バカとテストと召喚獣~バカの婚約者はグラビアアイドル~   作:オーズ・ジャニケル3

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熱いなあ。
ウィザード書く方がいらっしゃるようですし、オーズにしようかな。


弟二十一問

 バタバタと制服を靡かす強い風。

 今は夕日が現れた時刻で、つまり僕と姫ちゃんはやっぱり学園に行った。無断欠席は明らかに姫ちゃんに影響を与えてしまうから適当な理由をこじつけ、何とか許して貰えた。

 まあ、学園の中で姫ちゃんと一緒に居る僕に向けられた視線は凄かったけど、雄二達が上手いことフォローしてくれたおかげで何とか乗り切れた。

 本格的な理由は話しておらず、雄二達には姫ちゃんの諸事情と薄い誤魔化しで無理やり逃げた。

 そして、美波達に呼び出されて今に至るという訳で……姫ちゃんは後ろでぷるぷる震えています。

 

「あ、あああ明久くくく、んのたたたたたたたためにガツンととと」

「無理しなくていいよ姫ちゃん。これは僕が解決するべき問題だしさ」

「ごごご、ごめんなさい」

 

 恐らくだけど……姫ちゃんの脳内では

 

 島田さん怖い

 

 姫路さん想像と違ってた

 

 とかなっているんだろう。

 姫ちゃんは昔から臆病だからなあ。おっと、美波達が来たみたいだ。

 

「……は、ハロハローアキ」

「……こんにちは明久君」

「美波、姫路さん、授業は補習終わったんだね」

「……え、ええ」

 

 美波達はそういうと暗い雰囲気を纏いながら微かに頷く。

 どうしたんだろう?もしかして、僕、知らぬ間にまた何かやらかしたのか?じゃなきゃあの二人があんなに落ち込むなんて……だって、何時も二人が怒るのは僕が理由だし。

「アキ、もしかして自分のせいって思ってる?」

「え?何で分かったのさ!?」

「顔に出てますから……」

「相変わらずねアキ」

「あははは、……そんなに単純なんだね僕」

 

 泣いてないやい!これは、風が目に入ったせいだよ!うん、風痛いなあ。

 美波と姫路さんはふうと息を吐き出し、暗い雰囲気が少しだけ晴れた気がした。

 どうしたんだ本当に……。

 そして姫ちゃん、背中にふくよかな感触当てないで下さい。

 

「(ぷるぷる)」

 

 いや怖いのは分かるけど、恥ずかしいのは分かるけど……僕の方が危ういんだけどっとおお!?鼻に優しく甘い匂いがあああ!?

 はっ!いかんいかん!此処で落ちたら吉井明久一生の恥!

 

「ええと、その人が……アキの婚約者さんの……」

「はひ!?そそそそのみや……ひ、ひめです。ごめんなさいごめんなさい!」

「待って!ウチら何もしないし、謝られる理由ないから!」

「おおお落ち着いて下さいそのみやしゃん!」

「瑞希が落ち着きなさい!」

 

 まるで漫才みたくガールズトークを広げる三人。ツッコミは美波として、姫ちゃんと姫路さんは完全にテンパってるなあ……。

 あれ?……何だろ?姫路さん達雰囲気変わった?何というか、トゲトゲしさが無くなったというか……それに何時もなら問答無用で折檻だったし……。

 首を捻って考えていると二人を落ち着かせた美波がため息を吐き出しながら僕へと振り向く。

 

「あ、アキ……呼び出したのはね、言わないといけないことがあって」

「言わないといけないこと?」

「うん。……じゃなきゃ、ウチらきっとアキが許せても自分を……」

「待って美波。何を言ってるか分から―――」

 

 瞬間……ほんの数秒……。

 美波と姫路さんはコンクリートに頭を付け、土下座をしていた。

 どうして?

 何で……?

 

 ――分かってんだろ?

 

 僕のせい?

 何かが戸惑う……わざと気づかないふりをする僕に現実を知らせる。

 姫ちゃんがそっと後ろから覗き込んで目を丸くしていた。

 

「……ウチら、ウチら」

「明久君、ごめんな、さい」

「待ってよ二人共!!何が何だか……」

「ウチらが全部悪いの!!だからアキは……病院にまで」

「最低です。……個人的な嫉妬だけで……何より大切な人を……」

 

 二人の顔の下にあるコンクリートがじわりと濡れている。

 嫉妬……。

 暴力……。

 鈍感……。

 ――二人は、まさか……。

 

 ずっと、ずっと……気づかなかった。

 

 そんな――

 

「その二人は、明久くんが大好きだったんだよ」

「……、姫ちゃん?」

「でも、…気づいてくれない…ずっと、ずっと振り向いて欲しかったのに」

 

 ――だから薬に手を出した。

 ううん、出された。

 

「姫、ちゃん……?」

「「……!」」

「その薬は、ボロボロになるまで精神が壊れるまで持続予定だったけど、切れるのが早かったんだね」

 

 何だ……?

 どうして、体がこんなに震えるんだ?

 目の前で淡々と語る姫ちゃんに、僕は気味が悪くなって来た。

 何を言ってるんだ?薬?……効果?精神?

 

 

「分からないかな?害虫はみな、消えればいいんだよ?」

「姫、ちゃん?、いや……君は誰だ?」

「……あ、あんた……」

「……嘘です」

 

 美波、姫路さんが姫ちゃんを見て顔を青ざめ、座ったまま後退る。

 まるで、何かから逃げるように……。

 姫ちゃんはくくっとおかしな笑いをすると、冷めた目を僕に向けた。

 ……背中に走る寒気、だけど……

 

「ふざけんな……。今なら分かる、君が……二人を」

「うん、ま、あれは精神をおかしくする薬だったから……結局は二人の暴走……」

「「!?」」

 

 言い終わる前に……。

 僕は彼女を、得体の知れない彼女を全力で殴り飛ばし、壁に押し付けた。

 ふざけんな……何が二人のせいだ?

 

「よくも、僕の親友を……」

「アキ……」

「明久君!」

「あはははは!暴力を振るわれた本人が何言ってるの?まさか、許す気?」

「……許す?僕は最初から二人を許しているんだけど?」

 

 暴力が何?

 理不尽が何?

 謝ったら許されるのとか言うけど……謝って許されない義務がある訳?

 それに、こいつは僕の親友の心を踏みにじったんだ。仕返しをするべきって言われたらこいつにやるのが普通だろ?

 だって、こいつは姫路さん達を使って僕に暴力を振るっていたんだから。

 ああ……

 

「怒りが収まらない。……凄く、凄くイライラする!」

「がっ!」

 

 へらへら笑っているこいつを僕は殴り飛ばした。

 二人がどんな気持ちだったのか……ずっと、上手いように利用され、気づけば自分達が望んでもいなかったことが起きていた。

 それを笑って見ているこいつを僕は絶対に許さない。

 

「ウチは……アキとまた友達になりたい!……馬鹿で優しくて一生懸命なアキと……また」

「私も……明久君が大好きでした。小学校の時、振り分け試験の時、試験召喚の時……だから、大好きだからこそ明久君の幸せを支えたいんです。友達として」

「……美波、姫路さん。思いつめる必要なんてなかったのに」

 

 美波は可愛くて女の子らしくて活気な面が憧れて、姫路さんは優しくて、頭が良くて一生懸命で、姫ちゃんと出会えてなかったらきっと……僕は……。

 だから、二人は雄二達と同じかけがえなのない友達だ。

 例え、拳を振るわれたって、嫉妬されたって……僕はそれを変えるつもりは一切ない。

 僕は二人に振り向き、にっと笑った。

 

「……ちっ」

「さて、姫ちゃんを返せ」

「姫ちゃん姫ちゃん姫ちゃん……またそうやって……」

「いいから教えろよ」

 

 はっきりと言える。目の前のこいつは姫ちゃんじゃない。

 大方、ウィッグや髪を染めてなりすましていたんだろう。

 しかも、入れ替わるその機会が学園で一度だけあった……。こいつは明らかにそれを狙っていたんだ。

 ――美波達から僕を離すために。

「……頭が良くなって少しつまらない人間になったね」

「いいから教えろ」

「ぐちゃぐちゃにしちゃった☆」

 

 ごっと鈍い音が僕の拳とこいつの頬の間で鳴り、そのまま体重をかけてこいつを地面に叩きつけた。

 驚く二人をよそに、拳についた血を払い、踵を返す。

 多分、あのふざけた調子だと姫ちゃん自身の身は大丈夫だろう……。

 

「行こう美波、瑞希ちゃん!姫ちゃんは……きっとあの場所だ!」

「はい!行きましょう美波ちゃん!」

「……ええ、ウチらはもう間違えないわ!」




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