ポケモン(仮) 作:ネコ
ブルーが起床してテントから出ると、メタモンがプルプルと震えながら、ひとつのモンスターボールをブルーに見えるよう掲げて見せる。
ブルーは少し考えたあと、メタモンからモンスターボールを受け取ると、中にポケモンがいることを感じ取り、外に出すべくモンスターボールのボタンを押す。
中から出てきたのは冷気を漂わせる鳥ポケモンだった。
ブルーは溜め息を漏らしながら、ポケモン図鑑で鳥ポケモンの名前を見る。
「フリーザーね……」
表示された説明を読み、ブルーは再度溜め息を漏らす。
そして、メタモンに向き直った。
「あのねメタちゃん。伝説のポケモンだか知らないけど、私のために捕まえてきてくれたのは嬉しいわ。だけど、私にはカメちゃんやイーちゃんもいるし、ましてやメタちゃんがいるのよ? だから、気持ちは嬉しいんだけど、逃がしてあげるわね。ごめんなさい」
ブルーは、フリーザーに向き直って謝ると、モンスターボールを解除して、フリーザーを解き放つ。
自由になったフリーザーは一声鳴くと、そのまま明るくなり始めた空に飛び立っていった。
ブルーはフリーザーが見えなくなるまで手を振り終えると、明らかに元気のないメタモンに近付いて声をかける。
「くよくよしないの! 男の子でしょ!」
ブルーはメタモンを抱き上げて、ギュッと抱き締めた。
メタモンはその行動に驚いたものの、ブルーの為すがままにされ続ける。
「もう変なことはしちゃダメよ?」
「ピギ……(はい……)」
「じゃあ仲直りしましょ。約束破ったらずっと女の子として生ーきる。指切った」
「!?」
強制的に交わされた内容に、メタモンは顔を振って拒否を示すが、ブルーはうんうんと勝手に納得して頷くと、メタモンをポンポンと叩き背伸びをする。
そして、カメックスを起こすと、もう一体のポケモンであるイーブイを出すと、抱き上げてメタモンに渡した。
「メタちゃんは、今日からイーちゃんのお世話係ね」
イーブイは急に起こされ、更にブルーに抱えられて怯えていたものの、メタモンの上に乗せられると、安心したように再び眠りにつく。
メタモンは、頭にイーブイを乗せたまま、ゆらゆらとブルーに対して抗議するが、どこかその行動は弱々しかった。
その後は、カメックスの背にブルー。
メタモンの背にイーブイが乗ってグレンタウンに向かう。
ブルーは暢気に鼻唄を奏でながら、飲み物を片手にリラックスしている。
「あれが、グレンタウンね」
視界に映り始めた島の上に立ち並ぶ建物をみながらブルーが呟く。
上陸した島には建物が点在しており、その中央にはポケモンセンターが、全体を見渡せる位置に建っていた。
ブルーはポケモンたちを回復させると、グレンタウンのジムについて聞き込みを行い、今回のジムリーダー戦の勝利を確信した。
「まさか、最後の最後で炎タイプだなんてついてる。カメちゃんで負けることなんて有り得ないわね」
「ピギー(油断大敵)」
「分かってるわよ。気を付けるのは、火傷なんかの状態異常くらいかしら? ───分かった? カメちゃん」
「カメー(分かったー)」
カメックスの片手を挙げた返事を確認して、ブルーはジムの中へ入っていく。
そして、数分後に出てくると、無事にジムバッジをゲットしていた。
「予想通りに炎タイプね。初めがポニータからで、次がギャロップ。終わればブーバーにキュウコン、更にはウインデイ。一番強かったのはリザードンかしら?」
「ピギー(敵が可哀想だった)」
最後のジム戦だけあって、ポケモンバトルは初めて6対6となった。
しかしながら、ブルーが持っているのは3体のみ。
そのため、6対3を余儀なくされたのだが、結局ブルーはカメックスのみでジムリーダーのポケモンを下したのだった。
ジムバッジを手渡されたときに、ジムリーダーからは、「もう君は、私を相手にすることはないだろう」と、炎タイプに対してすべき事は何もないと言わしめたほどである。
それでもブルーは特訓と称したバトルを何度か行い、ジムリーダーのカツラが、歳を理由にやめてくれと言ってくるまで続け、カメックスとメタモンを鍛えていった。
「カントー地方の大会は春先だから、この冬はマサラタウンで特訓よ!」
ブルーたちは、ジムリーダー戦を終えるとポケモンセンターで一泊し、実家のマサラタウンに帰るため、お土産を買いにグレンタウンの町を廻り始める。
グレンタウンでは、露天などが数多く出ており、その内の1つでブルーは足を止める。
「これは何の販売?」
「お? お嬢ちゃん見るのは初めてかい? こいつは、コイキングと言って魚の王さま的なポケモンさ」
「ふーん……。強いの?」
「それはお嬢ちゃんの育て方次第だね」
「んー……」
ブルーは少し考え込んで、ポケモンの値段を見る。
コイキングの値段は5千円。
普通なら買うことはないが、このコイキングは普通のコイキングとは色が違った。金色だ。
露店商の説明は信じられるものではなかったが、色の違うポケモンには不思議な魅力がある。
露店商は、ブルーが購入するか値段で迷っていることを悟ると、更に値下げをしてきた。
「今なら千円にしてあげよう。どうする?」
「千円なら買うわ」
「まいどありー」
ブルーはコイキングの入ったモンスターボールを受け取ると、じっくりと見るためコイキングを外に出す。
コイキングはブルーの目の前でジタバタと跳ね始めた。
それにより、コイキングに塗られた色が剥がれ始める。
「…………」
ブルーは露店商に文句を言おうと振り返ったが、既に露店商の姿はない。
いつもであれば、真っ先に動くメタモンはというと、コイキングを近くでじっとコイキングを見つめていた。
「ピギピギー(こいつほんとの色違いだ)」
コイキングの金メッキが剥がれた下には、普通の色ではなく青色の鱗が見えていた。