「くそっ・・・」
「どうする?」
「どこにいるか全く分からねェ。でも・・・いる!」
4人が円陣を組み、周りの木々の合間に目を巡らせる。
が、彼らは自分たちを襲う敵の姿を視認することはおろか、気配すらつかめなかった。
ここは湿地だ。
腰の高い草と、ぬかるんだ地面、そして森というほどではない密度の木々。
隠れる場所は少なく、ここでしばらく死体漁りをしていた自分たちは地の利があるにもかかわらず。
相手の潜伏先が分からなかったのだ。
だが、いる。
確実にいる。
相手は潜伏しているだけではない。
気配を殺し、こちらを狩るべく虎視眈々と”その時”を待っている。
事実、先ほどまでは5人だったはずなのに一人が思い切りで逃げ出そうとした瞬間にクナイや手裏剣でハチの巣にされてしまった。
死んではいないだろうが、沈黙し、倒れ伏している。
おそらくは神経毒が塗られていたのだろう。
そこまではわかるが、手裏剣を打ち込まれてなお相手の居場所も姿も気配もわからなかった。
これすなわち自分たちよりもはるかな高みにいる忍を相手にしているということだ。
男たちはそれを理解しつつもただただ動けずにいる。
男たちとて、無能ではないのにもかかわらずである。
先も言ったように彼らは戦争経験者で今の今まで生きてきた経験がある。
その彼らをもってしてもこの体たらく。
男たちにとってはあまり信じたくない事態だった。
「このままここにいても埒が明かない。
一斉に別方向に逃げるってのはどうだ?」
「・・・いや、それはダメだ。
さきほどの手腕を見るに各個撃破される可能性が低くはない。手裏剣術だけであれだ。忍術や体術も含めると・・・想像はしたくないね。
博打要素が大きいだろう。」
「だとしたら固まって逃げるか?
それも一網打尽にされる可能性があるが・・・」
「だが生き残れる可能性は高い・・・と思いたいところだ。」
「感知タイプのやつが真っ先に逃げたのが痛い。
あの野郎・・・すぐさま逃げやがって。」
「今更それを言ってもどうにもならん・・・それよりどっちにする?」
男たちは作戦会議を始める。
当然、声は潜めたままである。
「・・・俺は固まって逃げるのを提案する。
不測の事態でも対応手段に幅を持たせられる。」
「しかし・・・拡散して逃げれば一人二人は助かる可能性がそれなりにはあるんじゃないか?」
「二分の一以上の確率で死ぬということだな。
最悪全滅だが。相手の数すらわからないこの状況では・・・悪手だな。」
「・・・ふぅ、それもそうか。俺は反対しない。」
「俺も賛成だ。」
こうして四人は一致団結して逃げることにする。
だが、ここで狩人は動いた。
「っ!?」
「火遁、豪火球の術っ!!」
大きな炎の塊が四人を襲う。
攻撃の瞬間まで全く気配を感じなかったものの、さすがに炎の塊ともなれば気付く。
四人は瞬時に散開回避。
だが、同時に四人へクナイが複数、飛ぶ。
「くっ!
別方向に逃げた俺達一人一人をとらえて投げるとはっ!」
しかもクナイには起爆札が見て取れた。
避けるだけでは爆発に巻き込まれると、遠くへ弾く。
だが起爆札は爆発しない。
むやみに爆発させても、写輪眼を持つ人間にとっては視界がふさがれて逆にマイナスとなるためである。
ただのプラフだ。
「がっ!?
・・・しゃ、りん・・・がんか・・・」
「目を合わせないというならば、こちらから合わせに行けばいいだけだ。」
だが、その弾くというわずかな隙に瞬身の術によって一人の男の目の前に躍り出る影はその赤い眼球を相手と合わせ、幻術にかけた。
男は痙攣しながらうずくまり、やがて動かなくる。
これで残りは三人。
残りの三人はアイコンタクトで瞬時に拡散して逃げるという作戦に変更。
それぞれの方向へ逃げる。
「くそっ!
ふざけやがってっ!!」
一人の男は逃げながらも悪態をつく。
それもそのはずだ。
自分たちが全く手も足も出なかった相手がまさか
10かそこらの子供。
今こうしていることが信じがたい事実であった。
重ねていうが男たちは決して弱くはない。
戦争経験があり、いまだ生き残っているということはそれだけの死線を潜り抜けたということ。
それだけの実力があったということ。
一言でいえば歴戦の兵士と言ってもいいレベルなのである。
たしかに才能は劣るだろう。
相手は忍の世界でも有名なあのエリート一族、うちはだ。
しかしそれを補い、有り余るほどの経験と熟練があったはずなのに、それらがたかだか毛も生えそろっていないであろう幼いガキ一人に手も足も出ない。
これで悪態をつくなという方がどうかしている。
変化の術を使っていると思いたいが、その理由はないはずだ。
殺し合いの最中に、わざわざ必要ないことへ意識を割く必要が無い。
おそらくあれが素の姿。
すでに幻術にかかっているのではないかと思わせるほどの異常事態だった。
悪夢を見ていると言われた方がまだ納得出来る。
そんな異常事態にあっても、今までの手腕から自分たちよりもすぐれていたと判断し、なんの硬直も無く、すぐにそれぞれで逃げ出すという柔軟な対応をした。
こうした一連の行動からも男たちの力量が窺える。
だが。
「なるほど、盗賊にはもったいない習熟レベルだ。
俺の力量を測るにはもってこいだな。」
「ちっ!!」
空中で火花が咲く。
イタチのクナイと男のクナイが交差した故に。
「他二人は?」
「影分身が拘束しているころだろう。」
「なるほど。どおりで目の前からてめぇが出てきたわけだ。」
男が逃げている進行方向からの不意打ち。
おそらくは火遁を使ったあれ自体も分身だろう。
「一応言っておく。
武装を解除して降伏する気はないか。」
「聞くと思ってんのか?」
「いや・・・そうだな。」
男たちはわかっている。
自分たちが追われている理由。
自分たち死体漁りが持つ情報は時に毒にも薬にもなる。
大半の死体は回収され、それぞれの里で埋葬される。
しかしそれも確実ではない。
戦争で失った体の一部や回収しそこなったしたいというのはどこにでも、少なからずある。
それらの遺体の遺伝子からはさまざまな情報が抜き取れる。
もちろん完璧ではないが、不可能というわけではない。
大蛇丸のように他者の遺伝子や能力を研究し、利用するという探究者の類はどの里にも少なからずいるのだ。
そうした人間に男たちは死体を提供する。
当然その死体は自分達の里のものだったらほかの里への情報秘匿につながるし、ほかの里のものであれば大なり小なりの得となる。
ゆえに男たちはどの里の忍からも狙われ、拷問され、挙句には殺される。
しかしそうしなければ日銭を稼げない。
それほどに困窮しているのが今の世の中なのだ。
ゆえにそんな男に対する降伏勧告というのは自殺しろと言っているようなものである。
イタチもそれはわかっていた。
さすがに今の年齢ではそうしたことは教えられていないが、聡明ゆえにわかっているのだ。
状況や彼らの目的を考えれば難しくはない問いである。
彼らの末路がどうなるかは。
それを思い立ち、何も言わなくなるイタチ。
「がぁっ!?」
「せめて今ここで殺してやるのが優しさというものだろう。」
男はいつの間にか血反吐を吐き、地面に伏せている。
一体何が起こったのかわからなかったが、自身の体の痛む場所から推察するにただの幻術にはめられて、その間にブスリといったところだろう。
いつの間にと思うと同時に、ここまでくるともはや笑いしか出なかった。
死に間際の瞳に映りこむのは震える子供であるのは気のせいかと思いながらも男はゆっくりと息を引き取ったのである。
感想返信
>漢字のミスあるよ。
A.ありがとうございます。3度くらいは見直しているんですけどどうしても出てしまいます。指摘はとてもありがたいのでこれからもお願いします。修正自体は遅くなりがちですが。
>母親の名前の修正はしちゃえば?
A.なんかミコトはサスケの母親の名前らしいですね。ただの同名程度に考えていただければ。
特に深い意味はないです。
>アンコって巨乳でしたっけ?
巨乳ですね。人によっての巨乳の定義があると思いますが作者はそう思います。
きっと団子が好きだからだよ!
作者は個人的にこしあんやつぶあんの具?自体がなくなった後の素の団子の味が好きです。
>本家批判しすぎ、やめてほしい
A.確かにそうですね、自重します。該当部分と思われる部分も緩和した表現にしました。ただ勘違いしないでほしいのが、アンチの意思はないのよ?
ただの感想みたいな感じでこだわりを持っていたわけではないです。
いや、そこがいいんだろ?と言われたら「ふぅん」っていう感じでそこで言い返してまでどこをどうするべきだなんて意識はないです。
>タマモかわいかったまも
A.もらっていいですか?
>絵が意外とうまい
A.この辺の感想が割と多かったwwありがとうございます。
>雑魚に対して六門は開けすぎじゃね?
A.雑魚じゃないんです。彼らは精鋭wwなんです。
物語上、咬ませっぽくはありますが実際は上忍相当でなおかつ強めな上忍なんです。まぁこんなところで墓漁りまがいなことをしている時点で里に雇われ続けている忍よりは・・・まぁお察しです。
しかもタマモ自体は八門を開ける才能があるだけで他は並か、それより劣るレベルですから。
簡単に捕まった時点でそれもまたお察し。
>タマモは万華鏡要因じゃないのね?
A.・・・そ、そうですよ?