うちは一族として生き残る!   作:黒百合

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10日遅れですけど、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。


一方、ヒビキ達は

さて、今回の砂漠におけるサバイバル演習。

合格条件は以下のとおりである。

 

参加者が半数以下になった段階で砂漠を超えた先にあるゴール地点にいること。

 

である。

簡単なようでいて、難しい。

参加者が半数以下と言うのがこれまたえぐい。

 

「いつ半数以下になるのか?」

「半数にならない場合においてどういった対応を強いられるのか」

「半数以下になった段階でゴール地点にいなくてはならない」

というのがキモである。

 

砂漠踏破自体は別にむずかしくはない。

仮にも忍であるし、この世界の忍はチャクラと言う摩訶不思議物質でたとえ砂漠と言う過酷な環境であろうとも飲み食い無しで半日くらいは余裕綽々で動けるのだ。

何よりも忍術と言う魔法みたいな力もあり、水遁術を使うだけで生命活動における重要アイテム、水が簡単に手に入るためになおのこと。

 

地球でいうならば砂漠で一日、生き残るのは至難の業であるのだが。

 

しかし、砂漠も戦闘を前提とした踏破ともなれば事情は変わる。

 

半数以下になってなければならない。というのは逆に言えば誰かが必ず戦わなくてはならないということであり、またどこかに隠れて様子見をしているというのも悪手である。

 

チャクラと言うのは無から生み出されるものではない。

ただでさえ過酷な自然環境において、精神エネルギーと身体エネルギーを同時に使うチャクラを扱うことそれすなわち、体力消耗を加速度的にアップさせる。

隠れて待つというのは厳しい選択だろうし、ゴールにいなければ合格になりえないということもある。

 

「いの一番にゴールして良い場所を確認しつつ、漁夫の利を得るのが吉だな。」

 

とイタチが言う。

 

道中で人を減らし続けるのは途中で半数以下と言う条件を満たしかねないし、かといってゴールで待ち続けていても半数以下になってゴール地点にいるものという条件の都合上、せいぜい二日。遅くて三日目くらいには誰もが「まだ半数以下ではない」と気付き、そこでのバトルロワイヤルが始まりかねない。

どこに誰が潜伏していて、自分たちは隠れているのか、攻撃するにしてもほかの班をどうするかを考えながらの攻撃にしなくてはならない。

あまり強いところを見せればほかの班からの共同戦線による同時攻撃を受けるなど言うこともありえる。

また、逆に強者同士が組み、より合格を盤石のものとするという手もあり様々な手段が予想できる。

 

ゴール地点とは名ばかりの、魔窟である。

地図にはゴール地点とあるがそういったことを考えてか、ゴール地点はやたらと広い範囲だ。

はじめからそうしたことを念頭にしている気がする。

 

馬鹿では務まらないし、頭でっかちでも合格は難しい。

そういう試験である。

 

またそうしたゴール地点付近での潜伏が長ければ砂漠と言う環境で体力を消耗していき、どんどんと思慮を削られていく。

なかなかどうして考えられていた。

 

イタチが言うように道中では極力無駄な戦闘は避けて、真っ先にゴール地点付近の探索をして有利なポジションやら潜伏するであろう場所の確認をするのが無難。

 

「道中有利であろう、砂隠れを倒すのもまた手だが…」

 

とさらに続けてイタチは言う。

 

確かに砂隠れの下忍たちは木の葉の忍に比べてあらゆる点で有利である。

自分たちの土地であること。

砂漠の生き方が分かっているであろうこと。

 

こうしたことに対して試験前に木の葉の一人の下忍が不平を唱えたが、即座に却下。

不利な状況と言うのはいくらでもあるし、そうした状況を覆してこそ忍、である。

それが分かっていた木の葉の上忍たちはむしろいい経験でラッキーだと思っている。

 

「…なんかそうしたくなさそうだね、イタチ君。」

 

と、タマモ。

 

「別にそんなことはない。」

 

真顔で答えるイタチ。

 

だが付き合いの長いタマモやヒビキは概ねが分かっていた。

どうせならゴール地点での緊迫した潜伏合戦がしたいとか思っている。と。

あとは単にそこまでして倒すほどの理由がないというまっとうなことももちろん考えているだろうが。

 

「…」

 

そして付き合いのながいイタチもまた気付いていた。

二人が自分の今の言葉を信じてないということを。

それなら無理に隠す必要もないわけで。

 

「これもいい経験になるだろう。

お前たちのためでもある。」

 

と言って、締めくくった。

その顔はすぐに振り返っていたために見えない。

 

☆ ☆ ☆

 

「っ!?」

 

初めに気付いたのは簡易とは言えども写輪眼ではない感知忍術を会得していたヒビキである。

次に気付いたのはヒビキと大抵一緒にいるタマモ、そしてイタチだ。

 

「これは…」

 

一瞬である。

一瞬であるし、簡易でしかない感知にかかる、それだけで十分にわかるほどに洗練されたチャクラを持つ忍のチャクラがここから五時の方向で感じられた。

もちろんヒビキとしてはすでに会場にいた忍達に対してこっそりと感知や、常に展開している黒いカラーコンタクトの下にある写輪眼で概ねの技量は把握していたつもりである。

隠していたにせよ、技術的なものはともかくチャクラ的な意味では、これほどのチャクラを持つ忍はいなかったはずだ。

 

自分の見立てを疑ったが、今のヒビキの写輪眼は下手なうちはよりもより多くの事象を見抜けるほどには習熟していた。

そしてサバイバル前の模擬戦のような試験時に潜伏していた複数の忍のことを考えると、いよいよキナ臭くなってきたことを心身ともにはっきりと自覚する。

 

「…どうする?」

 

イタチが一見いつもと変わらぬ様子で聞く。

が、雰囲気はぴりついていた。

イタチも何かしら普通ではないことは気付いていたし、どこかで何かが起きるとは考えていた。

ゆえに彼は聞いた。

この脅威を確かめるべきか、ただただ逃げるべきか。

 

確かめに行くというのも一理あるし、また、君子危うきになんとかと言うように近づかないというのもまた一理だ。

 

情報は武器である。

仮に会場内の下忍だったとしても、また何がしかの企みであってもこれほどの力を持つ存在であれば情報をわずかでも集めておきたいのは当然であるし、しかしその一方でそこそこの距離にもかかわらずヒビキの未熟な感知忍術にも引っかかるほどの強者に近づきたくないというのもまた当然だ。

 

「イタチくんはどう思うの?」

 

タマモもこの二人に鍛えられているためかそれくらいのことは分かった。

しかしそこまでであり、どちらを選ぶべきかまでは判断が付かない。

 

「俺は見に行くべきだと考えている。

ノーリスクノーリターンで得られるものなんてたかが知れているしな。」

 

つまりリスクを払い、リターンを得ようという考えだ。

ここで逃げてもいいが、それでは何の情報もなしにこの相手と戦わなくてはならない。

それであるなら、何がしかの獲物を捕らえようとしている、または捕えているであろうほんのわずかでも周りへの注意が散漫している可能性がある今が好機と判断してのことだ。

 

ただ口にはしなかったものの、自分ならばこの相手とも渡り合えるという慢心ではなく自信があったし、たとえ襲われているのが砂の里の下忍とは言えども助けられる分には助けたいとも考えていた。

 

これらの考えはヒビキも同じであり。

 

そして彼らが目にしたものは蹂躙されたカナグの班であった。

 

 

もちろんすぐには出て行かずに、彼らと相手の二人組の情報を収集しつつ、ぎりぎりまで待った。

これは試験のライバルを蹴落とすためではなく、相手の技量を鑑みての措置だ。

 

「…身のこなしから察するに、下手な上忍では相手にならないレベルだな。」

 

というイタチの言葉にヒビキは冷淡に。

 

「よく食らいついているというところ。」

 

と言う。

それに対してハラハラしながらヒビキとイタチを交互に見るタマモ。

「早く助けないの!?」と目で言っていた。

 

「極力動きを見たい。タマモもほら、写輪眼でしっかり見ておいて。」

「う、うん。」

 

助けに行って一緒に殺されましたでは笑い話にもならない。

彼らには悪いが命のぎりぎりまで耐えてもらうことにする。

 

「日向カナグだっけ。彼の柔拳がまるで聞いてないように見える。」

「えと、私にはなんかあの人のチャクラ自体が変に見える…なんか水…っぽい?」

「柔拳はチャクラを送り込んで直接、内臓や経絡系にダメージを与える技だ。

彼の体は水化しているから…おそらくは傷ついた経絡系や内臓をいったん水化させて、また再構成しているんだろう。」

 

そうした話し合いと見学を続けつつもこれで命が終わるとカナグが観念したとき、ヒビキ達は飛び出した。

 

カナグたちの命を、目の前の格上を下すために。

 

「誰だよ?

男がかっけぇ死に様さらすところで無粋な真似をするのはさぁ。

僕、おこっちゃうぜ?」

 

「雷遁の特訓しておいてよかった。」

 

 

うちはヒビキにとっての死線がここにあった。

 

 

 

 




解説しそこないましたが、前話の破山撃はナルティメットアクセル2くらいに出たネジの奥義です。
ゲームでは実際に巨大な岩山を吹っ飛ばすほどのチャクラ砲を手のひらからぶっ放す超大技です。
この作品はちょっと派手目に行きたいと思ってます。
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