デート・ア・ライブ~救世の魔法使い~   作:灰音穂乃香

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第四十七話『鞠亜とのデートその1』

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「んっ…」

 

目覚まし時計の音に士道は目を覚ます。

 

昨夜に士道が出会った鞠奈を名乗る少女について雷華に尋ねると、攻略可能キャラとしてい調整を終えたとことである。

 

『鞠亜だけでなく、鞠奈の好感度も上げていかないとな…』

 

などと考える士道は布団の中で何かが動くのを感じた。

 

『琴里か…?

全くあいつは…』

 

イタズラ好きな義妹に苦笑しながら士道は布団をめくる。

 

「士道、おはようございます」

 

「鞠亜、何をしてるんだ?そんなところで?」

 

布団の中にいたのは琴里ではなく、鞠亜であった。

 

「デートをする関係…即ち彼氏彼女の関係というものは、ベッド共にするものと記録されています。

今の士道と私の関係性を考えれば至極当然のことです」

 

「普通はNGの筈なんだがな…。

一応、琴里の奴がたまに潜り込んできたりするがあいつの場合は家族だからノーカンだし…」

 

「五河琴里以外にも同様の経験があるはずです」

 

『なるほど…あの時か…』

 

鞠亜の言葉に士道は思い出す。

修業時代、酒に酔った苺が士道の眠る布団に潜り込んで来た事があるのである。

 

「苺さんの場合も多分、酔ったうえでの行動だからノーカウントだぞ?」

 

「それでも、こういう行為は男女の信頼を関係を深める……。

ひいては愛を知るために必要な行為だと思うのですが……」

 

「そうかもしれないが…。

突然こう言うことをするのはやめてくれ…。

心臓にわる…。

いつからそこにいた?琴里…」

 

視線に気づいた士道は言いかけた言葉を中断し、琴里の名を呼ぶ。

「最初からよ士道。

いつもそれぐらい積極的だとこっちも助かるんだけど」

 

「顔がひきつらせて言われてもなぁ…」

 

ドアを開けて言う琴里に士道がそう言葉を投げかける士道。

 

「別に何でもないわよ。

ほら、起きたんならご飯にしましょう」

 

触らぬ神になんとやら、士道はそれ以上は何も突っ込まずに士道は料理を作るためにキッチンへと降りていった。

 

『流石に早く出すぎたか?』

 

琴里に口止めの意味を込めて一品多めに作った朝食を終え、士道は少し早めに家を出ていた。

 

鞠亜と共に登校する為である。

 

だが、時間が早すぎたせいか、周辺には生徒の姿は全く無い。

 

「ふふ…」

 

「鞠亜……楽しそうだな」

 

「はい。

なんでもないことですが、とても心地良いです。

朝の空気、木々のさえずり、たまに通り過ぎる人影。

不思議に気分が昂揚するような…そんな感覚です」

 

「確かに、たまに早起きした時の散歩とかは気持ちが良いしな。

 

でもこのまま歩いたら直ぐに学校だから。

流石に早すぎるし、少し寄り道をしていくか?」

 

「はい。道案内してくださいね、士道」

 

そう言って微笑む鞠亜と共に士道は普段の通学路とは違う道を歩き始めたー。

 

 

「見てください、士道。猫です」

 

そう言った鞠亜の視線の先には猫が塀の上で丸まっていた。

 

「ああ、どこかの飼い猫だろうな、きっと」

「あの奥にも、もう一匹います」

 

「ああ、本当だな」

 

「上を見てください士道。

あの鳥を見ているようです」

 

「警戒しているのか……はたまた捕まえようとしてるのか……」

 

『本当に楽しそうだな……』

 

何気ない日常風景にはしゃぐ鞠亜に出会ってばかりの十香を思い出す士道。

 

『俺たちにとっては当たり前な風景でも鞠亜にとっては違って写るんだろうな…』

 

「早く出てきたかいがあったな…」

 

「はい、全てがとても新鮮で有意義な体験です。

大人数で歩いていては、ゆっくりと景色を見てる余裕もないですから」

 

そう言って鞠亜はまた景色に目を走らせる。

小さい子供を見ているようで士道も自然と楽しい気分になってくる。

 

「士道?どうしました?」

 

そんな士道の視線に気づいたのか鞠亜が問うてくる。

 

「鞠亜と一緒に歩いてるといろんな発見があって面白いなと思ってな」

 

「確かに、実際に自分で歩いてみるのと、ただ観測するだけでは得られないものを感じることが出来ました。

それに気づけたのも士道のおかげです。

 

士道が側にいると……知らないことがたくさんあるのだと、逆に教えられてしまいます。

知っていたはずのことでさえ、見方一つでこんなにも変わる」

 

「これは、苺さんからの受け売りなんだがな…人間ってのは自分が見ている世界が全てでは無く、それに気づく事で世界は如何様にも姿を変えれられるんだ」

 

「詩的な表現ですね…私にはうまく理解できませが」

 

「すぐにわかる必要はないさ。

だが、鞠亜もいつかはわかるようになると思う。

ほら、学校だって楽しいだろ?」

 

「はい、とても興味深い……いえ。

――楽しい。

楽しいと感じています。

誰かと話をして、自分の事を伝え、相手のことを知る。

 

私はそれに確かに心躍らせます」

 

「鞠亜がそう思うのなら、絶対にわかるさ。

まだまだ、知らないことや体験したことがいっぱいあるはずだからな」

 

「はい。わたしはもっと知っていきたいです。

いつか、愛を理解するために」

 

士道の言葉に鞠亜は微笑み、そう言った。

 

 

「結構、ちょうど良い時間になったな…」

 

 

鞠亜と共に朝の街を散策し、校門につくとHRまで十五分ほど時間があった。

 

「はい。遅刻せずにすんでよかったです。

下手をすれば士道の身に危険が及ぶところでした」

 

「ああー。十香達か…」

 

鞠亜の言葉に一瞬、生活指導の先生の事が真っ先に思い浮かんだが十香達の事を士道は思い出す。

 

彼女たちに遅刻の理由を聞かれた時の事を考えただけでもゾッとする。

 

「そう考えれば…これはデートになるのだろうか…」

 

「デート……ではありませんか?

こうやって朝の時間を二人で過ごすのもデートだと記憶しているのですが」

 

「確かに…立派なデートだな…」

 

そう考えると妙な気恥ずかしさを覚える。

 

「んっ?あれはまさか…」

 

そこで士道は校舎の方から走ってくる人影に気づく、十香達である。

 

「シドー、何をしているのだ?」

 

「これは意外な邂逅だな。

学校の当番で早く家を出たと聞いていたが……」

 

「怪訝。どうして鞠亜と一緒に歩いているのですか?」

 

このように追求を逃れるために家を早く出たのではあるが、よもや校門で鉢合わせになるとは思わなかったのである。

 

『さて…どうしたものかな…』

 

言い寄る十香と八舞姉妹にどう言い訳しようか考える士道。

そこにー。

 

『士道くん、いけないなぁ、さてはみんなに内緒で鞠亜ちゃんとお出かけー?』

 

『……こういうことに関してはやけに鋭いな、よしのんは』

 

「士道…ちゃんと説明してくれるよね?」

 

「これはどういう事ですの士道さん」

 

よしのんに続きタイミング悪く現れたのは凛音と狂三である。

 

「だーりん、ひどいですー。

家まで迎えに行ったらもう出ちゃったって言われたんですよー?

それが鞠亜さんと二人でデートしてるなんてー」

 

「士道くん、鞠亜ちゃんと抜け駆けなんてズルいんだよー」

 

「…不潔」

 

「…士道、釈明を求める」

 

そこに美九、桜、七罪、折紙も加わり四面楚歌の状態であった。

 

『こういう状態になるのを避けるためにこっそりと出て行ったんだが……』

 

見つかってしまっては元も子もない…。

 

「間の悪い男ね……このままだと遅刻するわよ?

そんなわけで私は先に行くわ」

 

唯一、頼りになるかと考えていた琴里は士道達を残して先に教育へと向かっていく。

 

「とりあえず、皆…落ちついてくれ…」

 

とは行っても、皆が聞いてくれるはずないことは士道が一番よく知っている…。

故に、士道が取るべき行動は一つだ。

その為に鞠亜に目で合図する。

 

鞠亜が士道の合図に頷くのを確認すると同時に士道は身体強化の魔法を用いてその場から走り去る。

 

「まっ、待つのだ士道ー」

 

っと、十香が後方で叫んでいるが無論、士道は待つつもりなどなかった―。

 

朝の慌ただしさも束の間、授業は平常通りに進み、迎えた昼休み。

士道は朝の埋め合わせをかねて十香達と共に昼食を取るため屋上へと来ていた。

 

「さあシドー! 昼餉の時間だぞ!」

 

「士道。不覚にも箸を落としてしまった。

これはもう士道の箸で食べさせてもらうほかない」

 

「士道くん、そのおかず私のと交換しよう」

 

「し、士道さん。私もおかずを……作ってきました。

よかったら、食べて……ください」

 

「士道さん……今日は少し気分が優れませんの。

少し撫でていただけませんこと?」

 

「士道、おしぼり取って」

 

「我ら八舞の調理に恐れをなすなよ、士道。

この究極の一品を分けてやろうではないか」

「注釈。

作ったのはほとんど夕弦です。

耶倶矢は結局、ほとんど盛り付けしただけです」

 

「わ、私も働いたしっ。

レ、レタスをちぎったり、お惣菜をレンジでチンしたりしたし!」

「はい、だーりん。

あーんしてください」

「士道…お茶」

 

「士道…私が朝早起きして作ったお弁当…食べてくれるよね?」

 

 

経験上、こう言うのは…流れに身を任せるのが一番であると知っているので士道は少女達の言われるままに行動する。

 

 

「請願。士道、夕弦達のも食べてください

 

「士道くん、アーンしてなんだよ」

 

「士道…わたしのも…食べて」

 

「し、士道さん…私のも食べてください」

 

『よし、士道くん!

一気にガーッていっちゃいなよ』

 

「士道の為に腕によりをかけて作ってきたんだから食べてくれなきゃ…やだよ」

 

「よし、次は私の番なのだ」

 

「士道。無理して他の女の物を食べることはない。

士道の食べるものは、栄養バランスを考えて適量を私が口に運ぶ」

「あら、せっかくですからわたくしのもいかがでして?」

 

 

「ちょ、流石にこれ以上は……」

 

数分後、休みなく差し出される箸に士道は音を上げていた。

 

「あれー?だーりん、もうおしまいですかー?」

 

「何人前食わすつもりだよ…流石に限界だよ」

 

「では士道。食後には軽い運動が必要。

さあ、私と向こうに……」

 

「士道くんっ。

四糸乃せんせーと進路指導室で二人っきりのナイショのお話しないー?」

 

「よしのん、そんなこと言っちゃ…」

 

「折紙もよしのんも何をするつもりだよ…。

すまんが休ませてくれるか…」

 

「……士道、お茶をどうぞ…」

 

「おう、ありがとう」

鞠亜が水筒のお茶を汲み、士道へと渡す。

 

「はい、どういたしまして」

 

お茶を飲んで人心地つく士道に笑顔を向ける鞠亜。

 

「「「!!」」」

 

その様子に女子達が過剰に反応する。

 

「指摘。解せません。

鞠亜が正妻気取りです」

「そもそも鞠亜は、さっきからずっとちゃっかり士道の隣を占領しいて、ずるいじゃん!」

 

「わたしは士道の事を考えて行動しているだけです」

 

詰め寄る八舞姉妹に鞠亜はそう返答する。

 

「なるほど……確かに、今のは絶妙なタイミングでしたわね」

 

「皆さんが集まればこうなることは明白でした。

誰か一人を贔屓できない士道ですから」

 

「なんだかすごーく距離が近い感じですぅ」

士道の事を考えた鞠亜の言葉に美九がそんな感想を述べる。

 

「はい、それは間違いありません。

今朝も一緒に登校したのもそうですが、朝目覚めたときも一緒でしたので…」

 

『あちゃー』

 

鞠亜の美九への返答に若干、頭痛を覚える士道。

 

「士道さん…どういうことですか」

「士道。私は責めるつもりはない。

ただし、平等を期すため、私とも朝の情事を共にすべき…」

 

士道に詰め寄る四糸乃と折紙。

 

「そもそも、先程のみなさんは自分の欲求ばかり優先して、士道のことを考えていません。

そこも気遣うべきと」

「ふふ、確かにその通りですわね」

 

「でも、それとだーりんと一緒に寝たことは話が別じゃないですかー」

 

正論を述べた鞠亜だが、彼女の言葉が火に油を注いだようである。

「先ほどから聞いていれば、鞠亜は士道と一緒に寝たのか!?

鞠亜、そういうことをしてはいけないと言われただろう!

前に琴里が言っていたぞ!」

 

「私はそうは言われてなかったので…」

 

「ぐぬぬぬっ!!」

 

食ってかかる十香に冷静に答える鞠亜。

 

朝と同じく琴里のフォローは期待しない方が良いだろう…。

 

「ごちそうさま。

じゃ、おにーちゃん。あんまりやってると遅刻しちゃうよー?

私、先に返るからねー」

 

案の定、先に席を立つ琴里。

 

『やっぱりか!?

 

なら俺も……』

 

そんな琴里を追って走る士道。

 

「あっ、待つのだシドー」

 

そんな士道を追ってくる少女達に士道は魔法を用いり、再び逃げることとなったー。

 

 

 

 

昼休みに鞠亜の投下した爆弾発言のおかげで、士道は午後の授業の合間だけでなく授業中にすらそれぞれに事情を説明しつつご機嫌取りを行うはめになったのだ。

 

 

そして現在、士道と鞠亜は駅前のショッピングセンターへと来ていた。

 

「楽しいか?鞠亜?」

 

店に並んでいる商品を興味深そうに見る鞠亜へと士道は尋ねる。

 

「はい、どれも珍しくて…とても興味深いです」

 

「何か欲しいものがあれば言えよ」

 

「いえ…私は買い物というものをしたことが無いので、突然買うとなると何を選んで良いのか悩んでしまいます」

 

「なら、今度はみんなで買い物に来てみるか?

いろいろな意見を聞いてみるのも良いと思うぞ。

あと、服なんかを選んでもらうのもいいかもしれんな…」

 

「なるほど…七罪の時と同じようにですね。

それは非常に興味深いですが…」

 

士道の言葉に鞠亜は表情を曇らせる。

 

「何だ?昼の事を気にしてるんなら心配は無いと思うぞ?」

 

「そうでしょうか?」

「ああ、大丈夫だ」

 

「わかりました、なら今度みんなと買い物にこれる日を楽しみにしています」

 

士道の言葉に微笑みながら頷いた。

 

 

『さて次はどこへ行こうかね…』

 

 

そう考えていると鞠亜が立ち止まり、上を見上げる。

その視線の先にあるのは映画館の巨大なポスターである。

ポスターには手を握り合う男女が描かれている。

 

「鞠亜、映画を見よう」

 

「今から見ては遅くなりませんか?」

 

「上映時間が一時間程の短編だからな…丈夫だろう」

 

「わかりました」

 

 

照明の落とされた暗いホール。

上映された映画はやはり、恋愛ものであった。

ストーリーは重い病魔に冒された少女と少女の幼なじみである青年の悲しい恋を描いた作品である。

 

『ヤバい…涙腺が崩壊する…』

 

映画はクライマックスを迎え、少女の容態が悪化しICUへと運ばれていく。

 

少女の手を握りながら彼女の名前を叫ぶ青年。

 

息も絶え絶えに青年に思いを告げる少女。

 

自分の思いも告げようとする青年だが、無情にもICUの扉が閉まってしまり、彼女はそのまま命を落としてしまう。

 

「す…ぐすっ…」

 

涙を堪える士道は隣ですすり泣く声にそちらの方を向く。

見れば、鞠亜がスクリーンを食い入るように見ながら涙を流していた。

 

そんな鞠亜に士道はポケットからハンカチを取り出し、手渡したー。

 

 

 

「どうだった?」

 

「なんと言えば云うのでしょう…胸の奥が痛くて、苦しくて…。

これが悲しいという感情なのでしょうか?」

 

「ああ…そうだな」

 

未だに目に涙を浮かべながら言う鞠亜に士道は答える。

 

「士道…」

 

「んっ?」

 

崩壊寸前だった涙腺を落ち着かせようとする士道に鞠亜が右手を出してくる。

 

「手を握ってもらってもよろしいでしょうか?」

 

「んっ…ああ…」

 

映画の中で不安を紛らわせる為にヒロインの手を握っていたことを思い出して鞠亜の手を握る士道…。

 

「ありがとうございます、士道…。

不思議ですね…ただ手を握ってもらっているだけなのに気持ちが落ち着きます」

 

涙を拭い、鞠亜はぎこちなく笑みを浮かべたー。

 

 

 

二人一緒に…それも目を腫らした鞠亜と一緒に帰ると十香達に何を言われるかわかったものでは無いため鞠亜には後から家に帰るように伝え、駅で別れた。

 

 

『さて…明日はどうすべきかな…』

 

ベッドに寝転がりながら士道は翌日のデートの予定を練っていた。

 

『十香達との埋め合わせも兼ねて買い物に行くべきかな…』

 

などと考えていると窓に何か堅いものが当たるような音が聞こえる。

 

『…誰だ?』

 

 

疑問に思ってカーテンを開けると、外に鞠奈の姿が見えた。

 

よくよく見ると士道の部屋の方を向いて手招きしている。

 

『一体、何の用だ?』

 

 

琴里達を起こさないように家を出て鞠奈の元へと向かったー。

 

 

「よう、鞠奈」

 

「あはは、綺麗な星空だよ。

夜のデートにぴったり」

 

「こんな時間に出歩いてたら風邪ひくだろ…」

 

「ひくわけないじゃない、私の世界だし」

 

「ねぇ、五河士道」

 

「なんだ?」

 

「ちゃんと…私に愛を教えてね」

 

「ああ、もちろんだ」

「そっか、楽しみにしているよ。

それじゃ、私はこれで…楽しみにしているよ」

 

そう言うと鞠奈は走り出す。

 

 

「お、おい!」

 

夜中にあるにも関わらず、士道は声を上げて鞠奈を追いかける。

だが…。

 

『見失ったか…』

 

鞠奈が曲がり角を曲がり行き当たった十字路で鞠奈の姿は既にない。

 

『駄目です、こちらも完全に見失いました』

 

「仕方ない…帰るか…」

 

オーディンの報告に士道は溜め息をつくと家路を急いだ…。

 

 

 

「あれは……?」

 

家の前まで戻った士道は星を見上げる鞠亜を発見する。

 

「鞠亜…寝たんじゃないのか?」

 

「……なんだか、呼ばれた気がして……」

 

 

『呼ばれた……か……。

もしかすると鞠奈にか…?』

 

鞠亜の言葉に士道は顎に手を当てて考える。

「士道?」

 

そんな士道の行動を怪訝に思ったのか鞠亜が首を傾げる。

 

「いや、何でもない。

さっ、夜ももう遅いしそろそろ寝よう……」

「はい」

 

「今夜は布団に入ってこないでくれよな」

そっと玄関を開け家へ入ろうとする士道は鞠亜へとそう告げる。

 

「それは承伏しかねます」

 

「何故に?」

 

士道の言葉に膨れ面で答える鞠亜に問う。

 

「士道と一緒に寝ると、とても心地よいということを、知ってしまいましたから」

 

「俺は抱き枕かよ…」

 

返答に苦笑を浮かべると士道は家へ入ってゆく鞠亜の後に続いた―。

 

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