GATE;「扉ガバガバじゃねえか!」と叫ぶ転生者   作:水の水割り

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前回は酔っていたので初投稿です


なんてこった!俺の体はセイバーに!?

 

 

 

「むしゃむしゃ」

 

 

 なんて言おうか、どうすっかなー俺もなー。

 

 

 座っている俺と菓子パンを頬張る青セイバーさん。

 俺と青セイバーさんの間には大きめの鏡が一枚。

 自分は正座。勿論青セイバーさんも正座。

 

 

 ……食べている手を止め、食べかすが頬についたまま俺は。

 

 

 

内なる俺「これは何ですか」

 

俺「青セイバーさんです」

内なる俺「これは何ですか」

 

俺「…………俺、です」

内なる俺「何をしていましたか」

 

俺「菓子パンを頬張っていました」

 

内なる俺「何をしていましたか」

 

俺「…………現実逃避していました」

 

内なる俺「あなたは何ですか」

 

俺「青セイバーさんです」

内なる俺「あなたが青セイバーさんなんですか」

 

俺「そうです」

 

内なる俺「あなたが青セイバーさんなんですね」

 

俺「はい」

 

 

 ただひたすら英語直訳調の対話を鏡とし続ける俺。

 

 正座したままじっと鏡を見つめる。食べかすさえついてなければそれはそれはキリッとした美人な人なんだろう。

 恥ずかしがらずに鏡から出ておいで青セイバーさん。むしろ食べかすで可愛さが溢れてるよ。

 

 はい嘘です、俺が青セイバーさんです。めっちゃ青セイバーさんです。アホ毛ピンピンしてます。格好が滅茶苦茶青セイバーさんでした。青の騎士甲冑かっこいいよ。あったよ! エクスカリバー! つよそう!

 

 でも俺の股間のエクスカリバーが無くなってんだよ!!!!

 

 

「なのに声が赤セイバーってなんだよもうこれわかんねぇな」

 

 

 容姿は髪型と格好含め普通のfate/staynightとfate/zero出身のサーヴァントであるセイバー、通称青セイバー又はアルトリアさん。

 

 だが声がどう聞いても青じゃない。赤セイバーさんの方、fate/extraとか出身のネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスこと赤セイバーさん、もといかまってワンコ系セイバーの声になっているのだ。混ざってる混ざってる、別人なのに。

 

 で、試しに赤セイバーを象徴するスキル、"皇帝特権"使ったら普通に使えたよ! やったぜ!

 

 

「余はゲームの天才だ!」

 

 

 とか言いながらコールオブビューティーやったらかなりヤバイ。一人で敵全員討って自分は無傷なの。おかげでチーター扱いされたよ馬鹿野郎!!

 で、後でリプレイで敵視点で見たらガンゲイルのキリト君みたいに弾丸を避けながら敵を討ってんの。射撃予測線とか無いのに予測して避けてるよこの赤セイバーさん()

 

 

 いや、もうマジでなんなの。俺は一体どうなっちゃったの。やべぇよやべぇよ……。

 あっそっかぁ……全部管理者ニキのせいに違いない(暴論)。明らかにおかしい、特典を蔑ろにしてしまったのが原因で激おこしちゃったの? クーリングオフきかないの?

 

 

 でも……。

 

 

 

「舞……」

 

 

 ふと、()の顔が思い浮かぶ。

 そうだ、舞は本当に無事なのだろうか。友達も……怪我したのは腕だけだったようだが心配だ、とりあえず実家に一度行かないと。

 

 

「……この格好で?」

 

 

 再び鏡を見直す。

 青のド派手な騎士甲冑

 金髪、にょーんと立ったアホ毛

 極めつけに2次元から飛び出てきましたと言わんばかりの美人、美人。

 

 いかん危ない危ない。俺だぞ俺、鏡のセイバーは俺なんだ、気をしっかり保つんだ俺。

 

 幸い自宅なんだ、普通に着替えればいいじゃんっていうツッコミはセルフでするから許して。

 fate/Zeroみたいに男装すればいいべ。

 

 

 

 

 

 

 

「……うん、行こう」

 

 

 すんません一瞬忘れてました、俺がセイバーさん(TS)になってるって。

 普通に騎士甲冑脱ごうとして胸が引っ掛かった辺りでチキンな俺は上を見ながら服を着替えた。

 

 だってセイバーさんスタイル良いんだもん、俺はバリバリ2次元ダイスキーの三次元アレルギーだがセイバーさんの眩しい半裸体の前ではただ(天井)を見上げるしかなかった。

 ごめんセイバーさん、頑張ってこの体に慣れるから許して。

 

 というわけで着替え完了である、変な汗を流しながらノロノロ着替えていたので1時間ぐらい掛かった気がする。

 あ、時計見たら40分ぐらいじゃん、やってやったぜ。

 

 

 そんなわけで鍵を持ってもう数日ぶりに感じる外出。

 今やっと気がついたんだが視点の高さがやけに低い、そういえば青セイバーさんの身長は150とちょっとだったような気がする。

 道理でいつも見えるものが見えないわけだ、また一つ納得した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………は?」

 

 

 おかしい。何故。どういうことだ。

 えっえっえっ、マジでどうなってんの? 何のドッキリ?

 

 

「お忙しい中、兄のお通夜に来て頂きありがとうございます……。兄さんも、貴女の様な美人な方にお越し頂いて、きっと、喜んでくれてますよ……」

 

 

 目の前の光景にただ愕然と突っ立っているセイバー()()は隣で微笑む。

 違う、俺が見たかった舞の笑顔はこんな泣きそうな笑顔じゃない。

 

 

 

「凄かったんすよあいつ、あのクソ野郎にこう……ドコッ! と一発決めて! いやぁーにしても川内も隅に置けないやつっすねー! こーんなに可愛い子が彼女なんて……幸せなやつっすよ、馬鹿野郎……」

 

 

 左腕を怪我していて吊っている、仲良しの友人が"初対面の"セイバー()に、気さくに話し掛けてくる。

 

 

 薄暗い雰囲気の実家のリビング、どうやらお通夜は実家で開かれるらしい。

 

 だが、誰の?

 

 俺は管理者によって生き返ったはずだ、その結果特典だかなんだかでセイバーさんになってしまったが"俺"であることに変わりはないはずだ。

 

 確信……ではないが、なんとかやっていけるだろうと考えていた。

 

 

 

 なら――――

 

 

「兄さん……ほら、ご友人がいらっしゃいましたよ」

 

 

 

 ――――舞が優しげに頭を撫でる、棺桶の中の俺は一体なんなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回:感想と評価が114514ぐらい来たら

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