ポケモン(仮) 作:ネコ
ブルーはひとりでモンスターボールを見ながら、次の対戦について考えていたが、全く良い案が浮かばなかった。
これ以上考えても仕方がないと、電気を消して寝ているポケモンを一通り撫でると、そのままベッドに入る。
考えすぎたため疲れたのか、ブルーはすぐに眠ってしまった。
そのブルーの部屋に、忍び寄る影があった。
影は暗くなったブルーの部屋の鍵を開けると、静かに入り、少ししてから出てくる。
その手には、黒い袋が握られていた。
その翌日、カントー地方を揺るがす大事件となるのだが、この時には誰にも想像などつかなかった。
メタモンは、回りが騒がしくなってきたことで目を覚ます。
『うるさいなー』
『兄貴が起きたー!』
『親分ヤバイですよ!』
『痛いのヤダよ……』
『ダセーー!!』
『zzzZZZ』
騒がしいのは、ブルーの所持しているポケモンたちが、メタモンの入ったボールの回りで、ボール内から騒いでいるためだった。
『ん……ここどこだ?』
『どうやら私たち誘拐されたみたいなんですよ!』
『んじゃ帰るか』
『いやいや。このモンスターボールから私たち出れませんから、流石の兄貴でも……』
モンスターボールは、不思議な光を当てられているためか、全くと言っていいほど開く気配はない。
『なんかイラッとくるな』
『これからどうしましょう……?』
『いっちょ暴れますか?』
不安そうに聞いてくるカメックスと、好戦的なギャラドスには答えず、メタモンは周囲の状況を確認する。
そこには、メタモンたちと同様に他のモンスターボールも並べられていた。
『ここが何処かわかるか?』
『…………』
誰も分かるものはおらず、皆首を振る。
メタモンは盛大に溜め息を吐くと、あるポケモンへ変身した。
『まあ、出力上げてけばなんとかなるだろ』
メタモンは気合いを入れてサイコキネシスの出力を上げていく。
しかし、メタモンの予想以上に脆かったモンスターボールは、出力を10%も出さない内に呆気なく開閉部分が壊れて、中にいたメタモンを外に排出した。
『やっぱ無理に開けたら壊れるよなぁ……』
『流石兄貴!』
『親分にどこまでもついていきます!』
『助けてメタ兄ぃ……』
『おぉ!』
『zzzZZZ』
メタモンが出たことが当たり前だと思う一方で、簡単に脱出して見せたことに驚いたのは他のトレーナーのポケモンたちだった。
驚いたのもつかの間。俺も、私もと、うるさくなり始める。
『静かにしろ面倒臭い』
『…………』
メタモンの威圧を含めた言葉により、部屋は静かになる。
『取り敢えずさ、ここを潰すからここで静かにしててくれないか?』
『私たちも手伝う』
『そう言うことは、自分の拘束を外してから言ってくれ』
『…………』
押し黙ったポケモンたちを見渡して、メタモンは幾つか質問する。
『自分のメンバーでいないポケモンはいるか?』
『…………』
『───いないみたいだな。んじゃいっちょやりますかね』
メタモンはサイコキネシスで光を全て破壊すると、そのままモンスターボールを片方の手元に集める。
そして集め終えると、ポケモンたちにとって信じられないことをやってのけた。
足で地震を起こし、片手からは全てを溶かすほどの熱量を持つ火炎放射を周辺一帯へ放ち、口からは上部に向けて極大の破壊光線を放つ。
破壊の嵐を巻き起こしながら次第に上空へ浮き上がっていき、外へ出たところで停止した。
『んー……トキワシティか』
メタモンたちがいたのはトキワシティのジムだった。
ジムは、地下の部分が崩れ落ちており、上に乗っていたジムの部分も合わせて地面に沈んでいく。
それを確認したメタモンは、上空から更に吹雪で凍らせ極寒地獄とし、それを今度は炎の渦で灼熱地獄へと変える。そして、水気をたっぷり含んだ地面に向けて特大の雷を落とし、中にいるであろう者たちへ情け容赦なく追撃を食らわせていった。
『これくらいしとけばいいか?』
メタモンは、気が済んだのか、テレポートを使いポケモンリーグの会場に跳んだ。
入り口は突然現れた宙に浮かぶポケモンに騒然となり、すぐに人が集まってくる。
メタモンの目当ての人物───ブルーはすぐに現れた。
メタモンは持ってきたモンスターボールを適当に解放すると、ブルーのポケモンたちを連れてブルーの元に飛んでいく。
「メタちゃんお帰り」
「ピギー(ただいま)」
ブルーは泣き腫らした顔でメタモンを出迎えると、メタモンを抱き締めて暫く離すことがなかった。
今回の事件は、トキワシティのジムリーダーが関与していることが判明し、まるで災害が起こったような跡地からは、ロケット団との繋がりがあったことが分かった。
しかし、当のジムリーダーであるサカキは既に行方を眩ませており、指名手配が全国に渡るまでそう時間は掛からなかった。