~健次side~
翌日、俺は爺さんの残した道場へと足を運んだ。
「くっ……」
爺さんは道場で死んだ。俺を庇って、一人焼け崩れた道場へと。
それはここの道場ではなく、今は警戒区域に指定されている道場でだが。
「さっさと済ませよう」
今日はただの掃除に来ただけで、別に昨日見た夢は関係なかった。
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用事も済み、ボーダー本部へと足を運ぶ。すると、廊下の向こうから金髪ツインテールの小柄な少女が歩いてくる。
こちらに気付いたのか、笑顔になり駆け足で寄ってくる。
「健次先輩!おはようございます!」
「ああ。おはよう、双葉」
A級八位加古隊
「健次先輩の隊は今日はシフト入ってませんよね?ランク戦でもするんですか?」
「ああ…緑川に頼まれてな」
「駿がすみません…」
頭を下げる双葉。年下の少女に頭を下げさせるのはあまり気分のいいものではないため、頭を上げさせる。
「双葉、加古隊の防衛任務まで時間在るか?」
「はい、今日は夜なので」
「じゃあうちに来ないか?」
「えっ?」
*******
~宗一side~
「ふんふ~ん、って何かいる!?」
隊室の冷蔵庫の飲み物が切れて、スーパーまで買いに行って帰ってくると、
「「あ、邪魔してるぜー」」
「帰れバカ共」
予想通りと言ったところか、槍バカこと米屋陽介に、弾バカこと出水公平の二人だった。
「いやー、喉が渇いてな」
「ここならタダで飲めるからなー」
「別に金はとらないけど…飲み過ぎるようなら買いに行ってもらうからな」
袋から適当にジュースを二本取って放り投げる。
「ケンさんいるー?ってよねやん先輩にいずみん先輩」
「緑川、健次とランク戦か?」
「うん、そうなんだけどまだ来てないみたいだから」
「健次が遅刻?」
あの生真面目が服を着て歩いてると思うほどの奴が?
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気になって健次を本部内の隅々まで探し回ったが、どこにもいなかった。
「あれー、ケンさんどこにもいないね。じゃあよねやん先輩かいずみん先輩、そういち先輩でもいいからランク戦やろー?」
「おっ、いいねー」
「槍バカがやるのか?じゃあ俺は宗一とだな」
そう言ってブースに入ろうとする。
「あら、宗一君じゃない」
そこには、マイウェイをマイペースでモデルウォークするセレブオーラ満載の女性、
「加古さん」
「双葉を見なかったかしら?あの娘、お昼には来るって言っていたのにまだ来てないのよ」
「黒江も?実は健次も来てないんすよ」
「あら、そうなの……もしかして」
「二人で会ってるかもですか?」
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~健次side~
「麦茶でいいか?」
「は、はいっ!」
冷蔵庫から大容量のペットボトルを取り、来客用のコップに注ぐ。
「緊張するな。別に毒は入ってない」
「し、してませんよ…」
誰がどう見てもしてるだろう、とは言わない。
「頂きます……一人暮らしなんですか?」
麦茶で少しは落ち着きを取り戻したのか、部屋を見渡して言う。
「まあな。流石にこの部屋で二人以上は暮らし辛いだろう」
何せ俺の家は古いアパートのワンルームだからな。
「…宗一先輩とは一緒ではないんですか?」
「…まあ色々とあるんだよ」
「いろいろ、ですか?」
「ああ……ちょうどいい機会だ、双葉にも教えておこう」
大規模侵攻が俺たちにもたらしたモノを。