ポケモン(仮)   作:ネコ

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第2話

 少女───ブルーのポケモンとして新たな生活を送ることになったメタモンだが、不満な点がひとつあった。

 

「ダメ! それはいや!」

「ピギピギ!!」

 

 それはメタモンの名前である。

 最初にブルーが決めたメタちゃんという名前を当たり前のように使っていることに対して、メタモンは抗議した。

 口では分からなくとも文字ならば! と、自分の思うカッコいい名前を羅列しているのだが、ブルーは頑として譲ろうとはしなかった。

 結局はメタモンが折れる形となり、最終的に「メタ」という名前で落ち着いた。

 

「メタちゃん。早速登録に行きましょ」

「?」

 

 頭の上に?マークを作り意味が分からないことを伝えると、ブルーは無い胸を張って説明を始めた。

 

「いい? メタちゃん。メタちゃんに使ったモンスターボールは設定ができてないの? その設定をするためには、博士のところに行かないといけないの。分かった?」

「???」

 

 なんとなく言いたいことは分かったのだが、更に詳しい説明を求めるため、頭の?マークを増やしていく。

 ブルーはそのマークを見て、分かるように説明しようとするが、元々そこまで詳しくはないのだろう。

 その目元には涙が浮かび始める。

 

「メタちゃんはわたしのなのー! 盗られたくないのー!」

 

 ブルーが泣き始めたことで、途中から悪ふざけが入っていたメタモンは反省し、ブルーの背中を撫で始める。

 暫くブルーが落ち着くまで慰めた後、メタモンはブルーを乗せて、博士の家に向かった。

 

 家の外に出たメタモンの視界には、様々なものが入ってきた。

 特に目を引いたのは、他の人が連れているポケモンである。

 珍しいポケモンは居なかったものの、現実として見る他のモンスターは新鮮だった。

 

(よく考えれば、あの洞窟で会ったのってゴルバットとゴローンだよな……よく勝てたな……)

 

 メタモンのスライムのような身体で、跳び跳ねながら博士の家に到着し、扉の前でブルーを降ろす。

 少し残念そうにしたものの、ブルーは扉を何度かノックして家の中に入っていった。

 

「博士ー。来たよー」

「おおーよく来たのー。待っておったぞ」

 

 博士と呼ばれた男は、机の上に機械の部品を広げて、小さな箱を弄っていたが、ブルーの姿を確認すると、作業を止めて立ち上がる。

 

「早く! 早く!」

「そう急かすでない」

 

 そんな博士に、ブルーは持っていたモンスターボールを押し付けた。

 博士は苦笑しながら、ブルーから受け取ったモンスターボールをメタモンに向ける。すると、モンスターボールから赤い光がメタモンに向けて飛んでいった。

 そしてメタモンは、飛んできた赤い光を避ける。

 

「!?」

 

 博士は驚いたような表情をしたものの、何度か目をこすり、再びメタモンにモンスターボールを向けたものの、結果は同じだった。

 

「うーむ。モンスターボールに入るのを嫌がっておるようじゃのぉ」

「なんで?」

「それはわしにもわからん」

「メタちゃん! モンスターボールに入るの!」

 

 ブルーはメタモンに向き直り、怒り始める。

 しかし、メタモンとしても、得たいの知れない光には当たりたくないという主張があった。

 

「ピギーー(ええーー)」

「文句を言ってもダメなんだから!」

 

 ブルーは博士からモンスターボールを取り上げると、メタモンに向ける。こうなってしまっては、ブルーが諦めることはない。それがイヤと言うほど分かっていたメタモンは、渋々といった感じで、赤い光を避けることなくモンスターボールの中に入っていった。

 

「はい、博士」

「う、うむ」

 

 笑顔で渡されたモンスターボールを見て、博士はこれからのメタモンの苦労を忍ばずにはいられなかった。

 

 

 

 ブルーのポケモンとしての登録も終わり、メタモンは自分意思でモンスターボールから出てきた。

 ブルーは逃がさないようにメタモンを抱き抱えると、博士に質問する。

 

「博士。メタモンはどんなことができるの?」

「確か、変身することが出来たはずじゃ」

「変身!! 他には!?」

「変身することで変身した相手の技を使えるはずじゃな」

「凄い凄い!!」

「しかしじゃな「帰って特訓よ!」……おーい……」

 

 博士が喋り終える前にブルーは博士の家を出ていく。

 残された博士は、困ったように頭を掻いた。

 

「未成年の子にポケモンはまだ早まったかのぉ……」

 

 本来であれば、15歳から許可の出されるモンスターボールの所持だが、例外的な状況が発生した場合、15歳を待たずして所持することが許される。

 今回はそのうちのひとつである博士からの許可だ。

 普通の研究機関に所属しているだけの博士ではなんの権限も持ち合わせていないが、博士はポケモンに関して、世界でも名の知れた権威であるため、その権限は多岐にわたる。

 そのため、ブルーを登録することが出来たのだった。

 

 

 

 博士の家から飛び出し、ブルーが向かったのは町の外れにある草原だった。

 ブルーはメタモンを草原に降ろすと、メタモンに指示を出す。

 

「さぁ、メタちゃん! 変身!」

「ピピギィ!(分からん!)」

「変身するの!」

 

 一度言い出したら頑固なブルーである。メタモンは態とらしく溜め息を吐く動作をすると、それとなく身体の形を変え始めた。

 しかしながら、出来たのは人のような形だけであり、メタモンが立っただけのように見える。

 

「うーん。これが変身なのかなぁ……?」

「(違うだろうなぁ)」

 

 ブルーは、メタモンの変身と言うものがどういったものか分からないため、首を傾げてみせた。

 メタモンとしても、変身をしてみたいがどうすればいいのか分かっていない。

 色々なものに変身出来るか試したものの、結果としては微妙と言わざるを得なかった。

 

「今日はもう遅いからおしまいね」

 

 出来なかったことを残念に思いながらも、メタモンはブルーに抱き抱えられたことで、すっかり忘れ去り家に帰っていった。

 この時は、まだメタモンがブルーの性格を完全に把握してなかったため気付かなかったが、この後も特訓はメタモンが変身を覚えるまで続けられた。

 

 

 

 数ヵ月の特訓の成果と言うべきか。

 メタモンは変身を修得することに成功していた。

 

「今日もバッチリね!」

「ピギィ……(長かった……)」

 

 メタモンが現在変身しているのは、比較的に何処にでもいるポッポだった。

  最初の変身の切っ掛けは、一番簡単そうで、尚且つよく覚えている相手であるゴローンの変身を練習していたときだった。

 特に前触れもなく、ゴローンの姿をしっかりとイメージして姿を変えていたところ、身体が突如として光だし、次の瞬間にはゴローンの姿になっていたのである。

 一度変身してしまえば、特にイメージせずとも変身した種族を維持することができ、元に戻る際には同様の手順でメタモンに戻るだけだった。

 しかし、イメージだけで変身できるのならと、知っている知識から他のポケモンに変身しようとするも、うまくいかず、結果として会ったことのあるポケモンにしかなれないという事実が発覚したのである。

 そのため、変身が出来るようになってからは、よく野生のポケモンが出てくる草むらにブルーと行くようになった。

 

「いい? 今日はあそこにいるピカチュウに変身するのよ。分かった?」

 

 メタモンは這いつくばって隠れるブルーに丸を作って見せると、メタモンとは思えない速度で、ピカチュウに気づかれることなく近付いていく。

 そして、特にピカチュウを襲うわけでもなく、ジッと観察を始めた。

 観察自体は1分も掛からずに終わり、メタモンはすぐさまブルーの元に戻ってくる。

 

「どう? 出来そう?」

「ピギ!(任せろ!)」

 

 メタモンはブルーの目の前でピカチュウに変身して見せると、自信満々に小さな胸を張ってみせる。

 

「キャー! ピカチュウ可愛い!」

 

 ブルーはピカチュウに変身したメタモンを満足するまで抱き締めると、思い出したようにそのまま立ち上がって駆け出す。

 

「お母さん! ピカチュウよ!」

「あら。今度はピカチュウになったの……。可愛いわね」

「うん!」

 

 こうしてメタモンは、様々なポケモンへと変身していった。

 普通のメタモンとは違うということを周囲も含めて認識しないまま……。

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