ポケモン(仮) 作:ネコ
シバに勝利してからというもの、ブルーを見る他のトレーナーの視線に変化があった。
これまでは、興味をもって見ていた視線も、どこか恐れのようなものへと変わっていたのだ。
そこには、シバとの戦闘に勝利したことで、過去の噂が広まったことが原因なのだが、ブルーには分かりようがない。
ブルーはその視線を逃れるため、ベスト4になってから案内された部屋で、他の試合の中継を見ている。
ベスト8による試合は残すところ3戦。
ベスト8からは、試合が順番に行われていく。
そのうちの一戦は、始まってそう時間がかからずに終わりを迎えようとしていた。
勝利目前なのは、前回チャンピオンであるワタル。
次にブルーが戦うことになる相手である。
ブルーは、モニターをしっかりと見ていたが、出てきたポケモンは見事なまでに統一されたポケモンだった。
「私の目の錯覚かしら? カイリューが3体にシードラが出てきたような気がしたんだけど……」
「気のせいじゃないな。あの時戦ったハクリュウが進化したんだろ」
「同じポケモンを使えるなんて聞いてないわよ!」
ブルーは人型メタモンの首を掴み振り回す。
メタモンは全く気にせず話を続けた。
「普通は相性の問題もあるし、タイプを気にして色んなポケモンを揃えるのが普通だ」
「そうよね? なのにあんなポケモンばかりってことは……」
「現状では、ドラゴンタイプの弱点は少ないからな」
「───やばいわよ……ハクリュウの時でさえ、カメちゃんと互角だったのに……。しかも、まだ後2体控えてるポケモンまでいるし……対策の立てようがないじゃない……」
「ワタルのポケモンは他に何がいたっけかなぁ……確かプテラと……思い出せん……」
「思い出しなさい!」
必死にブルーがメタモンの身体を揺らす。そんなことをすれば、普通は思い出すことも困難になるだろうが、メタモンには然したる障害にもならない。
「あぁ。ギャラドスだ!」
「コイちゃんと同じ種族ね」
ブルーは、分かっている情報を紙にまとめ、ポケモンごとに書き出していく。
ワタルの手持ちは、カイリュー3体に、シードラ、ギャラドス、プテラ。
メタモンがその横にタイプを記載し、おおよその技構成も記載していった。
「ちょっと待ちなさい。空飛んでるのに岩タイプってどう言うことよ?」
「そういうタイプなんだから仕方ないだろ」
その後も検討を繰り返すが、勝てる見込みは薄いと言っても過言ではなかった。
現状、ブルーの手持ちポケモンで勝率を計算した場合、メタモンは必勝として、カメックスはよくて辛勝。イーブイは相手のタイプによるところがあり、ギャラドスやシードラであれば勝てるが、カイリューに当たれば負ける可能性が高い。これはレアコイルも一緒だろう。
次にギャラドスだが、どれらにも勝てる可能性は低いといっていい。そしてラッキーについては、最初の補助さえ積むことがあれば、どのようなポケモンでも勝てる可能性が高い。
それらのことから考えると、ポイントはイーブイとレアコイル。この2体に勝敗は掛かっていた。
「んー考えても仕方ないわね……」
ブルーはモニターに映し出された明日の組み合わせを見る。
組み合わせはブルー対ワタル。
もう一組はレッドとグリーンだった。
レッドはカンナを撃破し、グリーンはキクコを撃破している。
ベスト4はチャンピオンを除いて、今年なったばかりの新人トレーナーに負けたのだ。これは、カントー地方のトレーナーに衝撃を与えていた。
ブルーは溜め息を吐くと、明日の組み合わせを悩みつつ、ポケモンが覚えている技でどのように攻略すべきか考えていく。
それだけで、その日は過ぎ去っていった。