ハイスクール・フリート~自衛艦隊 彼の地にて斯く戦えり~   作:Honorific88

11 / 14
8月になりましたし予告どうり最低3日に1話のペースでとうこうしていけたらいいなぁ~とおもってます。

それでは本編の方をどうぞ!


戦う理由はみらいのために

晴風救援要請から一時間後

西之島沖 DDH-181 みらいCIC

 

CICの暗い部屋の中にレーダーや兵装状況などを映し出す画面の光で僅かに明るい。そこにいるのはみらい艦長梅津1等海佐と菊池3等海佐、第1分隊(砲雷科)の隊員たちである。現在艦長の目の前にある大型モニターにはみらいの現在位置とその他の艦の位置情報が写っており、画面上の方にはY-467晴風という光点(フリップ)とそれを追うY-083さるしまという光点(フリップ)が映し出だされている。

 

「艦長、九〇の射程内まで五分です」

「うむ。合戦用意」

『合戦用意!』

 

みらい艦長の梅津艦長の号令とともに艦内で総員戦闘配置の放送とともにカーンカーンとサイレンが艦内に鳴り響く。食堂や居住区画にいた隊員は自分の持ち場へと走り、最後のものが水密扉を閉鎖する。

 

「水密扉閉鎖よし!」

「戦闘配置よし!」

 

次々と報告が入ってくる。号令から報告までの時間が短いことから、隊員の練度と訓練の質の高さが窺い知ることが出来る。

 

『こちら通信室、海上安全整備局より入電!『海上安全整備局、横須賀女子海洋学校との協議の結果、生徒の安全を確保することに決定した。貴艦は速やかにさるしまを攻撃し生徒の安全を確保し、状況完了次第海上安全整備局、安全監督室室長 宗谷真霜に報告せよ』・・・以上です』

 

正式な攻撃命令が来たという報告を受けた上で梅津は次の指示を出す。

 

「対、水上戦闘用意・・・」

「対水上戦闘ぉ用ぉー意!」

「対水上戦闘ぉ用ぉー意!これは演習ではない。繰り返す、これは演習ではない!」

 

梅津の指示を菊池が復唱し、砲雷科員が艦内放送で伝達する。

 

「面舵いっぱい、90度回頭。・・・砲雷長。戦闘の指揮を取れ」

『面舵いっぱーい、90度ヨーソロー」

「了解しました。・・・対水上戦闘、九〇攻撃はじめ。目標さるしま、発射弾数二発」

「目標さるしま、発射弾数二発、・・・諸元入力よし!」

 

梅津はさるしまへ向いている艦首を右に向けるよう指示し、砲雷長の菊池に戦闘指揮権を移譲、菊池が戦闘の指揮を執り始める。

みらいには試験用にトマホーク巡航ミサイルが搭載されているが、威力的な問題と対地攻撃用という本来の用途が異なることから、今回はSSM-1B―日本が開発した地対艦ミサイルを改良した九〇式艦対艦誘導弾―を使用することになっている。それにいくらこの世界に航空機やミサイルがないといっても近接防御火器システム―CIWS―は流石にどの艦艇でも搭載している。それならば機動性に優れるSSM-1Bにしたほうが命中率は高かろうということだ。

 

「九〇、発射用意よし」

「九〇、発射はじめ!」

「1番発射用意ぃ・・・てぇー!」

 

SSM-1B発射のスイッチが押されると同時に艦が少し揺れ、轟音を轟かせながら本艦から何かが飛行してゆく感覚がする。

 

「7番発射用意ぃ・・・てぇー!」

 

最初の轟音が収まると同時にSSM-1Bの2発目を発射する。再び轟音が響くCIC中で新たな緊張感が現れる。

 

「ナッ!砲雷長!さるしまより高速目標分離、数2,3,4、・・・数5、本艦にまっすぐ突っ込んでくる!」

「っ、対空戦闘、SM-2攻撃始め!」

 

あろう事かさるしまが対艦ミサイルらしきものを発射してきたためすぐに迎撃策のSM-2の発射を命じる。

 

「前甲板VLS、1番から5番。SM-2発射はじめ・・・Salvo(斉射)!」

 

今度は2秒間隔で起こる連続した轟音。VLSだからこそなせるミサイルの連続発射、対空迎撃ミサイルであるSM-2の発射音だ。大型レーダーには今の短時間の間にみらいが発射したSSM、SM-2、そしてさるしまの発射したSSMの光点(フリップ)が表示されている。これが現代戦というものだと改めて感じさせてくれるような画面だ。例えるのならば・・・そう、まるでゲームをしているかのような感覚になってしまう。だがこれはもちろんゲームなどではなく、みらいとさるしまの命をかけた世界は違えど近代兵器による近代先頭なのだ。今も昔も変わらないことといえば一瞬の判断の遅れが命取りになるということだろう。

 

「九〇、インターセプト10秒前!」

「SM-2、インターセプト(迎撃)5秒前・・・スタンバイ・・・マーク・インターセプト(迎撃、今)!」

 

迎撃の結果をレーダー要員が確認すると報告を上げる。

 

「SM-2、全弾迎撃!」

「九〇、1発迎撃されるも1発命中!さるしま、爆発炎上中!」

「海上安全整備局安全監督室室長に報告!さるしま乗員の救助を行う!航空機、即時待機。準備出来次第発艦!!」

 

敵を無力化したことと、敵SSM迎撃に歓喜が湧いたのはほんの束の間だった。彼らは忘れていたのだ、この世界には対艦ミサイルというものはないが、墳進魚雷と言われるものがあることを。

 

「あっ・・・そ、ソーナー探知!これは・・・ぎょ、魚雷です。魚雷音聴知、左90度距離2700・・・み、ミサイル迎撃地点とほぼ同じところからです!」

「なんだと!じゃあさっきのはASROCだとでも言うのか米倉!もういちど確認しろ」

「ま、間違いありません。魚雷です。魚雷、探針音を放ちつつさらに接近!距離2200!」

 

魚雷である事実に驚く菊池をおいて梅津は指示を出してゆく

 

「本艦にはデコイは搭載されていない、短魚雷を囮に使う!対潜戦闘!!左舷、短魚雷攻撃始め!発射後速やかに取舵いっぱい!魚雷に対して正対する!」

 

梅津の指示の直後無電が入ってきたのでCIC内に流す。

 

『左舷短魚雷1~3番発射管、用意よし!』

「了解!短魚雷用意、打てー!」

 

大型画面に映し出される状況図には新たにデコイの光点(フリップ)が映し出されると同時に艦が左に回頭して右に傾斜する。

 

「魚雷、我の短魚雷に反応しました。距離1800!」

 

水測員からの報告とともにいっときの安堵を感じるが放った短魚雷はあくまで気休め。一定時間経てば魚雷に搭載されているであろう搭載ソナーが目標ではないと判別され再びこちらへ襲って来ることになるだろう。それでも魚雷の燃料を使ってもしかしたらこちらへと届かない可能性もあるのだからこの艦の乗員はそうなることをのぞむだろうが現実はそう甘くはないらしい。

 

「魚雷反転!距離1900!」

「マスカー始動!航空機発艦急がせ!!」

 

後部甲板で発艦準備を終えていた対潜哨戒機-SH-60K-に艦長が指示を出すと、管制に報告する前までチェックが完了し、暖機運転を充分に行ったロクマルの様子が後部甲板に設置してあるカメラが映し出されていた。

 

「距離400」

『雷跡視認!左5度よりまっすぐ接近中!』

『取舵5!』

「距離50!!!!」

「衝撃に備え!」

 

艦のすぐ近くに接近した魚雷が命中した時のために対ショック姿勢をとる。

5秒が過ぎた。未だになんの衝撃もなく、いまもこのみらいは航行している・・・

 

「魚雷、本艦を通過!……報告、航空機発艦!」

 

魚雷が命中しなかったのと同時に対潜哨戒機が離陸し、さるしまの方へと機首を向けて飛行する。そのあとを追うようにして飛んでいく別の対潜哨戒機がいる。おそらくいぶき他から発艦した機体だろう。

 

「状況終了!我々は晴風の方へと向かう。取舵、艦首を晴風に向けろ」

『とぉーりかぁーじ』

『通信士、晴風に状況終了と救援に向かうことを連絡しろ!』

『了解!』

 

一つの峠を越えて一息付けるかと思ったがまたひと仕事となりそうだ。だがしかし、確かにこの艦は守ることができたのだ。イージスはこれからを生きるみらいある子供達をまもることができたのだ。と、みらい乗員はそのことを胸に次なる仕事への準備を進めるのだ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。