バカとテストと召喚獣~バカの婚約者はグラビアアイドル~ 作:オーズ・ジャニケル3
第一問
『………くん…』
『何姫ちゃん?』
『…あの…えと…』
『?』
『………また会える…よね?』
『うん!絶対会えるよ!…だから泣かないで』
『……ぅん…ごめんなさい。…私…』
『そうだ!…じゃあ次会ったら結婚しよ!』
『ふにゃぁ!?…そ、そそそそ』
『駄目かな?』
『ちちち違うよ!えと、嬉しくて…あ、う…や、約束だよ!!浮気したら駄目ですからね!』
『うん!だから姫ちゃん…今はお別れだね』
『…でも……約束があるから…頑張りますね』
『うん…。姫ちゃんならきっと大丈夫だよ!』
☆☆☆
満開の桜に囲まれながら、そっと目蓋を開く。
とても、懐かしい記憶でした…。私にとっては今でも大切な大事な記憶…。
胸に添えていた手をゆっくりと下ろし、辺りを見回してから赤い縁の伊達眼鏡を掛けるとそそくさとその場から立ち去る。
私は人見知りです…。知っている人じゃなければ逃げてしまう癖があります。
今日は事務所に無理を言って一人で今日から通う学園に向かっています。ちょっと不安な反面…私の胸の鼓動は朝から高鳴っています。
「…!…あわわ…もうこんな時間!?」
転校早々遅刻は駄目ですよね!あう…相変わらず時間感覚がズレてるなあ私。 と、とにかく急がないと…。
「約束ですよね…。かなり待たせちゃったなあ…」
桜木が並ぶ坂道を元々少ない体力で上がって行く。
はぅ…す、少しは、鍛え、た、方が…良いの、かなあ…。
噂には聞いていた坂道ですが…実際に体験してみるとかなり険しい道ですぅ… 。はひ…も、も…う駄目です…っ。
「む。…遅刻だぞ」
「あ、あの…す、みませ、ん…。えと…はぁはぁ…」
よれよれと走りながらもようやくたどり着くと、突然前から声を掛けられました。
野太い声と疲れからか視界がぼやっとしててうっすらと見える姿は…大きくどうやら先生でした。
失礼だけど会話を区切り息を整えていると「大丈夫か」と声を掛けられた。し、心配して下さるなんて…。
「あ、あの…あ、りがとうございま……まままままままぁあ!?ひゃあああ!」
「な、なんだ!?いきなりどうした!」
(えと、私…人見知りで…)
視界がはっきりすると浅黒い肌の引き締まった体をした先生が居ました。
そんなことよりも対人恐怖症だったのも思い出し、近くに掲示板に隠れた。
小声でごもごもと喋っていましたが、…なんとか伝わったようでした…良かったぁ…。
「…そうか。お前が転入生の」
「…あ、はい…えと…」
言葉に詰まっていると先生が軽く手を振り「無理するな」と言いながら制しました。…見た目と違って優しいのかも…。
「俺は西村宗一だ。生徒指導を受け持っている」
「あ、えと…そ、園宮姫(そのみやひめ)です…」
担任でないことホッとしたようなちょっと残念なような……。
頭を上げると西村先生は何故かため息を吐きながら学園を眺めていました。
もしかして…
「あ、あの…わ、わた、私…何か」
「あ、すまんな…違うんだ。園宮のような大人しい生徒があのクラスか…」
「?」
「忘れてくれ。……すまんがこれも学園のルールだからな」
ルール?どういう意味……あ、確か…
「あ、あの…大丈夫です!…Fクラスの設備はあらかじめ事務所から報告されてますし」
「だがな…」
「え、う、あ…あの…駄目な理由があるんですか?」
言葉を濁らせ、苦い表情を見せる西村先生。え、えと…そこまで唸られるとFクラスにお化けや…問題児、怖い人がいるのかと思ってしまうんですが……あぅう…。
「いや、園宮の学力に影響を与えてしまいそうな奴らがいてな」
「…え、えぇと……危ない人達何ですか?」
「ああ。何せA級戦犯と観察処分者だからな」
「ふ…え」
か、観察処分者と言えば学園で一番の問題児が貰える称号だった…ような。
聞いただけで足が震え、涙腺が緩くなる。あわわ駄目駄目!…だ、だだ…大丈夫。大丈夫だよ園宮姫…。
「あわわわわ…」
「動揺するのも無理は無いか…。全く…吉井の奴は…」
「わわわわ……わ?」
え…今……今、確かに吉井って言ったよね?
吉井…吉井…吉井…。
――トクントクン
「…あの、西村先生…その生徒の名前は…」
「吉井明久だ。…Fクラスの中で最も可笑しな奴だ」