ポケモン(仮)   作:ネコ

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第8話

 ブルーは、ゼニガメの元へ駆け寄り、気絶したゼニガメをモンスターボールの中へ戻す。

 

「おつかれさま、カメちゃん」

「勝負の最中にフィールドへ入らないように! 今回は明らかに双方戦闘不能ですが、通常であれば失格ですよ!」

「ごめんなさい」

「気を付けるように……。今回の勝負は挑戦者ブルーの勝利とする!」

『ただいまの勝負。ブルーの勝ちとなりました。賞金については口座をご確認ください。現在4戦4勝0敗0引き分けです』

 

 ブルーは、審判に対して深々と腰を折って謝罪しながら、地面へと視線をはしらせていた。

 そして、あるものを見つけると、不自然ではないようにイワークへ身体を向ける。

 

「イワークを見せてもらっていいですか?」

「構わないが、早く休ませてあげたいから、手早くお願いするよ。それと、これがニビジムのバッチだ」

「ありがとうございます」

 

 イワークの元へ近付いてきていたタケシへ確認し、バッチを受けとると、ブルーはポケモン図鑑を取り出して、イワークの全体を写すために少し離れる。

 そして、やや周囲の色と違う色の地面まで来ると、その上に乗って、力強く足を踏み締めイワークにポケモン図鑑を向ける。

 

「試合中もしていたが、それはなんなんだい?」

「オーキド博士に、色んなポケモンをこれで撮ってくるように頼まれたんです」

「なるほど……今回は俺だったから良かったが、相手によっては不快感を示す人もいるから、相手の了承を得た方がいい」

「気を付け───!?」

 

 話している途中で、ブルーはいきなり背筋を伸ばし、ほんの数秒固まる。

 そして、タケシたちに聞こえない小さな声で何事か呟くと、ポケモン図鑑をリュックへ直した。

 

「もういいのか?」

「はい。ありがとうございました」

 

 タケシはイワークを労りながらボールへ戻す。

 

「それでは、私はこれで!」

「あっ! ちょっと!」

 

 愛想笑いを浮かべたまま、物凄い勢いでブルーはジムを去っていく。

 残されたタケシは、ブルーへ手を伸ばしたまま立ち止まっていた。

 

「あれは振られたってことでいいのか?」

「しっ! タケシさんに聞こえるだろ!」

「でも、バトル中に告白は……」

「だよなぁ……」

 

 タケシの取り巻きだった男たちは、審判をしていた者を含め、誰もバトルの内容に触れようとはせず、何故ブルーが逃げるように立ち去ったのかを勘違いしたままだった。

 

 

 

 ブルーは、全力で逃げた後、ポケモンセンターでポケモンを回復しつつ休憩していた。

 

「全く! ダメでしょメタちゃん! 勝手に動いたりしちゃ! もう夜更かしは許さないからね!」

 

 休憩と言うよりも、説教と言うべきだろう。

 メタモンに対して言っているのだが、端から見れば一人で怒っているように見える。

 

「えーっと……ブルーさん、良いですか?」

「えっ……あっはい!」

 

 説教の途中でジョーイに呼び掛けられ、ブルーは説教を止めてジョーイに向き直る。

 

「お預かりしたポケモンの回復は終わりました。またのご利用をお願いします」

 

 ジョーイは困ったような笑顔のまま、ブルーへモンスターボールを返すと、ブルーの行動を見張るように、動かず見ている。

 ブルーはその行動がよく分かっていなかったが、ポケモンセンターにいる他のトレーナーの視線が何故か自分に集まっていることが分かると、居心地悪そうにリュックを背負ってポケモンセンターを出た。

 

「何だったのかしら、さっきの人たち……」

 

 理由がわからないまま、外へ出たブルーは朝に立てた予定を思い出し、先ほどのことを忘れるべく、買い物に出掛ける。

 

「あ……お金おろさないと」

 

 お店につく前に、銀行へと立ち寄り、母親から貰っていた通帳で口座の中を確認し───

 

「……!?」

 

 これまでは、数千円の単位しか扱ったことがなかった。

 そして、その数千円を口座からおろすべく、いま入っている額を見た。

 そこまではいい。

 しかし、そこからが問題だった。

 通帳に入っている額は、ブルーが見たこともない額だ。

 見に覚えのないお金が、一気に十数万も入っていれば誰しも驚くだろう。

 母親が渡す前に、少しだけ入れておいたと言われても、明らかにおかしい金額だ。

 ブルーは表示されたモニターの前で悩んでいたが、ある結論に至る。

 

「ポケモントレーナーって儲かるのね」

 

 その後は疑問に思うこともなく、ほとんどを一度に下ろすと、ドキドキしながら財布へと仕舞い、ゆっくりとリュックの中へ入れる。

 

「いっぱい服を買うわよ!」

 

 ブルーは思わぬ収入に、拳を握りしめ、意気揚々と買い物へ出掛けた。

 

 色々な服を物色し、気に入ったものを幾つも購入したブルーは、次いでゼニガメの物も幾つか購入した。

 ゼニガメもメスであるためか、買い物には乗り気であり、優に数時間は買い物に時間を掛けており、洋服を買うための買い物に全く興味のないメタモンは、珍しいポケモンが居ないか、周囲に目を向けていた。

 買い物が終われば、今度は試着会の始まりである。

 一度、試着はしてみたものの、現在持っている服とのコーディネートを試すため、ポケモンセンターで宿を取り、部屋でゼニガメと共に話し合っている。

 ポケモンセンターに戻ってきたときは、ジョーイさんに微妙な顔をされたが、既に夜になっていたこともあり、そのまま部屋に案内された。

 

「こんなのはどう?」

「カメー(いいよー)」

「ピギー……?(いつまで続くの……?)」

 

 ブルーのドレスアップに、ゼニガメは拍手で答え、終わりの見えない試着会にメタモンはやる気のない拍手を返す。

 ブルーはそれに気を良くして、次々に着替えていき、この日はそれだけで時間が費やされた。

 

 次の日。

 購入した洋服は全て転送システムで預けると、次の町へ向けてブルーはニビシティを後にした。

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