この話は今週分ではなく先週末分。
今週末も更新する予定です。
注/
失礼しました。
間違えで前話の話をそのまま投稿していたため、更新から間も無く読んだ方はもう一度読み直し下さいませ。
シスイのその言葉によってところ変わり。
ヒビキ達は中忍試験会場にいた。
場所は木の葉ではなく、同盟を組んだ砂隠れでやるとのことだ。
確かいつぞやに風影が大蛇丸に成り代わっていたはずだが、今はまだ大丈夫なはず。
特に何か起こるわけでも、現地の人間に絡まれたわけでもなく、とどこおりなく会場についた一行は、始まりの合図を待っていた。
そこへやってくる砂隠れの忍達。
「さて、諸君。
大変長らくお待たせして申し訳ない。
此度の中忍試験監督役をさせてもらう砂隠れ上忍、スシマルという。
よろしく頼む。」
といって頭を下げて挨拶をするスキンヘッドのおっさん。
それを皮切りにほかのメンバーも挨拶と、木の葉側のそれぞれの班の監督役たる上忍たちもまた挨拶をした。
「俺はうちはシスイ。好きな食べ物は卵焼きだ。よろしく頼む。」
とにこやかにスマイルをするシスイ。
その言葉にあれが…とか瞬身と名高い彼が来たのかとか砂隠れ側のボヤキが聞こえた。
若干、無礼にも思えたがそれだけのネームバリューがあるということだろう。
そして卵焼きが好物だというのもいまさらながらに知ったことである。
あと、なぜそれを言ったのか意味不明だ。
親しみを持たせようとしたのだろうか?
「さて、簡単な挨拶も済ませたところで早速試験を開始したいと思う。
トイレを済ませておきたい子たちはいるかな?
遠慮することはない。
トイレに行きたい人間は今のうちに済ませておくに限るぞ?」
と少しの威圧も込めてスシマルが言う。
それを聞いて数人の下忍がトイレへ向かったとき、スシマルは言う。
「あいつらは失格だ。それとあいつらのいた班の下忍も失格だ。」
えーっ!とトイレに行った子たちの同じ仲間が言った。
愕然である。罠である。しかし、やむを得ない部分もあった。
「貴様らは命がけの戦いのときにトイレで集中できなくて負けた。とでも言うつもりか?
トイレ位済ませておくのが普通だ。そもそも今回の試験には命がけであるという上官からの忠告もあったはず。
その試験にトイレすら済ませずにやってきた馬鹿を、心構えのない人間を中忍にしても任務で死ぬだけだ。
むしろ感謝してもらいたい。今回の失敗を活かせる機会がもらえたのだから。
実際の任務で失敗したら二度と名誉挽回する機会が訪れない、すなわち命を落とすことなどざらにある。」
それでも納得いかない子供たちがぶーたれるも、にべもなく無視するスシマル。
「いささか厳しいとも思うかもしれんが、今のご時世は少し前よりも総じて任務の難易度、命を落とす確率が上がっている。
だました?罠だ?横暴だ?卑怯だ?
たわけどもが。
そんなことこれから生きていくうえで多々ある。
今からそれが体験できてラッキーだと思え。中忍試験はまた来年受ければいいだけで、失うものなど何もないのだからな。」
と締めくくり、そのまま本当の試験を行うと宣言した。
それよりも私が気になるのはほかにある。
「命がけとか聞いてませんが。」
「そ、そうだっけ?」
とシスイが目をそらした。
いや、私は前世の記憶から事前に知っていた。
知っていたが、知らない人間もいる。
タマモや…イタチは知ってるとかじゃなくて自分でそうだろうと気付いていそうではあるが、こうした重要なことを報告しない上官というのは些か以上に、注意してしかるべきだろう。
「えへへ、ごめーん!」
とキモイ笑いときゃぴきゃぴな言葉でごまかすシスイ。
「キショいです。」
「そ、そこまで言うことはないだろ!?
ちょっとしたおちゃめさんじゃないか!」
「…さいですか。タマモだって文句はあるよね?」
と話しかけたところ、タマモはえっ?と答えた。
「何か考え事?」
「い、いや…ちょっとおトイレ行きたくなっちゃって…今からすごくいきたい。」
「えー。」
どないしよ?
「今回の説明が終わったら行けばいいんじゃないかな?」
「えっと・・・でも。」
「心構えの話だし、種明かしした今、いまさらどうのこうのは言わないと思うけれど…」
「う、ううん…いい。我慢する。」
「いや、でも…」
女の子は我慢しづらいと聞く。
男よりも尿道が短く、尿道を締める筋肉が弱いためだ。
聞く、と言ったものの私もやってしまったことがある。
男であった感覚があったため、予想以上に我慢がきかずに…いや、あのことはもう思い出すまい。
そこで私たちの会話を聞いていたイタチが言う。
「行ってきたらどうだ?
俺もヒビキと同意見だ。
仮に失格にされたとして、特に思い入れがあるわけでもない。修行なら別に中忍でなくてもいいしな。
また来年受ければ良い。
その時はサスケへのお土産でも買って帰るさ。」
と少し顔を緩めていうイタチ。
あら、紳士。
確かにイタチの言うとおりだ。
任務のレベルが上がれば、それだけ実戦経験が豊富になるということではあるが、今でも能力を認められたが故の高ランク任務を受けることはある。
正直中忍になる魅力はあまりない。
少なくともすぐにどうこうということはないのだ。
「…うう…でも…」
まだ渋るタマモ。それなら考えがある。
「…そう。なら…すいません。
トイレに行きたいんですが…」
「なんだと?
…ふむ。なるほどな。
いいだろう。」
とスシマルは勝手に納得した様子でうなずき、許可する。
「とはいえ、ここにいる人間を待たせるのは逆に気を使ってしまうだろう。
第一次試験の説明はしてしまうから残った上忍、もしくはチームメイトにでも聞くんだな。」
そのまま第一次試験の話をするスシマル。
こう言うということは失格にはならないということだ。
それにしても中々気遣える男だ。説明が終わってからと思っていたが、せっかくの厚意に甘えることにしよう。
「えと…」
「ほら、この際だから一緒に済ませちゃおう?」
「う、うん。ありがとう。」
気遣いに関してだろう。
礼を言うタマモ。
タマモが言いづらいなら私が言ってしまえばいいのだ。
そのまま二人でトイレを済ます私たちだった。
「さて、では早速だが試験の説明をしよう。
結論から言えば試験内容は二つある。その一つが”なぞなぞ”だ。」
ヒビキ達がトイレに行っている間にもスシマルは話を続けていた。
「なぞなぞ、というとただの言葉遊びに思われるかもしれないが、忍をやっていくにあたり必要不可欠な技能でもある。
『暗号化』という作業があることはすでにアカデミーで習ったな?
重要な機密情報、仲間との交信、ほかいろいろとそれをする機会はあるが、それを奪われた時用に必要な処置として行われるもので、その手法にはさまざまな形式があるとされているが、結局のところその基本構造は”なぞなぞ”なのだ。
もちろんこれに限った話ではないし、こうした暗号化はそれぞれの里のやり方もあり一概に統一化されていない。」
とここで一呼吸置く。
「…いや、統一化するべきではないと言うところだが、そのあたりはさておき。
その暗号化の基本である”なぞなぞ”を解く柔軟な頭を持っているかどうか。
それを試験の目的とする。」
「あの…二つの内ってことはもう一つはなぞなぞではないんですか?」
とどこかの誰かが言った。
「急くな急くな。
慌てんでも今からそれを説明するのだ。
さて、二つ目の試験だが”なぞなぞ”と言ってもそれが苦手な子もいるだろう。
いわゆる脳筋だが、べつにそれを悪いとは言わない。
事実、頭の運動が不得意でも体の運動が得意であるがゆえに上忍になった、という忍も少なからずいる。
その分、要求される力も大きいが人間、誰しもが万能タイプというわけではないし、特化型がいて悪いことも無い。」
「ということは二つ目は…」
「うむ、察しているようだが二つ目は体術についての試験。
”組手”を行ってもらう。
この”組手”には忍術の使用は許可する。
そうなると組手の相手次第で合格不合格が決まると考えるかもしれないが、そこは安心してもらって構わない。
組手を行うと言ってもこちらが用意した試験官との組手だ。
勝利してもいいし、負けてもいい。
判断基準はそこにはなく、ある程度の動きが、中忍レベルの動きができているかを見る。
一つ目と二つ目、このどちらかを持って判断するということだ。」
そこで一人が挙手をした。
「どうした?」
「どちらかというと、どちらか一方で合格した場合しか次に進めないということでしょうか?
その場合、一つ目と二つ目をクリアした人間がこれから先の試験で明らかな能力格差に見舞われるかと思います。」
「ふむ、良い質問だ。
一言で言えばその心配はない。
二つとも受けてもらい、その合算で合格不合格を判断する。
また、二次試験も頭と体力を使う試験を考えている。
これに合格した人間が中忍とする。
さらに二次試験を落ちた人間のみで三次試験を行うことも考えている。
簡単に言えば専門技能確認試験だな。
頭が良いのか、体術がいいのか。
とはいえ普通よりも少しすぐれている、という程度では合格できない。
ここでも落ちた場合、中忍にはなれないと思ってくれ。
ほかに質問は…ないようだな。
では早速開始する。試験会場へ移動してくれ。」
こうして中忍試験は始まった。