英霊たちの夏休み? 『孤島ゆらゆら』   作:スノウレッツ

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諸々の事情により自然回復のみで夏イベを回っているお陰で、ゆるゆる時間が空きまくりです。本家では妙な無人島が出来上がっていますが、こちらはノーサバイバルですからね。まあゆるっゆるな制限のもと、開拓生活を書き記そうかな、と。

みんなで仲良くをモットーに!let's Frontier!




第一篇 [南国っぽい島にて]

#1 運命の繋がり

 

 

「───なるほど、スカサハのいたカルデアでもレイシフトをしてたのか……」

「ああ、気がついたらこちらの島に流れ着いていたようだ。それにしても、あちらもこちらも見る顔はあまり変わらんな、ああ、あちらのマスターは男であったが」

「ああ、そうなの? はは、色んな世界で運命背負ってるヤツがいるんだな」

 

 まあ、そのマスターは私みたいに歪んだ存在じゃない、如何にも主人公って感じの子だと思うけど。

 

「うーん、実に興味深い事象だけれど……恐らくこの異変の中心はスカサハだ、彼女がここにいること自体がおかしいことになっているんだろう」

『本来の接続されるはずだった世界から少しだけずれてしまったんだね。どうしたものか……』

 

「っていうかスカサハ、魔力の供給ってどうなってる? もしかしてまた仮契約みたいになってるの?」

「ああ、今の私はどうやらそのようだ。同じく、お主をカルデアのマスターとして供給元を認識している」

「ふーん?…………うん? や、ちょっと待って」

「どうしたんだい九波ちゃん?」

「……多分だけど今のスカサハは、あちらとこちらの狭間に立っている曖昧な存在だ、どちらかに引っ張った瞬間に移動しちゃうと思う……ダヴィンチちゃん、ちょっと意見頂戴」

 

『───ああ、恐らくその通りさ、これから、九波ちゃんがこっちのカルデアに帰ってきたら、そのままスカサハまでこちらに定着してしまうだろう。だから……』

 

 ……ああ、了解した、ならばその先は私が継ごう。

 

「私はスカサハを帰すまでカルデアには戻れない……と」

『ハハハ、まさしく。つまり彼女を元のカルデアに帰還させることが出来なかった場合、九波ちゃんはこっちに戻ってこれない。ああ、あちらとスカサハの事情を無視するなら無理やりにでも帰ってくれば、そのままスカサハはこちらのものだけどね』

 

「冗談じゃない、流石にそれは私の微量な人間性が許さないね」

「自分でそれを言ってしまいますかセンパイ…… でも、どうしましょう、先ず何から手を着ければ……」

 

 不意にも縁が繋がってしまったか……いつもなら普通に元凶を叩くだけでいいんだが。カルデアのサーヴァントなら話は別、しかも他のマスターのサーヴァントだ。

 

 …………うん、考えるよりは行動に移そう。今出来ること……そうだな。

 

「それじゃあ、まずは拠点……居所を造ろうか。星空を見ながら岩に横たわるのも悪くは無いけど、少しでも快適に過ごしたいからね」

「うむ、やはりそれが一番であろう。ところで、貴様の所のカルデアにはこれだけしか英霊がいないのか?」

「いやいや、たぶんこれから来ると思うよ。ああ、ケルト絡みのも何人かいるからさ、良かったら相手してやって欲しいな」

 

 言い終わるまえにキラリと目が妖しく光った。

 

「ほう? それはあれか、再び試練を仕掛けろという意味か、ふふふ……ああ、あちらでは暫くだったからな、久しぶりに興が乗ったぞ!」

「せめて壊さない程度にお願い致しますねスカサハ姐さん!」

 

 たぶんケルトの性格の元凶がこの人なんだろうな……

 

 

#2 陸と海とを蹂躙せよ

 

 

 だいぶ、いやほとんどの英霊が集い、とりあえずいつもの如くいくつかの開拓班に分けることとなり。

 私は司令塔として皆に仕事を割り振る。

 

「よし、良いだろう! とりあえず資材班!フェルグスと小次郎で他の面子をまとめてくれ! オケアノスの経験者は新参に力加減を教えながらやってくれればいい!」

「ハッハッハ!相解った、この間のように宝具で凪ぎ払うなということだろう?」

「ああ、こないだは山丸ごと削りやがったからなあんたは!少しは丁寧にやってくれ!」

 

 山一つ元に戻すのに丸4日かけたからな、ほんと勘弁してくれな。

 

 涼しげな水着姿だが、その手にはしっかりと宝具が握られている木こりサーヴァントが資材班のメインだ。その中でもずいぶん切れ味がよさそうな聖剣を持つのはランスロット。

「まさかこの剣を木こりとして使うことになろうとは……いや、普段やらないことをやるというのも修行の一つかも知れんな……」

「ああ、その通りだランスロット、戦い以外にも技を磨く方法などいくらでもある 」

「はは、カルナ殿の言うとおりでござるな、拙者……燕斬りにてこの技を習得せしめたわけであるからなぁ」

「ぬん! 再びもって肉体行使の仕事……良き事であります、筋肉は使わないと衰えるものですからなぁ!」

 

 うん、あまり格好がいつもと変わらない人が多いや。ランスロットが鎧を外しているのが珍しいくらいで、小次郎もレオニダスもカルナも───まあカルナはその性質上、肌が焼け焦げているらしいが───いつもとあまり変わらず。

 

「アステリオスとカリギュラは運搬メインで……ああ、一つの場所に木材を集めてくれるだけでいいから、頑張ってね?」

「うん、わかった!」

「……良い、この力……今は、抑えずにいようか……」

 

 力仕事をしっかり任せられる男どもは頼りになることだ。

 

「よし、次は建築班! バベッジの引いてくれた設計図があるから、信長とアンデルセンの指揮で動いてくれ! 資材が集まるまでは土台の整地を宜しく!」

 

 

「ほう……お主が部屋から出てくるなぞ珍しいなアンデルセン?」

 いつもは軍服に身を包んでいるが、今はまあ似たような黒基調に赤の意匠の入った水着を着て、その長い黒髪は一つにまとめている。

 スッと背に一本線が入ったような立ち振舞いは、凛々しくもあり。でも身長のせいで可愛らしさが先行するという、やはりノッブ。

 

「……ま、肉体労働が無いならまだましだろうさ。折角俺がわざわざ出向いたのだ、中途半端なものは造らせんぞ」

 相変わらずだがアンデルセンは水着の上に白衣を羽織ってメガネをかけている。どうやらずいぶんと気に入っているスタイルのようで。

 ……いや、ちょっと違うか。まあ良いだろう、それ以上は言うまい。

 

「結構ノリノリだねアンデルセン」

「たわけ、暑すぎて頭が上手く回っていないだけだ!」

 

 それは言い訳なんだろうか……

 

「へへ、お二人さんはこういう妙な行事は初だったか。まあ仲良くやろうや、同じ組に入れられたからにはな」

「そうですね、マスターの居城となるものの建設……このベディヴィエール、全力を賭して任に当たりましょう」

「山から家を造るか……あー、なんだか昔を思い出すようだぜ…… ま、俺がゴールデンな屋敷を造ってやろうじゃんよ!」

 

 我がカルデア屈指の仕事人ヘクトール、そして最近仲間入りした金時、べディ。うん、天然が混じっている。

 

 

(…………ま、ゆるりといきますか……)

 ヘクトールの頭にはなんとなく不安がよぎったが、なんなくそれをスルーした。

 

「それじゃあ狩猟班、アタランテと牛若は狩りすぎないようにね。とりあえず一人六頭までな、生態系ギリギリキープで」

 

「はは、わかっているさ」

「大丈夫です!きっと大物を仕留めて来ますので!」

 

 そう答えた二人は、実に健康的なプロポーションが目に眩しい。うん、というか牛若がいつもよりまともに見えるのはいったい何故なんでしょうか? 晒しているのは変わらないというのに。

 

 妙に顔をしかめるロビンは独り()つ。

「アタランテはまだいいが牛若の手綱引けるのなんていねえからな…… 俺は俺の分をやってくるよ」

「なんだ、競争でもしようかと思ってたんだが、そうか。まあ食える分だけ頂くのが礼儀ってものだからな」

「ああ、そいつが一番だ。ウチでよく食うのは騎士王くらいなもんだが、獲りすぎはよくねえ」そう、アーラシュとクー・フーリンは続ける。

 

 これはまた全員そこそこ昔からの付き合い、信頼における狩人どもだ。

 

「陸はこれでいいか、じゃあ海だ!海洋班、アン!メアリー!」

 

「ここにいるよ!」

「同じくですわ!」

 

「よーし……ってあれ、ティーチどこいった?」

「あー……あれだよ」

 

 メアリーの指差した先では、首から砂浜に突っ込んでる黒ひげの姿。ああ、はい。

 

「むー、そうするとちょっと人数足りねえか?」

 

「───マスター、ここはオレに任せとけ!」

「モード? ってそれどうしたの?」

 

 もう確実に女の子扱いしてしまいそうな格好だが、とりあえずそこは放っておこう。モードレッドは手に持っていたのはサーフボード……のような何か。

 

「こいつはプリドゥエン!父上に貸してもらったんだぜ!」

「ああ、オルタに? オルタ何処だ……って」

 

 もう既にパラソルの下で涼んでいた。早い、早いよオルタさん。と、もう一人志願者が。

「───私もモードさんと一緒に行ってもいいですか?」と現れたのはリリィ。

「へっ? あ、ああ良いぜ、全然問題ない!」

「ああいいよ、二人仲良くね」

「はい!では一緒に行きましょう?」

「へ、ぁ、ああ!了解!」

 

 動揺しすぎて妙なテンションのモードレッドを連れて、仲良く海に繰り出して……って。

「あ、行っちまった……何をやるかまだ言ってないんだが……」

「いいよ、僕から伝えておく。というかどうせ海流やらどんな生物いるかとかでしょ?」

「まあそうなんだけどね。あとは深さとか、海に関してはあんたたちの方が詳しいだろうから、任せてもいいかな?」

「もちろんですわ!ええ、海のことなら海賊にお任せです!」

「うん、頼むよ……あとは……ああ、陸にもまだあったな、調査班、呪腕の!百貌の!」

 

「───こちらに」

「斥候ならば是非我々に任をおいて頂ければ」

 

「うん、君らには十分信頼をおいてるよ。でも今回から一人追加だ。───小太郎!いる?」

「ええ、なんなりと」

「って後ろにいたか、うん?小太郎水着は?」

「え……いや、一応これが僕に与えられたものですが……」

 いつもの装束の上半身だけはだけているのじゃないか、と思っていたが、どうやらそういうデザインらしい。にしても不思議な肉体してんなぁ忍者ってのは……

「ああいや、私の見間違いだった。それじゃあ任務を出すよ。島の森の中を調べてきてくれ、どんな魔物がいるか、どんな植物が生えているか、ああ、狩猟班とかち合わないように。また、強力な個体に遭遇したらなるべく戦闘には入らず、情報だけを持ってきてくれ」

「それでは、その個体の対処は如何様に?」

「あとで討伐隊を組んで一掃する。だから無理に争わないでいい。それじゃあ……行ってくれ」

 

「「御意」」

 

 うん、これで一通り開拓班には指令が行き届いたかな。

 

「よーし、陸上開拓組! それぞれ自分の任を全うしてくれ! 太陽が天頂まで昇ったときに号砲で合図するから、それまでが午前の仕事だ!それじゃあ……解散!」

 

 おおーっ!!っと掛け声があがり、各々言われた仕事にかけつけていく。

 

「うーん、九波ちゃんの指揮を現場で見るのは初めてだけど……なかなか板についてるじゃないか!」とロマンが言うと、スカサハも、

「ああ、なかなか統率がとれている師団だな、随分と士気が高いことだ」

 

「そんな大層なもんじゃないよ、いやまあ戦闘力だけなら比べ物にならないけれども……っていつの間に水着に?」

「ふふ、皆がそうしているからな、私もそうするのが筋というものだろう、どうだ?クーフーリンにはよくわからん反応を返されたのだが……」

 うん、今すぐにでも襲いたいほどの素晴らしき御身体でございますよ、でもちょっと清姫さんの目線が熱いのでちょっと目をそらしますね。

 

「ええ、よく似合っていてございますよ」

「……なぜ目を逸らす。いい、見ろ!無礼であるぞ?」

「心で堪能させて貰っているので、ええ」

「もしや貴様……フェルグスと同類だな……?」

「……だって!これ以上見つめていたら思わず抱き締めてしまいそうだもの!」

 

「旦那様!?」

「子リス!?」

「センパイ!?」

 

 はい、この有り様です。

 

「……ふっ、ははは、心は正直だが頭でそれを押し止めるか! いい、私のマスターとはまた違った面白さを持っているなお前は」

「そりゃどうも、でもまだまだ基礎は終わってないんだなこれが!」

 

 力仕事や環境調査とは一線をかくす、リゾートの設営の始まりだ……!

 

 

#3 手際が良すぎる者共

 

 

 陸と海に指令を送った、ならばあとは本来の、リゾート&バカンス!ええ、まさしく砂浜の理想郷(ユートピア)を造り上げてもらいましょう!私は命令するだけだけど!

 

「ってことでギルくん!パラソルの貯蔵は充分かい?」

「ええ!っていうかもう既に配備完了です!」

 

 人類史の古今東西武器防具装飾神薬etc……な『王の財宝』だ、ビーチパラソルくらい入ってても問題ないだろう? 最初は頭が壊れそうだったが直に考えるのをやめたよ私は。

 

「手早い仕事、実によし! それじゃあ次はエミヤ!開拓班の為の昼食の用意を始めてくれ、調理台は……」

「ふっ、問題ない。こちらも既に準備を完了している!」

 

 気がつけば、浜に一つ小屋が建っており……

 看板にはこう記されていた。

 

 ────『うみのいえ』

 

「いや早い!流石に早すぎる!でもオッケイッ!エミヤGJ!」

 

 実にいい笑顔で()()を投影するエミヤ。その脇、いや同列に三人。

 

「ハッハッハ! 食材ならいくらでもあるぞぉ! 最高の飯を用意してやろうではないか!」

「ニャハハ!キャットも手を貸し……ニャハ!まさしく猫の手を貸そう!」

 

 我がカルデアが誇る料理人トリオ、というかもはや救世主であります彼等は。特に俵藤太殿はカルデアの食料難を一切合切解消してのけた食の神と一部に崇められてるような気がする。

 

「うん、とりあえず後から来るジビエを頭において料理を考えといてね!」

「腕が鳴るな!ニャハハハハ!」

 キャットはなんだかんだ肉の扱いは非常に上手い、これも野生が為せる技か……

 

 しかし料理だけではもちろん足らない!ここは(恐らく)南国の砂浜であるからして!渇く喉を潤さねば!

 

「……ダビデ! 氷蔵と酒蔵への転移陣を飲兵衛に見つからないような場所に!いいね、見つからないような場所につくっといて!」

「ははは、了解だ。言われたことはきっちりこなすからさ僕は」

「酒はまだしも氷は貴重だからね、ちゃんと頼むよ」

 

 酒蔵と氷蔵はほぼ全てダビデが管理している、まあなんだかんだ一番信用にたる人物だからね彼は。そしてカルデアなんかに置いといたら気がつけば底をついてるからな酒類。ギルくんにも酒は制限させてるし。これだけは目を光らせておかねば。

 

「よし、こっちもだいぶいいか……ん?」

 

 何か視線を感じ、そちらに目を向けると……

「(期待の目を向けている)」

 

「……ラーマ、何か用かい?」

「余は!余には何か役は無いのか? 皆が働いているのだ、余も何かしたい!」

 

 うん……あのね……あざと……あ、いや。

 

「うーん、そうだな~……あ、そだ。先生!ゲオルギウス先生!」

「はい、何でしょうか?」

「カメラはあるね?」

「ええ、もちろんです。此度も思い出を綴らせて……この辺りで一枚いきますか?」

「いや、また後でいいよ。 ちょっとラーマと空からこの島を撮影してきてくれ。ラーマ、わかったね?」

「ああ、なるほど!それは余にしかできない仕事だな!───ヴィマーナ!」

 

 ラーマが手を天に掲げると、黄金、ではなく白と赤で彩られた玉座───ヴィマーナが出現してくる。

 元は『王の財宝』の中にあったのだが、いつの間にかラーマ専用機と化していたツートンカラーの『天駆ける王の御座(ヴィマーナ)』である。ま、元々はインド神話の戦車全般を指すらしいから使用に関して問題はあまりない。

 

 二人は颯爽と搭乗し、

「それではマスター!行ってくる……ん、どうした?」

 

「空へ翔ぶの?いいわね、私もご一緒してもよろしいかしら?」

 装いをドレスから水着にして一層可憐さに磨きがかかったマリー、そして……

「天空神の使いたる私を置いて空へ向かうとは、いや、別に空を飛んでみたいわけではありません!ありませんが私も是非同行させて頂きます!」

 うん、残念だけど目の輝きを隠しきれてないよニトクリス。普段はファラオとしての振る舞いをしてるけど、今時な(?)水着に身を包んだ彼女はそのまま年頃の少女らしさが残る。

 

「ああ、大丈夫だ! 余の御座は眺めが良いからな、少しばかり空を巡ろう!」

 

 そうして、四人を乗せた天空船は地を発った。

 

「あれもアトラクションの一つになるな……」

「……後で一緒に乗りますか、センパイ?」

 

 ああ、それもいいな。ま、ヴィマーナに一緒に乗るのなんてわりと最近あったけど。キャメロット強襲作戦とか……

 

「──────よし!私の役目は一旦終わったかな? それでは御令嬢方、ご自由に羽を伸ばして頂ければ!」

 

 女神様やらお嬢様やらには変に仕事を頼めない、これも経験によるものです。素直にビーチを楽しんでくださいますよう……

 

と、その中の一人から、

「あの、私は何かしなくてもいいのですか?」

「メデューサ? いやいや、君にはとても大切な役目があるじゃないか…………御姉様方を、頼むね」

「はっ……ああ、そうでした……」

 すまないメデューサ、しかしこれは姉妹の業なのだ……後でちゃんと埋め合わせはするから。

 

「それじゃあダーリン? 一緒に泳ぎましょ?」

「いやあの、オレぬいぐるみ。いい加減気づいてよ、ねぇ」

 

 また、パラソルの下には涼む二人が。

「なんだ、吸血鬼が太陽の下に出て来て大丈夫か?」

「いや私は別に吸血鬼なわけではなくてよ……でも日射しがキツイのは勘弁ね、肌が傷つくから」

「ふっ、オイルでも塗ってやろうか」

「あら随分と親切ね」

「なあに、食べ物がこの手に納まるまでの手慰みだ……」

「へっ?───ひゃう!」

(全く……あのドラ娘がどこをどう歩めばこうなるのか……わからん……)

 

 なんか複雑な表情でカーミラの身体をまさぐってるオルタが見えたけどまあいいや。

 

 さて、あとは……

 

と周りを見ていると、また声をかけられる、書文とフィンと。

「ところでマスター、砂浜にちらほらとおるヤドカリもどきはどうする?」

 視線の先にはヤドカリらしき生き物、らしき、生き物。ちょっとでかすぎる気がするが……

「あれって食えるかな?」

「恐らくは大丈夫だろう!なにせ私の親指が教えてくれる!」

「それじゃフィンと書文先生とで狩ってきてくれるかい?」

「相分かった、奴ら一掃してこよう」

「ああ、女性たちには近寄らせんよ!」

 

 南無三、ヤドカリよ、汝ら罪なし。これら全て我らの業である。

 

 心のなかで手を合わせていると、次は二人の少女に声をかけられる。

「マスター!一緒に遊びましょう?」

「ええ、折角の海だもの!」

 白黒少女は水着姿だといつもの数倍見分けがつかないが、二人はそれぞれ黒のアリスと白のありす。

 無邪気にはしゃいでいるのに水を差すようで非常に心苦しいが、

「ごめんねアリスたち、私もうちょいやることあるからさ。そうだ、式!ちょっとアリスの相手してもらってもいい?」

「ああ別に構わないけど……ってまだ何かやるのかオマエ?」

「あー、まだ来てないのを待つのと、その後はノブの方の手伝いやろうと思って……後でちゃんと遊ぼう?」

「むー……きっとよ?」

「大丈夫よアリス、だってマスターは首が落ちても約束は守るもの!」

 

 うん、比喩じゃないのが怖いね。まあその通りだけどさ。

 

「じゃあいくか、 何がしたい?」

「海でこう……ぷかーって!」

「私はアリスと一緒ならなんでもいいわ!」

「ん、そうか。それじゃ、浮き輪借りてくぜマスター」

 

「波に気をつけてねー」

 そう言うと、二人を連れた式は背を向けたまま手をゆらゆらと私に振った。ま、式に任せとけば安心だな。

 

「……ところで清姫さんはいつまでくっついてるんですかね」

「それはもう黄泉路の果てまでですわ?」

 残念、もう私まともに死ねないんだよ。まあ腕に感じる膨らみの柔らかさは存分に味わわせて頂きますが!

 

 

 

 ───そんなこんなで、そこそこ快適なビーチが完成し、各々楽しんで過ごしているのですけど。

 

 森から……なかなか物騒な響きが……

 

//

 

 ─────オーバーロード!!(カット)

 

//

 

 私もいろいろな所を見て回って、気がついたらもう昼頃になっておりました。最後に信長のとこに足を運んでからみんなを集めようと思ってたんだが……

 

「──────」

 

 開いた口がふさがらないです。

 

「お、マスターか!どうだよ、このゴールデンな旅館はよ!」

「いやあの金時、これ……なによ?」

 

 馬鹿でかい門が建っていた。え?なに?なに造ってんのこれ?羅生門?ウチ茨木居ないんだけど?

 

「何って見たままだろうが!……おーい棟梁!マスターがきたぜ!」

 

 そう呼ばれると、門の奥から、鉢巻を巻いて竹刀を持った───水着姿にはあってんだかあってないんだか───信長が顔を出した。

 

「──おお来たかマスター!どうじゃ? 立派な旅館じゃろ?」と、まるで教科書に載せられそうなほどのどや顔で私に尋ねてきた。

 

「りょ、旅館……? いや、私とスカサハの分の雨風凌げる小屋みたいなの想像してたんだけど!?」

「あっはっはっ何を言っておる! カルデア全員で夏の慰安旅行と聞いておったからな!まだ六割ほどしか完成してはいないが、充分身体を休められる部屋は設けてあるぞ?」

 

 門の奥……いやこれ旅館っていうか名家のお屋敷みたいになってるんですけど……

 

「え、ちょっとまって。慰安旅行?ってことはうちのサーヴァント全員泊まれる設計なの?」

「もちろんじゃ!」

 

「あぁ─────」

 

 

 天を仰ぐ、すると自然に、門に掛けられた看板の実に流麗な筆文字が視界に入ってきた。

 

 ───『宿 之 見 星 条 二』

 

 

 …………………。

 

 

 …………………………。

 

 

 

 ………………………………なんてこったい。

 

 

//

 

『未踏開拓魔境 ユートピア』

 

:経過 一日目・正午段階

 旅館建築中(完成度六割)

 海洋調査完了(報告待ち)

 陸上調査完了(報告待ち)

 島影撮影完了(報告待ち)

 

:暫定制限

 マスターは特異点修復完了までカルデアに帰還不可

 

:何故か慰安旅行と化した。

 

//

 

 

 




ってことで棟梁ノブナガと設計士バベッジによる『二条星見之宿』が建築中。元ネタは二条城築城中の織田信長の行動より。自ら現場監督を務めたらしいですよ。

本家が好き放題してるので、こちらは無難に温泉旅行がテーマです。無いなら造ってしまえばいいじゃない!
次回は続きと、それぞれの思うことをば……

・補足要項
:歪んだ存在
人でない、ということ。
:オケアノスでの開拓史
本文中で言っているように、カラドボルグが全てを凪ぎ払った。
:カルナとアンデルセン
カルナは宝具の影響、アンデルセンは無辜の怪物により身体がズタボロだったりする。
:モードレッドとオルタ
わりと仲良し。リリィのおかげである。
:女の子好き
主人公がどうしてこんな感じになったのかも一応設定があるのだが、まだ書いていないので今はただの百合っ子ってことでいいです。
:酒蔵
オケアノスの何処かにあるダビデ管理の酒蔵。古今東西の酒が揃っている。
:ラーマのヴィマーナ
本当にいつの間にかこうなっていた。
:キャメロット強襲作戦
聖都攻略作戦の最終段階。門にはガウェインが陣取っていたので、空からヴィマーナで聖都の玉座に突撃をかけた。
:二人のアリス
うちのカルデアでは再会済み。ちなみに白のありすはセイバーである。

ちなみに本家では未だに一周目が終わってません、自然回復って怖いね。




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