二一〇五三八〇外門 ペリドット通り 噴水広場
私はうさぎさんの後ろをのんびり歩いているいました。
「ジン坊ちゃーん!!」
前を歩くうさぎさんが大声を上げるまでは。いきなり叫ばれると驚きますし耳が痛いです。
叩いてもいいですかね?いいですよね?叩きます。
「うぎゃっ、な、何をするのですか!」
「叩いただけですが?」
誰だっていきなり近くで騒がれると叩きたくなりますよね?あら、なりませんか?また私は間違えたのでしょうか?まぁ、気にしないことにしましょう。私は悪くありませんから。
「何故叩くのですか!」
「いきなり大声で叫んだのはうさぎさんでしょう?叫ばれるとつい叩きたくなったのです。」
「………はぁ」
あれ?何故でしょういきなり黙り込んで溜息を吐かれました。やはり私が間違っていたのでしょうか?
「黒ウサギー!」
あの子が先程呼んでいたジンという子でしょうか?子供にしか見えないのですが…あのダボダボの服のせいですかね?
「大丈夫?さっき思いっきり叩かれていたけど…」
「えぇ、大丈夫ですよ。私が悪かっただけですので」
やはり私は間違っていなかったようですね。良かった。また失敗したのかと心配しました。
「………………」
何故でしょうか、先程までうさぎさんを心配していたジンくんがずっと私を睨んできます。
私、貴方になにかしましたか?
「理由も無く黒ウサギを叩いたりするのはやめてもらえませんか?」
怒られてしまいました。やはり間違っていたみたいですね。
「いきなり叩いてすいませんでした。ですがこちらにも一応言い分はありますよ?」
と言ってもこの雰囲気で聞いてくれるかはわかりませんが…
「どういうことですか?」
「どう、と言われましても。ただいきなり叫ばれては驚くではないですか。私はただいきなり大声を出されたので驚いてつい手が出てしまっただけですよ?」
「………………」
あれ?また間違えたでしょうか?先程よりも睨む視線が強くなりましたよ?
「そろそろ…手………離してくれ……………」
はい?何でしょう。後から掠れた男の子の声が聞こえたような気がします。心無しか聞き覚えがあるような。
「………………」
後を見てから思い出しました。そういえばふらふらと何処かへ行こうとする逆廻さんの襟を掴んで引き摺って来ていたのでした。
「ごめんなさい。忘れていました」
「ぐえ」
手を離すとそのまま倒れてしまいました。どうしましょう。
「ちょ、十六夜君!?」/「十六夜、大丈夫?」
「これが大丈夫に見えるのか?…………」
息も絶え絶えに返事をしていた逆廻さんですが、自業自得ですよね。団体行動を乱そうとしたのですから。
逆廻さんのことは置いておくとして、私もやるべき事をするとしましょう。
「うさぎさん?少し良いですか?」
「はい?どうしました?」
「いえ、先程はいきなり叩いていたすいませんでした。」
「へ?あ!いえ!気にしないでください!私も悪かったのですから」
…やはり、私は悪くは無かったのでしょうか?…いえ、ダメです、そんな考え方をしているから失敗ばかりするのです。………よね?とりあえず、何もかも自分が正しいと思う事はやめましょう。考えてみれば、私も唐突に叩かれるのは嫌ですし。
「とりあえず街まで行きましょう。ここまで来て立ち往生は辛いですから」
目の前に街があるのになぜ私達はこんな所にいたのでしょうか…
「YES!では、我がコミュニティへ向かうのでございますよ!」
未だに起き上がらない逆廻さんはどうしましょうか…まぁ、こうなった原因は私にもありますし、仕方ありませんね。
「お、おい。いきなり何を…」
腕を引っ張って逆廻さんを背負うと、後から戸惑った声が聞こえてきました。
「まだ動けないのでしょう?仕方ないので私が背負っていきます」
「べ、別にそこまでする必要は…」
グチグチと五月蝿い人ですね。口を動かすよりも、先に微妙に動かしている胸の上にある手を止めることに集中してはもらえませんかね?あまり気持ちよくもありませんし。それとも狙っているのでしょうか?背中にも微妙に硬いモノが当たっていますし。
というわけで、道中ずっと黙りこくってバレていないと思い込んで、微かなセクハラをしてくる逆廻さんを黙認して、うさぎさんの後を追って街の中に入りました。何だか、逆廻さんが可愛く見えてきましたね。どうしてでしょうか?
「うさぎさん。少しお茶にしませんか?流石に疲れてきました」
「はいな。コミュニティまではもう少し歩きますので休憩としましょう」
私の提案を快諾してくれたうさぎさんは、私達を先導して近くにあった"六本傷"の旗印が刻まれたお店のオープンテラスの一角を陣取りました。
珈琲の良い香りがしますね。
「いらっしゃいませーご注文はお決まりですか?」
いつの間にか猫耳の可愛らしいウェイトレスさんが隣に立っていました。最近のウェイトレスさんは忍者修行でもしているのでしょうか?全く気配を感じませんでしたよ。気配を探ろうとすらしていませんでしたが。
「お連れの方は大丈夫ですか?お腹の辺りを抱えて蹲っていますが」
どちらかといえば下腹部ですね。必死に隠そうとして、本当に可愛らしいです。先程までの威厳が全くありません。
「私は珈琲のブラックを」
「紅茶を一ついただけるかしら?」
「私も紅茶で」
「私も珈琲をブレンドでお願いするのですよ」
「ぼ、ぼくは…」
「店員さん、オレンジジュースを一つお願いします。」
ジンくんも可愛らしいですね。その可愛らしさに免じて私が代わりに頼みましょう。
「ご注文を繰り返させていただきます。紅茶が二つ、珈琲のブラックが一つ、ブレンドが一つ、オレンジジュースが一つ、お連れ様はどうされますか?」
ふむ、逆廻さんにですか…どうしましょう。
「可愛らしい女の子でも隣に座らせて上げてください。後は勝手に満足するでしょう」
「!?」
驚いた様子でこちらを見てきますね。それも真っ赤です。というよりも私以外全員顔が真っ赤になっていますね。何を想像したのでしょうか?まぁ、ナニ何でしょうけど。後、ジンくんは恥ずかしがりやさんですね。俯いちゃってます。
「お客様、家はそういうサービスは…」
「わかっていますよ。冗談です。逆廻さんは何にしますか?」
「こ、珈琲。ブラックで…」
完璧に照れていますね。必死にウェイトレスさんから顔を逸らしています。
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」
ウェイトレスさんもそそくさとお店の中に引っ込んでしまいました。相当恥ずかしかったのですね。あんな反応されると虐めたくなります。はて、私はS何でしょうか?
まぁ、自分のしたいことをしているだけなので気にしませんけどね。MでもSでも。
私が楽しければそれでいいです。
「あ、あの!自己紹介が遅れました。ぼくはジン=ラッセル、若輩者ではありますがコミュニティのリーダーをさせてもらっています。」
「私は久遠飛鳥よ。よろしくねジンくん」
「私は春日部耀。よろしく」
「逆廻十六夜だ…」
逆廻さんはまだ照れていますね。意外と初心何でしょうか?見た目と態度だけで見るとそっちの経験も豊富そうですが。
「私は…そうですね。山田…」
「ストップ」/「ストップよ」/「ストップなのですよ!」
「どうしました?」
「流石にその名前はやめておいた方がいいのですよ」
「女の子としてどうかと思うわ」
「私もやめておいた方がいいと思う」
ダメですかね?山田花子…名前にあまり関心がないのでなんでもいいのですが…
「どうしましょう、名前なんて思いつかないのですよ」
「人に名前をつけるのって難しい」
難しいなら山田花子でいいじゃないですか。一々そんなことで悩む必要は無いと思うのですが。
「ねぇ、黒ウサギ、この方の名前は?」
「ええと、それなのですが…」
「私は記憶喪失なのです。ここに来る前の記憶が一つもないので、名前が思い出せないんです」
「え!?あ、それは、その」
「別に記憶が無い事は気にしなくていいですよ?記憶が無くて苦労しているわけでは無いので私も気にしていませんから」
「そ、そうですか…」
皆さんやっぱり気にしますね。別に記憶が無くても困っていませんし、あまり気にすることでもないと思うんですが…どうしましょう。
「六花…なんてどうだ?」
「「「それだ!」」」
六花ですか、私にはそんな可愛らしい名前は合わないとは思いますが…何でしょう。すごく気に入りました。
「良い名前ですね。気に入りました。私は六花です。ジンくん今後ともよろしくお願いします」
「「「「/////」」」」
皆さん顔を真っ赤にしてどうしたのでしょうか?私は逆廻さんから頂いた名前を名乗っただけなのですが…
「お待たせしました。紅茶二つと珈琲3つとオレンジジュース…と私です!」
ウェイトレスさんが配膳を済ませた後、意を決した様にどこかから椅子を持ってきて逆廻さんの隣に座りました。
「!?」
逆廻さんもまた顔を真っ赤にして驚いてますね。他の皆さんもですが。まぁ、私も流石にこれは驚きましたが…
「わ、私ではあまり可愛いとは思いませんが…」
あらら、ウェイトレスさんが涙目になっちゃってますよ。誰ですかこんな注文したのは、
あぁ、私でしたね。
「店員さん?別に無理をする必要は無いですよ?私も冗談で言いましたから」
「いえ、冗談とはいえ頼まれたのは事実ですから、私は大丈夫です」
商魂たくましいウェイトレスさんですね。私はこのお店が気に入りましたよ。
まぁ、というわけで、ある程度元気になってきた逆廻さんとウェイトレスさん、名前はキャロロさんというらしいです。と皆さんで楽しく会話をしていたのですが…
「おんやぁ、これはこれは"名無しの権兵衛"のリーダー ジン=ラッセル君ではありませんかぁ」
ピチピチになったタキシードを着た虎さんがいつの間にか私達のテーブルに何処かから持ってきた椅子に腰掛けて混ざり込んできていました。
ふむ、これはひどいですね。主に虎さんと周りの皆さんが…逆廻さんは先程まで楽しそうだった笑顔が苛立ちを全く隠さない不貞腐れた顔になっていますし、キャロロさんは青ざめていますし、意図せずして隣近所になった春日部さんと、久遠さんは顔を引き攣らせて、少しづつ虎さんから椅子を離していってますし、ジンくんとうさぎさんはすごく不機嫌になっています。
それにしても…"フォレス・ガロ"のガルド・ガスパーですか、なかなかに面白いことをしているようですね。これは後で脅してみると面白そうですね。機会があれば脅してみましょう。
「…………俺達にも通さなきゃならん仁義があるぜ?」
む、また集中し過ぎて会話が飛びましたね。それにしても仁義ですか、自分のことを棚に上げてよく言ったものですね。それに、先程からチラチラと私の方を下卑た目で見てきて気持ち悪いですね。これなら逆廻さんにセクハラされる方がマシです。
機会もいいですし、少し喧嘩を売ってみましょうか。
「………」
ジンくんも黙り込んでしまいましたし、本当にタイミングに恵まれてますね。さぁ、攻撃開始といきましょう。
「えっと、虎さん?貴方先程通さなければならない仁義がある…なんて言いましたが、自分のことを棚に上げてよく言えたものですね」
「!…な、何のことでしょうか?」
動揺しましたね。これで確定です。急に頭に浮かんできていたものだったので半信半疑だったのですが…これが私のギフト何でしょうね。良いギフトですね。
「実はですね。私、三日程早くこちらに呼ばれていたのです。その時にですね、貴方の腹心の方にお会いしたのです。その時に面白いことを聞いたのです。貴方達が他のコミュニティの女子供を攫ってきて、それを人質に旗を賭けさせコミュニティの拡大を図っていたと、そして、その子達は全て自分達に食わせられたと。少しお酌をしてあげたら面白い具合に話してくれましたよ?」
「んな…そ、そんな話デタラメだ、嘘に決まっている」
顔から汗を大量に流しながら、何とか否定している虎さんがすごくおかしく見えました。必死ですねぇ、まぁ、バレれば今までの地位も名誉も何もかも剥奪された上にここから追い出されますものね。ふむ、最後の一手は…よし。私は止めの一言を決め、キャロロさんにウインクすると、虎さんにはバレないように控えめにこくりと頷いてくれました。意図が伝わって良かったです。
「証人ならここにいますよ?貴方の腹心の方とお店に入った時案内とオーダーを担当してくれたのは彼女ですから」
「はい、六花さんと一緒に殿方が入ってきたのをちゃんと覚えていますよ何をどれだけ飲んだかも含めて」
うーむ、これだけではまだ足りませんねぇ、私とキャロロさんがグルになってるなんて言われてしまっては意味がありませんし…せめて腹心の方の名前さえわかれば…と思っていたのですが…
「う、うぅ…うおァ!」
虎さんが唐突に立ち上がり私目掛けて殴り掛かってきました。他の皆さんも唐突のことで反応できていません。こんなか弱い私を殴ろうとするなんて…ですが、対抗しようにも…
と思いつつ私は机を盾にするように蹴りあげました。
「死ねぇ!」
にも関わらず、虎さんは机を殴り壊しそのまま私に向かってきます。きゃー襲われるー暴漢に私襲われてますー(棒)。ふむ、案外私も余裕ですね。
「女性に殴りかかるとは、男の風上にもおけませんね。」
虎さんの腕を掴み、避けるように椅子を背後に倒し、一瞬だけ羽を展開して姿勢を整え掴んでいた腕を捻って虎さんをうつ伏せになるように組み伏せて、飛び散っていた手頃なサイズのテーブルの破片を手に取り延髄の辺りに押し付けます。当然私は虎さんの上に馬乗りです。
え?虎さんが羨ましい?そんなどMさんは久遠さんの冷たい視線でも浴びて悶えていて下さい。
「残念でしたね。私を殺せばなんとかなると思っていたのですか?ここには私の他に六人も今の話を聞いていた人がいるのですよ?最終的に何処かでバレます。諦めてください」
「ぐ、うぅ…」
「そう、唸らなくても良いではないですか…それよりも提案があるのですが?」
「な、何を…」
ふふ、一瞬でも迷いましたね。ここは、私の経験の為にも生贄になってもらうとしましょう。
「私とギフトゲームをしましょう。報酬は、そうですね私が勝てば貴方は箱庭の法によって裁かれてください。逃げる事は許しませんよ。そして貴方が勝てば、私は一生貴方の言いなりになっても構いません。欲の捌け口に使われても、何処かに身売りさせられても何も私は文句を言いません。どうですか?」
『な!?』
虎さんよりも外野の皆さんが先に反応しましたね。
「ちょ、立花さん!何を言っているのですか!」
「黒ウサギの言う通りよ!今すぐ撤回しなさい!」
「六花、そんなことしちゃダメ」
「皆さんのいう通りです!今すぐ取りやめてください!」
「「………………」」
ざわつく外野の声を聞き流していると、逆廻さんが訝しげな目でこちらを見つめてました。
キャロロさんはこの状況について来れず固まっていました。
「ぐぅ、い、いいぜ、やってやる。その代わりこちらでルールは決めさせてもらう」
「はい、構いませんよ。ではゲームの開催日時の報告ちゃんとお願いしますね」
「いや、ゲームは明日だ。明日俺のコミュニティの中で行わせてもらう。文句は無いな?」
「はい、構いません」
決めることを決め私が虎さんの背から降りると、虎さんは何事も無かったかの様に颯爽と去っていきました。
ふぅ、結構緊張しますね。他人を脅すのは…まぁ、楽しかったので良いですが…
………………………
………………
………
…
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いやぁ、ジャグジーに当たって悶えてるるなちーのるなちーが成長する姿は爆笑を禁じえなかったぜ。っともう始まってる。
さぁ、ここからはあとがきの時間だ!…と言っても
ほとんど話すことが無いんだけどな。何か連絡事項はっと…あぁ、そうだ。こっちではタグに入れ忘れてたな、たぶん。ええっと、この作品も毎度のことながら超不定期投稿だ、次話投稿が明日かもしれないし、1ヶ月後かもしれない、果てには一年、二年かかる可能性もある。けど、執筆データが消えない限り、やめるつもりはあまりねぇから末永く期待しててくれ。と言っても最近はせんれんやらくるくるやら、たゆ〇ま2やら買ったり予約してたりするからそっちに流されて作業が進まんかもしれん。それでもよければ待っててくれ。いつかは投稿するから。んじゃまぁそろそろ。
俺も今日は村雨の調子見に行こうと思ってたしな、よし、ついでにいちゃついてる2人でも冷やかしていくとするか。というわけで、また次回!アディオス!