ポケモン(仮) 作:ネコ
イーブイはブルーの手持ちポケモンとなったものの、臆病なためか人前ではなかなか姿を表さず、隠れるばかりで関係に何の進展もない。
そこでブルーは、一旦イーブイの事はそっとしておくことにした。
そもそも、人に傷つけられた事がトラウマとなっているのだから、人との関わりを増やして強制的に慣れさせようとしても、更にトラウマが酷くなるだけだと感じたからだ。
そこで、当初の目的通りジムバッジを集めに戻ることにしたのだった。
「次はクチバシテイね」
数日過ごしたマサラタウンから東に飛び去り、海沿いを飛行していく。
クチバシテイは海沿いにあり、この地方における海の玄関口である大きな港が、クチバシテイの観光名所の1つとなっている。
ブルーはクチバシテイへ降り立つと、早速クチバシテイジムの情報収集に努めた。
ポケモンセンターで回復がてらジョーイに確認し、その後は町の中でトレーナーに聞いて回る。
そうして得た情報を元に作戦会議を始めた。
「さて、ジムリーダーは電気タイプということが分かったわ。というわけで、今回カメちゃんはお休みね」
「カメー(はーい)」
「今回はメタちゃんでいきます」
「ピギー(やっとか)」
感慨深そうに、メタモンは呟く。
これまで、トレーナーとのバトルを経験したことはあったが、まともにジムリーダー戦をするのは、ハナダジム以来の事だ。
メタモンはやる気をみなぎらせると、イワークに変身した。
「流石メタちゃん。分かってるわね。───カメちゃんはしっかり見ておくのよ? 万が一メタちゃんが負けたらカメちゃんの番なんだからね?」
「カメー(はーい)」
ブルーはクチバシテイジムに挑戦するポケモンに納得すると、カメックスに注意事項を伝える。
カメックスは何時ものごとく、片手を挙げて理解を示すと、モンスターボールの中へ戻っていった。
ブルーは立ち上がると、クチバシテイのジムへ向けて歩き出す。
クチバシテイのジムには、海兵隊と思わしき服装と、それに見あった肉体をした男たちが、ポケモンと共に鍛えていた。
ブルーはそんな男たち視線を気にする様子もなく堂々と通り抜け、ジムの中へ入る。
ジムの奥には、ジムリーダーであるマチスの姿が見えた。
ブルーはマチスのいるところに向けて、真っ直ぐに突き進んでいく。
途中で違和感のようなものを感じたが、身体に異常は見当たらないため、ブルーが止まることはない。
そんなブルーをマチスは驚いたような目で見ていた。
「あなたがジムリーダーね?」
「───確かに、ミーがこのジムのリーダーね」
「勝負よ!」
「オーケー。最近はジムへのチャレンジャーが少なくて退屈してたよ。ユーの名前とバトルの内容は?」
「私はブルー。ポケモンはこの子だけで戦うわ」
「オー。イッツグレート! ミーも1匹で行くよ。カモン! ライチュウ!」
ブルーのイワークに変身したメタモンに対し、マチスが出したのはライチュウだった。
相性的には、ライチュウが不利だが、ジムリーダーがそんな簡単な事を分からないはずがないと、ブルーは身を引き締めてバトルに挑む。
「これより、クチバジムリーダーマチスと挑戦者ブルーのバッジを賭けたバトルを行います!」
審判の合図と共に両者は動き出す。
「メタちゃん! いわおとし!」
「ライチュウ! スピードスター!」
メタモンは、自分の体を使って上空からライチュウに向かって落下し、ライチュウはそれをスピードスターで迎撃する。
しかし、ライチュウの攻撃は特に効果を出すことが出来ず、イワークの攻撃をまともに受けてしまった。
「メタちゃん! すなかけ!」
「ライチュウ!」
先程の一撃で、ライチュウはフラフラだが、ブルーが手加減などするはずもなく、追撃は続いた。
「すなあらしで閉じ込めて!」
「ランアウェイ!」
すなかけで、ライチュウの視覚を封じ、巻き起こる砂の摩擦で外との連絡手段を取れなくすると共に、外へ逃れる手段を無くす。
「締め付けながらいやなおとよ!」
そうして逃げられないところを、砂嵐ごとイワークはライチュウを締め付けると、ライチュウの耳元で嫌な音を奏で始めた。
未だにぐったりとしているライチュウを、マチスはすぐにモンスターボールへ戻す。
「まだ終わってないわよ?」
「クレイジーガール。ユーの勝ちね」
マチスはバッジをブルーに向けて放ると、ライチュウの入ったモンスターボールを持って、ジムの奥へと入っていった。
「ただいまの勝負、挑戦者ブルーの勝利です!」
勝負の途中で投げ出したマチスに不満は残るものの、バッジを貰えたことで、ブルーは気を取り直す。
「あと一個ね! メタちゃんお疲れさま」
中途半端に終わったバトルに、メタモンも不満は残るものの、元の定位置に戻る。
ブルーは元気よく、元来た道を辿って最短距離でジムを出ていった。
「電気の壁があるはずなのに……」
ジムにいたトレーナーは不思議そうに、ブルーの通った場所へ進む。
「ギャーー!!!」
そして、憐れにもこのジム名物の電気の壁に触れて感電するのであった。