バカとテストと召喚獣~バカの婚約者はグラビアアイドル~ 作:オーズ・ジャニケル3
気が付けばいつも後ろに君がいた。
夕方の帰り道・・・僕はみんなとは別の道だから今まではずっと一人で帰っていた。
正直、怖かった。何かが出るんじゃないかってずっとビクビクしながらはや歩きで真っ直ぐで何もない道に怯えながら・・・。
でも、いつかは分からないけど、僕の影を追うように君がいた。
それだけなのに、どうしてか、怖くなかったんだ・・・。
「・・・・っ」
「あ、気が付いた」
「・・・熟島さん?」
体が軽い。痛みが大分引いている・・・。
背中は壁にもたれかかっていて楽な姿勢・・・見下ろすと腕や足に包帯が巻かれている。
そうか、いつのまにか治療されていたから痛みが引いたんだ・・・。
「でも、誰が・・・t」
「しーー」
横を振り向くと目の前に見知ったあの娘がいて、叫ぶ前に恣意さんに止められた。
で、でも・・どうして姫ちゃんが僕の肩にもたれかかって眠ってるのさ!?
「もしかして」
「うん。吉井治療したのは姫だよ」
「・・・え、だって」
「姫はね、事情をこの教室に入る前に知ってしまったんだ」
よく見ると、姫ちゃんの傍には婚姻届では無く、病院にあるような治療道具が置かれていた。まさか・・・これを取るために・・。
「姫は、吉井君が壊れてたのを感じてたみたいであえて吉井君を興奮させて元気にしようとやりすぎではあったけど・・・ホント仕事場でも休憩をつぶしてさ・・・」
「え・・・」
「ここに入る前にもね、『いつか吉井君と再会したときに立派なお嫁さんになりたいな』って、ふふ、茶道は関係ないのに」
拳を知らない内に握りしめていた。
ずっと、ずっと彼女は・・・
「だからかな~さっきみたいに吉井君が傷つくのを見て、疲れがでたんだと思う」
「吉井は悪くない。姫も流石にやりすぎたの」
ちがうんだ。
姫ちゃんは…こんな、約束を忘れた僕にために・・・。
「吉井君、姫はね・・・きっと「熟島さん、恣意さん」」
声のトーンを落とし言葉を遮り、目を見開いた二人を迷いの無い瞳で見つめる。
決めたんだ。婚約者とか曖昧な記憶の約束なんて関係ない・・・。
僕は・・・
「お願いがあるんだ・・・」
★
僕は、この世の中が大嫌いだ。
学力があるものが報われる・・・。そんなの
・・・嘘だ。
努力をしたって誰も認めてくれない。どんなに頑張っても、あの人は・・・
悔しかった。だけどそれ以前に何かを失ったようで、気づいたらFクラスにいて、あの人とは天と地の差だ。
あの人は今・・・僕が、俺が行きたかった場所で・・・。
「おい、吉沢。あれって吉井じゃないか?」
「・・・・・・教卓にの前に立って何する気だよ」
さっきまでAクラス戦について話していた坂本が降りて吉井明久が立った。観察処分者と言われるバカの称号をもった変わった奴で、さっきまでいた有名なグラビアアイドルの婚約者とか言われてた。吉井は俺たちを見渡すと息を吸い込む。
てか、あいつらもよくやるよな。
「僕はバカだ。どうしようもないくらいバカで・・」
いきなり何を言い出すんだこいつ。
ほかのみんなも目を丸くしている。
「大事な約束すら守れなくて・・・」
力の無い声、だけど微かに吉井の言葉に重みを感じた・・・。
みんなは「妄想は大概にしろよ」とか「いきなり何痛いこと言ってるんだ」とか笑っているが、違う、吉井の言葉には・・・嘘とか妄想のようなものは感じない…。
まさか、現実で…。
「気がついたら、追いつけなくて・・・並んで歩ける人間じゃなくなって・・・」
吉井の言葉は、見覚えがあった。・・・そうだ俺も・・・心当たりがあるのか何人かが黙る。
「「・・・・・・」」」
「けど、だからって、約束を破っていいはずがない!!」
「・・・吉井」
「自分に嘘をついたって何も何も変わらないじゃないか!!」
嘘・・・。俺は・・・
『一緒に並んで行けるといいね・・・』
「後悔をしたくない!だから・・・僕は」
吐き出す様に吉井は、真っ直ぐに一点を見ながらこう言い放った。
「今の自分を変えてやる!!」