ポケモン(仮) 作:ネコ
ゲートを越えてヤマブキシティに来たのは良かったが、ブルーはあまりの出来事に拳を握りしめ、プルプル震えている。
「リーダーの居ないジムになんか存在価値はないわ! ぶっ潰すわよ!」
ブルーは、ジムの扉に貼られた紙を引き剥がし、小さく丸めると、壁に向かって思いっきり投げつける。
紙に書いてあったのは、ジムリーダーがしばらく不在であるため、ジムへの挑戦は出来ないというものだった。
「はぁ……取り敢えず、次に近いのは「ギャッ!」───」
ブルーがマップを広げて見ていると、背後から数人の悲鳴が上がり、ブルーは振り返った。ブルーの背後には、いつの間に近付いたのか、黒い服を纏った男たちが倒れている。
「なんか怪しい人たちね」
「ピギピギピギ!(悪即斬!)」
メタモンがブルーの背後に迫った男たちを電磁波で麻痺させて、眠り粉を撒いたのだが、男たちにそれが分かるはずもなく、襲い掛かったところを返り討ちにされたのだった。
ブルーは見るからに怪しい男たちを観察し、最近見たことを思い出す。
「そう言えば、シオンタウンでも同じような服を来た人たちがいたわね……」
ブルーはポケモンタワーでの出来事を思い出し、通報しようとしたところで手を止めた。
(通報なんてしたら時間が取られるのは間違いないわ……。かと言って放置しておくのも問題のような気がするし……)
しばらく悩んだ挙げ句、匿名での通報をするため、口元を布で覆い、近くの電話ボックスで緊急ボタンを押す。
「…………出ない」
しかし、ブルーのかけた電話が繋がることはなく、最後には留守番電話に繋がった。
「ヤマブキジム前にて不審者が数名倒れています。特徴的な服を着ていることからロケット団と「もしもし!」───」
留守番電話が急に繋がり、ブルーは押し黙った。
「こちらはシオンタウンのジューサーです! ロケット団について───」
思わず電話を切ったブルーは、ゆっくりと電話から離れ、何も聞いてないことにした。
「さて、気を取り直してこのまま西のタマムシシティに行きましょ」
「ピギー(なんかイベントがあったような……)」
メタモンがおぼろげに覚えているのは、何かがあったという記憶だけ。
主要なポケモンの棲息域は、ポケモンを捕まえるために覚えていたが、イベントの会話をほとんどスキップしていたため、内容など覚えていないに等しい。
メタモンは首を傾げながら、ピジョンに再び変身すると、ヤマブキシティを飛び立っていった。
この時、既にロケット団にヤマブキシティが制圧されているなど、誰も予想だにしていなかった。
ヤマブキシティを飛び立ち、快適な空の旅を経て、ブルーたちはタマムシシティに降り立った。
ブルーは始めにポケモンセンターに寄ると、念のためにカメックスの回復を行う。
「よし! 準備万端ね!」
「カメー!(元気一杯!)」
カメックスを連れて訪れたタマムシジム。
ジムの中に入ってみると、植物園のように草木が生い茂り、花が咲き乱れている。
ここは、水ポケモンにとって難関のひとつである草ポケモンのジムだった。
「いらっしゃい。挑戦者かしら?」
「はい!」
「では、こちらに───お名前は?」
「ブルーです」
受け付け嬢はブルーの手持ちポケモン数と、バッチの数を確認すると、建物の奥へとブルーを案内した。
「最近は変なストーカーが出没してるから、私たちで一旦確認することになってるの。時間を貰ってごめんなさいね」
「ストーカーって、ジムの窓にへばりついてた人ですか?」
「まだいるの!? ごめんなさい。このまままっすぐ行けばリーダーに会えるから!」
受け付け嬢は、案内を途中で放り出し、入り口に向けて走っていった。
ブルーはそれを見送ると、ジムの奥へと進んでいく。
ジムの奥には、簡易なテーブルが置かれ、そこでお茶を楽しんでいる集まりが見える。
「すいませんが、ジムリーダーはいますか?」
「私がジムリーダーですよ」
着物を着た女性が立ち上がる。
「ジムに挑戦にきたブルーです! よろしくお願いします!」
「ブルーさんね。私はジムリーダーのエリカ。よろしくね」
ブルーはエリカに近付き挨拶を交わすと、早速とばかりに横手にあるバトルフィールドへ向かった。
「あらあら。血気盛んなのね……」
エリカは受付から送られたデータを確認すると、自らのポケモン二匹を選ぶ。
「私のジムに水ポケモンで……」
エリカは呟くと、モンスターボールを2つ手にしてバトルフィールドへ向かっていった。