うちは一族として生き残る!   作:黒百合

16 / 35
悔恨と苦し紛れの策

「・・・くそ。僕がしたことはなんだったんだ。」

 

あまりにありえない。

あまりにふがいない。

あまりになさけない。

 

結局変わったのは、九尾のチャクラを多少でも取り込めたこと。

しかしこれは持久力が変わった程度の効果しかもたらさない。

ナルトのように九尾の衣を纏うことが出来なくもないが、うずまき一族や特別体が頑丈な忍ではないヒビキにとっては強い力を得るとともに体を傷めることになってしまう諸刃の剣である。

さすがの九尾チャクラだけあって、ほんの一部にかかわらず、四本まで尾を出すことができそうであるが黒い九尾形態になればおそらくロクなことにはならないのが、感覚で分かった。一月くらいは余裕で寝込みそうだ。

 

なによりも一番の望みであった火影を救うことができなかったのだ。

最後の死に際にはナルトを頼むとか言われたくらいである。

どう考えても自分の息子のためを思うならミナトは生きているべきだったはずだ。

ちなみにナルトは三代目に預けられた。

子供が子供の面倒を見れるわけが無いのだ。

三代目には修行をしてたら急に九尾が出てきて巻き込まれたとかうんぬんと誤魔化しておいた。

 

「・・・。」

 

サスケが生まれたことを見過ごす。

いくら修行で忙しかったからといえど、少なくとも数ヶ月の期間はあったはず。

それを見過ごすとはアホらしいにもほどがある。

 

さらにはイレギュラーな介入。

タマモの存在だ。

今思えば気絶させるなり、何も話を聞かずにとっとと行くというのも考えられた。

たとえそれで早くに行動したといっても大した変わりは無かったはずだが、次も無いとも限らない。

日本人の感覚がまだ抜け切ってないのだろう。

面倒だからといって相手を気絶させてやろう、なんていう発想になる日本人はなかなかいない。

そして自分の安否を気にして自身の危険も省みずに探しに着てくれる人間を放って無視なんてことはできなかった。

これもまたミスだ。

 

どちらを優先するべきかはわかっていたはずなのに。

良心の呵責などその辺の虫にでも食わせればいいのだ。

なのにもかかわらず。

 

「・・・そろそろか。」

 

今日はアカデミーの卒業試験である。

一年。

アカデミーで一年の時が過ぎた。

結構濃密な時間だった気がする。

すべて無駄に終わったのであるが。

 

☆ ☆ ☆

 

「次は・・・どうするべきか。」

 

僕は試験を行う前のアカデミーの控え室で考え事をしている。

いっそのことイタチを暗殺できれば、とも思うがイタチはむしろいたってまともな人間である。

木の葉の主権から遠ざかり、「あれ?俺らいつの間にかハブられてね?なら里をつぶすね!」みたいな馬鹿馬鹿しい子供の駄々のような理由でクーデターを起こすうちは。

その尻拭いを当時13、14頃。少なくとも10代後半には行かないくらいの子供にさせるのだ。

 

させるほうのダンゾウもダンゾウだが(それだけイタチはチートであるということを示唆している。暗部の長であるダンゾウの信頼を得られるほどに)、その原因であるうちはは恥ずかしさは感じないのだろうか?

 

仮に殺したところで比喩やネタではなく、第二の暗殺者が、第三の暗殺者がやってくる。なんていう展開になるのは当然わかる。

というよりうちはを生かしておいたらそれはそれでこちらもやばいのだ。

どう考えても巻き込まれるに決まってる。

というか巻き込まれ始めた。

 

イタチの父であるフガクがやってきてミコトと多少の口論になっているのを見かけたことがある。

おそらくクーデターのお誘いという各方面にはた迷惑をかける招待状を持ってきたのだろう。

血がどうの、血統がどうのといい始め、終わりには言うことを聞かなければ殺すようなことを回りくどい言い方でほのめかし。できれば乱暴は好まないとかなんとか。お前らの行動をもう一度よく省みてからそいうことは言って欲しい。

省みた上で言っていた、という選択肢は考えないことにする。

そのあとも僕はどうなるだの、キョウカがうんぬん。

原作を読んだときに思っていた疑問が氷解した気がする。

 

当然中にはクーデターに反対する穏健派だっていたはずなのだ。

そもそもそういったことに興味の無いうちはだって少なくは無いはず。

なのにもかかわらず参加した。

うちはの一族のしがらみの強さがわかる。

 

うちははその血統と昔ながらに続く一族ということで数はそれなり。

そして一族間の結束もなかなか強い。

一族すべてが大体顔見知りだし、そうでなくても知り合いの知り合い。それくらいのつながりには最低でもなってしまう。

 

ゆえに。

クーデター肯定派が多いと、自然その人たちにかかわる家族も多くなる。

そしてうちはは一族間の愛情が強い。

これは兄を殺されたからといって木の葉を、日本で言うならば国というひとつの塊を潰そうとすることに他ならない。

いくらなんでも愛情が強すぎだろうと。

 

何が良いたいかと言えば「旦那が言うなら・・・」、「恋人が言うなら・・・」という人間に加え、クーデターを起こされた後のことを考えると下手に抵抗してそれでクーデターが中途半端に終わってみる。

そうなれば生き残った、たとえ穏健派のうちはといえど里の仲間から追い出されるなり監視されるなり。

下手をすればその場で嘘をついてると言われ殺される可能性だってある。

 

結果、「自分の先のために・・・」、「失敗させれば俺たちが死ぬ」などいう保守派も加わり、クーデター肯定派に吸収される。

 

この大きな流れはとてもじゃないが一人間にどうこうできる気がしない。

少なくとも今はそれに対する対策などひとつも浮かばない。

そう考えるとダンゾウの力量がわかるというものだ。

 

保守派でもなく。

ただ現状維持の穏健派でもなく。

かといってクーデター肯定派でもなく。

ただ一人。

おそらくただ一人、感情を殺してでも里の平和を取れる人間でなおかつうちはを殺しきる力量を持つ、里内の批判をすべて受け入れることに納得できる男。

うちはイタチ。

 

それを見つけ、うちはのクーデターを阻止する。

なんとすごい男か。

 

ダンゾウも大概チートだろうと思いつつ。

内政チートというものか?

いや、ちょっと違うかもしれない。

 

「いっそのことうちはがいなくなれば万事解決・・・そ、それだぁっ!!っとやば。」

 

あたりを見渡す。

どうやら今の危ない発言は聞かれていなかったようである。

 

簡単な話である。

イタチではなく。

僕がイタチポジション。

 

もというちはを皆殺しにすればいいのだ!!

もちろん困難であることは確かだ。

まだ人を殺したことがないという壁もあるし、力量的な意味でも。

また暗部に、ダンゾウに近づけるかという問題もある。

勝手にやればそれはまさしく反逆の使徒だ。

 

しかし。

しかしである。

うちは一族というひとつの集団よりも強いイタチ。

数の暴力は質に勝る。

その数の暴力すら退けるイタチは一対一で戦えばうちは一族をひとつ相手にするようなもの。

もちろんいろいろと勝手が違うし、厳密には違うが多少大雑把でもそう考えて問題ないはず。

 

イタチを相手にするより一族を相手にする。

そう。

 

イタチが強すぎるのか、うちはが弱いのか。

どっちでもあるのか。

 

 

 

とりあえずの方針を決めた僕だった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。