

 今回のポケモンタワーの出来事に関しては、フジ老人の口添えにより事なきを得たが、無人発電所のサンダーの件は解決していない。そこへ、サンダーを使ってのバトルだったのだから、ブルーが疑われるのも仕方がなかった。

 

「本当に、あなたの手持ちはカメックスとメタモンだけなのね?」

「何度も言ってるでしょ! サンダーなんて持ってないわよ!」

「あなたが倒したロケット団の人が電撃でやられてるのはどう説明するつもり?」

「電気の配線が壊れたんじゃないの?」

 

 これ以上束縛されてなるものかと、ジュンサーへの言い訳にブルーは必死だ。

 フジ老人にも、ブルーのポケモンについて話を聞いていたのだが、全く結果を得ることはできないでいた。

 聞けた内容は、

『ロケット団はガラガラの敵である』

『ロケット団に誘拐されそうになった』

『ブルーが守ってくれた』

『ブルーはカメールで戦い、カメールが進化した』

 それ以外のことは、耳が遠い振りをしたり、最近目が疲れてきたといった言葉で濁され、最後には『流石に老体には長時間の束縛は疲れます』と言われる始末だ。

 ジュンサーとしても、老体に鞭打ってまで事情を聞こうとはせず、各地でロケット団からの被害が増えていることから、ロケット団が加害者であると言うことで、この件を無理矢理終わりにした。

 

「無人発電所については、確かにサンダーと思われるポケモンの形跡があったわ。それに、光を纏った鳥ポケモンも無人発電所の方から飛び立ったのを目撃されてる」

「それじゃあ!」

「ええ。これで一応の解決だから、ブルーさんの拘束を解除します」

「やったー!!」

 

 喜ぶブルーにジュンサーは苦笑いをしながら、机の上に広げられた書類を回収する。

 

「えーっと、ジュンサーさん。ここから一番近いポケモンジムは何処ですか?」

「ここからだと、ヤマブキシティかしらね。シオンタウンから西に行った所にあるわよ」

「次の目的地はそこね!」

 

 ブルーはジュンサーに礼を述べて部屋から出ていった。

 

 ブルーが部屋を出て向かったのはフジ老人の家だった。

 ジュンサーからの情報で、フジ老人がブルーの都合が良いように協力してくれたことが分かったからだ。

 家の場所は分からなかったが、マサキのナビはそんなことはお構いなしとばかりに、フジ老人の家へ案内する。

 

「この発明はストーカーが出そうよね……」

 

 ブルーの独白がマサキに届くことはなく、ブルーはフジ老人の家に着くと、チャイムを鳴らす。

 家の中からは、会ったときと変わりのないフジ老人が、背後にカラカラを連れて出迎えた。

 

「よく来たね」

「この度はありがとうございました」

「私も助けられたのです、お互い様でしょう。立ち話もなんですし、中でお茶でもいかがです?」

「すいません。行きたいところがあるので、この後この町を出るんです。またの機会にお願いします」

「お引き留めしてすいませんね。───おお、そうだ。少しお待ちください」

 

 フジ老人は家の中に入っていき、すぐに戻ってくる。

 その手にはポケモンタワーでフジ老人が吹いていた笛が握られている。

 

「これをお渡しします」

「えーっと……」

「私が持っている笛と同じものですよ。吹いてみると良い音が出ます。旅先で気をまぎらわせるのに使ってください」

「───ありがとうございます」

 

 ブルーはフジ老人から笛を受けとると、リュックの中に仕舞い、改めて頭を下げると、西に向かって爆走していった。

 

「最近の子は足が早いですねぇ……」

 

 フジ老人は呟くと、ブルーを見て怯えていたカラカラの頭に手を置き、安心させるように撫でる。

 

「君も、あの子たちくらいに元気に育ってくださいね」

「カラァ……(ムリ……)」

 

 フジ老人の言葉に、カラカラは悲しそうな返事をする。

 フジ老人はそれには何も言わずに家の中へと入っていった。

 

 

 

 ブルーは、爆走したせいでポケモントレーナーたちをことごとく無視して突き進んでいた。

 中にはブルーが通った衝撃波でやられるポケモンも出てくる始末である。

 そうして辿り着いたヤマブキシティへ入るためのゲート。

 そこで再びブルーは足止めを食らっていた。

 

「何で通れないのよ!」

「工事中だと言ってるだろ」

「工事中だろうが、通れるなら通りたいと言ってるの!」

「工事中は通行禁止だ」

「じゃあどうやってヤマブキシティに行けばいいのよ!」

「工事完了を待つか、他のゲートから入るんだな」

「もういいわよ!」

 

 ゲートの警備員の対応に、ブルーは腹を立てながらゲートを出る。

 ゲートの外には、ブルーと同じようにゲートを通れない他の人が休憩していた。

 

「工事は通行路のみ。つまりは、ヤマブキシティへ通行路を使わずに行けば良いのよ」

 

 メタモンはブルーの言いたいことが分かり、変身して姿を現す。

 

「メタちゃん分かってるわね!」

 

 ブルーはピジョンに変身したメタモンに乗ると、ゲートを飛び越えていく。

 ゲートにいた他のトレーナーは、唖然とその光景を見送っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。