魔法科高校の魔法士(仮)   作:flugel

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第三話:幼年期 その3

さて、ウィザーズ・ブレインの能力を再現するに当たって問題となるのは、

この世界で、その根幹となる『情報制御理論』が適用できるかどうか。

 

結論としては、多分、適用できる。

 

なぜなら、自分が初めて I-ブレインを起動したとき、

プログラムを介することなく、その隔絶した演算速度のみによって、

物理定数を改変することが出来たから。

 

情報制御理論とは、

世界は現実世界としての側面の他に、『情報の海』というデータ的な側面も有しており、

合わせ鏡のように相互に干渉し、影響しあっている。

一定以上の非常に早い演算速度を有するコンピューターは、

その『情報の海』に干渉することが出来、その内容を書き換えることで、

情報の側から物理現象を改変することが出来る、というもの。

 

ただ、専用のプログラムを用いない場合、

対象を限定したり、効果を調整することが困難なため、

原作における『魔法士』と呼ばれる情報制御能力者は、

I-ブレインの基礎領域と呼ばれる中枢部分に設定されたプログラムによって、

能力を制御している。

 

この基礎領域に書き込まれたはプログラムは、原則、書き換えることが出来ず、

その内容によって、魔法士の能力の方向性を確定させてしまう。

代表的な魔法士のタイプは、以下の三つ。

 

『騎士』

 近接戦闘特化型魔法士。

 『身体能力制御』により、自身の運動能力と知覚速度を百倍近くに加速したり、

 『情報解体』により、物質を情報の側から攻撃したりすることが出来る。

 

『炎使い』

 分子運動制御特化型魔法士。

 分子から熱エネルギーを奪い、窒素結晶の弾丸や楯を生み出したり、

 奪った熱量を解放して攻撃することが出来る。

 

『人形使い』

 仮想精神体制御特化型魔法士。

 無生物に情報の側から侵入し、『仮想精神体(ゴースト)』を与えることで、

 擬似的な生物として、変形させ、操ることが出来る。

 

ただ、自分が目指しているのは、

これらとは異なるタイプの魔法士。

 

『悪魔使い』

 すべての魔法士の雛形にして完成形。

 本来書き換え不可能な基礎領域を書き換える事で、あらゆる能力を使用可能な魔法士。

 他の魔法士の能力をコピーすることができる。

 ただし、仮想的に能力を走らせるという性質上、悪魔使いの能力はオリジナルには及ばず、

 また、能力によってはコピー出来ない場合もある。

 

特化したところが無い代わりに、様々な状況に対応可能な選択肢の広さが魅力的だが、

その分、複雑すぎるその基礎設計(アーキテクチャ)を組もうとなると、

難易度は他の魔法士の倍どころじゃない…………たぶん。

 

『悪魔使い』の能力の根幹は以下の四つ。

 

本来書き換え不可能な基礎領域を直に操作するための『操作』

 

異なる能力を同時に使用する『並列』

 

異なる2つ以上の能力を合成して一つの能力として扱う『合成』

 

蓄積したデータを基に新たな能力を作り出す『創生』

 

原作においては、一つのI-ブレインには、

このうち三つまでしか納めることが出来ないと語られており、

原作登場の二人の悪魔使いは、どちらも『操作』『創生』を有し、

残りの一枠をそれぞれ『並列』『合成』としていた。

まぁ、そうでないと、新しい能力を追加することが出来ないので、

悪魔使いとしての長所が無くなってしまうんだけど……

 

悪魔使いのプログラムの根幹(これら)を独力で組み上げたという、

原作キャラの天城真昼の天才っぷりを思い知らされる……うん。

 

いや、そもそも、プログラムの具体的な中身を知らずに、

その機能から類推して構築しようという時点で、

無謀としか言いようが無い訳ですが…………

 

まぁ、ぶっちゃけ、研究の手伝いのシミュレーションなんかじゃ、

I-ブレインの疲労蓄積は1%になるかならないか、程度。

余力の大半を、プログラム開発につぎ込めば、何とかなるだろう…………

 

 

 

――そう、思っていた時期もありました。

 

 

 

滅茶苦茶難し過ぎて、頭から煙が出そう……

 

研究所の書庫で、プログラム関係のみならず、

コンピューターの構造について書かれた書籍も読み漁り、

だいぶ薄れてきた前世の記憶を必死に呼び起こし、比較し、

構造を組み上げ、動作を確認し、バグを探し、修正する。

また、不足する機能を発見し、プログラムコードを追加して修正し、

それによって生じたバグの修正に追われ、

気づけばスパゲッティコードと化していたために、

プログラム全体を見直し、再度構築しなおす。

 

遅々として進まない歩みに発狂しそうになり、

なんでこんな面倒臭いことをやってるんだっけ? と自分を見失いかけたりした。

いっそ、能力の方向性がシンプルな炎使い辺りで妥協してもいいのかもしれない、

とか思ってしまった時もあったけど、どうにか、完成形が見えてきた。

この一年は、もう、意地になってて…………終わりが見えてきた時には、ホントにホッとした。

 

苦節5年、日々の積み重ねのおかげか……

いや、ホントに、『継続は力なり』とは、よく言ったものだ。

また、子供特有の、興味ある分野にはとことん熱中できる性質が、

うまいこと作用したのかもしれない。

 

もはや日課と化したこれらの作業の繰り返しによって、

最近では、特に意識しなくても、I-ブレインを起動出来るようになり、

日常生活や研究の手伝いの合間のみならず、

最近になって始まった筋力トレーニングの最中であっても、

脳内で並列してプログラミング作業できるまでになってしまった…………

 

まだ、若干の粗は残っているものの、致命的なバグは残っていない、はず。

ひとまず、これで完成といって良いだろう。

 

 

ちなみに、選択した能力は、『操作』『創生』に加え、

能力の選択肢が広がる『合成』だ。

 

(れん)という自身の名前からすれば、

原作の悪魔使い『天城(あまぎ) (れん)』にあやかって、

彼と同じ『並列』にすべきだったかもしれない。

また、能力の同時使用も、有用であることには変わりない。

 

最後の最後まで迷ったが、CADを使用すれば、実質的に『並行』と同じことが出来ると考えて、

結局、『合成』を選んだ。

 

まぁ、長く掛かったが、これでようやく、

自分も『悪魔使い(偽)』としての第一歩が踏み出せる。

 

トレーニングの教官から、来週から本格的な戦闘訓練が開始されるとの話も聞いていたので、

本当にギリギリだった。

 

 

 

だがしかし、待って欲しい。

 

 

 

――現時点では、I-ブレインの基礎領域(中身)空っぽ(、、、)だ。

 

 

 

悪魔使いとしての基幹プログラムの構築に精一杯で、

基礎領域(そこ)で使用するためのプログラムはまったくの手付かず。

能力創生を行うためのデータ蓄積なんて、1mmたりとも出来ていない。

 

いや、まぁ、四葉内でも、

情報制御理論に基づく能力は『切り札』として秘匿しておきたかったから、

大っぴらには使う気は無かったし、

I-ブレインの記憶領域には、自衛用の魔法式を幾つか納めてあるけど、

自分の場合、サイオンの量や魔法式の展開速度といった魔法式(そっち)の才能は並か、それ以下。

咄嗟の対処には不安が残る。

 

まぁ、これからの地獄の訓練で、嫌でも魔法式の扱いに習熟することになるだろうし、

経験をつめば、能力創生のためのデータ蓄積も進むだろう……きっと。

 

 

 

さらば、平穏な日々、

こんにちは、地獄の訓練……

 

 




能力設定に、一話まるまる掛かるとは……
ともあれ、これで、ウィザブレ系の能力を使うための下準備が完了です。

Wikiと睨めっこしながら書いたので、
原作設定と矛盾するところは無いと思いますが、
おかしな点がありましたら、ご一報ください。

この作品で、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
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