バカとテストと召喚獣~バカの婚約者はグラビアアイドル~ 作:オーズ・ジャニケル3
そしてフラグが立ちつつある明久
秀吉の召喚獣が薙刀に対し木下さんはランス…リーチでは木下さんが勝っているけど薙刀は突くことだけじゃない。重量のあるランスは振り回して攻撃するのは至難、刀のように扱える分、秀吉の方が有利だろう。
けど…
「はああああああああ!!」
「甘いわ!」
「くう!?」
「どうしたの秀吉?アタシを倒すんじゃなっかたのかしら?」
ランスが突き出され召喚獣の腕をかする。秀吉はすぐに薙刀を突き出すとランスに弾かれ簡単に殴られた。何だろう、何か変だ。
「ぬう…」
「どうして、ランスの方が圧倒的に不利なのに」
「違うよ美波、むしろ不利なのは…」
美波に話そうとした時ガキンと鈍い音がし、再び弾かれて、点数が削られる。
厳しい表情の秀吉の額から汗が滲む。
…雄二も何か気づいたのか険しい顔をする。
「薙刀は実はとても重いんだよ。ランスと比べれば鉄の量が圧倒的に多い」
「だから、何よ?」
「ランスは軽くて尚且つ突く武器だ。しかも斬るが主の薙刀とは非常に相性が悪い」
「それじゃあ勝てるわけ無いじゃない!!」
「…!(びくっ)」
「美波黙ってて。姫ちゃん怖がりだから」
「うるさいわね!アキの癖に命令するんじゃないわよ!」
何が気に食わないのか拳を打ち出す美波。いつもなら僕に原因があるとおもって平気で殴られてたけど…そうだ、殆ど理不尽だったよなあ。
…!?何だ、頭が―――――
「な!?」
「邪魔すんな」
「!!」
――俺は、拳を手の平で受け止め一喝し、軽く睨んだ。
……――――
―――…ああ、何か頭が、あれ?
「美波どうしたのさ?」
「え、え?別に…」
何で震えながら睨まれてるのかな…。
うーん分かんないって、秀吉の点数が減らされて行ってる。やっぱりだ!秀吉は先を急いで集中が出来ていないんだ!
僕は未だに隅で震える姫ちゃんを撫でながら美波達から距離を取り秀吉の顔を見た。
「秀吉…」
木下秀吉 158
やみくもに攻撃する秀吉を返り討ちにするようにランスが容赦なく突き出される。
秀吉は慌てて後ろに下げ…いや駄目だ!!
「そこ!」
「な!?」
先端が当たる寸前で軌道を逸らしギリギリで避けた。
焦っているのか秀吉は薙刀の利点を生かしていない。
…確かにランスは長くて有利だけどタイマン向きじゃない。
それに薙刀は刀の要領で使えるし、一発が重たい。秀吉だってゲームをして理解しているのに、焦りで冷静さを失い、ランスと同じように突いてるだけだ。
「何故じゃ!何故当たらんのじゃ!」
「自分の武器を理解していないようじゃ勝つことなんて無理ね」
「く…」
くそ!!どうしたらいいんだ…。このままじゃ秀吉が…
嫌なんだよ!!一生懸命努力したことが無駄になるなんて。く…こうなったら…
「姫ちゃん、ごめん!!」
「ふえ…っ、ひゃあああ!?」
「わーお」
熟島さん二ヤケてないで助けて。
姫ちゃんは顔を真っ赤にしながら処理落ちしていた。幸い見ていたのは美波や姫路さん達…けど今ので視線が集まる。
当然、お約束もある訳で……。
「アーキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイいい!!!」
「明久君ーーーーーーーーーー!!」
「二人共これには深いわけが「「お仕置きよ(です)!!」」なあああああああ!?頭が!脚がいけない方向にいいいいい!!!」
「明久(…明久)!?」「明久くん!?」
あ、あー気にしないでみんな。いつものことだし…。
秀吉に笑いかけると、はあとため息を吐かれた。
「……………ふう…。全くあやつは…変えると言うなら優しさも限度があるというのに」
「秀吉?」
「姉上。ワシはあのバカな親友と話すことがあるのでな。さっさと終わらせてもらうぞい」
本調子に戻ったのか揺らいでいた瞳が安定している。あてて……脚が折れそう。
と言っても、姫ちゃんの顔がぐずぐずと崩れてきたからそろそろ…
「脱出!」
「「あ!?」」
悪いね二人共。僕は一応、姫ちゃんの婚約者な訳だから姫ちゃんが優先なんだ。
未だに攻撃体制を取る二人をさっきからもの欲しそうに見ていた恣意さんに任せる。
「行くぞ姉上!」
「…!?」
一気に加速して秀吉はランスが届かないギリギリの距離から薙刀を振り回し、木下さんの召喚獣の鎧に激突。そのまま力任せに吹き飛ばした。
木下優子 258
「うそ!?あれだけで!?」
「薙刀は一撃が重くての…リーチがあるランスは不利じゃが当てればこの通りじゃ」
「く…それでも…きゃ!?」
ガキィイと鈍い音に耳を塞いだ。…秀吉は直ぐに薙刀を振り上げると木下さんのランスの先端を叩きつける。
薙刀は頑丈なため全く変化を見せない…が、ランスはそうは行かない。
ランスは先端を支えるのが難しいから先端に重力と振動が掛かれば当然へたる。が、先端から倒れたそれを直ぐに持ち直すには時間が掛かる……。
「…もらったのじゃ!」
「…!」
ランスの弱点はまだある。
間合いだ…。
近い距離にあれば長いランスの先端じゃ突くことは出来ない。薙刀も同じだけど…秀吉は斬りに行ったんじゃない。
「…はああ!」
「くぅう!」
さっきのように突き出し、召喚獣の鳩尾を貫いた。
この流れは結構高度な技になるんだけど…秀吉…凄っ…。
「…やるわね…けど!まだ…立て直せば…」
「終わりじゃ姉上!」
「っ!?」
秀吉は薙刀を振り回しながら召喚獣に迫る。慌ててランスを突き出す木下さんだけど…
「距離が…!」
「いっけええ!秀吉ーーーー!」
「おぉおおおお!!!」
ランスが引かれるよりも早く、秀吉の雄叫びと共に剣道の胴のように横から召喚獣を切り裂いた。
真っ二つになった召喚獣は粒子と共に姿を消して行った。
「…アタシの…負けね」
「勝者Fクラス」
「やったのじゃあああああああ!!」
「「「秀吉!!!」」」
「悔しいけど格好いい!」
「うおおおおお!」
秀吉は嬉しかったのか…本当に嬉しかったのか心の底から叫んだ。
AクラスもFクラスも関係なく、周りのみんなからも…木下さんからも惜しみない拍手が贈られた。
「ごめん代表…負けちゃった」
「………大丈夫。私達が頑張るから…優子は胸を張っていい」
「…ありがとう。それに、弟の成長も見れたし…ね…ちょっと悔しいな」
一試合目はFクラスの勝利に終わった。けど油断は出来ない…まだ、Aクラスには強敵が沢山居るんだ。
高橋先生はディスプレイに結果を記入してから眼鏡を上げると…
「では二試合目を行います」
来た…。
そして、雄二はやはり僕を見ていた。秀吉があんなに頑張ったんだ…。僕はもっと頑張らないとな。
「明久、行ってこい」
「…へーい。…じゃあ、華麗に勝って来ますか……………」
「明久?どうした?」
「…!明久くん?」
「……あ。い、…いや何でも無い…」
心配そうに見上げる姫ちゃんと怪訝そうな表情の雄二に笑ってから、みんなへと視線を変える。
はは、相変わらず…期待されてないなあ…。
「じゃ…あ、行ってくる…よ」