ポケモン(仮) 作:ネコ
『それではこれより、ジムリーダーエリカとブルーのバトルを始めます。手持ちポケモンは2体のみ。2体とも戦闘不能になった方が敗けです。準備はよろしいですね? ───試合開始!』
審判の合図を元に、ふたりから指示が飛ぶ。
「ビーム後に回避! 当たるまで続けて!」
「はっぱカッター!」
ブルーの言葉は端的だ。
技名を全て口に出すことなく、次々と指示を出す。
しかし、その行為の大半は無駄に終わった。
カメックスの放ったれいとうビームは、1発でウツボットに当てると、その一撃だけで戦闘不能においやったのである。
後には、ウツボットが放ったであろう幾つもの葉っぱが、舞うようにヒラヒラと上からウツボットに向けて落ちてきていた。
『ウツボット、戦闘不能!』
「…………」
エリカはウツボットを労りながら謝りモンスターボールに戻すと、次のポケモンを呼び出す。
「お願い」
次にエリカが出したのはラフレシア。
上部に咲いた花は大きく、バトルフィールドに出てくると同時に、バトルフィールド全体へラフレシアから漏れ出る甘い香りが漂い始めた。
「出て即技を出させるなんて流石ジムリーダーね! カメちゃん! さっきと一緒よ!」
「違───」
カメックスは、出てきたばかりのラフレシアに照準を終えていたれいとうビームを再び放つ。
エリカは、ブルーの言葉に反論しようと口を開いたが、言い終える前に勝敗は決していた。
ラフレシアは満足に抵抗すら出来ず、氷の彫刻となってしまっていたのである。
『この勝負、挑戦者ブルーの勝利!』
『ただいまの勝負。ブルーの勝ちとなります。賞金については口座をご確認ください。現在2518戦2516 勝1敗1引き分けです』
静まり返ったバトルフィールドに、審判の声と電子音が響く。
ブルーは最初にエリカに負けて以降、一度たりともバトルで負けたことはなかった。
「どうかしら、少しあちらで───」
「何故ですか?」
「え?」
「何故手加減などするんですか?」
「えーっと……」
ブルーは拳を握り締めてエリカを睨み付けた。
エリカはたじたじになりながら、何故ブルーが怒っているのか分からなかったため、必死に宥める。
「手加減などしてないわ。あなたが強くなった証拠よ」
「いえ。あなたの全力に勝たなければ、私が勝ったことにはなりません! 今度こそ全力でお願いします」
「本当に次最後よね?」
「全力で勝負してくれるなら!」
「───分かりました。ポケモンセンターで回復してきます」
エリカはそういうと、ポケモンセンターに向かうべく重い足を動かす。
ブルーは何も言わずに、エリカの後についていった。
「どうかしたの?」
「私も一緒にいきます」
「そうよね。あなたのカメックスも回復しないと」
「いえ。回復してすぐにバトルするためです」
エリカは困惑して立ち止まる。しかしブルーがエリカの手を掴みポケモンセンターへ連行していった。
「助けて……」
エリカの呟きは誰にも聞こえることなく、結局ブルーが納得するまでバトルを続けることになった。
その後、色々とあったことにより打ち解けたエリカとお茶をする。
「それにしても、ブルーはポケモンを増やさないの?」
「んー……。これまで、この子達を鍛えるのに精一杯で考えたことなかったなぁ……」
「他にもいた方が、いろんな場面で助けてくれるから、バトルの事だけを考えずに探してみたらどうかしら?」
「ん~考えてみる」
ブルーはエリカに言われ、はじめて気付いたように思案し始める。
エリカはホッとしたように微笑むと、ブルーの気分転換───ならびに自分の傷心を慰めるため、ブルーをショッピングに誘う。
「これからタマムシデパートに行ってみない? 色んなポケモンのぬいぐるみもあるし、参考にはなると思うわ」
「うん。行ってみる」
ブルーとエリカは、買い物をするため、タマムシデパートへ向かっていった。