デート・ア・ライブ~救世の魔法使い~   作:灰音穂乃香

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第五十二話『狙われた士道』

「本当に雷華が無事で良かったんだよー」

 

「ちょ!桜!!重い!!重いって!!!」

 

心配した様子の桜に抱きつかれて雷華が声を上げる。

 

或巣鞠亜、或巣鞠奈…二人の電子精霊と出逢いと電脳空間での戦闘から既に一週間が経過していた。

現在、士道と桜がいるのは《ラタトスク》の管理下にある病院である。

 

雷華がフラクシナスの全システムを取り戻した後、急に通信が切れたのである。

怪訝に思った令音が人員を派遣。

気を失っていた雷華を発見したのである。

顕現装置の影響で意識を失っていたのだ。

 

 

『でも、何事もなくてよかったです』

 

『全く…むちゃしてくれるわ…』

 

雷華の枕元に置かれているタブレットからそう言ったのは鞠亜と鞠奈だ。

 

二人はフラクシナスのメインコンピューターから、雷華のPCやら士道のタブレットやらスマホを自由に行き来できるようになっている。

現在、フラクシナスで彼女たちの義体を作る計画が立ったおりそれもまた楽しみである。

 

『本当に楽しみですね……』

 

『ああ……二人が驚く顔が目に浮かぶぜ…』

 

現在、この計画は《オーディン》を通して進められており、二人には秘密となっている。

 

「そういえば雷華、霊力の方はまだ戻らないの?」

 

桜が雷華から離れ、尋ねる。

 

顕現装置を使用した影響からか…

あれから観測装置を用いても雷華からは霊力を検知できなくなっていた。

 

完全に消滅したというのが令音達の見解である。

 

「駄目だね…天使も霊装も全く出てこない…」

 

桜の言葉に首を横に振るう雷華。

 

「でも…これで良かったのかもされない…。

監視するのは好きだけで監視されるのは真っ平だからね…。

 

まぁ……士道とデートに行けないのは少し残念ではあるけどね…」

 

首を竦めるて言う雷華。

 

最後の方に一言何かを言ったようではあるが、俯いていたためにうまく聞き取ることができなかった。

 

それでも言わんとしていた事は何となくであるが予想は出来たため、士道は少し頬を掻きながら言葉を発する。

 

「なぁ、雷華…退院したら俺とデート…しないか?」

 

その言葉に雷華は目を瞬かせたが暫し後ー。

 

「ーうん」

 

笑顔をを見せて頷いたのであった。

 

 

 

 

「…あれ?」

 

翌日、高校へと登校してきた士道は首を傾げる。

士道の席の左隣‐折紙の席に彼女の姿が無いのである。

 

「む……」

 

十香もまたそれに気づいたのか眉を潜める。

『……珍しいですね』

 

『…ああ』

 

《オーディン》の念話に士道は頷く。

 

折紙は士道達が来るよりも早く到着している事が多いために二人はそのような感想を抱いたのである。

 

一体…どうしたのだろうと考えている間に教室のスピーカーからチャイムが鳴り響く。

『……今日は、休みか』

 

風邪でも引いたのだろうかと考える士道。

 

だが、しかし朝のホームルームの為に教室へと入ってきたタマちゃん先生から告げられた言葉に士道は耳を疑う。

 

落ち込んだ表情のタマちゃんが言うには折紙はイギリスの学校へと転校したとのことだったー。

 

 

『…おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…』

 

「やっぱり…電話にも出ないか…」

 

電話口から聞こえてきたアナウンスに士道は一人ごちる。

あれだけ士道に執着していた折紙が転校とは俄に考えられないのである。

 

現在の時刻は九時二十分。

だ、学校の方は授業中なのであるが体調不利を装い早退したのである。

 

『それにイギリスと言えばDEMの本拠地だしな…』

 

どうにも悪い予感ばかりが頭をよぎるのを感じながら、士道は目の前の建物を見上げる。

折紙の自宅マンションである。

 

『いる可能性はかなり低いがな…』

 

今の所の手がかりはここしかないのだ。

 

そう考えながらインターホンに折紙の部屋番号を入力する。

だが、待てど暮らせど返事は無い。

 

『既に、部屋を引き払っているのか…』

 

などと考えながら士道はスマホを取り出してホーム画面から『或守』と表示されたアプリケーションを起動する。

 

『士道、女性の事をこそこそ詮索するのはあまり感心できませんね』

 

どこか呆れたような顔でスマホ画面に表示されたのは鞠亜である。

 

先ほど、士道が起動されたのは《フラクシナス》のメインコンピューター内にいる鞠亜と鞠奈を呼び出すためのアプリである。

 

「ああ…それは承知している。

だがどうにも嫌な予感がするんだよ…」

 

怪しまれないように電話する振りをしながら鞠亜と話す。

 

『一応……言っておくと鳶一折紙ならもう部屋にいないわよ。

陸上自衛隊天宮駐屯地にも転属の書類が出されてるわよ』

 

『鞠奈…それは……』

 

士道の質問に答えたなは鞠亜ではなく、彼女の隣に現れた鞠奈である。

 

『仕方ないでしょう?

士道の場合、何としても鳶一折紙の居場所を探そうとするはずだから…』

 

咎めようとする鞠亜の言葉に鞠奈がそう言って首をすくめる。

 

「くっ…手詰まりか…」

 

そう言って、壁に手をつく士道。

 

『士道、いったんマンションの外へと出てみてさい』

 

 

「折紙を見つけたのか?」

 

『はい、このマンションの向かいに位置する路地に見つけましたーですが…士道』

 

「ありがとう、鞠亜!」

 

何かを言おうとする鞠亜の言葉より早く、士道はマンションのエントランスを出る。

すると鞠亜の言葉通り、向かいの路地に立つ折紙の姿を発見する。

「折紙!!」

 

士道は折紙の名を叫ぶと慌てて駆け寄る。

 

 

「折紙!いきなり…しかもイギリスに転校ってどういう事だよ!!

まさか…DEMに…」

 

 

そこまで士道が叫ぶと、折紙は人差し指で士道の唇を塞ぎ黙るように合図して出す。

 

「二人で話がしたい。

携帯の電源を切ってついてきて」

 

『罠である可能性がありますね…』

 

『ああそうだろうな…』

 

 

折紙の言葉に《オーディン》が訝しげに言う。

 

『だが、例え罠だとしても…折紙から話を聞かなけりゃいけない』

そう《オーディン》に答えると士道は折り紙の後を追う。

 

 

だが、いつまで歩いても折紙は足を止めようとしない。

次第に路地裏の深い場所へと入り込み、周囲からは人の気配がなくなってくる。

 

 

『《オーディン》、

俺に何かあった場合は頼むぞ』

 

自分の身に何かあった時の事を考えて《オーディン》に言付ける士道。

 

『了解しました』

そう《オーディン》が答えると同時に士道は士道は折紙の姿が見えない事に気づく。

 

『マスター! 後ろです!!』

 

「ちっ!」

 

《オーディン》の叫び声に舌打ちをする士道。

 

同時に口や鼻をハンカチなのように柔らかい布で塞がれる。

 

刺激臭が鼻を貫く。

だが《オーディン》が体内にを防御してくれたために直ぐに昏倒する事はなかった。

だが、どちらにしても状況がよろしくないのもまた事実である。

 

『くそっ!!』

 

悪態をつく士道の首筋へその襲撃者は手刀を叩き込んだー。

 

 

 

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