やはり私の男装生活はまちがっている。   作:空葬

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昨日投稿出来なくてすいませんでした!
では、ドゾー


屋台前での火照り

あの後、3時くらいに由比ヶ浜さんからメールが届き、待ち合わせ場所に私はなるべく早めに来た。

だが、待ち合わせ時間になっても由比ヶ浜さんは来ず、ただただ駅の改札前で本を読んでるだけとなっている。

遅いなぁと思っていると、カタカタと下駄の音を大きく立てて走る音が聞こえた。

その方向に目を向けると由比ヶ浜さんからがこちらに向かって走ってくるのが見えた。

 

 

「ヒッキーゴメン!ちょっとバタバタしちゃって…遅れちゃった」

 

「いや、気にしてない」

 

 

由比ヶ浜さんの服装は、薄桃色の花柄という由比ヶ浜さんらしい浴衣、帯は朱色で鮮やかに映えて見える。

髪型もいつもと違うようでアップに纏め上げられている

ちなみに私は

 

 

「…ヒッキー今日も長袖なんだね」

 

「ああ、袴とかあまり、な。すまんな、味気なくて」

 

「いや!大丈夫、気にしないで!」

 

 

そう、長袖の私服(男に見えるようになっている)とジーパンで終わりである。

正直、浴衣の子と一緒に行くのにアンバランスで申し訳ないのだが、バレる可能性を考慮してしまった。

ごめん、由比ヶ浜さん。いつか一緒に浴衣で花火みようね。

 

 

「とりあえず、行くか」

 

「うん」

 

 

由比ヶ浜さんと一緒に改札を通り過ぎ、電車で花火大会会場まで向かった。

 

 

 

 

 

花火大会会場に着いたが、時間は6時、花火大会開始は7時半…だったような気がする。

んー、少しだけ回っても大丈夫かな?

個人的にはりんご飴食べたいです。

 

 

「どーする?少しなら回っても大丈夫そうだが」

 

「えっとね、小町ちゃんからメールで買ってきてほしいもの送ってもらったんだけど…」

 

 

?どうして躊躇ったの?

そう思いながら見せられた小町のメールを最後まで読み、小さくため息をついてしまった。

 

 

『小町のお買い物リスト

焼きそば 四〇〇円

わたあめ 五〇〇円

ラムネ 三〇〇円

たこ焼き 五〇〇円

花火を見た思い出 プライスレス』

 

 

小町…、私少し恥ずかしいよ。

シスコン拗らせすぎちゃったかな。お互いに。

…でもありがとう。

 

 

「最後は気にしないで上の4つ買うか」

 

「あ、うん。…最後の一番大事だと思うんだけど」

 

「ん?どーした?」

 

「なんでもない!」

 

 

…なんでいきなり怒られたのでしょう?

 

 

 

 

 

人の波にのまれながら屋台が並んでる場所へ行く。

祭り効果に当てられているのか、焼きそば、たこ焼き、どれもが美味しく見えた。

由比ヶ浜さんもおおーと目を輝かせている。

ふふふ、私は人の多さに体が震えだしましたよ。

 

 

「ね、ね、何から食べる?りんご飴?りんご飴かな?」

 

「え?ああ…ってりんご飴?」

 

 

私がどこ?どこ?と探していると由比ヶ浜さんが手を繋ぎ、引っ張っていってくれた。

心なしか顔を赤く染めながら。

 

 

「こっちだよ、はぐれないように…ね」

 

「…おう」

 

 

あー、顔が熱くなってきたよー。

 

 

 

 

二人でりんご飴を買い、それを食べながら小町に頼まれていたわたあめとラムネ、たこ焼きを買っていった。

残すところあと一つ、焼きそばである。

今思うとよく食べるなぁ。

育ち盛りだからかなぁ。

 

 

「残りは焼きそばだっけ?」

 

「ああ、確かこっちに…」

 

 

そっちの方向を向くと、こちらを見ている二人の姿が見えた。

そのうち一人は由比ヶ浜さんの方へ、そしてもう一人は私のところへやってきた。

一人は知らないが、こっちへ来た一人はよく知っている。

 

 

「久しぶり!比企谷君!」

 

「おお、戸塚。久しぶりだな」

 

 

林間学校のボランティア以来の再会である戸塚君だった。

鮮やかな青に加え、白の帯で締める。

本来なら男っぽく見えたであろう姿が、逆にボーイッシュという点で可愛さを出しており、ビジュアルとマッチして似合っていた。

…可愛いなんて思ってないですよ?

 

 

「比企谷君がこんなところに来るなんて珍しいね!花火好きなの?」

 

「まあ、花火は嫌いではないが…今回は違う用でな」

 

 

そう言いながら由比ヶ浜さんの方へ目を向ける。

由比ヶ浜さん達の方も私のことを話題に出したらしくさがみん?と呼ばれる方がこっちを向いた。

…さがみんはその時、笑みを浮かべた。

 

 

「!?」

 

「あ、そーなんだー!一緒に来てるんだねー」

 

 

…今の笑みは。

見間違い…じゃないよね。あの子は私を見て確実に笑った。

微笑でも爆笑でもなく、見下しているような笑いで私を笑った。

…嫌な笑い方だなぁ。私が勘のいい男ならトラウマものだよ?

まあいいや、話してるようだし先に焼きそば並んでおこうかな。

 

 

「焼きそば、並んでるみたいだから先行くわ」

 

「あ、うん。すぐ行く」

 

 

罪悪感を感じているのか、由比ヶ浜は申し訳なさそうな笑みを浮かべた。

…別に気にしなくていいのに。

 

 

「戸塚、行こうぜ」

 

「うん…」

 

 

戸塚君、あなたもか。

…まあいいや、私はあまり気にすることなく、焼きそばの列に向かった。

 

 

 

 

 

「そういえば戸塚君、浴衣似合ってるね」

 

「あ、ありがとう…」

 

 

戸塚君は袖で自分の顔を隠し、わかりやすいくらいに照れていた。

…可愛いなぁ。




あと1時間半くらいでもう1話投稿しますので、見てくれたら嬉しいですm(_ _)m
では、サラバダ〜ノシ

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