ARIA †Rilanciare la Colore†   作:自分不器用ですから

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第7話 その白い妖精ったら・・・・

 

 

 

 

 

 

 

ある日、僕はアリシアにこんな事を言われた。

 

「ねぇ、明日のお休みはわたしに付き合って貰ってもいいかしら?」

 

「えっ?うん、別に僕はいいけど」

 

何か買う物が多いのか?わざわざ付き合ってくれだなんて荷物持ち大変そうだな。

 

「あらあら、それじゃ明日の9時にサン・マルコ広場の時計台に集合ね?」

 

「分かった」

 

「うふふ♪明日が楽しみね」

 

そんなに買いたいものがあったのかな。でも普段からお世話になっているんだしこうい

う時くらいは男を見せないと料理だけってのも何だか悪い気がするしね。

・・・・・そして翌日。

 

「お~い、アリシア~!」

 

「あらあら、カイトも早かったのね?まだ10分前なのに」

 

「そういうアリシアこそ早いんじゃない?僕の方が待たせちゃってるくらいだし」

 

「うふふ♪今日のお出かけが楽しみでちょっと寝不足なのよ」

 

そんなに何か買う物があるのかな?と未だに内容が理解できていない僕は首を捻る。

 

「それじゃ早速、いきましょう。2人っきりのお出かけよ」

 

こういってアリシアが僕と腕を組むように身体を寄せてくる・・・・・んっ?

 

「ちょ!?ちょ!?ちょっと!!アリシア何してるの!!」

 

「何って腕を組んでるのよ?男女が歩く時ってこういうものじゃないかしら?」

 

いや、それって普通恋人とか、夫婦とかそういう関係の人達がそういうのをするわけ

で僕達は居候と家主というか、仲間というか、そういう仲でまだ恋人だとか恋愛関係

になっているわけでもないのにいきなり腕を組まれて僕は顔が真っ赤になった。

 

「一度こういうお出かけをしてみたかったのよ。なかなか頼める殿方はいないし」

 

だからって会って二週間程度の男に頼む内容なのかくらいわかるだろう、アリシア(汗。

気を許してもらえるのはいい事だけどあまりにも無防備過ぎる気がして仕方がない。

 

「それともわたしじゃご不満があるかしら?」

 

「い、いや、そんな事はないよ!でもこういう風に女の子と買い物とかした事ないし」

 

「うふふ♪大丈夫よ、その場、その場を思いっきり楽しんじゃえばOKだから」

 

そういったアリシアにリードされるようにして僕は彼女との買い物に出掛ける事になった。

 

「まずはここよ」

 

やってきたのはいつも夕飯などにパンを買いに来るパン屋でまだ仕込みをしている

途中なようなのだがパン屋のお姉さんがアリシアを見つけて出てきた。

 

「あっ、アリシアさん!おはようございま~す、今日はお2人でお買い物ですか?」

 

「ええ、それと昨日、予約しておいたアレ。出来てます?」

 

「もちろんですよ~!少々、お待ちください♪」

 

どうやらアリシアは何かを頼んでおいたらしい。まずはそれが買い物の1つ目かな。

 

「はい、カイト」

 

「え?これは・・・サンドイッチ?」

 

「ここはね、予約しておくと朝食用のBLTサンドを作っておいてくれるのよ。わたし

 はよくここを利用するんだけど今日はカイトにも教えてあげようと思って」

 

とりあえずは朝食をとってからって事なのかな?言われるままにサンドイッチを頬張る。

 

「あっ・・美味しい?・・・♪」

 

クリームチーズ入りっていうのは初めてだけど美味しいな。それにこの味はクレイジー

ソルトかな?これはまた新発見、今度のメニューに加えてみようかな。

それから僕とアリシアは朝食を取りながら次の場所へと向かう事になったんだ。

 

「今度はここよ」

 

「ここは工芸品専門店?(どういう事なんだ?何故にこの店?)」

 

よく分からないまま店に引き入れられて2人で店を見て回った。ガラス工芸やはたまた

画材やら一般の芸術作家達が売り物として作品を出していたりするらしい。

 

「ここでまだ名の売れていない芸術家達が自分の作品を持って売り物として頼むのよ」

 

「へぇ~・・・値段とかも自分で決めるの?」

 

「うんうん、値段は決められてなくて買う人が自分で決めるのよ?この店に来る人は多

 くが芸術に関してこだわりを持つ人ばかりだからいい作品程、高く買われるの」

 

つまりは本当の絶対実力主義。話によると学生なども出品してる人がいるらしくて受け

入れられる作品を作れるかどうかがある意味で1つのラインになっているようだ。

実際にここでの功績が認められてプロの芸術家になった人もいるとアリシアは言った。

 

「カイトもそのうちここに出品してみたらいいかなって思って。あなた自身がこれなら

 自信を持てるって思える絵が書けたらやってみたらどうかしら?」

 

どうやら僕のためにこういった場もあるというのを教えてくれたようだ。

 

「うん・・・もっと自分の絵を固められた時、ここに挑戦してみる。ありがとう、アリシア」

 

「あらあら♪うふふ♪」

 

それから僕達、2人はアクセサリーショップへとやってくる。

 

「これアリシアに似合いそうだな?スノーホワイトだし、通り名が」

 

僕がそう言ってアリシアに差出したのは雪の結晶を模したガラス細工が細かいアクセサ

リーで彼女の方も何かを見つけてきたらしく、それを僕に差し出す。

 

「ほら、これ綺麗じゃないかしら?雪の結晶のガラス細工」

 

「「あっ」」

 

2人して同じガラス細工のアクセサリーを持ってきたようで同時に吹き出してしまった。

 

「はっはっは♪それじゃこれはアリシアのプレゼントに」

 

「それじゃこっちはカイトへのプレゼントに」

 

こうして僕とアリシアはお揃いの雪の結晶のペンダントを買った。

その後、向かったのはアリシアや晃達が利用しているイタリア料理店『ウィネバー』

でカルパッチョ専門店らしいけどイタリア料理は一通りそろっているらしい。

 

「ここのピザはチーズがとても美味しいの。それにカルパッチョも絶品なのよ~?」

 

出されたピザはアリシアが好きと言っていた5種類のチーズをたっぷりと使った贅沢

ピザとカルパッチョは朝仕入れたばかりの牛肉を使っているモノみたいだ。

 

「オリーブオイルとレモン、塩のシンプルな味付けだけど素材の味が素直に楽しめるね」

 

「ふふ、気に入ってくれた?」

 

「もちろん」

 

それから談笑を楽しみながらアリシアから今までの水先案内人の話だとか灯里ちゃんと

の想い出話などいろいろ知らなかった事を聞く事が出来た。

また2人で歩いていると僕の足元にボールが飛んできて軽くトラップで手に持った。

 

「お兄ちゃん~!ボール蹴って~!」

 

どうやら遊んでいた子供の蹴ったボールがホームランしてこっちに飛んできたらしい。

 

「よ~し、いくぞ~?」

 

ゴールから20mちょっとか・・・上手くいけば入るかな?

僕はボールを足元に置いて少し距離をおいてから一呼吸おいて助走して足を振り被る。

 

「そらっ!」

 

立ち足はややボールから遠い位置に置いてボールの中心を足のインサイドでかかとか

らぬく感じで蹴り、インサイドでアウト回転をかける感じで押し出す感じで蹴った。

想った通りにボールが一瞬、右にぶれてそこから急激に左に曲がってゴールに突き刺さる。

 

「よっし!久しぶりにやってみたけど上手くいったー!」

 

思わずガッツポーズを決めてしまったが気付いてすぐに引っ込めた。ちなみにあれは

サッカーの無回転フリーキックって言ってボールがぶれるように落ちたり、さっきみ

たいな不規則な曲がり方をする魔球って言われてるキックだったりするんだ。

 

「す、すっげぇ~!」

 

子供から声援が聞こえて軽く手をふってその場を後にする。たぶんあのまま行くと子

供達に捕まって買い物だとか、そんな場合はでなくなる気がする。

 

「以外とカイトって運動神経いいのね。インドア派かと思ったわ(笑」

 

「あのね・・こう見えても体育は美術同様に最高点とってたんだよ?」

 

可笑しそうに笑いを堪えているアリシアにちょっとぶすくれ顔の僕がいた。だけどそん

な中、さっきサッカーをしていた子供達に捕まって一緒にサッカーをしようと言われて

困っていた僕だったんだけど結局は・・・・。

 

「カイト、パス!」

 

僕とアリシアも子供達に入って一緒にサッカーを始めてしまった。アリシアが面白そう

だから遊んでいきましょう♪とノリノリで試合に参加したのである。

 

「ほら、上がれ、上がれ~!」

 

他の子ども達を上がらせて大きくセンタリングを上げてそれを子供がヘディングしたけ

ど打ち上げてしまい、悔しがっているがまた僕にボールを蹴って要求してくる。

 

「カイト、カイト~!パス、パ~ス♪」

 

すでにアリシアもかなり楽しんでしまっているようでお望みどおりにアリシアに合わせ

て柔らかい山なりのトラップし易いパスを出したんだけど次の瞬間、驚いてしまった。

 

「それっ!」

 

なんとあの白き妖精と呼ばれスマイルが特徴的であまり活発というイメージでもないア

リシアが飛び上がって見事なヘディングシュートをゴールを決めた。

ゴールに入ったのを見ると嬉しそうに飛び上がって僕に駆け寄るとハイタッチを交す。

 

「やったわ、ナイスパスよ、カイト♪」

 

「まさかヘディングシュートとは驚いたよ。結構、お転婆?アリシアって?」

 

「わたしだって子供の頃は晃ちゃんと色々、遊びに歩き回ってたのよ?楽しいわね♪」

 

それからアリシアと2人で思う存分、サッカーを楽しんでいた。あれ?買い物は?

気付いた頃には夕方になっていて子供達もそれぞれの家に戻って行った。

 

「ついつい遊び過ぎちゃったわね。ちょっと疲れたわ」

 

アリシアと海側のベンチに座ってカフェで買ってきたアイスコーヒーを2人で飲んだ。

 

「それにしてもアリシアって色々な場所知ってるね。色々、今日は知らなかった名所

 を見られて楽しかったよ。でも君って何でも楽しんじゃうんだな」

 

いきなりサッカーをやり始めたり、今日、回った店でも色々な裏メニューだったり、

隠れた名店だったり、とても情報通なんだなと思う。

でもどっちかというと買い物というよりかは女の子と遊びに出掛けただけだよな。

あれだよね、皆が憧れてる水の三大妖精と2人で遊べるなんてのもかなりレアな体験

なのかもしれないけれど変な話、『普通の女の子のアリシア』を見た気がする。

 

「ふふっ、楽しい事は何でも楽しんでしまうのがコツなのよ」

 

それから僕はアリシアに誘われて彼女の秘密の場所に連れて行ってもらう事になった。

しばらく歩いて辿り着いた場所は街のはずれにある森林でそこから多少なりと整備さ

れた道を歩いて行くと開けた場所へとやってきた。

 

「ここは・・・・」

 

その場所は海へと繋がっていて小さな浜辺がそこにはあった。

 

「あまり人も寄り付かない場所だから秘密の場所なのよ?ここを教えてくれた人から

 話を聞いたけれど昔は漁に出ていた船が停泊する休憩ポイントだったんですって」

 

アリシアに手を引かれて海へと近づくと徐に彼女が靴を脱いで素足になりだした。

 

「最後はここ!もうちょっと遊びましょう♪ほら、カイトも靴脱いで」

 

「う、うん。って・・・あんまり引っ張らないでアリシア、バランスが・・あっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

案の定、バランスを崩した僕はアリシアを巻き込む様な形で水に倒れ込んでしまった。

 

「痛っぅ・・・アリシア、大丈・・・・なっ・?!」

 

「え・・ええ、ごめんなさい・・・とっとはしゃぎ過ぎちゃったわね」

 

「こ・・これ、着て!!はやく!!」

 

僕は自分が羽織っていたシャツをアリシアに押し付けた。すぐさま後ろを向く。

 

「え?どうして?」

 

「あの・・その・・・服が・・・透けてる・・・・(照」

 

「えっ・・・?きゃっ!?」

 

そんな声が聞こえる。はっきり言うと見てしまった。何でこんな状況に!?いや、

水辺でふざけたのが原因だけど頭にさっきの光景が焼き付いて顔がさらに赤くなる。

 

「も・・もう、大丈夫よ。カイト」

 

声に振り返ると僕のシャツを羽織ってとりあずは隠してくれたようで安心する。

 

「えいっ!」

 

「わぷっ!?・・ぺっ!ぺっ・・、しょっぱ!?」

 

いきなり顔に水をかけられて唖然とする僕にさらにアリシアが追撃をかけてきた。

 

「それじゃ続き!もうちょっと遊ぶって言ったでしょ♪」

 

「っていうか、それだと結局、またびしょ濡れじゃないの、アリシ・・ぶはっ!?」

 

しかし間髪入れずに水攻めをされるのにちょっと負けず嫌いなところが出たのか逆に

僕も手で海の水をすくうとそのままアリシアに水攻めをし返した。

 

「きゃっ!やったわね~、カイト!」

 

「アリシアが最初にやったんだろ~?僕のはお返しだよ!」

 

「それじゃわたしもお返し!それ!」

 

「やったな、こっちだってお返しだ!そりゃ!!」

 

僕達はそれから童心にかえって水かけ遊びを楽しんでしばらくすると2人して浜辺に

寝転がって荒れた息を整えていた。今日も星がとても澄んで綺麗に見える。

 

「ははっ・・確かに何でも楽しんでしまう達人だよ、アリシアって」

 

「うふふ♪」

 

今日はとても楽しかった。いろいろな発見もあったし、街の人との交流もあった。そ

れにこんな風に女の子と大騒ぎしてはしゃいだのも初めてで案外、初めて尽くしだ。

静かな月夜、押し寄せるさざ波の音、2人の呼吸の音だけが聞こえる静かな世界。

 

「でもカイト」

 

「んっ?何、アリシア?」

 

お互いに顔を向けて見つめ合う。アリシアが口を開いた。

 

「これからもっといろんな楽しい事が待ってるのよ?そう思うと小さなことでも楽し

 まないと損した気分になっちゃうの、それがわたし流の楽しむコツよ?」

 

どんな小さな事も・・・か。もしかして僕って今まで見逃してたのかな、そこにあっ

たはずの楽しい事とか、大切なモノとか、焦り過ぎてて視野が狭くなってたかも。

 

「僕も見つけていきたいな、楽しい事とか、素敵な事とか。そうすれば・・・・」

 

「色」についてもその色が絵に与える素敵な世界、楽しさを与えられるような色を扱

えるようにもなるのかもしれない。

アリシアみたいに些細な楽しい事でも見つけて楽しめるようになれたらどんな表現で

も絵の中に描く事が出来る気がする・・・そして『あの色』とも向き合えるだろうか。

 

「カイト?」

 

「うんうん、なんでもない。なんでも・・・・」

 

そういって空を見上げる僕にアリシアはこう言ってくる。

 

「カイト、何か悩んだり、苦しい事があったらまた2人で楽しい事、探しましょう?」

 

「アリシア・・・」

 

なんだかアリシアに一瞬、考えた暗い部分を見透かされたような、そんな言葉だった。

 

「うん・・・そうだね」

 

そうだ・・・こんな楽しい一日を過ごさせてくれたのにまだ言ってなかった。

 

「アリシア」

 

「・・・なに?」

 

「ありがとう」

 

「あらあら、どうしたしまして。うふふ♪」

 

こうして僕はアリシアと楽しい一日を過ごす事が出来た。

そうだ・・今度からもっと街を見てみよう・・・この街にはまだまだ楽しい事とか

素敵なものがいっぱいある・・・そしたらアリシアみたいな達人になれるかな?

 

 

 

 

 

 

 




次回、ARIA the STORY†Rilanciare la Colore†

第8話「その真実の蒼に・・・・」

「お兄ちゃん・・・それが世界の蒼色だよ」

「蒼・・命を育む色・・・このアクアを造る色・・・綺麗だ・・凄く」
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