ARIA †Rilanciare la Colore†   作:自分不器用ですから

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EXTRA STORY その真実の蒼に・・・・

 

 

夢を見ていた。そこは海の中でただその中を水底へ沈んでいくだけの夢。

だけどとても落ち着いた、どこまでも全てを包む青色、頭上には太陽の光が差し込ん

で海の中を幻想的にそして綺麗に照らしている。

そして夢の最後はいつも同じ、裏から蒼い光が放出されてそれに包まれて・・・・。

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「・・・・んっ・・・・。・・・・朝、か・・?」

 

夢から覚めると太陽の日差しが差し込み、いつもの清々しい朝を迎えていた。

だけどどうにもすっきりというわけでもない感じもする、一体、あの夢は何なんだろう?

 

「んん~・・・おはようございます~、カイトさん~」

 

「おはよう、灯里ちゃん」

 

挨拶を交わした僕はふと海を見ると突如として『眼』が勝手に発動して海の色が変わる。

 

「(な・・なんだ?海が光ってる?蛍光色みたいに・・・なんなんだ、これ?)」

 

だけどその光もいつの間にか消えてしまって『眼』もまた戻っていた。

 

「カイトさん?どうしたんですか?」

 

「・・うんうん、なんでもない。さぁ、朝ご飯にしようか」

 

「はひっ!」

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今、僕は以前にアリシアに教えて貰った秘密の入り江の画を描いていた。白い砂浜

と何十年も風雨にさらされて形状がいびつになった岩山、そしてそこから広がる海

と被写体として今まで見た景色でも1、2に入る景色だった。

 

「あとは海の配色を決めるだけだな。さて『眼』で配色でも見てみようかな」

 

そうして『眼』を使ったんだけどいつもとは違った。海の蒼だけが配色が読めずに

またも発光色として映る。さらには空も見上げたら空の蒼までも発光色に変わって

いて少しその色にあてられたのかめまいが襲った。

 

「(この強い発光色を見続けてたら頭痛が酷くなる・・『眼』を切ろう)」

 

だが僕の意志に反して『眼』は止まらずそのまま蒼の発光色を見せ続けてくる。

 

「(頭が痛い・・・なんだ、この『眼』はどうしたっていうんだ・・・?)」

 

あまりの痛みに意識が段々と薄れてきてそこで僕の目の前は真っ暗になった。

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それからしばらくして僕は身体に冷たいモノが触れる感触に起こされて意識を取り戻す。

だが起き上がってみるとそこは前に夢で見たどこまでもまっ白な世界。

 

「でもこの手に触れている感触・・・水か?見えないけど感触はある」

 

不思議な感覚だった。見えないのに確かに触れる感触、冷たさ、それは間違いなく水

で試しになめてみると塩分を含んでいてどうやらこれは海水のようだ。

 

「これは夢なのか?でも五感がリアル過ぎる・・・」

 

そして僕はふと視線を感じて振り返る。

 

「君は・・・」

 

そこに立っていたのは『あの女の子』だ。だけど僕はその時、何か違和感を感じた。

彼女の眼は『ピジョンブラッド』ではなく、『ブルーサファイア』、蒼い色に染ま

っていて僕が唖然としていると彼女が口を開いた。

 

「あなたが会ったのは『赤のフロマ』。あなたに一番、近い色。わたしは『蒼のフロマ』

 ・・・『眼』があなたを認めたから出てくることが出来たの」

 

「『眼』が認めた?どういう事なんだ」

 

「赤のフロマが言ったでしょ?色んな世界を綺麗に映す眼だって、あなたが望んで世界

 を見ようとしているから『眼』もあなたを宿主と認めて『真実の色』を見せるように

 なったの・・・早く見つけて『真実の蒼』を。『蒼の意味』を」

 

「ちょっと待って!『真実の蒼』って、『蒼の意味』って何なんだ?」

 

(今のあなたの『眼』なら世界に色をあ・・・る・ぅ・・・・)

 

だがその女の子『蒼のフロマ』は粒子になって消えていった。

一体、どういう事なんだ?『眼』が僕を認めた?『真実の蒼』と『蒼の意味』を見つけ

て?謎が深まるばかりで僕はその場に座り込んで思案を巡らせる。

 

「前、赤のフロマがこの世界から色が消えたって言っていた。そもそも色が消えたって

 理由が謎だけど・・・蒼のフロマの言葉を取れば『蒼色』を見つけてから判断すると

 見つければこの世界に『蒼』が戻る・・・って考えればいいんだよな?」

 

だが問題はどうやってそれを見つけるかだ。『蒼の意味』・・・鍵はこれなのかな?

 

「蒼の意味・・・?蒼から連想されるイメージを捕えればいいのか・・」

 

僕も色彩からイメージし、連想したモノから色の概要を勉強した事はある。

蒼は基本的に海や水のイメージから『希望』『冷静』という意味を伴う事、そしても

う1つ『平和』を現し、平和団体のシンボルカラーにもなっていた。

 

「蒼からの連想、空・・海・・水・・水か、古代ギリシャでは『万物の根源(アルケー)は水』

 と言われるように生命の存在に不可欠なモノ、前に見た東洋の書物だと命は水に

 よって養われ、水がなければ命は消えるって論説もあったっけ」

 

案外、『蒼』というのは暗いイメージ、霊的なモノ、気持ちが暗くなる色など思われが

ちなのだが実際は逆、生み出すというイメージを与えるモノが多いんだよな。

 

「色が無くなったならここに色をつければ戻るのか?いや・・この広範囲にどうやっ

 て色なんてつけ・・・・(まてよ、あの子の最後の言葉)」

 

僕の今の『眼』なら世界に色を・・・・後の言葉は擦れて聞こえなかったけれど今の

僕の『眼』には世界の色を『視る』以外にも何か力があるって事なのか?

 

「『眼』よ、お前に鍵があるなら答えてくれ」

 

そうして『眼』を発動させる。すると僕の足元、そして上空、そこに現実の世界で見

たのと同じ発光色の蒼が現れて足元を見ると一面が蒼、そして上も蒼に所々で空白の

ように色が抜けている部分が見えてそこで理解した。

 

「この『眼』を使っている時だけ色が現れるのか。現実だと頭痛がしたけど今はまる

 で痛みがない・・・んっ・・・『眼』の色が!」

 

前は白だったところに蒼の配色が現れ始めた。発光色だったが水のように僕の姿を映

し、その水面に手を触れた途端に発光色がさらに輝きを増して光に包まれていく。

 

「!」

 

気付いた時には僕は海の中で・・そう丁度、夢のような状態になっていた。

そして見える光景も発光色の蒼から本当に『海の蒼』を取り戻して上を見上げるとそ

こにはやはり本来の『空の蒼』を取り戻した空が広がっている。

 

「そうか、この『眼』のもう1つの力ってこの世界を色で染める力だったんだ」

 

そして気付いてみると僕の周りに何かがいる事に気づいてみてみると段々と姿が現出

されて見える様になった姿はイルカで僕の周りを自由に楽しそうに泳いでいた。

どうやら海が色を取り戻した事でここで生きる生き物達も本来の姿を取り戻した様だ。

 

「んっ?色が流れてる・・・?どこに・・・」

 

『眼』が見せる色の流れがどこかに集まっていく。それは海の底で本当に小さな光が

見えて僕はそれに引き寄せられるように底へと泳ぎ始める。

 

「すごい・・・いろんな命が生まれていく。これが母なる海・・・・」

 

潜っていく間にもいろいろな海の生物達が生まれ、そして世界へと飛び出していくシ

ーンを見ていたらさっきのイルカが僕の横にきて背びれを差出してくる。

どうやら掴まれといっている・・・いや、何となくそう思うだけだけどね?

 

「頼むよ、イルカ君」

 

そうして背びれに掴まるとイルカは僕を引っ張ったまま海の底へと泳ぎを進める。

 

「母なる海・・・その世界を創りだすのは『蒼』。そうか、彼女の言った『意味』って」

 

段々と近づいてくるその光を見つめながら自分なりの『意味』の答えに辿り着いた。

辿り着いて僕はその小さな光を両手ですくって『真実の蒼』に心奪われる。

 

「蒼・・命を育む色・・・このアクアを造る色・・・綺麗だ・・凄く」

 

そして僕が顔を上げると目の前にはさっきの女の子がいたんだけれど彼女の髪がショー

トヘアーからロングに変わって髪の色も瞳に相対して蒼に変化していた。

その姿はとても綺麗で彼女の姿にも目を奪われていた、まさに女神がそこにはいた。

 

「ありがとう・・・わたしを見つけてくれて。この世界に『蒼』が戻ったよ」

 

「君が色、そのものなんだね。この『眼』はフロマ達に色を与える力がある、彼女が

 頼んでいたのはこういう事だったんだよね、蒼のフロマ?」

 

「うん・・・でもまだたくさんの子が待ってる。今度は皆を描いてあげて・・・昔の

 ように・・・1人で置いていかないで・・・・」

 

そして彼女からまた謎の話が出てくる。

1人で置いていく?昔のように・・・って前にもこんな事があったって事なのかな?

 

「これからお兄さんに『世界の蒼』達は自分の本当の色を見せてくれるようになるよ

 。お兄さん・・・今描いている絵、出来たらわたしに見せてね?」

 

「・・・うん、わかった。分からない事も多いけど君が笑顔になる絵を描き上げるよ」

 

「うん・・・・♪じゃあね、お兄さん。そろそろ夢から覚め・・―――――」

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「・・さ・・ん・・カイ・・さん・・・カイトさ~ん!起きてください~!」

 

僕はそこで目が覚めた。

 

「・・・・灯里・・ちゃん?どうしたの、こんなところまで」

 

これには灯里ちゃんが今まで見たことがないような怒った顔で叱りつけてくる。

 

「どうしたのじゃないですよ!カイトさんがいつになっても帰ってこないからアリシ

 アさんと一緒に探し回ってたんですよ?こんな暗くなってるのに!」

 

辺りを見回すとすでに夕日も傾きかけて海を見ると夕日と夜が混じりあった何とも幻

想的でロマンチックな風景画が広がっていた。

 

「(感じる・・・『眼』にあの子の存在を・・夢じゃなかったんだ)」

 

何というかもう感覚がもう1つあるというか、なんと説明していいかわかりにくいな。

 

「早く帰りましょう?カイトさん」

 

「うん、そうだね。アリシアにも心配かけちゃったようだし」

 

僕は道具を片づけてもう一度、海を見た。そしてその光景をしっかりと焼き付けたんだ。

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「ふぅ・・・、まさかアリシアがあんなに説教キャラだとは・・・・」

 

灯里ちゃんに聞いても怒ったり、叱ったりしたのを見たことがないと言っていたのに

あれから数十分、みっちりと静かな口調で諭された。あれはあれで怖い、うん。

 

「さて・・・清書はしたし、色をつけていくかな・・・」

 

そうして僕は『眼』の力を発動し、その絵に色をつけていった。

 

一方・・・灯里はというと。

 

「アリシアさんの特製生クリームのせココア、喜ぶかな~?」

 

あれからアリシアさんがカイトさんがリラックスできるようにと糖分補給よ♪と言って

これを持っていくように渡されました。

でもアリシアさんがあんなに怒るなんて始めてみたかも。凄く心配してたんですね~。

 

「(集中してると悪いし、ちょっと様子を見てみよう・・・)」

 

わたしはドアの隙間から中をのぞいてみました。

 

「あっ・・カイトさん、真剣な顔で描いてます~。ああいうところカッコいいな~」

 

1つの事にあんなに一生懸命になってやっている姿はプロの画家みたいですよね?

 

「・・・えっ?」

 

でもわたしは1つ、違和感というか、不思議なモノを見たんです。

いつものカイトさんの眼と色というか雰囲気が違って吸い込まれそうな蒼色でした。

 

「(なんで眼の色が・・・・?)」

 

その後、ココアを届けにいってこっそりと見つめた瞳はいつものカイトさんの眼だっ

たんですけど・・・・アレは一体、なんだったんでしょう?

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それから僕の画には大きな変化が生まれた。

『蒼』のフロマとの出会いから僕の『眼』は世界にある青色を理解させる能力が前よ

り格段に強くなっていて僕の描く絵に使われる蒼は自分でも驚くほどに本物に近いリ

アルな色彩を表現できるようになっていて逆に全体のバランスを崩しかねない程だった。

 

「『真実の色』を知る事でそれにもっとも近い配色を扱えるようになるって事か」

 

だが逆に難しい事でもあった。『蒼』の表現が格段に良くなりすぎて他の色が食われ

てしまい、今まで以上に色の表現に気を使うようになっていた。

だけどそのおかげで前より絵自身、前の軽いモノから深みが少しついた気がする。

 

「でも彼女と前に会った子はそれぞれ別のフロマだっていう事はまだ他にも別色のフロ

 マがあのまっ白な世界で見つけるのを待っているって事か・・・」

 

つまり最初に出会った『赤のフロマ』が言っていた「この世界に色を取り戻して』とい

う願いは自分達を見つけてあの世界に『色』として戻して欲しい・・そう解釈できる。

どうすれば彼女達に会えるのかは分からないけれど僕が成長を実感できた時に『蒼のフ

ロマとも出会えた。

という事は僕が成長する事で彼女達の『色』を視る資格を得られるって事なのかも。

 

「まずはこの絵を完成させよう。待ってて『蒼のフロマ』、君の絵を見せてあげるから」

 

そういって『眼』を手で覆う様に中の『蒼のフロマ』に語りかける。

僕の頭の中に投影される彼女の顔にはかすかだけれど笑みが浮かんでいたんだ。

 

 

 

 

 

絵に真剣に向き合っている彼の姿を遠くの建物の上から見つめるもう1人のフロマ。

『赤のフロマ』は前より穏やかな表情が現れてきて同胞に語りかける。

 

「良かったね、『蒼のフロマ』。お兄ちゃん、ありがと」

 

そう呟いた『赤のフロマ』。刹那、彼女の姿は風と共にその場から消えていた。

彼女もいつかあの世界で『色』として蘇る事が出来るのか・・それは青年の描く物語

次第・・・さて青年とアクア、そしてフロマの紡ぐ物語はまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 




次回、ARIA the STORY†Rilanciare la Colore†
 
第9話 その小さな歌い手は・・・

「わたしの歌なんて・・・・でっかい下手ですから・・・」

「君の歌声は・・・こんなに綺麗な色をしてるんだ。だから聴かせて、君の歌を」
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