バカとテストと召喚獣~バカの婚約者はグラビアアイドル~   作:オーズ・ジャニケル3

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明久だから仕方ない


第五問

 分からない…。大切な記憶の筈なのに…どうして思い出せないんだろう。

 姫ちゃんが言っていたことが本当なら僕は……殺されるじゃすまないかもしれない。みんなにどうやって説明しても未来が見えない!

 

『『吉井ぃいい!』』

『アキィイ!』

『明久君!』

「うわぁ!?もう来た!?」

 

 多分…いや、カーテンから出てきた僕を見つけた誰かがみんなに報告したんだろう…。しかも殺気が尋常じゃない!恐らくは、姫ちゃんの着替えを覗いたと思ってるんだろうけど…いや事実だけどさ!

 

「…くそ…味方が誰一人居ない!」

 

 階段をすっ飛ばし、廊下を全力で駆ける。美波やFFF団、ムッツリーニには人間離れしてるんじゃないかと思える程の運動能力を発揮してくるからただ逃げ回ってたらいつかは捕まる!

 

「とりあえず雄二に…いや、あいつは僕の不幸を楽しむから駄目だ!」

 

 後ろから聞こえる殺意に満ちた叫びを聞きながらみんなから逃げ切る方法を考える。

 FFF団やムッツリーニはいざという時はどうにでもなるんだけど…一番の問題は美波だ。姫路さんは体力が無いから追いつかれる心配は無いけれど、殺意に満ちた美波は何処まで追いかけて来るだろう…。

 

「屋上だと追い込まれるし…空き教室は…」

 

 左右の教室をキョロキョロと眺めながら空いている教室を探す。

 …あれは、駄目だ…誰が勉強してる。

 よし…あ、あの教室もか!

 なら、ぐぅう…あそこは女子トイレだから却下!ああ!使える教室が一つも無い…!

 

『コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス』

『楽にしてあげるからね!冗談なんかじゃないからね!』

『(゜∀゜)ブチコロ』

 

 後ろから迫る連中はもはや死に神よりも驚異的だ。最後の奴なんて顔文字使ってるのに地味に怖いし!

 

「…まずい…このままじゃ……ん?あれは…」

 

 一つの空き教室を見るとBクラス代表の根本君と彼女である小山さんが何かを話している。主に…根本君が頭を下げてる…土下座という間抜けな光景だ…よし、しめた!

 

『む、吉井の野郎急に止まったぞ?』

『殺される覚悟が出来たか』

『(゜∀゜)ブチコロ』

 

 悪いけど…殺されるのは僕じゃない!

 

「みんな聞いて!実はこの隣の教室に根本君と小山さんが居るんだ!」

『『『ナヌ?』』』

『(゜∀゜)…?』

「…根本君は…土下座のフリをして小山さんのスカートを覗こうとしているぞ!!」

『『『ナンダトォオ!?』』』

 

 その瞬間から、殺意は僕から根本君に向けられ、鎌を手に取った黒いフード達は僕を素通りし、空き教室へと入って行く。

 よし、今のうちに…

 

『『『根本ブチコロス!』』』

『(゜∀゜)根本シネ』

「な、何だお前ら!?…ぎ、ぎゃああああああ!」

 

合掌。

昨日姫路さんを苦しめた報いと…Bクラスに宣戦布告しに行った時の借りだ。

 根本君を生贄に捧げ、殺気を放つ美波から逃走を開始。考えてみれば美波だけなら簡単だ!

 

「アキィイ…もう逃げれ…え?」

「じゃあね美波」

 

 近くの窓を開き、何も戸惑うことなくひらりと飛び降りる。ここは三階…よし問題ない!

 

痺れは感じたものの、上手く着地すると、スカートのせいで飛び降りることが出来ない美波が悔しそうに見下ろしていた。

 

「卑怯よアキ!」

「また会おう!さらばだ!」

 

 軽く手を振ってから校舎の一階へ姿を消す。

 

 ・・・さて、逃げ切れたのは良いけど…その後のことを考えてなかったなあ…。美波はすぐに追いかけて来るだろうし…一番の問題は僕と姫ちゃんの関係と…あの接吻だ…。残念なことに説明出来る方法が思いつかない。

 

「…あ、明久…くん」

「ひゃあああ!?」

 

 当たりを警戒しながら進もうとした寸前に、後ろから声がかかり間抜けな悲鳴が出てしまった…。

 まさか、もう見つかったのか!く、なら足払いでしのぐしか…。

 

「て、あれ?姫ちゃん?」

「…はぁ…はぁ…はぁ…ようやく…見つけ…はぁ…」

「大丈夫姫ちゃん!?凄く息が上がってるよ!」

「…はぁ……明久くんの…はぁ…はぁ…せい…だよ?…へぅう…」

 

 息を整えながらもサファイヤの瞳で必死に訴えてくる。うう…確かにいきなり逃げたのは良くなかったけどさ、何だろ…多分怒ってるんだろうけど…

 

「可愛い…」

「へ?」

「え?あ、いや、えと、この花瓶の花可愛いなあなんて…はははは」

「…?」

 

 …うぐ…ちょっと強引だったけど首を傾げてるから気づかれてないよね。

 でも、姫ちゃんって改めて見るとこんなに可愛かったんだ。

 

「…明久…くん?」

「っ…あ、えと…ごめんね…」

「…わ…私も協力するから…えと、き、教室に帰ろ?」

「はい…」

 

 そんな上目遣いで頼まれたら、素直に従うしか無いじゃないか!姫ちゃんも原因が分かってるし説明さえすれば、少しは分かって貰えるかもしれない…。

 ん…あれ?

 希望が出てきたことに喜びを感じる一方で、疑問が浮かび上がった。

 

「姫ちゃん…協力って言ってたけど…何か知ってるの?」

「は、はい、えと…あの…木下さんって人から…その…事情を…」

「秀吉ーー~!!」

 

 君はやっぱりFクラスのエンジェルだよ!

 

「明久…く…ん…あの…えと…」

「さあ行こう姫ちゃん!一刻も早くみんなに説明しないと」

「…あ……明久くん…」

「まだ姫ちゃんが脱ぐって思ってるんだし、いい加減目を覚まさよう」

「くすん…明久…くぅ…ん…無視しないで下さい」

 

 無視をしている訳じゃないんだ…ただ、何故か君から謎の桃色オーラが見えるから目を背けてるだけなんだっ!

 踵を返し階段へ向かう為にいざ前進しようと踏み出して…。

 

「あぅ!?…ま…待ってください明久く…きゃあ!?」

「ごは!?」

 

 後ろから突き飛ばされ頭から床にぶち当たった。

 顔面がぁあああああああ!?

 

「きゃあああ!?ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

「あはは…大丈夫大丈夫…」

 

 このくらいなら優しいレベルだし姫ちゃんだって慌てて止めようとしてやってしまったんだから悪気は無いんだし…。

 差し出された手を取り、立ち上がろうと体を起こす。

 

「きゃっ…!」

「なして!?」

 

 引っ張り上げようとした姫ちゃんはそのまま後ろへと倒れ、僕も巻き添えにされてしまった。

 

 ――ふにゅん

 

「ゑ…?」

「ひゃぁ…」

 

 ん?何だ…。両手に凄く柔らかな感触が…。

 とりあえず立ち上がろうにも、視界が分からず手探りで柔らかな感触を握ると、その柔らかな感触は手の中で形が変わった。

 

「ぁっ……ひぁ…」

「え?」

「明久く……ん……む、胸は…んんっ…だ、だ…め」

 

 え、ええぇ!?ま、まさか、この柔らかな感触って…ひ、ひひひひ姫ちゃんの…

 

「うわぁあっ!」

「ひあぁあっ!ぁう…そ、そんなに強く」

 

 違うんです!えと、これは動揺してしまって…。

 とにかく姫ちゃんから急いで距離を置き、今持てる全力で火走った顔で土下座する。

 

「すみませんでした!…あの、とても柔らかゲフン…」

「…ぅう……」

「いや、本当にごめんなさい」

 

 真っ赤になりながら涙目で睨んでくる姫ちゃんに頭を地面にこすりつけながら土下座を繰り返す。

 本当に悪気なんて無くて、そう、事故!事故だったんだ!

 

「…明久くんだから…いいです…けど」

「え?」

「……その、えと……あ、明久くんはきっと夜は強いんですね…」

「は?何言って…姫ちゃんそのメモ帳は何!?何を書いてるのさ!」

 

 説教が来るかなと身構えていたら姫ちゃんはぶつぶつと呟きながらメモ帳にペンを走らせる。…中身が凄く気になるのは何故だろうか…。

 

「…えと…あ、…明久くんについて今のうちに知っておかないと…あの…困りますし」

「ちょっと待った!まさかさっきのことも書いてたの!?あんな内容は婚約してからでも充分いいよね!?」

「……!…そうだね」

 

 何故か嬉しそうに笑うとメモ帳を内ポケットにしまい、これまたご機嫌そうに僕の右腕に自身の腕を絡めてくる。

 あ、あの…凄く柔らかな感触が当たってるんですけど…。

 

「…い、行こ?…多分…みんな戻って来てるから」

「う、うん…そうだね」

 

 根本君を狩って少しは機嫌がいいと助かるけど…美波はそうは行かないだろう。

 

「……あ、あのね…明久くん…」

「ん?何、姫ちゃん?」

「…あ、あの…お、お願いが…あるんです」

 

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