ARIA †Rilanciare la Colore† 作:自分不器用ですから
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「・・・・・むむぅ~・・・」
その日、水先案内会社の大手老舗【姫屋】の跡取り娘の藍華・S・グランチェスタは
朝からある人物達を尾行していた。
何故か?彼女にとってはかなりの大事件だったらしく、朝からずっとこの調子だ。
「藍華先輩、一体、何をしているんですか?」
そしてその裏から彼女の後輩で水先案内会社の新鋭【オレンジプラネット】に所属し
若き天才としてその卓越した操縦技術を注目されているアリス・キャロルだった。
「後輩ちゃん?ちょっと大事件なのよ」
「大事件?こんなに日差しの温かい陽気な日に事件なんてでっかいありえません」
こういうアリスをその原因を向かせて指差す。
「はっ!こ・・これは・・!」
「だから言ったでしょ、大事件よ、大事件!」
「な~にをやっとるんだ、お前逹は?」
「「わひゃう!?・ひっ?!」」
いきなりその裏から顔を乗り出してきたのは藍華の先輩であり【姫屋】のエースと呼
ばれている【深紅の薔薇】の異名を持つ晃・E・フェラーリである。
さらにその後ろには何があるのか気になって首を伸ばしているのだがただ単に立ち上
がればいいだけという簡単な考えにいたっていない、アリスの先輩でありオレンジプ
ラネットのエースで【天上の謳声】と呼ばれるアテナ・グローリィである。
「休みでカーニバルにでも誘ってやろうと来たのに練習もせずにかくれんぼか?」
「ち・・違いますよ~。あの、実は朝から大事件でそれを追跡してたとこで」
「大事件~?一体、何だと・・・。・・・・・はっ?」
「あれ~?あれってアリシアちゃん?」
そう、藍華が朝から追っていたのはアリシアだ。
そしてその原因というのは朝のカーニバルが始まる時間から待ち合わせて一緒に廻っ
て楽しそうに話している隣の青年についてでこれには幼馴染の晃や親友のアテナも驚
いた声を上げて4人そろって看板の後ろに隠れて様子を窺う。
「ま・・まさかあの男、アリシアの彼氏かなんかか!?かなり仲が良さそうだぞ」
長年彼女の幼馴染をしている晃だがアリシアに色恋沙汰があるなど予想もしていなか
ったようでかなり動揺しているがアテナはどちらとも取れない微妙な反応。
「アリシアちゃん、付き合ってる人いたのね~・・でも少し違う気も・・うん~?」
「あっ!向こうにいきますよ!」
「こうなれば真相を解明してやる、お前ら、わたしに続け!」
いつもの鬼教官キャラはどこへやら完全に野次馬化した晃を先頭に2人を追った。
【カイト視点】
「やっぱり賑やかだね、アリシアさ・・むぐっ?」
僕が名前を呼ぼうとするとアリシアさんに口を指でついて塞がれた。
「もう、また間違えてるわよ?同い年なんだから【さん】呼びじゃなくて、ね?」
「いや、ね?って言われても・・・・」
今日はカーニバルの最終日。ここに来て3日目なのだが今日はアリシアさんが休みと
いう事でカーニバルを案内してくれる事になったので一緒にやってきたんだ。
温かい日差しに気持ちのいいそよ風が吹く。季節的には寒いのだろうが日差しの温か
さのお陰で風も心地よく、今日はとても過ごしやすい日になった。
だけど昨日の夜から僕はかなり困ってしまったんだよね。
というのも僕は年上だと思っていたアリシアさんは僕と同じ19歳で同い年だった。
断然、僕なんかより大人っぽいし、落ち着いて会社を切り盛りしていたから驚いた。
それで同い年で「さん」呼びは他人行儀だから呼び捨てでいいと彼女から提案があ
ったのだがいきなり言われても困るし揚句には「アリシアちゃんでもいいわよ、う
ふふ♪」と言われたがそれこそアウト、無理に決まってるじゃないか!?
「にしたってまだ会って3日目の人間に呼び捨てで呼ばせます?普通」
「わたしはあなたが信頼できる人って思うからそういうのよ?それにあなたの研修
期間中だけとはいえ、これから一緒なんだから家族みたいなものだわ、うふふ♪」
そう、お世話になってから炊事でもちろん朝・昼・晩、洗濯に会社の掃除など住居
と自分にとってのきっかけをくれた彼女達にせめてものお礼のつもりでやっていた
ら気に入られてしまい、いっそここを拠点にしていいと言われたのだ。
これから新しい宿にいけるかわからないし、お言葉に甘えたわけなんだよね。
「はぁ・・・、わかった、わかりましたよ。言えばいいんでしょ、云えば・・!」
最近、思った事がある。何気にアリシアさ・・アリシアは頑固な一面がある。
「んでアリシア。さっきから受けるこの視線は何なんですか・・・?」
すれ違う人、すれ違う人に見られるのだが最初は有名なアリシアを見ているんだと
思っていたけれど視線には僕を見る目もあって何で、僕?と疑問に思っていた。
「そういう丁寧口調も。よ?」
それもですか・・・?
「・・何なんだ、アリシア・・・?」
「あらあら、女性陣のほとんどはあなたの事を見てるみたいよ?とても魅力的だもの」
僕が魅力的・・?それはまた新たな論説を作ったものだと思う。
今まで学校で女子とは交流が無かったわけじゃないけどそんなにモテた記憶もないし
僕をモテているというアリシアの意見は勘違いじゃないのかと僕は思っていた。
「僕より顔がいい人なんていくらでもいるんだし、それは考えすぎだと思うよ?」
「あらあら。わたしはカイトの事をとても魅力的な男性って思うわよ?」
「なっ!?」
アリシアにそういわれた僕は顔が真っ赤になった。いや、自分でも分かるくらいだしね。
「うふふ、そういう可愛いところがとても魅力的よ♪」
・・・これはあれか・・・?見事に遊ばれたって事か・・・?
「やってくれたな、アリシア・・・」
「あらあら、うふふ♪」
なんというんだろうか、アリシアって何気に小悪魔キャラか?
このスマイルに騙されているのかもしれない、いや、よく言えばお茶目なのかな。
「そうだわ、このカーニバルではこの仮面よね?これはバウータっていう屋台なのよ」
「バウータ?」
形や色もさまざまなお面が所狭しと飾られている露店があってアリシアの話による
とカーニバルはバウータと呼ばれるお面とカッパロというマントがお決まりらしい。
「仮面か・・前に美術観点から古の仮面を題材にしたデッサンをした事があったけ
ど古来は宗教的な意味合いが強かったみたいだね。仮面の象る神・精霊・動物に
人格が変化するなんて言われてて別の自分に憧れを抱いた人の思念を具現化した
モノだって先生は言ってたな」
なんとなくだがこのカーニバルは1年の初めに行われる。仮面を被るのは今まであ
った悪い事、悪い自分を忘れて仮面をつける事で別の自分を象ろうとしているのが
最初なんじゃと思う。こんな日くらいはいい未来の自分でありたいだろうしね。
「カイトもそう思う事はあるのかしら?」
「うん~・・・どうだろうね(苦笑)」
実際を言えばそう思う事はあるよ。
僕にも夢はある。だけどその夢を叶えるためにはどうしても「あの色」と向き合わ
なければならない・・・でもまだ僕にはその勇気は足りないように思える。
絵を描くための基本理念を思い出せただけでも今は大きな一歩だったんだ。
「だけど仮面のデザインが特殊すぎて僕でも笑けてくるな」
よくよく見てみるとどれもこれも面白いデザインで別の知識として勉強になるね。
「こんなの面白いんじゃないかな」
そういってアリシアに仮面を被って見せるのだが彼女が可笑しそうに笑い出す。
「それ被る方が逆よ、カイト?(笑)」
「えっ」
自分的に紫の部分が首かけを模していると思っていたのだがカチューシャ的に頭に
つけるものを模していたようなのだがどっちとも取れるぞ、この仮面・・・?
アリシアは口を押えて可笑しそうに笑いを堪えている。
「ちょっと笑い過ぎじゃない?アリシア」
「ごめんなさい・・やっぱり可愛いと思っちゃって・・うふふ・・♪」
同い年といいつつ年下の悪戯対象のように思ってないですか、アリシア「さん」?
【追跡メンバー視点】
「な・・なんだ、あんなに仲良さそうに!アリシアが男と楽しそうにカーニバルなん
て今までの幼馴染の10年以上の中でも見た事ないぞ、てか誰だ、あの男は?」
「見た事ない方ですけどカッコいいですね。他の人も振り返ってましたし」
先ほどからつけている晃逹も驚いていた。
もちろんアリシアの人気は知っている。男性ファンが多い事なども認知されているレ
ベルなのだが特定の男性とああやって楽しそうにしているのは見た事がなかった。
「ま、まさか!アリシアさん、密かに恋人作ってたってわけ!?」
「いえ、あそこまでするとすでに隠してませんよ、藍華先輩」
いや、そこは冷静にツッコミをするところじゃないと藍華がジト目でにらんだ。
「でもアリシアちゃんがプライベートで男の子と一緒なのって初めて見たかも」
アテナも彼女との付き合いは長いのだが記憶になかった。
「皆さん、何してるんですか?」
「「「「わぁっ!!?」」」」
いきなり裏から声をかけられて驚いた4人は隠れていた看板ごと雪崩式に倒れた。
【カイト視点】
「ん?」
何やら物音がして裏を振り返るとそこには灯里ちゃんが立っていてその前に何故か
人がドミノ式で倒れている。
服装を見る感じだと彼女達ももしかして水先案内人?灯里ちゃんが親しそうに話し
かけてるから知り合いかなんかかもしれないけど何故、あんな状況に?
「あっ、カイトさん~!アリシアさ~ん!」
「ぷいにゅ~~!」
そういってアリア社長がこっちに走って来て僕に飛びついてくる。
「おっと。アリア社長、やっぱり少しダイエットした方がいいですよ?ちょっとお
腹がもちもちし過ぎです、まぁ、さわり心地はいいんですけど」
「ぷいにゅ~・・・」
どうやら気にしているところを指摘されてへこんでるみたいだ。自覚あるのね・・。
・・・・・・それから数分後。
「なんだ、ただの案内かよ。てっきりアリシアの彼氏かと思ったじゃねぇか!」
「あらあら~、彼氏だなんて照れちゃうわね、カイト?うふふ♪」
いや、そんな風に言われても。てか何で僕まで顔が赤くなる、バカか、まったく。
「え~と初めまして、カイト・F・コローレといいます。よろしく」
そういって黒髪の綺麗な女性に手を差出す。考えてみればまだ挨拶をしていなかった。
「あ・・ああ、わたしは晃・E・フェラーリ、姫屋の一人前水先案内人だ」
次に紫丁香花(ライラック)色の髪が特徴的なアリシアの親友という女性に手を差出す。
「わたしはアテナ・グローリィ。オレンジプラネットの一人前水先案内人よ」
そして隣にいる緑翠玉(エメラルドグリーン)の長髪が特徴的で小柄な女の子。
「はじめまして、アリス・キャロルです。半人前水先案内人をしてます」
次に青玉色(サファイアブルー)の髪を左右で三つ編みにしている晃さんと同じ制服の女の子だ。
「藍華・S・グランチェスタよ。え~と追跡しちゃってごめんなさい」
どうやら彼女が一番最初に僕とアリシアの事をつけていたらしく便乗で晃逹まで一
緒に追っていたらしいけどどうすれば恋人同士に見えるんだろ・・・?
とりあえず全員と握手を交わして自己紹介を終えるのだけれどそれを見ていた灯里
ちゃんが何かとても嬉しそうな、というよりこの顔って素敵なモノ見つけた時のか?
まだ3日目なんだけど彼女については確定している事がある。
灯里ちゃんは何か素敵なモノを見つけたり、感じたりするとこの顔になるんだ。
「どうしたの、灯里ちゃん?」
「いいえ、なんだか出会いの瞬間を見れるのって素敵だな、って思って」
何かうっとりするようなとても物思いにふけるような表情で言葉を続ける。
「『はじめまして』と言う時ってきゅんってなりますよね」
「そ・そう?」
「はい、人と人が出会うのは素敵な奇跡。だからその瞬間を宝物にしてとってお
きたくなっちゃうんですよ。そこから始まる大切な時間を想うと」
やっぱりあれだね、どうしてもあの言葉を言いたくなるんだ。素敵な言葉なんだよ?
「「恥ずかしい台詞禁止!」」
「「・・・・・・・」」
誰かと言ったツッコミが被って視線を向けるとそれは藍華ちゃんで同じポーズだった。
「えぇ~・・・・・」
「あれだよね?なんだか・・無性に言いたくなるよね、藍華ちゃん?」
これは僕だけの衝動ではないはずと藍華ちゃんに同意を求めてみる。
「奇遇ね、わたしもあなたと同じ衝動にいつもかられるのよ。この天然素敵娘には」
「えぇ~・・・」
そんなこんなでアリシアとのカーニバルめぐりから始まり、今日は一気に知り合い
が増えてしまった。こんな簡単に人との出会いってあるものかなと思う。
ここに来た時なんて知っている人もいないし、どうやって日々を過ごしていくのか
不安だらけだったんだけどまさかこんなに触れ合える人達に出会えるなんて。
「でもあれかな」
「「「「「「?」」」」」」
僕もなんでそんな柄にもない事を口走ったのかはわからないけど言ってしまったんだ。
「そんな素敵な出会いを当たり前のように与えてくれるのがこのネオ・ヴェネツィア
なのかもしれないなって。現にこうやってアリシアや灯里ちゃん達と驚くくらいに
簡単に出会えたし・・その出会いが晃さん達との出会いも生んだし、普通ならこん
な簡単に人と触れ合う事って難しい気が、・・ってどうしたの、皆?」
何故か、アリシアと灯里ちゃん、アテナさん以外が僕の方を呆れたような目で見ている。
「え?え?」
「「「「恥ずかしい台詞禁止!」」」」
「えええ~~~!?」
うぅ・・僕まで灯里ちゃんの影響を受けてしまったのかな。何を口走ってるんだろう。
「あらあら♪やっぱりカイトは魅力的みたいね、うふふ♪」
アリシアがそう笑うのを溜息交じりに見つめながら誤魔化す様に空を見上げる。
「(でも・・まぁ・・・いいか。なんか悪くない、こんな自分ってのも)」
少しだけど自分の心の変化に心地よさを感じた。
それもこの星に住む彼女達、水の妖精達のなせる業・・変に詩人過ぎたかな?
頬を撫でるそよ風と温かな日差しを感じて穏やかに時間は過ぎていった・・・・。
次回、ARIA the STORY†Rilanciare la Colore†
第4話 その天上の音色を・・・
「お兄ちゃんなら見えるよ。世界の色が・・とっても綺麗ないろんな色が」
「何て綺麗なんだろ・・これがアテナの歌・・これが音の色なんだ・・・」