GATE;「扉ガバガバじゃねえか!」と叫ぶ転生者 作:水の水割り
これはなんだ?
前方に出ていた筈のゴブリンとオークは一瞬にして吹き飛んだ。
――――イキスギィ!!
――――ンギモッチイ!!
続く兵も次々に炎に焼かれ、光に照らされ、轟音と共に消し飛んでいく。
何故だ?
これは一体なんなのだ?
敵の姿はまだ見えない、恐らく強力な魔法の一種なのではないかと推測が頭を過るがこんなに強力な魔法は聞いたこともない。エルフや魔導師ですらここまで強力な魔法は使えないだろう。
ならば、今我らが相手にしている敵は何だ?
敵はそこまで脅威となるものだったのか?
――――ゲホッ! ゲホッ!(致命傷)
ただ盾を構えて魔法のような正体不明の攻撃を必死に防ぎながら考える間にも味方は吹き飛ばされ、消し飛ばされ、ただただ為す術もなく蹂躙されていく。
防いでいる盾がどんどんへこみ、ひしゃげ、使い物にならないようなものになっていく。
――――
やめてくれ、死にたくない! 俺には帰る場所があるんだ!
そんな思いを叫ぼうと、無慈悲にも攻撃は止まない。
そうだ、これが
戦に慈悲など不要。俺も戦士だ、そんなことはわかっている。
わかっているが……わかっているが!!!
「こんなもの……こんなものが!!
光が、墜ちてきた。
◆◆◆◆◆
見渡す限り、元は綺麗な丘だったのであろうその場所は焼きつくされ、クレーターだらけ。
代わりにあるのは最早死体、死体、死体、死体。あと焼けた武器、ひしゃげた防具。
残党がここにはいない事は確認したが、念のためだ。銃器を携えて辺りを見回す。
「うへぇ……にしても凄い数だなこりゃ、たまげたなぁ……」
"門"の向こう側。
そこは通称"特地"と呼ばれており、一応日本国内として扱われてはいる。
丁度、日本国民擬きとして扱われているセイバーみたいにな。
で、捕虜に聞いた話からすると、ぶっちゃけ異世界なんだよなあこれ。
ゴブリンとかオークとか魔法とか中世風ファンタジーかよ。
ファンタジーラノベ成分ならもううちの
でもエルフはいて欲しい、エルフはいい文明だからなー。
そんな
そう、今回の特地攻防戦及び特地調査に
……建前としては、特地の住人との円滑な交流を図るためだーとか過剰な戦力がーとか聞いてはいるが……檜垣三佐曰く。
「君に渡された"資料"をかじっては見たが彼女、要するに大昔の英雄の集合体なのだろう? あの
……らしい。
アホな話だが、そういう事だ。
俺としては留守番扱いに
ちなみに"資料"とは勿論、Fate/staynight、それの一般向けゲーム版である。
漫画や派生作品も是非とも檜垣さんにはプレイしてほしかったがやはり忙しく暇が無いらしい。
ならばこれだけでもと、fate/staynightを布教したのだ。
ゲームの設定、
そしてゆくゆくは型月信者って訳よ。
とにかく今回の特地調査にはセイバーはついてきていない。今頃やけ食いでもしているだろう。
「とりあえずここはこんな所か……」
聖地アルヌスの丘、ここはそう呼ばれているらしい。
とりあえずここの門と周辺の安全を確保した事だし今後はここを拠点として基地が作られるだろう。
「あ、いたいた! 伊丹陸尉ーー!!」
「ん、ここにいるぞー」
ひとまず戻るか。
また書類仕事が大変になるなこりゃ。
◆◆◆◆◆
「もぐもぐ……納得いきません、はむっ……何故私が留守番など……むぐむぐ、むっきゅむっきゅ」
相変わらず拘置所の無駄に豪華な部屋の中、
食う、とにかく食う。もっきゅもっきゅと食う。
原因は言うまでもなく留守番。
露骨に戦力アピールや
怒りと悲しみの
連れてけ連れてけと黒セイバー姿に赤セイバーの声で猛抗議したが、やはり伊丹は首を縦に振らず。
難しかったり困ったりした顔で。
「悪いなセイバー、この調査12人乗りなんだ」
「すまない」
……などとしか言わず、詳しい理由を聞けばはぐらかされる。
確かに
最早"俺"でなく"私"となってしまった今、最愛の"妹"とは"家族"ではなく"友人"。
"俺"はもうこの世にはいないんだ。
だが未練が無いと言えば嘘になる。
勿論出来ることならもっと"俺"で在りたかった。
もっと友達と、馬鹿みたいに遊んでいたかった。
「…………」
……そう、考えているとハンバーガーを食べる口が止まり、袋に包んで紙袋に突っ込む。
そうだ、もういいじゃないか。好き放題にやってしまっても。
体は
出来ない事なんてあまり無いはずさ!
「……行くか」
大量にハンバーガーやポテト、その他食料が入った袋を担ぎ。再び姿を
別に裸ギリギリのシルエットになったりするわけではないから前回みたいに変身のシーンは細かく説明しない。
なんともまぁ日曜朝のヒーローとは違い雑な変身だが許して欲しい。
「とにかく変身完了! あなたのお近くの聖剣は不足していませんか!? お呼びとあらば即参上!」
一人寂しく適当な参上口上を上げる。
……どうしてもどのセイバーに変身しても声だけが
と、そんな一人漫才していたらキリが無い。
せっかくセイバー(アサシン)にもなれるのだからここから出ていくには使うしかないだろう。
「アルトリウム粒子開放!!」
「コスモリアクター、起動!!」
ヴォン! とコスモリアクターが起動し、緑色に輝く。
正直な所、私にもこの辺りの原理はよくわからない。
まぁその辺はおいといて。
「ヒロインX、特地へと飛翔します!!」
右手を振り上げ、拘置所地下から空へと飛び出した。
「着きました、異世界!!」
気配遮断を乱用してスーパーマンよろしく飛ぶ事一時間。アルトリウム粒子があれば大抵の事は出来たりする。
広大に続く草原!!
青い空と白い曇!!
遥か彼方には村がある!!
……ってこれだけじゃ全く異世界チックじゃないだろ! いい加減にしろ!
もっとこう、ないの? 異世界といえばみたいな物は。
遠く後ろに見える"門"と自衛隊のものらしき戦車等があるのを見るに異世界っぽいけど……。
「エルフとか……ワイバーンとかは居ないんですかねぇ、折角ピクニックに来たのに」
動物園に来てみれば動物が居ないかの様なこの寂しさ。
ただの草原しかないこの場でどうピクニックをしろと?
遠くにある村もRPGによくある最初の村みたいにパッとしないものじゃないのだろうか……。
やだなぁ、こんな異世界デビュー。どうせならもっと華々とした石造りの街スタートとかにしてほしい、味気がない。
とりあえずあの森にある村を目指すか……。
皆さん、お久しぶりです。
最近どうにも僕の頭が不調なので今回も展開が遅いです、なので僕は悪くありません。
後、僕が嫌いだからってTSや型月、GATEを嫌いにならないでください。
TSは素晴らしいものだと何故愚民はわからないのか、ならばこの水の水割りが愚民を粛清せねばなら
次回→今世紀