ポケモン(仮)   作:ネコ

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第21話

 ブルーのカメックスに対して、エリカが出してきたのはフシギバナ。

 タイプの相性が最悪な上に、フィールドはフシギバナに有利な樹木の密生地。

 流石のブルーも、ジムリーダーに対して愚痴を溢す。

 

「ちょっとジムリーダーとして大人気ないんじゃない?」

「あなたの経歴を見させてもらいました。ここまで全勝無敗。───1度は負けておく経験を積んでおいた方がいいでしょう」

「負けるわけないでしょ!」

 

 両者の間で火花が散り、それを合図として審判が開始を宣言する。

 その宣言を聞いて最初に動いたのはカメックスだった。

 指示なく動くのだから、最速と言ってもいいだろう。

 カメックスは、背中の両サイドについた大型の円筒からみずでっぽうを放つ。

 対するエリカは余裕の表情を崩すことなく、その技を見て焦ることなく指示を出した。

 

「フシギバナ。やどりぎのたねの後にどくのこなよ」

 

 フシギバナは、カメックスのみずでっぽうを鬱陶しそうに受けながらも、エリカからの指示に従い、身動きしないカメックスに向けて種を飛ばす。

 それに気付いたブルーは、素早く指示を出した。

 

「カメちゃん! バブルこうせんをたくさん!」

 

 カメックスはその姿勢のまま大量の泡を放出していく。

 しかし、同じ場所に留まったため、泡の壁を通り抜けたやどりぎのたねが幾つかカメックスに取り憑き、カメックスの体力を奪っていく。

 その変わりに、フシギバナが発した毒の粉は、泡の壁に阻まれカメックスに届くことはなかった。

 

「カメちゃん! 位置を変えながらみずでっぽうよ!」

 

 泡で視界を塞がれているため、フシギバナの姿を視認出来なかったが、カメックスはブルーの指示に従い、フシギバナのいるであろう場所に向けて、みずでっぽうを撃ち続ける。

 対戦相手のフシギバナには、状態異常の技があり、タイプ相性上、敵の攻撃はカメックスに効果は抜群だ。

 消極的ではあるが、敵の攻撃を受けずに遠距離からコツコツとダメージを蓄積させるしかなかった。

 泡が途切れたら補充し、みずでっぽうを放つ。

 戦略的には良かったが、それはフシギバナの放った一撃で脆くも崩れ去った。

 光の光線が、一直線にカメックスを撃ち抜いたのである。

 カメックスはその一撃で弾き飛ばされ、痛みのあまり甲羅に籠ってしまう。

 

「えっ!?」

 

 ブルーは突然の出来事に驚き、固まってしまう。

 そうしている間にも戦況は動いていた。

 フシギバナのつるのむちが泡の壁を破壊し、ブルーたちの前に姿を現す。

 その見た目は疲労を感じさせず、無傷に近かった。

 むしろ、見ている間に疲労さえも回復していく。

 

「草タイプのポケモンに水タイプのポケモンをぶつけるということが如何に愚かなことか分かりましたか?」

「───」

「あなたのカメックスの攻撃は、水タイプとしては大したものですが、私のフシギバナには通用しません。少しずつダメージを重ねようとしたのでしょうが、そもそもこちらには光合成という回復の手段があります。あなたの行ったことは無駄とは言いませんが、悪手と言えるでしょう。───それでもまだ続けますか?」

 

 考える時間を与えているのだろう。エリカはフシギバナに指示を出さず、ブルーを見つめる。

 ブルーは悔しそうに唇を噛み締め、エリカをにらみ返した。

 

「まだ負けてない!」

「───いいでしょう。続けます。フシギバナ! ソーラービーム!」

「カメちゃん! 避けて!」

 

 カメックスは甲羅に籠ったまま、回転をつけて移動し、フシギバナのソーラービームを運よく躱す。

 その回転により、それまでカメックスを苦しめていたやどりぎのたねも回転についていけず弾け飛んでいった。

 

「そのままたいあたりよ!」

「はっぱカッターで牽制後、つるのむちで迎え撃ちなさい!」

 

 両者の指示が同時に飛ぶ。

 カメックスは回転したままフシギバナに円を描きながら高速で接近し、それわフシギバナのはっぱカッターで削る。

 しかし、はっぱカッター程度では、致命的なダメージには足りず、フシギバナはつるのむちでの迎撃に入った。

 カメックスは最後の攻撃と言わんばかりに更に回転数を上げてフシギバナに向かう。

 そのカメックスの重量と速度は、フシギバナのつるのむちで迎撃できるものではなく、両者は激突した。

 競り勝ったのは、フシギバナだった。

 そもそも、カメックスの体力は残りわずかだったのだから、体力が満タンに近いフシギバナに対して、かなり健闘した方だろう。

 ブルーは労りの言葉と共にカメックスをモンスターボールへ戻す。

 

「これで分かったかしら?」

「確かに甘く見てました。1度出直したいと思います」

「もう一匹はいいの?」

「この子はしばらくバトル禁止なんです(出したら勝ってしまいますし……)」

 

 ブルーの呟きはエリカには聞こえなかったが、ブルーについていたメタモンには当然聞こえていた。

 メタモンは戦うことをアピールするため、ブルーの前に姿を現し、ファイティングポーズのような形をとる。

 

「ダメよメタちゃん」

「ピギー!(一撃だけ!)」

「ダメ」

「ピギー……(勝てるのに……)」

 

 ブルーはヤル気満々のメタモンを制止し、エリカに向き直る。

 

「改めて訓練し直してから来ます」

「分かりました。その時を待ってますね」

『ただいまの勝負。ジムリーダーエリカの勝ちとなります。現在96戦95勝1敗0引き分けです』

 

 4つ目のジム戦にして、ブルーは初めて敗北を喫した。

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