ポケモン(仮)   作:ネコ

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第33話

 マサラタウンに帰ってきたブルーは、母親にせがまれて、これまでの事を語って聞かせ、その間ポケモンたちは家の裏手にある庭で、それぞれ自由にしていた。

 最初は木が一本しかなかった庭には、大きな池が出来上がっており、その中では状況がよくわかっていない青色のコイキングが、ボーッとしていた。

 その池の縁では、カメックスが甲羅干しをしており、その砲台からは、時折水が出てきている。

 木の陰では、メタモンが疲れたように体を投げ出して、その上にはイーブイが定位置とばかりに乗っている。

 そこへ、長い話を終えたブルーが顔を出した。

 

「あれ? うちに池なんてあったかしら?」

 

 殺風景なはずの庭が、変わっていれば多少の疑問を持つものだろう。

 しかし、そんな疑問は、これからの事を考えれば些細なことだった。

 

「これから冬の間は、主にイーちゃんとコイちゃんの特訓をするから」

 

 その言葉に、イーブイは立てていた耳を下ろしてメタモンにへばりつくように爪を立てる。

 メタモンは、そんなイーブイの行動を気にした様子もなくブルーを見た。

 

「やっぱり、カメちゃんとメタちゃんだけでは何かあったときに……。何とかなりそうだけど、他の子もバトルが出来れば、負担は分散されるし良いと思うのよね」

 

 ブルーは、カメックスとその後に控えるメタモンが続けて負けるようなイメージが湧かず言い直す。

 この2体だけでポケモンリーグを制覇できるような気はするのだが、手持ちポケモンが多い方が保険的にも安心はできる。

 しかし、現状の鍛えるべきポケモンは、戦うことを嫌がるイーブイに、戦うことすら出来るかわからないコイキング。

 鍛えて本当に強くなるのかはブルーにも分からなかった。

 

 

 

 特訓が始まって最初に行ったのは、基礎トレーニング───などではなく、地道なコミニケーションだった。

 これまで、世話をメタモンに任せていたせいか、イーブイはブルーに怯えるばかりで指示に従わずにメタモンの影に隠れる。

 その一方でコイキングの方は陸に上がると、はねるばかりで指示が聞こえているのかさっぱり分からなかった。

 それからというもの、ブルーは毎日、ポケモンと一緒に生活を続け、やっとの事でイーブイが慣れてきた頃には、冬の最中になっていた。

 そんな1日の終わりに、風呂上がって自室に戻って、イーブイの毛繕いをしながら、テレビをつける。

 

『───も残すところ後僅かとなりました。そこで、今年一年を振り返ってみることにしましょう』

 

 何となくブルーも旅に出てからのことを思い出す。

 

 

 

『カントー地方における今年一番の話題と言えば、やはりロケット団でしょう』

 

 最初はメタモンと旅に出ようとしたところで、博士からカメちゃんを貰ったのよね。

 

『このロケット団ですが、なんとヤマブキシティを一時的にではありますが占拠していたのです。その驚きの手口とは!』

 

 それから初めてトキワジムでジムリーダーと戦って、カメちゃんは何も出来ないまま負けた。

 

『なんと、大胆にもヤマブキシティを繋ぐゲートをすべて通行不能にし、ジムリーダーや手強いトレーナーなどの相手には一般市民を盾にして監禁していたとのことです!』

 

 あそこでメタちゃんがいなかったら、何も出来ないまま初めてのジム戦は終わったでしょうね。

 

『これを救ったのは、マサラタウン出身のレッドとブルー! レッドは単身で組織の幹部を追い詰め、ヤマブキシティを襲っていたロケット団を撤退に追いやっています! このレッドはタマムシシティのアジトも壊滅させており、トレーナーになって一年とは考えられない活躍です!』

 

 トキワジムで勝利し、そのままの勢いでトキワの森をがむしゃらに駆け抜けて、次のジムに挑戦。

 

『レッドによって追いやられたロケット団ですが、ヤマブキシティを去り際に時間稼ぎのためか放火しており、ビルの幾つかが炎に包まれました』

 

 ニビジムのリーダーは、なんか目線に嫌らしいものがあるし、生理的に受け付けなかったから、カメちゃんですぐに勝とうとしたけど、最後にメタちゃんが入っていっちゃったのよね。それがバレないようにジムをすぐに出たけど……。

 

『そのビルをポケモンポリスが率いる消火隊で囲み消火に当たりましたが、火の勢いは中々衰えることはありませんでした』

 

 ニビを出てハナダシティへ行くために、お月見山にも登ったっけ……。あそこでは、メタちゃんに迷惑かけたのよね。

 

『そこで現れたのは、次代の氷の女王と呼ばれているブルーです! 彼女もレッドと同じくマサラタウン出身で、今年からトレーナーになっています!』

 

 お月見山の頂上でピッピやピクシーがいっぱいいるし、滅多に会えないポケモンだなんて確実に嘘と思ったわ。

 

『その彼女について調べたところによると、このブルー。一部の地域で魔王との呼び名があるそうです! トレーナーの間では割りと有名であり、目を合わせたらバトルを挑まれるとの事で、相手の心が折れるまで戦いを挑む上に、1度たりとも負けたことがないことから、その呼び名が付いたようですね』

 

 そして到着したハナダで、少し寄り道してからジム戦に挑んだものの、カメちゃんでは難しくて、結局メタちゃんの力を使ったのよね。

 

『あるジムリーダーの話によると、勝つことしか考えておらず、勝つためにはあらゆる努力をしてくるそうで、そういった点はポケモントレーナーとして見習うべきところです』

 

 そこからは、カメちゃんを鍛えながら次の町に向かって、無人発電所にも行ったけど、結局収穫はなし。まあ、そこまで期待はしてなかったんだけど。

 

『次に注目すべきは、カントー地方へ数年ぶりに訪れたサントアンヌ号でしょう。この豪華客船には、全世界のお客様を乗せており、ポケモンについても、色々なタイプのポケモンが一緒に乗船していました』

 

 その後、色々あって暇潰しにポケモンタワーに登って、初めてロケット団と対峙したのよね。おじいさんがいなかったらまた拘束帰還が長引くところだったわ。何かの機会にシオンタウンに行ったらお礼を言いましょ。

 

『乗客の方に話を聞いてみますと、1度乗ってしまうと降りたくなくなるそうです! それほどまでに設備が充実しており、乗船されたお客様の心をガッチリと握って離さない! 究極の豪華客船と言えるでしょう!』

 

 タマムシシティ。ここが初めて負けた場所。

 カメちゃんを頑張って鍛えて、一生懸命指示した結果、負けちゃった時は辛かったなぁ。今までの努力がすべて否定されたみたいで……。

 

『残念ながら、サントアンヌ号は出港してしまったため、次にカントー地方に訪れるのは数年先となります。見てみたいと思われた方は、サントアンヌ号の停泊している港を調べて向かいましょう』

 

 そこからは、訓練に訓練を重ねた。

 苦手なものから得意なものまで、全てに勝てるよう全力で訓練を行った。

 

『冬を越えると、ポケモンリーグの季節となります。今年における新しい挑戦権を獲得しているのは、カントー地方においては3名のみ!』

 

 その途中で、引き分けになったのはワタルと名乗った人だろう。

 一対一でポケモン勝負を挑んで、私のカメちゃんと同レベルのポケモンを持っていた。

 もし、あの人がポケモンリーグに出るならば、全力で立ち向かわないといけない。

 

『先程話題に上がった、レッドとブルー。ここへ、同じくマサラタウン出身のグリーンが加わります! このグリーンはオーキド博士の孫であり、幼い頃から親に連れられフィールドワークをしており、将来かなりの有望な人材として期待されているようです』

 

 カメちゃんを鍛えたら、今度は鍛えすぎたのか、ジムリーダーが弱く感じたのよね。

 エリカ大丈夫なのかしら? ジムーリーダーを下ろされたりとかしないわよね?

 

『ここからは、この三人について詳しいオーキド博士にお話を伺いましょう。───マサラタウンのオーキド博士!』

『呼んだかな?』

 

 その後は、ヤマブキシティの事件で救助の手伝いをして、ジムリーダー2連戦をしたのよね。あの毒はかなり厳しかったわ。

 

『博士。レッド、ブルー、グリーンについて教えてください』

『そうさなぁ、取り合えず3人ともに言えるが、ポケモントレーナーとしての才能はあるようじゃ。ただし、昔の生活態度は酷いもんじゃった』

 

 ん?

 

 

 

 そこでブルーは、オーキド博士がテレビに写っていることを認識した。

 そして、聞いているうちに自分の事であると認識する。

 

「メタちゃん。お仕置きしてきなさい」

 

 ブルーはメタモンに指示を出す。

 メタモンはすぐに部屋を出ていき、暫くするとテレビの映像が途切れ、再び映ったときには、オーキドが頭を爆発させた状態で映った。

 

『どうしたんですか!?』

『あやつが帰ってきていたのを忘れとった……』

『オーキド博士ーー!!』

 

 そのままオーキド博士は机の上に倒れこみ、映像は元のニュースキャスターに戻り、何事も無かったように続きを進める。

 この日ブルーは、続きの回想にひたりながら、顔を赤くしたりして、ベッドへ横になった。

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