ポケモン(仮) 作:ネコ
ポケモンリーグは、ポケモンの誘拐と、それに加えて突如トキワを襲った局所的な大地震、ならびにあり得ないほどの荒れ狂う天候がトキワジムを襲ったことにより、急遽延期というなの中止が発表された。
会場に来ていた観客やトレーナーは最後のバトルが見れずに苦情が殺到したものの、トキワシティの現状を知って沈静化する。
そして、誘拐されたポケモンからの情報により、トキワジムが関与していることが分かったのだが、肝心のジムが壊滅していることから、捜査は足踏みを余儀なくされていた。
ポケモンの戻ってきたトレーナーたちは、ポケモンたちが誘拐された事から、捜査の協力を承諾していたため、みんなでトキワシティの復旧とジムの瓦礫撤去に勤しんでいた。
「はぁ……。起きたばかりでイライラしてたからって限度があるでしょ」
「ピギピギ!(誘拐犯には制裁を!)」
メタモンはフーディンに変身してサイコキネシスにより瓦礫の撤去作業をしながら、ブルーに反論する。
ブルーは盛大に溜め息を吐きながら、瓦礫にくっついた紙や機械を他のポケモンと一緒に分別していく。
「まあ、制裁がジムだけなら私も百歩譲って堪えるけど、近くにも被害が出てるんだから言いたくなるでしょ。損害賠償請求されなかっただけましね。そこはジムリーダーの責任になるみたいだし」
ブルーは額に浮かぶ汗を拭いながら、周囲を見た。
ジムから数十メートルに亘り、地面に亀裂が入り、それが他の住宅や店舗にまで影響を与えている。
その復旧には、ベスト8まで残ったメンバーとトキワシティの住人、ボランティアで来た人たちが携わっていた。
そして、自分達の作業現場を見ると、ジムの片付けにはジュンサーとブルーならびにブルーのポケモンたちしか作業をしていない。
ブルーは改めて溜め息を吐いた。
こうなった原因はメタモンにある。
他のトレーナー───特にベスト8に残ったトレーナーのポケモンたちがメタモンを恐れて近付こうとしないのだ。
しかも、応援に来てくれたトレーナーのポケモンもその空気を感じ取ったのか、同じように近付こうとしない。
そのため、ジムを壊滅に追いやったメタモンに責任を持って回収作業に当たって貰うことになり、ブルーはメタモンのトレーナーということから、ジムに割り当てられたのだった。
「ジム回収を拒否するなんて……ポケモンリーグも中止になったし、絶対3人にはバトルを仕掛けてやるわ」
このブルーの呟きにより、一部のポケモンが身震いをするのだが、ブルーに伝わることはなかった。
この回収作業だが、地中からは人が全くと言っていいほど出てくることはなかった。
その理由はメタモンのみ知るのだが、それが分かるのはロケット団のみで、そのロケット団もこの場にはおらず逃げ回っている。
メタモンは黙々と、ブルーに気付かれることがないよう細心の注意を払って作業を続けた。
瓦礫の撤去と施設にあったデータの回収は数日で完了し、後はポケモンポリスの手に委ねられた。
そうして、暫くトキワシティで待機しておくように言い渡されたのだが、この好機を逃すまいと、ブルーは動き出す。
「レッドを知らない?」
「レッドは実家に帰ったな」
「えっ!?」
「グリーンもジュンサーに断りを入れて戻っておったぞ。マサラタウンはここから近いしの」
訊ねたシバはブルーの問いに簡潔に答え、それを補足する形でキクコが答える。
「そんなのありなの?」
「許可を貰っとるからいいんじゃろ」
キクコの言葉に、ブルーはがっくりと項垂れたものの、まだ一人いると知って顔を上げる。
「じゃあワタルは!?」
「ジュンサーさんからの依頼で、各地のジムを回ってるみたいね」
カンナの言葉に、再度ブルーは肩を落とす。
「なんぞ用事でもあるのかい?」
「んー……。居ないものは仕方がないし、またの機会にするわ。───その話と関連あるんだけど、今あいてる?」
ブルーはカンナとキクコを見て訊ねる。
「まあ、こんな状態だし、数日は暇ね」
「───わしは年のせいか体が弱ってるからね。この機会にゆっくり休ませてもらうよ」
カンナは関連があると言うことから、探し出す手伝いだろうと気軽に考え、キクコは少し考えてから断りを入れる。
「じゃあ、カンナさんにお願いがあるんだけどいい?」
「まあ、暇だしいいわよ」
「やった! 早速バトルしましょ?」
「え?」
カンナのポケモンたちはその言葉を聞いて、ボールの中から一斉にカンナに向けてばってんをしてみせる。
「断られるかと思ったけど、承諾してくれてよかったわ! じゃあ外にいきましょ!」
「え!? ちょ!?」
ブルーからのお願いを断る前にカンナはブルーに捕まり、建物の外へ連れていかれる。
「流石だな。私もトレーニングを行うとしよう」
「若いもんにはついていけないね」
シバはその場から立ち上がり、建物を出ていく。
キクコはコーヒーを飲みながら、窓の外で嬉々としてバトルの準備をするブルーと、何処か諦めたような表情のカンナを面白そうに見ていた。