私と茉莉の出会いは高校からだ。私たちは部活が同じというつながりから仲良くなった。まぁどこにでもいる普通の女子高生グループの一つにいた二人だったわけだ。
そんな私が彼女に恋をしたのは高校2年の夏の終わりくらいだった。部活の打ち上げが夜まで続いたある時、帰り道で男の人に絡まれて困っていたところを彼女が助けてくれたのだ。
これじゃ、彼女があとからきたみたいになってるが、全くその通りだ。近くのコンビニでちょっと物を買いに行った彼女はあとから追いつくと言って、遅れたからこんな感じなのだ。
茉莉はちょうど幼少のときから武道に心得があったから体術はお手の物で、世界大会まで進出した記録がある。今はほとんどやめてしまって彼氏作りに夢中だけどね。
ピンポーン
ふと家のチャイムがなる。一人暮らしの家には誰か来るだけで緊張とともに友達なのではという安心感がある。妙な対立する感情が共存するせいで変な気持ちだ。
「どなたですかー」
玄関に移動し声をかける。
「茉莉だよー」
いつもの明るい柔らかな声音が響いた。彼女の声で間違いなかった。その瞬間胸のドキドキは少し高鳴りし、体温が上昇するのを感じた。やっぱり間違いはないらしい。
カチャ
玄関の鍵を開け、ドアを開けるとそこにはいつも通り彼女がいた。短いとはいいがたい長い髪をゆらゆらとさせ、スタイルの良さが服の上からでも伝わるファッションの女性がいた。もちろん、私の友人の茉莉本人だ。
「さぁ!今日こそは聞いてもらうぞ!」
やけに高いテンションで茉莉はツカツカと家に上がり込んできた。いつもの彼女だ。
ー
「話って?」
リビングでお茶を出し、お菓子も出した。まぁ話は分かってる。
三日前に呼んでおきながら、本人が来る前に先に出来てしまってダウンしたせいでできなかった話だろう。どうせ愚痴で終わるに決まってる。
「彼氏のことよ!もう、さんざんだったんだから!!」
少しばかり叫ぶようにして彼女は言った。なんてことだ。せっかくの可愛い顔でスタイルもいいのに、残念な性格だ。でも私はそこが好きだ。
「ふーん、それは話のために呼ばれて、介抱させられたこと以上にさんざんなことだったんだよね?」
「う……」
明らかにわかるくらい茉莉の表情が変わった。ああ、その表情もいいなー。
「そ、それは悪かったわよ。ごめん」
「別にいいよ。それでどうせ愚痴でしょ?相槌してあげるから話ごらん?」
茉莉は不機嫌そうな顔をする。ころころ変わる彼女の表情もいいなー。
「む、なによその言い方、大切な友人の話なんだからそんなこと言わないでよー」
プクーっと膨れて見せる。
「それでね……」
ー
「えへー」
またこのパターンだ。しかも残念なことに今回は我が家でというお約束。しかし正直都合がいいな。
首に手を回され、抱き着かれている状態。自分のことを友人と言っておきながら私の気持ちに気づかないおバカさんは半分眠りこけている。
結局愚痴を聞き終わったときには夕方だった。どこから出したのか、彼女は日本酒を一瓶取り出したのだ。そこからは早かった。
「もう……しつこい酔っ払いは嫌われるんだよ……」
また彼女を引っぺがしてソファに寝かせる。
「ん……ふぅ……」
小さく茉莉が吐息を漏らして眠りに就き始めた。ちょっとだけならいいよね。
「茉莉……」
彼女に少し抱き着くようにして匂いをいっぱい吸い込む。
「ふふぇ、ふふ」
くすがったそうに小さく茉莉は息を吐いた。彼女の匂いが興奮剤のように私の気持ちを高揚させた。でも抑えないと、彼女にばれないように彼女を汚す。強烈な背徳感と達成感、ごめんね茉莉。
茉莉から離れ、風呂場に向かった。ちゃんと洗面所の鍵は閉め、風呂場に通じる扉も鍵を閉める。服を脱ぎ、さっそく風呂場に入った。やることなんて決まっている。
シャワーの栓をひねり、頭から浴びる。そこから始まるたくさんの妄想、今日はどんなのがいいかな。
ーー
「えへゆにゃ~」
お酒に酔い私に抱き着く茉莉、人の気も知らないくせに、襲われても文句言えないんだから。
「うぇ?にゃに?ゆにゃ」
私は彼女の手を掴んで、そのまま力まかせに押し倒した。少しビックリしたように彼女はなすがまま。
「いつもいつもそうやって……期待してもいいんだよね?」
「へ!?ぁ、やぁぁ……」
私は無理やり彼女の服を引っ張り上げ、脱がせようとする。もう可愛らしいブラジャーが丸見えだけど、茉莉は抵抗する。お酒のせいで力も入らない彼女はなすすべなく、私に力によって服を脱がされ、上半身はブラジャー一枚だけになった。
「ゆ、ゆなぁ……」
「すっごい可愛いよ茉莉」
そう言って私は彼女に覆いかぶさり、ブラジャーに手をかける。抵抗もできない手で私の手首をつかんで引きはがそうとする茉莉だが、断然力の入りが違い、それもかなわず、私はブラジャーを外した。
「やぁ……」
下着から覗いた慎ましい茉莉の胸は少し赤みを増して、乳首がたっていた。
「大丈夫だよ茉莉、優しくするから……」
そう言って抵抗しようとする彼女の唇を私は奪った。
「ん……」
逸らしてしまわないように彼女の顔に手を添える。そのまま自然な感じに彼女の唇の間を舌で割って入れる。お酒の甘い味が残った彼女の唾液をすくい、舌を絡ませた。観念したか、抵抗の無意味さに諦めたのか茉莉は、口を閉じようとはしなかった。
「んちゅ……」
お互いに聞こえるエッチな響き、私よりも少し熱い体温の茉莉の体を抱きしめ、もっとほしいとねだってみる。
「ぷはっ……ゆなぁ……」
さっきのお酒に酔う表情とはまた違う茉莉のとろけきった顔、とっても私の性欲を刺激する。
「好きだよ茉莉」
また私は口づけをしたのだった。
ー
「ん!!……はぁ……はぁ」
この間よりは気持ちの良い絶頂、シャワーの音が響く浴室で空しく声が響いた。手についた粘液を洗い流し、汗まみれの髪をシャンプーで洗う。もちろん体も。
だんだんと私の頭の中で茉莉が汚れていく。最初は茉莉が私の気持ちに気づいてしまってそれからっていう妄想だったのに、今や私が強引に奪おうとするものが多い。妄想のように現実はうまくいくはずはない。
そのあとのことだってある。だけど私にはそんなこと妄想できない。私の行い一つで茉莉は私から離れることだってあるのだ。そんな状態こそもっと嫌だ。
茉莉のことは大好きだ。このまま一生添い遂げたいって思えるくらいいろんなことを知りたいし知ってもらいたい。でも時々私のしていることは肉欲的なものでしかないのかもしれないって思う。
泡を流し終えた後、シャワーを頭から浴びる。ああ、なんというか疲れた。早くあがって今日はもう寝てしまおう。
シャワーの水を止め、風呂をあがる。温められた肌に脱衣所の少し冷たい空気が涼しく感じる。
タオルで体を拭き、パジャマに着替え、浴場を後にした。
ー
部屋に戻るとソファの上で小さく寝息を立てる茉莉が見えた。小さく丸くなってしまって寝ているその姿はとても可愛く、私にはとても色っぽくみえる。
その隣に腰を下ろし、頭を撫でる。
「ん」
少しくすぐったそうに微笑んで、茉莉は体を揺する。衝動で少し揺れる彼女の胸に目が行ってしまう。
彼女と知り合って5年、片思いを始めて3年と半年、高校生から始まった出会いのあと、今最も近くにいるのは私のはずなのに、恋をいつまでも実らせることができないのだろうか。
わかってる。この恋には巨大な壁があるのだ。もう誰もが言わずと知れるだろう。私と茉莉は同性だ。そして、親友。一番芽生えるはずもなかった二つの要素の中、私はこの恋に気づいてしまった。この事に気づいた彼女はきっと私を拒否するだろう。だから、今だけは隠さないといけない。いけないのだ。
「んふぇ……どうしたの?結菜」
少し強く撫ですぎてしまったか、茉莉を起こしてしまった。眠気を帯びた目で私を見てくる。それに対し、私は笑顔を作って言う。
「何もないよ。それよりほら、膝枕してあげる」
「え?あ、うん」
茉莉の体を軽く引っ張り上げて自分の膝に頭が乗るようにする。なぜか仰向けのまま茉莉は私の膝に頭を置いた。上から見る彼女の正面の顔、いつ見てもやっぱり……うん、きれいだ。
「お休み。茉莉」
「う、うん。お休み」
そう言って茉莉は目を閉じた。今はこれでいいのだ。これで……。